猫の肥大型心筋症に関する質問を
もらったけど、心筋症はホント難しい。
飼主さんとしては切実な問題だね。
猫の心筋症は最初のうちは症状がなくて
どんどん進行していく
ちょっと疲れやすいとか
食べる速さが遅くなったとか
激しく遊ばなくなったぐらいの症状で
軽い時はわからない。
呼吸が苦しいとか
口を開けて呼吸するとか
後ろ足を跛行するなどの
症状が出た時には
かなり進行していて難しい状態に
なってることが多い。
肥大型心筋症は肺水腫になったり
胸水が溜まったりして呼吸が苦しくなる。
肥大型心筋症を治す治療はなくて
症状に対する治療をしたり
循環を良くするような治療になるのさ。
肺水腫が起こるなら利尿剤を使ったり
胸水が溜まってくるなら抜いたり
血圧が高くなるなら降圧剤を使ったり
肥大型心筋症は血栓ができて
後ろ足に流れてる動脈に詰まって
足が腐ったりするから
血栓を予防するような治療をしたり
一般的な心臓の薬を使ったり
不整脈が出てきたら抗不整脈薬を
使ったりして
少しでもいい状態にする治療が
主な治療になっちゃう。
ご質問の猫ちゃんがどのくらいの
心臓の状態なのかわからないけど
肺水腫を繰り返すということは
あまりいい状態じゃないと思う。
肺水腫の治療は利尿剤を使うから
肺水腫を繰り返すと利尿剤の量は増える。
そうなると腎臓には負担がかかって
腎臓の値は上がるね。
肺水腫を起こさないようにするために
利尿剤を使うけど腎臓はどんどん悪くなる。
腎臓の治療のためには点滴をしたいけど
点滴をし過ぎると肺水腫になる。
う～悩ましい。
質問の方が腎臓のために点滴を
したいのもわかる。
よく慢性腎臓病になると家で皮下に
点滴剤を入れてもらうことがあるけど
これはできない。
もし、点滴するなら静脈内に入れないと
肺水腫になる。
うちの猫も肥大型心筋症、慢性腎臓病
甲状腺機能亢進症のトリプルだった。
最期は胸水が溜まって抜きながら
肺水腫のコントロールしながら
24時間点滴をしてた。
うちの子だからできる治療。
この治療をすると入院じゃないと
できないから普通の子は
家に帰れなくなる
毎日通院して朝から夜まで入院点滴して
夜に帰って、また次の日に点滴に来るとか
になる。
猫が病院が好きならいいけど
病院がキライで通院するストレスを
考えるとあまり現実的な治療じゃない。
そうなるとなかなか難しい。
心臓も腎臓も悪くなるといつも悩む
どちらを優先するかはその子の
状態になる。
肺水腫による呼吸が苦しいなら
腎臓に負担をかけながら利尿剤を
使うことになるし
嘔吐、下痢などの尿毒症の症状が
強く出てしんどそうなら点滴を
優先することになる。
ぼくの場合はここでホモトキシコロジー
を使って循環不全の対応と
腎臓病も対応を追加していく。
それによって治るわけじゃないけど
状態がよくなることが多い。
猫の重度の心筋症はホント難しい。
今日もありがとう
人間より動物好き獣医
シワ神シワ男
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