金融経済の鉄人のブログ -5ページ目

2008/11/18

今起きている世界的な金融危機は、単なる米国的な市場原理主義の崩壊ではなく、

米国経済が世界の覇権を持つ時代の終わりの始まりかもしれない。

少なくとも、大転換期の始まりであろう。

企業もビジネスパーソンも、生き抜くための戦略を見直さなければならない時に来ている。


まず最初に、今回の金融危機の経緯を振り返ると、

きっかけは、もちろん米国の低所得者向けの「サブプライムローン」と呼ばれるリスクの高い住宅ローン。

もともとローカルな住宅ローンの債権である。

それが、証券化という金融化技術によって市場に売却され、

高いリスクを内包した金融商品が世界中に流通した。

証券化によって過剰な信用創造が起こり、「信用バブル」が生まれた。

しかし、ハイリスクのローンだっただけに焦げ付きが起こったのである。

不動産価格の下落が重なり、バブルは崩壊。

一気に「逆回転」が始まった。

投資資金が膨張し実体経済を振り回すまでに至る金融市場の中では、

いざ逆回転が始まると、あっと言う間に被害は膨大となった。


経済活動は鈍化、世界経済を牽引する米国という消費大国を失った。

本来は、米国内の問題だったはずだが、証券化や二重三重のレバレッジといった金融技術の向上により、世界経済を道連れにしたわけである。


不動産を証券化、市場に売却し、流動性を作り出す過程では、金融工学による複雑な手続きを経ているため、

顕在化していないリスクが現時点でどこにどれだけあるのか予測がつかない。

整理のメドがつくまで、おそらく2~3年はかかるのではないか。

今回のパニックを機に、各国で金融機関に対する規制が強化されるだろう。


この経緯を踏まえて私が考えるのは、米国経済の没落の始まりであり、

真のグローバリゼーションの時代の始まりであるということである。

今後、徐々に経済の中心は中国やインドを中心とするアジアに移る。

現在の危機もその過程の一つのマイルストーンだろう。

これからは従来の常識は通用しなくなる。

では、今回の金融危機から学び取るべき教訓は何か。

「多くの人が正しいと考えていることや、常識とされることを疑え」ということだと私は思う。

英国の哲学者、カールポパーは、「人間は常に間違える」と言った。


今回の危機で、多くの人が間違えた。

端的に言えば、金額的な損を出した。

これからどうなっていくか。

答えはないし、果てしなく難しい。

だから、いつも思う。


金融経済って楽しいなって。


榊原さんの話を少しブレインにさせてもらうと、

自分の頭で未来を切り開きたいと思う。

2008/11/11

押し寄せる景気後退の波から自動車産業を守ろうと、

アメリカとヨーロッパ各国の政府が支援策を検討している。

EUは新たな環境基準への対応を支援する名目で、

総額400億ユーロ(500億ドル)の低利融資を実施する方針を示したばかり。

一方のアメリカ政府も、フォード、ゼネラル・モーターズ、クライスラーのビッグスリーが窮地に立つなか、

より厳しい燃費基準への対応を支援する250億ドルを拠出した。

ビッグスリーはさらに500億ドルの追加支援を求めている。

どちらのケースも、支援が名目どおりに使われるかどうかはわからない。

多くの人々の生活がかかっている以上、政府の助けに無関心ではいられない。

しかし自動車メーカーそのものを救済することに、疑問を感じる。

まず銀行が救済された。

続いて各国の中央銀行が利下げを実施し、金融緩和へ。

そして現在は、特定の業界が政府支援を要請する段階に入っている。

政治家は今、こうした要求に弱くなっている。

金融機関の救済に何千億ドルも公的資金をつぎ込んだので、

その後の数十億ドルの支援がやりやすくなってしまった。

アメリカ財務省はすでに保険会社へ資金援助わ強く示唆している。


しかし、いったん始めたらどこでやめるつもりなのか。

自動車業界を助けるなら、航空や鉄道も助ければいい。

どこも不景気に苦しんでいる。

ここ数ヵ月で原油価格が半値以下になり、

必要な設備投資を削減するほかない石油業界は支援しないのか。

将来有望なはずねバイオ技術分野も、信用収縮で資金不足に苦しんでいる。

それを考えると、何十年もの間、

消費者に対しても社会の変化に対しても鈍感だったアメリカの自動車業界は、

救済相手としてもっとも不適格だと思う。

トヨタやアメリカ製よりもずっと品質が高く、

スタイリッシュで経済的な車を造ってきたのに、

その努力をアメリカ自動車業界は無視し続けてきた。

80年代以降のアメリカの自動車業界は、

自動車販売ではなく系列金融機関の収益でもっていた。

メーカーというよりは銀行だ。

そして困難が訪れる度に政府の助けを求めた。

70年代のクライスラー救済、

80年代の日本車の輸入規制、

そして日本市場への進出でも。


さらに穏やかな環境規制にも再三にわたって反対し、

大気汚染にはまったく責任がないと言わんばかりの姿勢を取り続けた。


ビッグスリーがつぶれても、

アメリカの自動車産業が終わるわけではない。

トヨタやホンダ、韓国の現代自動車が空白を埋める。

いずれの企業もすでに製造拠点をアメリカに設けているので、

デトロイトがつぶれたら彼らが増産すればいい。

ビッグスリーの工場も一部は買収されるだろう。


いずれにせよ、この景気後退が続き、どこまで深刻化するか、

それは誰にもわからない。


しかし、救済策にしても、もっとよいやり方はあるように思う。

産業そのものを救済するより労働者を保護するような策が有効と考える。

公的資金は企業ではなく、

労働者に投資する。

自動車業界の元従業員への失業給付金を延長し、

再就職のため教育や職業訓練を実施してはどうか。

解雇されたときに、医療保険や年金を維持できるようにするのもよい。


景気後退は思っている以上に深刻化している。

しかし、確信できることは、

これまでの金融システムは変革を余儀なくされ、

多くの産業が姿を変えることになる。


自動車メーカー救済は、短期的な政治効果はともかく、

長期的にみればまずい政策だ。

国際資金フローの拡大と収縮

金融危機の原因は何か??


通常の答えは、サブプライムローン問題によって、世界の金融機関が大規模な損失を負ってしまったことだと思う。


もちろんその答えは間違いではないけれど、事前に起きていたある変化に注目する必要があると思う。


それは、国際資金フローの収縮。


一般論では、金融危機を受けて国際資金フローが収縮しているとの解釈の方が主流であるけれど、


その逆の因果関係で、つまり国際資金フローが収縮したことで、金融危機が起きたという可能性もある。


主要の産油国による海外金融資産への投資が、昨年前半くらいから減少し始めていた模様である。


その海外投資と関連性が強いと考えられる、産油国による欧米などの主要銀行への預金類の預け入れが、


2007年第2四半期を境に鈍り始めていた。サブプライム問題が顕在化した昨年夏より、やや早いタイミングと言える。


欧米などの主要金融機関は、今まで流入していたオイルマネーにレバレッジを効かせて、その膨らんだ資金を様々な金融資産に投資してきた。


しかし、オイルマネーが細り、金融機関はレバレッジをかける体力を奪われてしまった。


当面は、国際資金フローの収縮を、為替介入という公的資金の流れなどで、どの程度和らげられるかが注目だとう思う。


金融危機の背景にある国際資金フローの変化から、もはや目が離せない。