ジャガイモシロシストセンチュウの緊急防除
2015年8月に国内で初めて発生が確認されたジャガイモシロシストセンチュウ(Gp)の緊急防除の対応が有識者会議での検討を経て3月末に決定しました。発生したのは、北海道網走市の161ほ場(678ha)で、侵入原因の特定には至っていません。
Gp発生からこの間、網走市の公明党永本ひろ子市議と連携しながら、網走市、地元農協、農林水産省消費・安全局の対応を見守ってきました。
Gpの寄生したジャガイモを人が食べても人体への影響はありませんが、ジャガイモは、根の生育が阻害され、やがて枯死してしまいます。Gpは、ジャガイモシストセンチュウと同様にジャガイモ(ばれいしょ)生産に甚大な被害をもたらす病害虫で、これまで国内での発生はありませんでした。土壌を消毒しても頑丈なシスト(強固な膜に包まれた休眠体)に守られるため、根絶が極めて難しいとされてきました。
最近、対抗植物のハリナスビを植栽すると、顕著なGpの密度低減効果が得られることが分かりました。Gpはハリナスビに寄生することができませんが、ハリナスビからシストのふ化を促す物質が分泌されるため、Gpは勘違いしてふ化してきます。しかし、そこにジャガイモがないとGpは数カ月で死滅してしまうのです。
このハリナスビを使って、今年(2017年)の5月下旬から防除が始まります。すでに麦を作付けているGp発生ほ場については8月から10月の麦収穫後に土壌消毒を実施して2018年からハリナスビを植栽します。防除期間はジャガイモを作付けできないので、国から防除協力金が交付されます。防除が順調に進み、一日も早い収束を願っています。
改正過疎法が成立
3月30日の参議院本会議において改正過疎法が成立しました。議員立法の過疎法は、5年に一度の見直しが条文に定められており、本年がその見直し年に当たっていました。
公明党では、過疎法の見直しに当たって、「過疎に関するプロジェクトチーム(PT)」で昨年来検討を重ねてきました。PTの座長は山本博司参議院議員、事務局長は私が務めています。
今回の過疎法改正では、平成27年国勢調査の結果に基づき、新たに過疎地域の市町村として20団体を加えること、そして、これまで過疎地域に指定されてきた市町村を継続すること。すなわち、卒業団体を出さないことを決めました。卒業団体を出さないということは、限られた過疎対策事業債の予算をより多くの市町村に配分することになるので、市町村にとっては予算が少なくなることもあります。
国勢調査の結果から過疎地域の人口要件からはずれる団体には、市町村合併によって、一部過疎になっている団体があり、今回、卒業団体を出せば混乱を招くことになりかねません。そこで、これまでの過疎地域の指定を継続することに決めました。しかし、5年後の平成33年には、卒業団体を含めた抜本的な見直しが必要と考えています。
過疎法が定める過疎対策事業債の対象事業には、昨年12月28日のブログに記したように、新たに市町村立の専修学校、各種学校、特別支援学校、中等教育学校の整備を加えることになりました。これらに加え、全国過疎地域自立促進連盟からは、上水道に移行する簡易水道事業を対象にするよう要望が出ていました。
公明党過疎PTでは、この要望の実態を調査するために、2月21日のブログに記したように、島根県松江市に出向き、市町村合併により加わった上水道3事業と簡易水道26事業を統合し一体的に運営する取り組みを視察しました。
この調査に基づき、松江市のように簡易水道を上水道に移行する優れた好事例があることや総務省による地方債の充当率の引き上げがあることから、上水道に移行する簡易水道事業については過疎債の対象事業に加えないことを決めました。
また、国税(所得税、法人税)の減価償却に係る特例と地方税の課税免除、もしくは不均一課税に伴う措置の対象事業には、これまでコールセンターとしてきましたが、まったく利用されなかったため、これを廃止し、農林水産物等販売業を追加することにしました。
以上が過疎法の主な改正点です。本法律が過疎地域の振興に役立つものとなるよう願っています。