過疎PTで松江市の水道事業を視察
2月20日に公明党過疎に関するプロジェクトチーム(過疎PT)では、全国過疎地域自立促進連盟会長である溝口島根県知事を訪問し、議員立法の過疎法改正に向けて意見を交換した。その後に松江市役所に移動し、松浦市長と面談するとともに上下水道局から松江市の水道事業について説明を受けた。
この背景には、松江市の水道事業の運営を視察し、簡易水道事業の課題を探りたいとの狙いがあった。というのも、過疎法改正にあたって過疎連から、過疎対策事業債の対象に市町村立の大学、各種学校、専修学校、特別支援学校等の整備のほかに、上水道に移行した簡易水道の整備を新たに加えるよう要請されていたからだ。
松江市は、平成17年に近隣の8町村と合併。さらに平成23年には東出雲町を編入合併し、山陰最大の人口規模の特例市となった。周辺町村との合併は、上水道3事業と簡易水道26事業を抱えることになり、安全な水の確保と健全な事業運営のために水道事業の再編を余儀なくされた。この困難な課題に対し松江市は、地方交付税措置や国庫補助を利用して簡易水道を統合し上水道と一体的な運営とすることを決めた。平成20年から施設整備を行っており現在も継続中だ。
視察では、最初に美保関町の笹子浄水場を訪れた。ここでは山間の約50世帯の集落に供給する水道水を作っていた。上水道に繋がっているが、上水道は渇水期の利用にとどめ、普段はこの浄水場から配水している。当日は、あいにくの雨ではあったが、これぞ水道技術者と拍手を送りたくなるような管理者から熱い説明を受けた。説明の内容以上に安全な水づくりへのこだわりが伝わってきてうれしくなってしまった。
次に向かったのは、旧雲津浄水場。半島の先にある雲津地区は約70世帯の集落で、以前は治山ダムを水源として集落にある浄水場で水道水を確保していた。現在はこれらを廃止して上水道に移行している。一見すると、雲津川治山ダムにはきれいな水が溢れており、簡易水道で十分ではないかと思った。しかし、担当者によると、70世帯の給水世帯で簡易水道を利用するにはコストが嵩んでしまう上に施設更新が難しいとのことであった。
松江市上下水道局は、水道施設を維持するには地理的条件の悪い合併地域で、26もの簡易水道事業の上水道への移行に取り組んでいた。これは、安全な水の安定的な確保には砂防ダムのような不安定な水源を見直し、施設整備もままならない簡易水道の給水収益という現実を直視した結果、導き出されたものと思う。人口減少社会にあっての先駆的取り組みだと感嘆する視察となった。今後、一部過疎地域の簡易水道を上水道に移行しようとする自治体には、その事業を支援する仕組みが必要と強く感じた視察でもあった。このことを過疎債の対象事業とするのがよいのかも含めてさらに議論していく必要があろう。
最後に、松江市上下水道局では「縁の水」を発売している。2年連続のモンドセレクション金賞に輝く美味しい水だ。ペットボトルのラベルにはハートが1つ描かれているが、これを2本並べてみるとハートが3つ現われる。縁結びの松江らしい演出だ。
安定的な海上輸送の確保
昭和50年代には1,000隻を超えていた日本籍船の日本商船隊は、平成10年代には100隻を切るほどに激減しました。安定的な海上輸送の確保のために、日本商船隊の隻数増加は緊急の課題となっています。
この対策として、トン数標準税制を平成21年から導入しています。トン数標準税制は、日本籍船と日本人の船員を確保するために作成された「日本船舶・船員確保計画」が国土交通大臣の認定を受けると、法人税の代わりにみなし利益課税を選択できるというものです。黒字が多くなった年も赤字になった年もみなし利益に課税されるため、外航船舶運航事業者は毎年の納税額を予見できるようになり、船舶投資を計画的に行うことが可能となります。
日本船舶・船員確保計画は、日本船舶を計画期間内に2倍以上に増隻することや、船舶1隻当たり日本人船員4人を確保することなどの基準を満たす必要があります。
平成25年度には、日本船舶に加えて外航船舶運航事業者の海外子会社が所有する準日本船舶も対象とするように制度が拡充されました。
こうした対策によって、日本商船隊の隻数は、平成27年度には238隻にまで回復しました。しかし、我が国の経済安全保障を確保するには450隻が必要とされています。
そのため、海事振興連盟は、トン数標準税制の拡充を要請してきました。私もこれを実現するために、昨年9月の海事振興連盟の苫小牧タウンミーティングに参加しての外航海運業界との意見交換や、11月22日には超党派の海事振興議員連盟として財務大臣に申し入れを行ってきました。こうした取り組みを経て迎えた昨年末の与党税制大綱では、準日本船舶の認定対象に日本の船主の海外子会社保有船を追加することになりました。
ただし、これを実施するには、海上運送法と船員法の改正が必要となります。公明党では、1月24日に同法の党内手続きを終え、通常国会での成立を目指しています。
観光インフラ整備プログラム
先日、参議院会館から公明党本部に向かっていた時のことです。永田町から信濃町の公明党本部に向かう途中にある赤坂迎賓館に長蛇の列ができていました。その時には、「今日は迎賓館の一般公開日だったかなぁ」と思った程度で通り過ぎたのですが、事務所に戻って調べてみると、1月から3月まで迎賓館が一般公開されていることを知りました。
以前に、私を訪ねて来た方から迎賓館を見てみたいと言われ、見学を問い合わせたことがあります。しかし、その時には一般公開の期間が限定されていたため、なかを見ることはできませんでした。
今回の一般公開は、政府の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」の提言に基づくものです。構想会議が昨年12月にまとめた「観光インフラ整備プログラム」には「魅力ある公的施設の大胆な公開・開放」として、「赤坂迎賓館と京都迎賓館は、接遇等に支障のない範囲で可能な限り通年での一般公開を実施する」ことが提言されているのです。一般公開は、内閣府のHPから申し込めます。http://www8.cao.go.jp/geihinkan/koukai.html
日本を訪れる外国人観光客は、年々増加し、昨年10月には史上はじめて2,000万人を突破。インバウンド効果は随所に現れ、外国人による観光消費額は3兆4千億円を上回る勢いになっています。訪日外国人旅行者4,000万人時代はもはや現実のものになろうとしています。
これからは、一度日本に来たら「次も来たい!」と思わせるように、リピーター対策が重要になると思います。リピーターが増えることは、旅行客の増加と持続的な観光産業の育成につながるからです。そのためには、ハード面のインフラ整備にとどまらず、すでにある観光インフラを機能させることも必要です。
日本外交の最前線にある迎賓館。多くの国賓が訪れた迎賓館では、時に歴史の舞台となる重要な会談が行われるなど、公的施設としては魅力あふれる観光インフラです。
観光は、地方創成の切り札であり成長戦略の柱です。省庁の壁を越えて、政府が一体となって取り組むべきものです。その一つとして、迎賓館を一般公開したことを評価したいと思います。
「観光インフラ整備プログラム」には、迎賓館の一般公開のほかにも、日本遺産認定地域における文化財の一体的整備や国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化なども盛り込まれています。これらは、これまで私が取り組んできた北前船寄港地の日本遺産登録や保養・療養のための温泉地振興などを後押しすることになると思います。一層の取り組みを進めていきたいと思います。