水素社会を目指して
2016年もまもなく終わろうとしています。本年は参議院選をはじめ皆さまには大変にお世話になりました。本年最後のブログは水素利用についてです。
北海道は、東日本大震災以降、「北海道バックアップ拠点構想」をまとめた。これは、首都圏で広域災害が発生しても北海道には各省の出先機関があり、災害に強い新千歳空港や日本海と太平洋の双方に主要な港湾があるなど首都機能をバックアップできる機能が備わっており、この基盤をさらに整備すべきとしたものだ。
この中でエネルギー供給源として注目されたのが風力発電であった。北海道の陸上風力の賦存量は全国の約30%におよび、我が国の主要な風力関連会社が道北を中心に風力開発を進めてきた。私も参議院予算委員会等で北海道バックアップ拠点構想を後押しすべく、風力開発について何度も質問に取り上げてきた。
しかし、北海道における風力開発はスムーズに進まなかった。それは電力会社が大量の再生エネルギーの受け入れを望まなかったからだ。不安定の上に高コストの風力発電による電気は、電力会社にとっては好ましいものではない。
公明党北海道開発振興委員会では、津軽海峡を挟んで北海道と本州を結ぶ北本連携線が60万kwから90万kwに増強される際に風力発電の受け入れを増やすように取り上げたこともあったが、技術的な課題があるために風力発電側が望むような受け入れは難しかった。このように、北海道に豊富にある再生エネルギーは、開発しても行き場のないものとなっていた。
2016年3月に第8次北海道総合開発計画が閣議決定された。この中には、北海道に豊富に賦存する再生可能エネルギーの開発とそれを利用した水素地域づくりが盛り込まれている。ここに計画されているのは、再生エネルギーを電気として利用するのではなく、水素に替えて利用するというものだ。
国土交通省北海道局では、これを推進するために「北海道水素地域づくりプラットフォーム」を平成27年度からこれまで4回開催しており、平成31年度まで続ける予定になっている。平成28年度になってからは、具体的な取り組み事例が紹介されるようになってきた。例えば、道内で初めて移動式水素ステーションを導入した室蘭市、道央圏で燃料電池車のリース事業を予定している日本アジアグループ株式会社、下水処理場の排ガスと水素からメタンを生成する日本製鋼所(NEDO事業)などだ。
水素地域づくりを進めるには、燃料電池車(FCV)やエネファームなどの水素の需要を増やしていく努力と合わせ、新たな需要先を開発することも必要だ。これら有望な取り組みをどのように支援していくのかが今後の課題になるだろう。
地球温暖化対策としてのCO2削減の視点も重要だ。2015年のCOP21においてパリ協定が採択され、我が国は2016年11月8日に締結した。パリ協定の目的は「温度上昇を2℃までに抑える」ことであり、そのための我が国の目標は、地球温暖化ガスを2030年度に2013年度比26%減という意欲的なものだ。これを実現するには、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入が不可欠だ。
北海道に豊富にある再生可能エネルギーの開発は、パリ協定の履行には不可欠なのだが、現時点では再エネは行き場がないのが現状だ。これを解決するものとして注目されているのが水素利用だ。ところが、水素利用にも課題山積なのだが、この先は次回にしたい。
太平洋北部ブロックのクロマグロ小型魚漁獲に注意報!
太平洋北部ブロックにおけるクロマグロ未成魚の漁獲量が漁獲上限の7割を超えたため、12月26日に水産庁から注意報が発出されました。発出先は、北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県です。
我が国は太平洋クロマグロの資源回復を図るために、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の国際合意に基づき、昨年から30㎏未満のクロマグロ未成魚の漁獲半減(2002~2004年の平均漁獲量から半減)に取り組んでいます。水産庁では、これを実現するために各都道府県における沿岸漁業の漁獲モニタリングを集計しており、12月には太平洋北部ブロックの漁獲量が32.7トンとなり、ブロック別の漁獲上限(41.7トン)の7割に達しました。このため注意報が発出されました。
昨年はこの資源管理の最初の年でもあり、資源管理対策の理解が不十分な地域や漁獲半減に伴う支援制度に加入していない地域などから不満の声が出ていたため、私はクロマグロを対象にした定置網漁業や釣り漁業が盛んな地域を回り漁業者の意見に耳を傾けてきました。そして、私からも制度の主旨を説明しその周知に努めてきました。
太平洋クロマグロの資源管理は、2012年の親魚資源量の2.6万トンを2024年までに歴史的中間値まで回復することを当面の目標としています。
30㎏未満小型魚の年間漁獲量の上限を4,007トンとし、その内訳は、沿岸漁業が1,901トン、大中型まき網漁業等が2,000トン、近海竿釣り漁業等が106トンとなっています。沿岸漁業については、全国を6ブロックに分けて漁獲上限を設定し、各県が漁獲量をモニタリングしています。他方、30㎏以上の大型魚の年間漁獲量の上限は、4,882トンとなっています。
漁業者からすると、クロマグロの漁があれば続けて獲りたいと思うのが当然ですが、それを早めに切り上げるなどして半減目標に取り組んでいます。行政と漁業者が一体になって取り組んでいる我が国のクロマグロ資源管理が成功するようにこれからも応援していきたいと思います。
過疎法の見直し
過疎地域を定めているのが過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)です。この法律は、平成12年に制定され、その後、平成22年と26年に改正されました。
本年には平成27年国政調査の結果がまとまり、調査開始以来、初めての人口減少が明らかになりました。進行する人口減少は過疎地域で大きく、平成27年国政調査における平成22年対比での全国の人口は0.8%減だったのに対し、過疎地域での人口は7.9%減となりました。
国政調査に基づき、人口減少率、高齢者比率と若年者比率、財政力指数などを見直すと、新たに過疎地域に追加されるべき自治体が増えることが見込まれ、法改正時に設定されてきた過疎地域の見直しが必要になっています。
過去2回の法改正では、過疎対策事業債の対象も拡充されてきました。全国過疎地域自立促進連盟は、市町村立の専修学校、各種学校、特別支援学校などを新たに過疎債の対象に加えるよう政府に要望しています。これらの要望を踏まえ過疎法の見直しを進めていきたいと思います。