高血圧は、肥満、高血糖、高脂血症と共に、死の四重奏の一つです。
●高血圧患者の食事療法「DASH食」
アメリカ国立衛生研究所（NIH）は、高血圧患者の食事療法として、「DASH食」を勧めています（※１） 。
DASH食の大きなポイントは以下の２つです。
①野菜・フルーツ・低脂肪乳製品を十分摂る
②肉(鶏肉を除く)と砂糖(を含むお菓子・ジュース)を減らす
日本高血圧学会も、「高血圧対策と生活習慣」についての７つの項目のうち、2番目に「DASH食」を挙げています（※２） 。
（１）食塩制限（ナトリウム制限）
（２）DASH食
（３）適正体重の維持
（４）有酸素運動
（５）節酒
（６）禁煙
（７）その他（冬季の防寒・適温の風呂・快便など）
●カリウム①
カリウムは、広く食品に含まれていますが、野菜やフルーツや海藻類以外の食品では、ナトリウムも多く含まれています（※３、図１）。
一方、野菜やフルーツや海藻類は、ナトリウムが少なく、カリウムの多い食品です。
特に、海藻乾物やドライフルーツはカリウム含有量が多くなります。
図１：カリウムの多い食品
※日本食品標準成分表2015（文部科学省）より作成
カリウムについて、注意が必要なのは腎臓疾患の方です。
カリウムを排出できず、血中のカリウム濃度が異常に高くなる、高カリウム血症の恐れがあるためです。つまり、カリウム含有量が高い食品摂取やカリウムの摂取量に気を付けなければなりません。
腎臓疾患の方は、かかりつけの医師に必ずご相談ください。
一方で、腎臓疾患でない方は、高血圧対策のためにも、毎日のフルーツ摂取が勧められています（※４） 。
ただし、一部の薬を服用の方、糖尿病の方、フルーツアレルギーのある方は、摂取にあたり注意が必要です。
●カリウム②
○カリウムは水に溶けやすいため、ゆでると含有量が減る傾向があります
（単位：mg/100g）
ほうれんそう：(生)690⇒(茹)490
だいこん：(生)400⇒(茹)180
○海藻類はカリウム含有量が多く、乾物では、カリウムも濃縮されるため、さらに多くなります。
（単位：mg/100g）
5200 わかめ（乾）
2700 味付けのり
730 わかめ（生）
●フルーツはカリウムが多い？
「フルーツはカリウムが多い」とよく言われますが、正確ではありません。
カリウムは、野菜やフルーツに限らず、ナッツや魚や肉にも多く含まれます（図１）。
同じフルーツでも、バナナとりんごでは、含有量について、3倍の差があります。
野菜も同じですが、「フルーツはカリウムが多い」と一般化するのは不適切です。
主な生フルーツのカリウム含有量は以下の通りです。
（単位：mg/100g）
360 バナナ
340 メロン
290 キウイ
210 さくらんぼ
180 もも
170 いちご、マンゴー、甘がき
150 みかん、パイナップル
140 なし
130 ぶどう
120 りんご、すいか
○ただし、ドライフルーツは、カリウムも濃縮されるため、含有量が多くなります。
（単位：mg/100g）
1300 乾燥バナナ
840 乾燥いちじく
740 レーズン
670 干し柿
引用参考文献
※１：Description of the DASH Eating Plan/NIH・NHLBI Webサイト
※２：高血圧治療ガイドライン2014／日本高血圧学会
※３：日本食品標準成分表2015／文部科学省
※４：日本人の食事摂取基準2015／厚生労働省
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