新型コロナと技能実習生の対応
新型コロナウィルス感染症の爆発的増加を警戒し始めた3月上旬に、複数の外国人技能実習制度の監理団体から技能実習生の出入国に関する問い合わせがありました。
新型コロナウィルス感染症が海外でも急速に増大するなか、実習期間が終了して帰国する実習生やすでにビザを取得し新たに入国してくる実習生たちには、日本からの帰国を認めなかったり、日本が入国拒否したりなどの出入国に影響が出ていました。
水産加工業の現場では、新型コロナの影響があっても原料供給に休みはありません。逆に、加工場が止まれば、年間の作業がルーチン化されているホタテガイ養殖などでは生産に重大な影響が及びます。水産加工を支える技能実習生の存在はとても重要ですが、新たな実習生が入国できない中、加工場の運営をどうするのか、実習が終了しても帰国できない実習生をどうするのかなど、水産加工の現場では緊急の課題が生じていました。
そこで、出入国在留管理庁に新型コロナウィルス感染症への対応を問い合わせたところ、全国から同様な問い合わせが多数寄せられるなか、対応を検討している最中でした。現場が、一番気をもんでいたのは、本国に帰国できない実習生たちの処遇です。これについては「短期滞在」の在留資格変更と、この間に就労を希望する場合には30日間の「特定活動」が認められることになりました。もちろん、新型コロナの影響が収まるまでは帰国できないことが考えられるため、30日毎の更新も可能です。
技能実習生には入国後講習の受講が義務付けられています。私のところには、これをインターネットを利用して現地で実施したいとの強い希望が寄せられていました。というのは、新型コロナの影響で会場の確保や講習会場までの移動が難しくなっていたからです。そこで、出入国在留管理庁に相談したところ、インターネットを活用したオンライン講習が可能となりました。
新型コロナウィルス感染拡大にともなって観光産業や飲食業の来客が減少し、農林水産品の産地は過剰供給に立ち至っています。こうした分野への対策は補正予算で対応しなければなりません。他方、自然相手の産地では、季節ごとに決まった作業を継続しなければならないものがあります。そこには技能実習生のような人材が欠かせません。新型コロナの影響により産地での外国人材の確保が難しくなっているので、今後、地域での労働力確保が重要になるでしょう。
「技能実習生に係る新型コロナウィルス感染症への対応について」は法務省のHPをご覧ください。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00026.html
大型免許の受験資格要件の緩和
本日(2020年4月3日)の参議院本会議で道路交通法改正案が全会一致で可決し衆議院に送られました。本法案では「高齢運転者対策の充実・強化」と「あおり運転に対する罰則の強化」が注目されていますが、これらに加えて「第二種免許等の受験資格の見直し」が含まれています。

2019年7月に釧路市の月田公明市議と阿寒バス株式会社を訪問した際に、ドライバー不足が深刻な問題になっていることが話題になりました。それは、バスドライバー志望の高卒者を採用しても、20歳の免許取得可能年齢になるまでに辞めてしまうことが多いという現状です。辞める理由には、希望するドライバーとは異なる仕事に慣れないことがあるとのお話でした。
こうした状況は阿寒バスだけではなく全国的な課題であるため日本バス協会は、国交省に対し大型二種免許の受験資格要件緩和等の要望を出していました。国交省においても、2017年度に閣議決定された規制改革実施計画を受け、「第二種免許制度等の在り方に関する有識者会議」を組織し検討を進めていました。
阿寒バスから要望されたのは、受験資格の年齢要件を19歳まで引き下げることと、普通運転免許保有期間を1年以上に短縮することの二点でした。そこで、国交省に有識者会議での普通第二種免許の経験年数要件見直しの検討状況を聞き、阿寒バスおよび日本バス協会からの大型免許に関する要望を、有識者会議で検討することを確認しました。
有識者会議は2020年3月に提言を取りまとめ政府に提出。安全対策を講ずるならば大型免許等の受験資格を緩和しても良いことが示されました。国交省は、これを受け教習等のカリキュラムを整備し、2020年の通常国会に道路交通法改正案を提出していたのです。
第二種免許等の受験資格の見直しとして、受験資格を19歳、経験年数1年以上に緩和すること、そして21歳までに基準以上の違反点数となった場合の講習受講の義務化が提案されています。今後は、道路交通法改正案の成立を期し、バスドライバー志望の若者たちが今までもよりも早く、大型免許受験という夢をかなえるための環境整備に努力して参ります。
注目される災害時多目的船!
2011年の東日本大震災以来取り組んできた災害時多目的船の導入の議論が盛んになっている。その背景にあるのは新型コロナウィス対策としての船舶の有効性だ。医療機能を有する船舶があれば隔離病棟として利用できるからだ。
こうした病院船の注目度とは別に、私は2011年以来、病院船を含む災害時多目的船の導入について調査と議論を積み重ねてきた。とりわけ、2014年に立ち上げた自公議員連盟の「海洋国日本における災害医療の未来を考える議員連盟」においては米国海軍病院船マーシーの東京港入港や東京オリンピック・パラリンピック競技施設の海上からの視察などを実施し多方面から病院船の有効性を検討してきた。そして、議論の深まりを踏まえ超党派議員連盟の結成を模索してきた。
「超党派災害医療船舶利活用推進議員連盟」は、2月27日に設立された。名称にある「船舶利活用」の意味には2013年の政府見解が背景にある。すなわち、新造船には最大350億円、維持・運用費は年間25億円と試算しているのだ。新型コロナウィルスが猛威を振るっても、病院船建造にこれだけの予算をかける必要があるのかと疑問を持つ人も多いだろう。そこで、中古船の活用や民間船の借上げなど、様々な工夫によって災害時に船舶を用いた医療を提供しようということが「船舶利活用」の考え方だ。また、利活用には医療提供だけではなくロジスティックスを含む多目的な利用を含んでいる。
ここで、災害時のどのような場合に船舶が利活用できるのかを考えてみたい。まず、船舶を病院として利活用する場合の一つには、広域災害により病院機能が損なわれている期間に有効だ。この期間は、急性期や亜急性期にとどまらず慢性期に及ぶことも考えるべきだ。
二つ目には、感染症など隔離が必要な患者が発生している時だ。この度のクルーズ船の隔離もこのような使い方と言えるだろう。普段から病院船を活用していれば、政府職員の対応や船内での指揮系統の統一化などが図られ、船内感染の拡大をより防ぐことができただろう。
三つ目には、船舶を広域搬送拠点(SCU)として活用する場合だ。船内で応急処置された患者を船上から陸上の安全地域へ移送したり、患者の容体によっては専門病院への搬送も考えられる。
船舶を病院として利活用する場合には、常時医療行為を行う船舶とするのか、SCUのように搬送拠点として用いるかなど利活用の方法によって専用船にするか借上げにするか異なってくる。このことは、後日にまとめてみたい。
他方、船舶は、被災地周辺に停泊して災害時多目的船としての利用が考えられる。仮設住宅が提供されるまでの避難所生活期間には、入浴サービスや温かい食事の提供やホテルシップとしての利活用が可能だ。こうした活用は、すでに海上自衛隊の輸送艦や国交省による民間フェリーの派遣で実施されている。
さらには、離島や半島の集落が被災した場合には、被災地域が孤立し、地域に避難所が確保できないことがありうる。このように避難所確保が難しい場合には、臨時避難所として利活用が考えられる。
近年、頻発する広域災害に加え新型コロナウィルス対策を契機に、新たな危機対応が政府に求められるようになった。これには船舶が有効であることを超党派災害医療船舶利活用推進議員連盟から発信できるように努力していきたい。