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てんかん用途のカンナビジオール製剤

カンナビジオール(CBD)という名まえを始めて聞いたのは、米国医薬局(FDA)がエピディオレックス(CBDを有効成分とするてんかん用途の経口薬剤の販売名)を6月に承認したばかりの2018年9月に国重徹衆議院議員から引き継いだ市民相談でした。その後、2019年1月に医療法人べーテルが開催した「仙台てんかん市民会議SCAPE」で宮城県立こども病院の萩野谷和裕先生の講演を聞く機会がありました。

荻野谷先生は、カンナビジオール製剤を14週間使用した難治性てんかんのドラベ症候群120人のうち、50%以上発作が減少した人は43%に及ぶことを紹介してくれました。そして、「カンナビジオール製剤は、ドラベ症候群とレンノックス・ガストー症候群に効果の見られる処方薬だが大麻由来なので大麻取締法を改正しなければ使用できない」と指摘されました。

エピディオレックスには、大麻に含まれるカンナビジオール成分を含んでいます。カンナビジオールは幻覚作用を及ぼすテトラヒドロカンナビノール(THC)とは異なる成分ですが、我が国の大麻取締法では、「大麻から製造された医薬品を施用し、又は使用のため交付すること」は、何人もしてはならない行為と定められています。

 

エピディオレックスは、米国以外にも韓国や欧州医薬局等が承認しオーストラリアが治験実施中であり、抗てんかん薬としての効果が世界的に認められています。わが国でも難治性てんかんの子どもたちが使用できるようにするために厚労省や警察庁と話し合いました。

 

萩野谷先生の指摘された大麻取締法の改正には、治験によってエピディオレックスの薬効が認められる必要があります。逆に言うと、エピディオレックスの治験は、大麻取締法の対象外でなければなりません。そこで、厚労省からの提案で大麻取締法の「大麻から製造された医薬品」の「医薬品」には治験薬を含まないとする解釈を警察庁と共有する方向で調整することにしたのです。そして、3月に調整が整い、年内には治験を開始できるよう準備を進めることになりました。

 

このような中、秋野公造参議院議員が沖縄北方問題特別委員会でエピディオレックスの治験実施を質問で取り上げてくれて大きな追い風となりました。加えて9月には、ドラベ症候群患者家族会、日本てんかん協会、日本小児神経学会、日本てんかん学会の4団体合同で「エピディオレックス承認に関する要望書」が大口善徳厚労副大臣(当時)に提出され、副大臣からは、エピディオレックスは一般的な手順で審査できることなどが示されました。

 

これで治験は可能となりましたが、残念なことに今日まで治験の申請は出ていません。難治性てんかんのドラベ症候群とレンノックス・ガストー症候群の子どもたちとその家族のために、一日も早い治験実施に向けて厚労省と連携しながら今後の対応を探っていきます。

ボディケアで厚真町復興支援

新型コロナウイルス感染症は社会の様々な分野に影響を及ぼしています。北海道胆振東部地震の被災地で昨年夏以降にA社が提供してきたボランティアのボディケアも本年に入って開催できなくなりました。

2019年5月末に北海道出身のA社代表から、胆振東部地震の被災地でボディケアを提供したいとのお話を伺いました。早速に、厚真町、安平町、むかわ町の各役場に連絡し、担当者をA社に紹介させてもらいました。あわせて安平町の工藤秀一町議(公明党)にも協力を仰ぎました。

 

A社は従来からCSRに力を入れており、東日本大震災の被災地でもボランティアのボディケアを提供していました。8月29日に厚真町役場でA社代表と待ち合わせ、宮坂尚市朗町長にお会いしました。ちょうど震災から1周年を迎える時期であり、宮坂町長からはこれからは心のケアが重要になるとのお話があり、応急仮設暮らしに疲れを感じる時期なのでボディケアはありがたいと感謝が述べられました。

13時30分から表町公園仮設団地内談話室に「厚真町復興応援・健康増進プロジェクト」との看板を掲げ、ボディケアが始まりました。ひと時のリフレッシュを提供したいとのスタッフの気持ちがあふれた催しとなりました。

この後もA社の「厚真町復興応援・健康増進プロジェクト」は、10月下旬、12月下旬の計3回実施されました。本年(2020年)も開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されています。被災者のみなさまに一日も早く日常を取り戻せるよう、引き続き感染症対策や経済対策等に取り組んでいきます。

 

メディカルジェットを全国に!

2018年2月に森成之北海道議会議員から「北海道患者搬送固定翼機運航事業」の存続が難しくなっているとの連絡を受けました。この事業は、北海道が「メディカルウィング」と呼んでいるジェット機(メディカルジェット)を使った医療搬送で、道議会公明党が推進し、2017年7月末から運航が始まりました。

数日後に森道議に同行して北海道保健福祉部で、運航開始後の実績や搬送事例などの説明を受けました。広大な北海道では、第二次医療圏内の医療資源が偏在しているため、地域の医療機関では対応できない高度・専門医療を必要とする患者を搬送する必要が生じます。こうした患者を適切な医療機関に搬送するために、国は、へき地保健医療対策予算の中で北海道のメディカルジェットの運航費を支援してきました。

2017年度の予算は約1億円で搬送実績は21件でした。国は、道に対し運航費の減額を問い合わせてきました。搬送実績に対する予算額としては多すぎるのではないかというのです。メディカルジェットは、ドクターヘリのような救急搬送ではなく計画的な搬送を行っています。搬送要請があれば運航管理病院と搬送元医療機関、搬送担当航空会社などとの調整や駐機場所の名古屋空港からの運航可否の判断を行い、搬送のたびにチャーターする仕組みです。国庫補助は、距離に関係なく定額で移植用の臓器搬送より低い額でした。

 

私は北海道の運航状況を背景に、メディカルジェットを健全に運航できるよう救急・周産期医療等対策室と話し合いました。そして、2018年3月の予算委員会でメディカルジェットを取り上げることにしました。現行の「へき地患者輸送の実施~メディカルジェット(へき地患者輸送航空機)運行支援事業」の実施主体は都道府県であり、北海道以外の都府県も実施できるようになっています。各県の医療圏域内においてあらゆる高度な専門医療を提供することは難しいので、医療圏域以外の医療を求めるニーズは全国にあります。そこで、都道府県を超えた搬送体制を整備すべきと主張しました。加藤厚労大臣(当時)からは、どこに住んでいても適切な医療を安心して受けることは大事な観点なので必要な取り組みを進めるとの答弁がありました。

これによってメディカルジェットの運航は2018年度以後も続くこととなりました。運行支援事業の予算額は、2018年度から倍増し約2億円となり、現在(2020年度)まで続いていますが、実施主体は北海道だけにとどまっています。国は、離島を多く抱える県の参加を念頭に置いているようですが、質問で取り上げたように都道府県を超えた運航圏の在り方を模索すべきであり、今後もメディカルジェットの活用推進を図っていきます。