『やはり去年は終わりの始まりだった…か? 東京女子3.31両国国技館大会 2/4』から続き。

 

第11試合・メインイベント

プリンセス・オブ・プリンセス選手権

<王者>山下実優

vs

<挑戦者>渡辺未詩

もうこの2人に賭けるしかないっていう…

2年前のプリンセスカップ準決勝での山下vs未詩は感動の試合だった。

最後の最後がちょっと説得力に欠けたけど… 強い山下に対してもうスタミナ切れ?でヘロヘロの未詩の頑張り、特にバッティングハンマーの連打の場面は何度見ても泣きそうになるもん、でも最後未詩が山下からスリー取るとこは唐突な感が無きにしも非ずだった。

コレ未詩の勝ちブックだったのかな、でも未詩が限界超えてて、だから未詩がほんとはもう一押しして勝つべきだったんだけどもうあそこで山下がティアドロップ受けてスリー取られてあげたのかなっていう。そう思えるようなね、最後がちょっと不自然な感が俺はあった。それでもあの試合は素晴らしい内容だった。

あれから1年7ヶ月以上経ってるから、未詩の体力は上がってるんじゃないか? 今度は互角に渡り合えるんじゃないか? そう期待してた。

だからこのカードがプリプリ王座のタイトルマッチかつ両国大会のメインでも、俺は成立するはずと信じてたんだよ。未詩を信じてた。(山下への信頼は言わずもがな)

山下、エプロン(リング内より硬い)で未詩にアティテュード・アジャストメント!

これはちょっとキツい。

あと食らった直後の未詩の床への落ち方がなかなか凄かった。くるくる回って落っこちたんだよ(笑)

 

山下が未詩のジャイアントスイングを拒否ると、未詩はリバースジャイアントスイングをカマし…

 

次いで正調ジャイアントスイング

 

コーナー上での攻防。未詩の強烈なヒジ打ち…

そういえばどの場面だったか、山下のエルボー食らった時だったか、パッとスクリーン見たら

なんとも言い難い凄い表情してる未詩が映ってた。あれは印象深かった。

 

雪崩式ティアドロップ

 

未詩がなんとか力を振り絞って出したティアドロップを食らった山下が次の瞬間スクッと起き上がる!

未詩が勝てない感を一瞬にして立ちのぼらせ、

しかし未詩はあの準決勝で感動を呼んだバッティングハンマーの連打を出す。

 

山下の必殺スカルキック(後ろ回し蹴りで相手の頭部を蹴り飛ばす)!

しかし最後は未詩がティアドロップでピン。

 

山下陥落、新チャンピオン未詩誕生…

 

でも、この試合も俺的には期待を下回ったんだよな…

あの準決勝の試合には内容も感動も及ばなかった。

未詩はパワーはあるけど持久力がないように感じる。山下は瞬発力(これ出した時の山下、漲りまくってる!)も持久力もある。未詩の方は相変わらずヘロヘロになってきて。未詩のティアドロップに山下がバッと立ち上がった場面、あの瞬間的判断というか、客をどよめかせる、そういうのさすがベテランだなぁと思うと同時に山下の方が明らかに体力あることも見て取れて、やっぱ未詩あっちもこっちもまだ初期メンに敵わないなっていう。

2022年プリンセスカップ山下vs未詩で未詩一応勝ったけど最後の説得力が足らなかった、これ未詩の宿題だと当時思ったんだけど、今でも完全にはクリア出来てないんだよな…

この試合の俺の戦前の予想は未詩が勝って戴冠する確率が70~80%とみていた。

なんかここしばらくプリプリ王者ってだいたい半年ぐらいで入れ替わってない?

それに会社の新陳代謝意向。

そしてでじもんの時と同じで、両国大会でこうして組まれるということは王者交代劇がやはり予想される。負けました取れませんでしたじゃ済まないだろうっていう。

そうすると実際の実力は山下の方が上であっても、未詩が勝つ結果になる可能性が濃厚なんである。

結果、やはり未詩が勝って戴冠した。俺は未詩が大好きだけど、喜べなかったね。勝利に説得力が足りない…と。いや頑張ってたよ。それはわかる。でも両国で“東京女子のエース” “絶対王者”山下を破って遂に団体最高峰のタイトルを戴冠するほどの説得力には足りなかった。今回2回目の挑戦で獲ったんだよね? 瑞希でもなかなか獲れなかったのに。

山下は未詩に対して明らかに全実力は出してないことが見ててわかる。坂崎なんかとやった死闘とは全然違うもの。未詩に合わせてグレードを下げている。

でじもんの戴冠ほど酷くはないけど、でもこっちの戴冠劇も説得力足りずブックを感じる。会社の意向なんだろうな、と。(ブックがあってもいいけど、ブックがあると感づかせるのは出来が悪いでしょう)

でじもんも未詩も、やっぱまだ新世代がトップとして団体引っ張るのはムリなんだよ。まだ早い。

未詩が勝って試合終了のゴングが鳴った瞬間、俺はあからさまに失望の顔をしていた。

このメインはセミの絶望感を覆せなかったどころか、これで3タイトルのチャンピオンが全て次世代選手になったことで、会社は新陳代謝を自然にではなく強引に既成事実化してしまった。

“あ、これは終わったかな…”と思った。去年疑念として書いてたが、もう事実になった。

東京女子がなんか急に安っぽく見えた。

メンタルかなり落ちた。治ってないのに久しぶりに長時間外出したので体もしんどい。暗澹たる気分で帰路についた。

最後は全員集合。

一見大団円ハッピーエンドに見えますが。

 

…なんで俺が今回の両国大会を批判するのか。まず過去エントリでこういうのを書いてるんだよ。

 

『2022年3月19日、至福の両国国技館』シリーズ

東京女子全盛期記述エントリ

 

『2022年 東京女子・後世に残したい名場面迷場面』シリーズ

東京女子全盛期記述エントリ

 

『正月は東京女子で過ごしましたヨ』2エントリ

東京女子全盛期記述エントリ

 

『今年の東京女子タッグトーナメント予想』

『今年の東京女子タッグトーナメント予想 2』

なんかこの辺から東京女子の流れがおかしくなってった気が…

 

『プロレスは一過性でなく、長く観続けるとドラマティックな感動と出会う大河ドラマ』

東京女子遂に東京ドームに上がる。ヒストリーが大事な話

 

『東京女子プロレスの海外進出について』

海外マットに拠点移すと“東京女子の誰々”は永遠に失われるって話

 

『東京女子プロレス3.18有明について思うこと』

2023年の団体の不穏な動きについての危惧

 

『坂崎ユカの卒業会見について思ったこと』

2023年の団体の不穏な動きについての危惧&海外マットに拠点移すと“東京女子の誰々”は永遠に失われるって話

 

『東京女子プロレス、10.9東京たま未来メッセ大会について思ったこと』

2023年の団体の不穏な動きについての危惧

 

…こうした話があった上で、今回の両国大会を迎えてこういう有様だったって事なんだよ!

若いコの台頭を望んでたファンにしてみれば今回の両国大会は大ハッピーエンドだろうが、そういう事じゃねェんだよ。

2020年あたりから2022年の東京女子プロレスがいかに素晴らしかったか。本当に世界に誇れる団体だった。

今はすっかりペラくなってしまった。大事なものを失った。

風景が変わるの受け入れられないとか変化を嫌うとかじゃなくて、説得力が無いっつってんの。

でじもん戴冠劇は特に酷かった。

初期メン以外でプリプリ王者候補、これは未詩なのは間違いない。でも戴冠は「今」じゃない。

伊藤でもまだ獲れてない(というか伊藤はもう東京女子から離れつつあるけど)。瑞希だって俺は時期尚早だと思ってたんだから。

今にして思うと瑞希が戴冠したのすら、“新チャンピオン未詩誕生計画”の一部だったのかなと思えなくもない。

会社は新陳代謝したい

→次世代から未詩を王者にしたい

→でも人気もありキャリアも10年の瑞希が未だ獲れてない

→会社的には山下から未詩が獲る形でエース交代させたいし、瑞希から未詩より山下から未詩の方がドラマティック。あと、いきなり未詩でなくワンクッション要るという算段。昔バックランドからホーガンにチェンジではなくヒールのシークを挟んでワンクッション置くことでWWFの主役交代を観客に反感持たせずにスムーズに受け入れさせたって例えはピッタリ合致ではないが、初期メンからいきなり未詩でなく間にキャリア10年だが初期メンではない瑞希を戴冠させることによって一夜にして新時代到来ではなく一応ワンクッション置けることになる

→だからまず瑞希に獲らせる

→山下にタイトル移動

→未詩が山下から獲る

こういう算段だったんじゃない?

 

俺は過去エントリで東京女子は世界中の団体の中でも最高峰と書いた。プロレスリングのレベルの高さでも、面白さにおいても。

ベストメンバーが遂に揃って中身も充実しまくったのが2022年だった。初の単独での両国国技館大会も遂に開催した。「栄光の2022年」。

なのに翌年、どんどんボタンを掛け違えてゆく2023年。まだ時期尚早なのに新陳代謝で主役を交代せんとする不自然きわまりない流れの連続には納得いってなかったし東京女子の未来を危惧してたわけで。

その悪い懸念が遂に確定・現実化した今回の両国大会だった。

もうみんな説得力がないんだよ。前のめり過ぎの新陳代謝。

時代はスイッチを切り替えるように切り替わるものではないから、…例えば年号が昭和から平成に変わった瞬間時代がガラッと変わったわけじゃない、80年代前半と後半は違うし、90年代前半はまだ昭和の残り香があった。だんだん移り変わっていくものであって、時代の移り変わりはたった1年で変わるものではない。

俺は去年の1.4後楽園を観に行ってるんだけど、だからあの興行はまだクオリティが高かった。栄光の2022年に対してまだ2023年1月だからね、遜色ない。

でもその後いろいろと“どうなのよ?”って事があって、その“どうなのよ?”を推し進めた結果2024年は2022年と比べて天地の差ぐらいクオリティが落ちた。

 

急速なチェンジは堪え性がないSNS・スマホ人種的(コレコレ)な即時的な意識に迎合してるといえる。

次世代がとっととトップに立つのを望んでるファンも、それに応じてしまった会社も。

東京女子代表・甲田哲也が失念してると思われる事があって、

そこそこ長く東京女子を見ている人にとっては初期メンしかプリプリ王座戦線に絡まないとか鈴芽がまだタイトル獲れないってのは“飽きてきた風景”かもしれないが、初めて観る新規のファンにとってはそうではない。

19年~20年が東京女子絶頂期前夜か? 21年は絶頂期を迎えてた。俺は2020年か21年あたりから東京女子を観るようになったので、グレード・総合力高い団体だな!ってハマった。

コミカルとストロングさ、おちゃらけと壮絶ファイト兼備してた。おフザけが過ぎる一方で、トップどころは壮絶な試合をやる。

今ではあまり見られなくなったちゃんとしたプロレスリングの攻防(オーソドックスな始まり、位置の取り合い、関節技・寝技など)もしっかりやる。

初期メンには安心して見てられる盤石のレスリングテクニックと同時に非常に可笑しいユーモアがある。

しかし2024年の今、初めて東京女子を観た人が目にすることになるものは、新世代が主役の光景。初期メンのレベルに達してないプロレス。

未詩はトップクラスに食い込んでいるが、まだスタミナが足りない。山下超えをドラマティックに見せる為にあぁいう風に演じてたわけではないだろう?(もし仮に万が一そうだったなら未詩なかなかだけど、フィニッシュが説得力ないでしょ)

鈴芽は初期メンの域にはまだまだ遠い。

それに特に山下や坂崎はお笑いもイケるのが強みであり、また、シリアスマッチであれほど凄まじい試合をやる彼女らが、別の場面では面白い笑える発言や行動もやってるという、だからイロモノにならないんだよ。並立してるのがまたスゴイわけ。

次世代というのは実力的にもお笑いもまだまだなんだよ。

今初めて東京女子を観た人の感想はこうだろう、“こんなもんか” “スターダムの方が凄いぜ”

いや甲田に言わせればウチは独自路線です、他所は関係ないですってとこだけど、

それはもっともなんだよ、俺も絶対そうあり続けるべきと思うし、東京女子がこれまで外に左右されずに着実に高いグレードを確立してきた根本に独自路線があるのは確実で。他所を気にしてたら世界に誇れるオンリーワンにはなってなかった。

しかしそういう事とは別に、

俺の目に2022年までの東京女子はどう映ってたかというと、新日本やWWEよりも上だったからね。それだけのポテンシャルとクオリティがあった。(スターダムなんか論外だよ)

今の東京女子は強さもユーモアも格段に落ちた。(俺に言わせればさらに多幸感も失いつつある)

未詩は2022年プリンセスカップ時に「先輩の壁を超えられるように頑張りたい」とコメントしたが坂崎との優勝戦に負けた後、世代交代発言を恥じた。「先輩たちのことを壁に例えるなんて、不適切すぎる」「自分はプロレスラーである前に、人として成長しなければならない」

また、来るべき両国の山下戦は「世代交代という見方はしていないし、しないでほしい」

(詳しくはSportivaの未詩インタビュー記事『東京女子プロレスのパワーファイター渡辺未詩が坂崎ユカの涙で気づかされたこと「ユカさんは世代交代を望んでいない...」』を読んでくれ。これ読んで未詩の人間性に感心した)

と言ったが、甲田は山下を壁として使って次世代の踏み台、お膳立てに使った。

選手と会社の間に乖離があるのではないか?

そして俺のようなファンと会社の間にも。

 

『やはり去年は終わりの始まりだった…か? 東京女子3.31両国国技館大会 4/4』に続く。