『やはり去年は終わりの始まりだった…か? 東京女子3.31両国国技館大会 1/4』から続き。

 

第7試合

伊藤麻希

vs

鈴木みのる

東京女子プロレスの試合はレッスルユニバースで配信されてて海外ファンも見てるが、今日は両国大会ビッグマッチ。欧米でも人気のある伊藤は当然存在意義がデカい。

そして決定した伊藤の試合は対鈴木戦だった。暴力的なキャラ&スパイスの効き過ぎた試合をする鈴木もまた海外で人気があるらしい。なので、こうきたか、という。

でも結果的には俺的には凡戦だった。

そもそも俺は男性レスラーと女子レスラーの試合が成立するのはコミカルな場合だけというのが持論で、というか事実だろ。

男と女は肉体的(体格・筋力)に当然歴然たる差があるから、シリアスマッチで試合が成立するはずがない。だから過去に天龍源一郎vs神取忍とか酷い有様になってる。里村明衣子も男とやってボコボコにされてた記憶があるんだけど、あれ誰だっけ…? 見た記憶があるんだけど…。あとはまぁ伊藤麻希vs竹下幸之助も俺は見て非常に不愉快だった。男が女をいたぶる残酷ショーにしかならないっていうね。

で、この伊藤vs鈴木はどっちつかずだったのがまた失敗だった。鈴木が歳食って丸くなったのか東京女子の祭典みたいな大会ということに配慮したのか完全なシリアスマッチはカマさず、が、といって完全なコミカルマッチでもない。中途半端で、俺は期待外れだったね。

見どころは伊藤と鈴木の顔合わせ自体に加え、伊藤がどうやったら鈴木に勝てるかという点だった。

このカードに「デンジャラス」を期待した人は日本でも海外でも結構いたと思うんだよ。鈴木は言わずもがなだが、伊藤も方向性が変わって今ではバイオレンス路線が定着し海外でマット・カルドナや山下りなをピザカッターで切り刻んで流血させ、日本で山下りなとやった時は、これまで東京女子のリングで血が出た試しがないと思うが、おそらくご法度と思うんだけど(そりゃそうだろう、団体の方向性を著しく逸脱する。デスマッチ好きのヒカリが散々頼んで組んでもらった試合で2度ほど流血あったが、どっちもスピンオフな興行だったよね? 伊藤は本隊でやった)、伊藤が鈴木と拮抗するならまさにコレだろう。鈴木をピザカッターで血の海に沈める――先述した男女対決の限界も突破出来る。

しかしそうもならなかった。見ていて印象はとにかく歯が立たない伊藤、そして試合結果も敗北。伊藤の株が下がったと俺は感じたのだけど? ピザカッターやってたらある意味伝説の試合になってたかもしれないのだが…。

鈴木はパイプイス持ち出して殴打したが、伊藤からピザカッターが出ることはなかった

 

ちょっとだけいいとこもあったけど。伊藤が攻めて、鈴木がホゥホゥみたいな、で鈴木のターンになった時の伊藤の怖そうな様子と、ロープまで押し込んだ鈴木がいよいよカマすと思ったらクリーンにブレイクする場面とかはまぁ良かったけど。

後半の伊藤の丸め込み連打なんかもちょっとスリリングで良かったかも。

…でもまぁ間違いなく結果的には「失敗作」。

伊藤は2021年のプリンセスカップ壮絶優勝で人生ヒストリーに一旦カタが着いた形になり、その後どうなっていくのだろうと見守っていたが、あえて平穏に背を向け海外マットにかなり傾倒し、そして意外というかそっちにいったか!というバイオレンス路線に突入(元々言動や態度が暴力的だったがファイトスタイル自体バイオレントなスタイルにシフト)して新章に入っている。

…なのにこの試合、これでは2020年以前の伊藤と変わりがない。壮絶優勝のあと貫禄すら身についた感があったのに、これじゃそれ以前の実力不足で惨めさ感じて中指立ててた頃に逆戻りだろうに。

 

…何試合目ぐらいからだろう、俺の中で気分がもうガタ落ちで。なんかずっと俺の中の期待値を下回る試合ばかり続いている。それに体の痛みがずっとあって、しんどいんでマス席の金属枠に背中預けて寝転がるぐらいの姿勢で観始める。

この伊藤の試合終了後だったか、セコンド陣複数がエプロンあたりでなんかやってて次の試合が始まらず、結構観客も席立ち始めたのでそろそろ休憩か? と思って俺もタバコ吸いたい&トイレ行きたかったから席立って場内から出たら難波の次の試合のアナウンスが始まる。おいおい! 慌てて席に戻る。

 

第8試合

坂崎ユカ&瑞希

vs

さくらえみ&クリス・ブルックス

ホント画質悪ィなぁ… 相変わらず昔のガラケーとかで撮ってるからさぁ。

 

今大会の注目カードの1つ。去年の12月に遂に坂崎が東京女子を卒業、米・AEWに移籍した。(…らしい。ってのは、東京女子去った後、今日まで坂崎試合してなかったらしいんだよね。AEWはどうした?) その坂崎が両国大会ということで特別参戦なのだ。

俺はだからもう坂崎を生で見れることはないのか…と思ってたんで、坂崎見れるのが楽しみで。

でもこのカードが発表された時、俺はまず なんで?と思った。

せっかく坂崎が参戦する→タッグマッチで相方は瑞希でマジラビ復活、これはいい。でも対戦相手が何コレっていう。ガッカリ。東京女子の選手と当たって欲しかった。

で、次にあぁなるほどねと思った。外人の男性選手クリスと、AEWにも上がってるさくらえみ。つまりこのカードはあくまで東京女子を去って海外の選手となった坂崎の来日試合って趣向・志向なんだよ。

そういうわけで坂崎は今回“外様”としての参戦。

でも前に俺散々言ったよね、海外に拠点を移したらもう“東京女子の坂崎ユカ”は永遠に失われるって。(←そのエントリのリンクは3/4で貼るんで)

その通りになった。

東京女子の坂崎の良さ・面白さ・凄さがごっそり欠けた。

加えてまさにさっき言った男vs女問題。クリスの攻撃はかなりシビアで、坂崎とクリスはシリアス絡みだとまったく吊り合わない。坂崎が歯が立たない。

当然だよ。

外国でミックスドマッチ(男vs女)が成立してるのは、欧米の女はガタイがいいから。

日本でやった坂崎と欧米人女性レスラーの対決は成立してた。坂崎は体幹とか足腰しっかりしてるし、キャリア長いし。

でも欧米男性と日本人女性ではやはり無理がある。キャリアもクソもない。生物学的にそもそも成立しない。

結局この試合は俺的にはつまんなかった。坂崎の良さ・マジラビの良さがほとんど発揮されなかった。トイストーリーだっけ、まぁやったけど、東京女子で女子同士でやってた時の魅力・精彩はなかった。

坂崎自身は4ヶ月近くぶりの試合だったけど動き自体は悪くはなかったんだけど。対戦相手のチョイスが失敗だったね。

…山下と坂崎は今全盛期だと思うけど、坂崎は去年5月に東京女子を12月で卒業と発表したが6月にドクターストップで4ヶ月欠場してから復帰、さらに卒業後から昨日まで試合できてないっていう、それで久々の試合がこれじゃなぁ、八面六臂の大活躍の山下に対して坂崎の全盛期棒に振りっぷりが残念でならない。

 

ただそういった事とは全然別に良かったのは、俺の席のたった数メートル向こう、1階通路口の上部分(1/4エントリ冒頭の場内の光景の右側撮った画像の所)にマジラビが上がってきて、すぐ目の前からダイブ!

場外乱闘から…

 

俺のマス席Cから撮ったのだとわかりづらいけど、ここ高さ的には2階です(!)

ここってあれじゃない?

2022年の両国大会でミサヲが高木にダイブ カマしたのと同じところだろう? あの飛び位置・あの高さよ。

女性が2階からダイブ! を至近距離から目撃! 興奮デス(笑)

 

この試合終了後、やーっと休憩15分。遅い! なんで真ん中の5試合目か6試合目の後じゃないの? 前の両国大会の時は真ん中ぐらいだったろう?

 

第9試合

インターナショナル・プリンセス選手権

<王者>荒井優希

vs

<挑戦者>上福ゆき

まぁまぁ、だったかな。

荒井のハードヒッティングは良かったよ。当初とんだ大物新人だったわけだけど、もうキャリア3年か、今回もチャンピオンとして両国のリングに上がるという自分の立場をちゃんと踏まえてて、それなりのものを見せてみせた。

しかも荒井、SKE48の選抜メンバーに返り咲いたそうで、忙しくなっちゃったようで2月に防衛戦やって以来丸々1ヶ月以上もブランク空いてる試合でこれだけやれれば文句をつける気にはならない。

SKE48現役メンバーが雪崩式ブレーンバスターでこの高さから落とされる!

 

ファイナリー(かかと落とし。というか正確には足の側面を蹴り下ろしている)で荒井勝利

 

(俺が荒井について辛い点をつけないのは、まぁこれを言うと本人が複雑な心情になっちゃうだろうけど、現役のメジャーアイドルがプロレスもやってて、それを踏まえた上で観ると荒井の試合は結構悪くないからなんだよ。2つ平行活動しててコレはなかなかでしょうという点が加算されてる。

でなかったら(プロレス1本だったら)もっと辛い点つけてる。インペイラーからタイトル獲った試合だって、何も知らないで見たら説得力ないのだが、SKEもやってるのにプロレスでもあれくらい見せればまぁ許せるし、荒井の存在意義(現役メジャーアイドル選手がいるのは東京女子にとって強み!)からいったら会社的に獲らせるのもわかるしっていうさ。)

上福はいつも通りといえばいつも通りなんで合格かといったら、これが後楽園ホールとかならOKなんだけど、両国というビッグマッチでタイトルマッチに名を連ねるにはやはり上福は正直役不足。もっと前の試合なら問題ないんだけど。

(ちなみに前から言ってる通り俺は上福は東京女子の個性の多様性に必要だと思ってる。喋りも面白い。でも俺が思う上福の位置って興行の上の方ではないんだよなぁ。)

 

第10試合・セミファイナル

プリンセスタッグ選手権

<王者>水波綾&愛野ユキ

vs

<挑戦者組>鈴芽&遠藤有栖

このメンツが両国大会のセミでタイトルマッチってのが東京女子の凋落ぶりを如実に物語っている。いや若手としてのでじもん(でいじーもんきー=鈴芽&有栖)はいいよ。でも両国大会のセミでタイトルマッチのレベルじゃない。それは愛野ユキもそう。

水波はもう入場のリングインする前のパッションダダ漏れ過ぎの動きから試合中も(特に相手をコーナーに詰めてのチョップの連打の時のアクション・笑)はっちゃけ過ぎのノリが良かった。それに水波は体格いいから弱くないし。

けど水波は外様じゃん。あとの東京女子の3人がどれだけのもの見せられるかが問題であり、そしてまぁあまり言いたくはないけどこの3人はまだ両国大会のセミのレベルではない。

結局この試合も後楽園ホールならギリ アリなんだけど、両国レベルには届かない内容。そして勝敗においても、前にも言ったけどタイトルマッチは特に説得力が要る(←これもリンクは3/4で貼るんで)。でじもんはまだ勝つ説得力を有していない。

でもでじもんが勝って戴冠しちゃった。

でじもんがこのビッグマッチのセミでタイトルに挑戦ということは、実力ではなくそういうシチュエーションを根拠に王者交代劇があるのではないかと思ってはいたが、いくらなんでもそこまではやらないのではないかという信用もまだあった。でもこの結果。

これは酷い…と心底思った。

ここまであからさまだと、アクトレスガールズと何が違うんだっていう。あそこは試合結果が決まっていると最初から公言してやっているわけだが(だから「大会」と言わずに「公演」と言うし、「選手」でなく「キャスト」と呼ぼうかという案もあったそうで。アクトはそういう方向性でやってるのだからそれでいいが)、アクトは女優がプロレスを演じるみたいなコンセプトで、しかし東京女子はアクトではない。何がやりたいだ!っていう。そのぐらいこの戴冠はヌルいし雑。

小さい会場であってもこれは東京女子の程度というものが問われる。ましてや今日は両国大会なのだ。チケットも普段より高いんだから。

「何がやりたいんだ!」の答えは「新陳代謝」なわけだけど、去年もなかなか酷かったけど今日のはいくらなんでも強引過ぎる。

 

『やはり去年は終わりの始まりだった…か? 東京女子3.31両国国技館大会 3/4』に続く。