ワールド・トレード・センターに行った後、私が選んだミュージカルはエジプトの音楽隊とイスラエルの住民の交流、実話に基づいたミュージカルのTHE BAND'S VISITでした。直近の2018年のトニー賞を、ミュージカル作品賞を始め9部門で受賞した名作。とても楽しみです!

 

 

THE BAND’S VISIT

Ethel Barrymore Theater

 

Creative

Music and Lyrics: David Yazbek

Book: Itamar Moses

Based on the screenplay by Eran Kolirin

Director: David Cromer

Choreographer: Patrick McCollum

Set Designer: Scott Pask

Costume Designer: Sarah Laux

Sound Designer: Kai Harada

Lighting Designer: Tyler Micoleau

Orchestrations: Jamshied Sharifi

Music Director: Jeff Theiss

Music Supervisors: Andrea Grody and Dean Sharenow

 

Cast

Dina: Katrina Lenk

Tewfiq: Sasson Gabay

Haled: Ari'el Stachel

Itzik: Brandon Uranowitz

Papi: Etai Benson

Telephone Guy: Adam Kantor

Avrum: James Rana

Camal: Samir Shukry

Zelger: Bill Army

Simon: Joseph Kamal

Julia: Rachel Prather

Sammy: Jonathan Raviv

Anna: Sharone Sayegh

Iris: Jodi McFadden

 

 

 

(写真)THE BAND'S VISITのプログラム

 

 

(写真)Ethel Barrymore Theatre

 

 

あらすじを、ごく簡単に。舞台は1996年のイスラエルの空港。エジプトから演奏のために来た8人の警察音楽隊は、アラビア語の発音の違いから、バスの行き先を間違え、ホテルすらない辺境のまちに行ってしまいます。

 

その日の帰りのバスがなく途方に暮れた音楽隊は、カフェでオーナーのディナという女性に出会いますが、ディナは困った音楽隊のメンバーを近所に分散させて泊めてあげます。その夜、音楽隊のリーダーとディナはしだいに打ち解け、お互いに悩みを打ち明け…。他のメンバーたちもそれぞれイスラエルの人たちと交流を展開する物語です。

 

 

基本的にはシリアスな流れの中、音楽隊の生演奏(8人は役者でありかつミュージシャン)も随所に魅せた、非常に心温まる印象的なミュージカルでした!静かなる感動。特に印象に残ったシーンは以下の通りです。

 

 

◯間違ったまちに来てしまった音楽隊に、まちの人たちが歌う「B」と「P」の歌。アラブの方は「P」を発音せず、代わりに「B」の発音へ置き換えるため、音楽隊は行き先の地名を間違ってしまったのでした。私も劇場で聞きましたが、とても微妙な違い、これは間違えますね(笑)。

 

◯エジプト人とイスラエル人ということで、やりとりはカタコトの英語。たどたどしいやりとりもありましたが、それでも人種を超えたコミュニケーションは十分にできることを実感しました。音楽隊のリーダーは、その硬直した生き方に似て、英文レターで使われるような文語調の固い英語でしたが、ディナと打ち解けると、だんだん柔らかい英語になっていきました。

 

◯音楽隊によりいろいろな音楽が奏でられましたが、静かに聴かせる音楽が多かったです。アラブの音楽が基本ですが、ジャズやピアノのバラードも。イスラエルのカップルが喧嘩して、2人の赤ちゃんがなかなか泣き止まないのを、バンドの一人がクラリネットを吹くと、一発で寝かしつけるシーンは本当に感動的。

 

◯とある家でのこと。イスラエル人の食卓に、急に泊まることになったエジプト人が加わり、最初は気まずそうな雰囲気でしたが、音楽隊の一人がガーシュウィンのサマータイムを演奏し始めると、お互いに盛り上がって、みんなでテーブルを叩いて弾ける(はじける)シーンに発展!

 

お互いのことを紹介し合い、エジプト人が奥さんのことを聞いたら、実は亡くなったと言って、気まずくなりかけましたが、逆にその奥さんを亡くしたイスラエル人の旦那さんは、そこから奥さんの思い出をいろいろと語り始めました。人は話すことによって、傷が癒えることもあるものなんですね。

 

 

 

実話ということもあり、これまで観て来たミュージカルに比べると、いささか地味には感じたミュージカルでしたが、終演後の観客の盛り上がりにはもの凄いものがありました!その理由は役者の方が演技をしながら、楽器で音楽も奏でるから。楽器の演奏に観客が大いに敬意を表している雰囲気をひしひしと感じました。

 

音楽を奏でることが、楽器を演奏することが、いかに素晴らしくて尊いことなのか、改めて心の底から実感できた素晴らしいミュージカルでした!

 

 

(参考)THE BAND'S VISITのダイジェスト

https://www.youtube.com/watch?v=WxI3kOvW_Ng (2分)

※Broadwaycomの公式動画より

 

 

(参考:今回のNY旅行で観劇したミュージカル)

 

2018.12.27 ONCE ON THIS ISLAND

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12431135627.html

 

2018.12.28 DEAR EVAN HANSEN

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12432551018.html

 

2018.12.29 COME FROM AWAY

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12435064310.html

 

2018.12.30 MEAN GIRLS

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12437385388.html

 

2018.12.30 THE BOOK OF MORMON

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12437630121.html

 

2019.1.1 MY FAIR LADY

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12443021575.html