(NY旅行記の続き)レニーのお墓まいりをして、今回のNY旅行の目的は達成(笑)。後はとことんNYを楽しむだけです。ということで、NY旅行3つ目のミュージカルを観に行きました。アメリカ同時多発テロ事件を扱ったストーリー、2017年のトニー賞でミュージカル演出賞を受賞したCOME FROM AWAYです。
COME FROM AWAY
(Gerald Schoenfeld Theater)
(Creative)
Music, Book and Lyrics: Irene Sankoff and David Hein
Director: Christopher Ashley
Musical Staging: Kelly Devine
Set Designer: Beowulf Boritt
Costume Designer: Toni-Leslie James
Lighting Designer: Howell Binkley
Sound Designer: Gareth Owen
Orchestrations: August Eriksmoen
(Cast)
Bonnie & Others: Petrina Bromley
Oz & Others: Geno Carr
Beverley/Annette & Others: Jenn Colella
Janice & Others: Alex Finke
Bob & Others: De'Lon Grant
Claude & Others: Joel Hatch
Kevin T./Garth & Others: Tony LePage
Kevin J./Ali & Others: Caesar Samayoa
Hannah & Others: Q. Smith
Beulah & Others: Astrid Van Wieren
Nick/Doug & Others: Jim Walton
Diane & Others: Sharon Wheatley
(写真)COME FROM AWAYのプログラム
(写真)Gerald Schoenfeld Theater。タイムズスクエア近く、DEAR EVAN HANSENのお隣の劇場です。
まず、あらすじをごく簡単に。2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件。アメリカの空港が閉鎖されたため、アメリカ行きの38機の飛行機は行き先を失い、仕方なくカナダのニューファンドランド島のガンダー国際空港(普段は燃料補給のための空港)に着陸します。わずか人口1万人の小さなまちが、人種も出身も様々な7,000人の乗客を迎え入れ送り出すという、実話に基づいたヒューマンな物語です。
主役と言える人がいなくて、登場人物が非常に多く、1人の役者さんが複数の役を演じるので、誰が誰だか把握するのが非常に難しいミュージカルでしたが、極限状態の中での人間の感情の描写、大きな悲劇があった後の人間同士の温かい交流に救われた気持ちになる、味わい深いミュージカルでした!特に印象に残ったシーンは以下の通りです。
◯まずは舞台。木の机と椅子が並ぶだけの簡素な舞台、両脇には大木が何本もありますが、スポットライトが何台も設けられているのが印象的。イスを有効に使って、飛行機やバスのシーンを描いていました。
◯着陸後、しばらく飛行機の中に留め置きになっていた乗客たちが、ようやく町のみなさんに受け入れてもらった後の祈りのシーン。NYの消防士の息子を案じる母親をはじめ、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、様々な宗教の人々が祈りを捧げるシーンでしたが、同時多発テロ事件との対比で非常に感動的でした。
◯乗客をまちのみなさんが歌や踊りでもてなすシーン。地酒が出てきたり、魚とキスをする儀式をしたり、いい感じになっていた乗客の2人が遂にキスしたり、 大柄の目立つ女性(随所でいい味!)が余興でタイタニックの主題歌を歌ったりして楽しい!民族的な音楽も爆発します。
◯様々な困難や葛藤を乗り越え、体制が整ったので、乗客たちはそれぞれ帰っていきますが、元に戻って変わったり変わらなかったり、それぞれの心境を歌うシーン。この出来事がきっかけで何もかも上手く変わる訳でなく、その後の人生は人それぞれ。とてもリアルなシーンでした。
なお、受け入れてくれたまちへのお礼として、機内で奨学金の寄付を始めたところ、何と着陸時には目標の金額が集まってしまった!というのは、とてもアメリカらしいエピソードだなと思いました。
◯最後、カーテンコールの後、ケーナ、マンドリン、アコーディオン、アフリカの太鼓など、様々な楽器が出てきて盛り上がるのは感動的。宗教や立場などにより、今でも世界中で諍いがありますが、音楽の世界では分かり合える。音楽の素晴らしさを改めて実感した瞬間でした!
このミュージカルは、言葉が早口で言い回しが砕けていて、また、いろいろな人がしゃべるので、英語が非常に聞き取りにくかったミュージカルでした。ONCE ON THIS ISLANDやDEAR EVAN HANSENが5割くらい、調子がいいと7~8割くらい聞き取れたところ、せいぜい2~3割くらい…。ただしセリフこそ十分には追えませんでしたが、内容は概ね分かります。
必ずしもハンサムな男性や可愛い女性ばかりが沢山出てくる訳でなく、至って普通の人々が歌って踊るとてもリアルで印象に残るミュージカル。勢いの良い音楽が多かったのには、とても魅了されました。大きな悲劇があった後に、こういうミュージカルを作ってしまうのが、アメリカの力強さ、たくましさ。大いに唸ったミュージカルでした!
(参考)COME FROM AWAYのダイジェスト
https://www.youtube.com/watch?v=6MytaNqhEVE (2分)
※Broadwaycomの公式動画より
(参考:今回のNY旅行で観劇したミュージカル)
2018.12.27 ブロードウェイ・ミュージカル/ONCE ON THIS ISLAND
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12431135627.html
2018.12.28 ブロードウェイ・ミュージカル/DEAR EVAN HANSEN