新千歳空港の降雪対策
昨年12月22-23日に北海道の新千歳空港では、湿った大量の降雪により、23日には284便が欠航し、過去最多となる約6,000人もの利用客が空港内で夜を明かしました。この降雪事案を受け公明党北海道開発振興委員会において国土交通省に対応を求めていましたが、このほど改善策の報告がありました。
新千歳空港ではパウダースノーに対応した除雪体制が組まれており、除雪は雁のV字編隊のように大型の除雪機が隊列を組み「雁行」と呼ばれる全幅一方向に行っています。
新千歳空港のヘビーユーザーである私は、早朝の便を利用する際には空港内のホテルに泊まることがあります。冬の夜にホテルの窓から見る除雪の様子は、壮観そのものです。雁行除雪は国内では新千歳空港だけが行っており、1台の除雪機の施行幅は6.5mもあり、除雪時間はわずか20分という世界一の除雪体制を誇っています。
ところが、昨年末のような湿った雪への対応が十分とは言えませんでした。湿った雪を除雪した後は路面が凍り易く凍結防止剤の散布が欠かせませんが、大型散布車両は1台しかありませんでした。そこで、来年度以降に大型散布車両の導入を検討することになりました。
また、国際線カウンターの混雑により5か所の国際固定スポットからの出発が遅れ、外国エアライン到着機に地上待機が発生しました。これを解消するためにオープンスポットを活用する運用ルールを検討することになりました。
ほかにも、到着便の過度の上空待機を改善するために発空港で出発制限をできるようにすることや、空港内の滞留者対策として備蓄品を拡充することなど様々な改善策を実施することになりました。
北海道の空の玄関、新千歳空港の利用客が安全に快適に過ごせるようにこれからも努力して参ります。
TAC制度に太平洋クロマグロを追加
太平洋クロマグロの資源管理は、我が国が国際社会の中で率先して取り組んでいることだ。具体的には、中西部太平洋マグロ委員会(WCPFC)の国際合意に基づいて30キログラム未満の小型魚の漁獲上限を4,007トンと定めて資源回復に努めてきている。
この内訳は、大中型まき網漁業が2,000トン以下、近海竿釣り漁業は106トン、そして曳き網や定置網等の沿岸漁業は共同管理と全国5ブロックの合計で1,901トン以下となっている。
クロマグロの漁場形成は気まぐれで、待ち網漁の定置漁業では獲れたり獲れなかったりの差が大きいことで知られており、突然に大漁が続くことがあればまったく獲れない年もある。漁業者からすると、大漁になるとうれしい反面、漁獲上限を気にしながらの操業になる。
漁獲量の予測が難しい魚種ではあっても、我が国では行政や漁業団体、漁業者ら協力してクロマグロの漁獲管理に取り組んできた。私も沿岸各地を訪れ、漁業者がクロマグロの漁獲管理がいかに難しいか、そして、それを守るために大変な思いで取り組んでいるかを目の当たりにしてきた。
しかし、残念なことに、一部の県で無承認操業や漁獲量の未報告が明らかになった。これらを合わせても50トン以下なので、これまでの漁獲管理に影響を与えるような漁獲量ではないが、真面目に漁獲管理に取り組んでいる漁業者の努力に水を差すような出来事であった。
水産庁は、これら以外に違反がないか全国調査を行ったところ、全国9県で違反事例が明らかとなり、疑義のあった県には原因究明と再発防止の徹底を求めている。
さらに、水産庁は、「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律」に基づくTAC(漁獲可能量)制度にクロマグロを追加することを発表した。政令指定は本年4月、規制適用は2018年1月になる予定だ。今後は、違反があれば3年以下の懲役または200万円以下の罰金が課せられることになる。
我が国の太平洋クロマグロの漁獲管理は、クロマグロ漁業関係国には強いアピールになっており、国際的な資源管理のために沿岸漁業者には資源回復までの期間は辛抱して頑張ってもらいたい。
会津若松市のICT産業集積の取り組み
2月13日と14日に参議院総務委員会として、福島県の「ふるさとワーキングホリデー」や会津若松市の「スマートシティ会津若松」の取り組みを視察した。
総務委員長として会津若松市を視察先に選んだことにはいくつかの理由がある。地域の基幹産業であった電子部品製造業がリーマンショック以降急速に縮小し、現在の従業者数は平成20年の56%にまで落ち込んでいる。そのような中、市が選択したことは市内にあるコンピューター理工学専門大学の県立会津大学との連携によるICT産業の振興と雇用創出だ。
2014年に市の「ビッグデータ戦略活用のためのアナリティクス拠点集積事業」が内閣官房の地域活性化モデルケースに採択され、翌年には地域再生計画の認定を受けている。2016年には「地方版IoT推進ラボ」に採択され、市のICTを活用した地方創生の取り組みは、政府をはじめ各方面から注目されるようになった。
会津若松市では、「スマートシティ会津若松市」の取り組みについて市の担当者らと意見を交換した。私が注目したのは総務省事業の「ふるさとテレワーク」を体験・実証できるICTオフィスの整備をしようとしていることだ。
会津大学は卒業生の県内留保率が30%以下で、優秀なICT人材の多くが県外に就職していく。そこでICT人材の地域定着を図るために地方創生拠点整備交付金事業を利用してICT産業集積の象徴となるオフィスビルを作ってしまおうと言うのだ。
市内には体験型サテライトオフィスとして旧市長公舎がすでに利用されており、第2オフィスとして旧黒河内病院の整備が進められていた。会津の伝統的建築物の中で先端産業に従事するというのは、歴史を大事にする会津らしさが出ていて「かっこいい」と思った。
さらに、オフィスビルではデータ分析の中心地も目指している。会津若松市では「IoTヘルスケアプラットフォーム事業」を実施しており、市民からウェアラブル端末等を介して個人の健康情報を提供してもらい健康サービス産業を創出しようとしている。これには、総合病院が多いことや市と医師会や薬剤師会との連携がとても良いことなどが背景にある。
会津大学では会津大学復興支援センター「LICTiA」において会津大学およびアクセンチュアの関係者らと意見交換の場を持った。様々な取り組みが行われている中で私が興味を持ったのは人材育成事業だ。東京オリパラに向けてサイバーセキュリティー人材はより専門的に、より多く養成することが求められている。ビッグデータの利用には欠かせないアナリティクス人材は我が国では少なく、早急な養成が必要な分野だ。これらの人材育成に向けて会津大学はよりよいオフィスと人的環境を備えていると感じた。また、「ふくしま女性プログラマ育成塾事業」はまさに時代の要請と言えるものと感心した。これはICT分野への女性人材の活用のために、eラーニングなどの利用によってプログラミング技術を習得し、テレワークを含めIT企業に就職してもらおうというものだ。
この視察では、ほかにも興味のある話題がたくさんあったのだが、紹介はここまでにしておく。衆参の委員会視察というと委員長の所在地が視察先になることが多いのだが、私は、総務省関連の事業に先進的に取り組んでいる企業や自治体を視察したいという、当たり前のことを実行した。
最後に、この視察では、内堀雅雄福島県知事、室井照平会津若松市長、渋川恵男会津若松市商工会議所会頭、会津大学岩瀬次郎理事、アクセンチュア福島イノベーションセンターの中村彰二朗センター長など多くの皆さまにお世話になった。ここに記してお礼を申し上げる。