地方公務員の臨時・非常勤職員の在り方
昨年12月27日に「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」から報告書が提出されました。
地方団体では、厳しい地方財政の中、多様化する行政ニーズに対応するために臨時・非常勤職員及び任期付職員などの多様な任用・勤務形態が活用され、その数は毎年増大しています。地方団体によっては、事務補助職員も特別職で採用するなど、制度の趣旨にそぐわない任用も行われています。そのため、この研究会では、臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用の在り方を検討していました。
報告書によると、地方公務員法が適用されない特別職として全国で22万人もの非常勤職員が採用されていました。本来、特別職とは首長や委員等の専門性の高い職であり、地方公務員法が適用されないために守秘義務や政治的行為の制限などの制約が課されません。このような特別職に、単なる事務補助職員を任用するのは問題があります。しかも、特別職は、採用方法が明確に決まってないために地方団体にとっては任用しやすく、一般職非常勤職員の任用が進まないという現状があります。
また、労働者性の高い非常勤職員であっても期末手当などが支給されない課題も指摘されました。国家公務員の非常勤職員は、期末手当が支給されているし、民間の非正規職員の処遇も同一労働同一賃金を目指しているなかで、地方公務員の非常勤職員に期末手当を支給しないのは問題です。
報告書では、臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件の確保が図られるよう、立法的な対応か通知などによる解釈の明確化を図るべきとされており、今後、私の所属する総務員会等において議論することになります。
北海道緊急治水対策プロジェクト
北海道では昨年8月17日から31日までの2週間に4つの台風が接近または上陸し、記録的な大雨による甚大な被害が発生しました。とりわけ、十勝(とかち)川、常呂(ところ)川、空知(そらち)川では堤防が決壊し、多くの家屋や農地が浸水し、道路や橋などが流失・損傷しました。
国交省北海道開発局は、昨年末に、大きな被害を受けた河川を中心に関係機関が連携してハード対策とソフト対策を一体的に取り組む「北海道緊急治水対策プロジェクト」を実施することを決めました。
ハード対策では、昨年10月6日の予算委員会で私が取り上げた「改良復旧」を再度災害防止のために約4年間で集中的に実施します。これにより、国管理河川の十勝川や常呂川、道管理河川の芽室(めむろ)川やペケレベツ川などの約706か所で集中的に堤防整備、河道掘削、護岸整備などが行われることになります。このうち国管理河川・ダムは108か所あります。
一級水系では「減災対策協議会」を設置し、5年間で実施する減災のための取り組みを「取組方針」としてまとめています。このような協議会を今後、二級水系においても設置を進めます。その上でソフト対策では、住民避難を促すためのタイムラインの作成や改良、これらに基づく訓練、水位周知河川の指定の推進などを、国、北海道、市町村が連携して取り組みます。
農地復旧との連携は、昨年の予算委員会で答弁されたとおり、河道掘削工事で出た掘削土を農地へ運搬し農地復旧に利用します。
ハード対策は、雪解けから本格的な工事になると思いますが、これらにより、早期の災害復旧が期待されます。
特別養護老人ホームと障がい者グループホームは合築可能か?
いよいよ20日から通常国会が始まります。18日には、第4次産業革命と呼ばれるIoT、人工知能、ビッグデータなどの革新的技術を活用した新規事業などを揃えた各省からの提出予算案と法案説明が行われました。
提出予定法案には、第7次地方分権一括法が含まれています。この法律は地方分権を推進するために各省の事務権限委譲が示されるものです。
昨年、厚労省からこの件でヒアリングを行った際に、私は、第7次地方分権一括法に盛り込まれている運用改正通知の中の、「「特別養護老人ホーム」と「障害者向けのグループホーム」の合築可能な場合の明確化」が分かりづらいと指摘しました。
これ受け、今月に厚労省障害保健福祉課は、その趣旨や基準等を記した「指定共同生活援助(グループホーム)の指定基準(立地)に関する疑義について」を地方団体に向け発出することになりました。
この通知には、障がい者のグループホームのサービス基準は、従来どおり、利用者が家庭的な雰囲気のもとでサービスを受けることや地域との交流を図り社会との連帯を確保することとされています。
この趣旨のもと、グループホームの立地場所は、利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域であることや、日中も夜間も利用者の生活が入所施設と病院だけで完結しないよう、これらの敷地外であることとされています。
ところが、現状では、「病院」と併記されている「入所施設」が都道府県によって様々に解釈されています。特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護などと同一建物にグループホームの設置を認めている県もあれば、反対に、病院・入所施設に加えて通所系事業所さえも合築を認めない県もあります。
そこで、この通知では、入所施設に特別養護老人ホームを含めることについてあらためて基準を示しました。これによると、「入所施設」は、施設類型だけで一律に合築の可否を判断せず、地域との交流を図ることなどグループホームの趣旨に則った運営が確保されるかを総合的に勘案すべきものとされています。
すなわち、グループホームの趣旨に則っていれば、特別養護老人ホームと障がい者グループホームの合築はできますし、趣旨に反していれば、合築はできないことになります。今回の記事は、少し理念的な内容になりましたが、障害福祉行政の重要な内容にかかわらせてもらったので紹介しました。