FANKY&PANDORABOX代表三道竜也のブログ -3ページ目

ゴッドロン再び ⑤

ゴッドロン再び④はコチラ

 

やっと発泡樹脂で最高のアクションを出す事に成功したけれど

問題は山積み・・

 

・結局ワイヤーは手で曲げるしかない(しかも平打ち加工も)

・低重心化の為に高価な高比重ウエイトの採用

・特殊な配合で成型するのでエラー率が高い

等、本当に量産化出来るのか疑問だらけ。

 

個体差もありそうなので成型後、全て僕自身でアクションチェック

(つまり僕がキャストした事が無いゴッドロンは存在しない)

 

それでも何とか僕は2カラー×30個の計60個を完成させた。

しかし素材コスト、作成時間、エラー率の高さ・・

どう計算しても一個5000円位にしないと採算が合わない。

まだまだ新参メーカーのヘンテコなルアーが一個5000円・・

正直売れる自信が無くなってしまった。

 

それでも、過去に無いアクションに異常な釣果

ルアーそのものは一度使って貰えば納得して貰える自信はあった。

 

最終的に4500円に設定されたゴッドロン

シーバス用ルアーとしては当時、類を見ない位高額である。

そこで僕は当時の取扱店さんに直接赴き

ゴッドロンの凄さを伝えると共に、こう言った。

 

使ってもらって釣れなければ返金します!!

 

言葉にすると格好良いけど内心ヒヤヒヤの心臓バクバク

「返品沢山来たらどうしよう・・」

そんな心配しながら数日後、取扱店さんからの電話が来た!

「やばい・・返品かなぁ?」

恐る恐る電話を取る。

「も・もしもし・・」

 

「アレ全部売れちゃったよ!もっと無いの?」

 

数日でまさかの完売!!

これは本当に嬉しかった。

少し涙が出たのを今も鮮明に覚えている。

 

そして販売から暫くすると購入してくれたユーザーの方から

「気持ち悪い位釣れる」

「初めて子供にシーバスを釣らせてやれました」

多くの嬉しいメッセージを頂いた。

 

しかし同時に購入出来なかった方からもお叱りを受けたし

一番驚いたのは「オークションで高値で売ってる」と聞き

調べると倍以上の1万~1.5万で取引されている・・

これはマズイと思ったけど

僕が頑張っても数ヶ月で60個程度しか出来なかったゴッドロン

沢山作りたいけど個人レベルでは難しい。

 

知り合いに相談したら

「OEMで作成してくれるとこ知ってるから相談してみたら?」

 

そうか!OEMで沢山作ってもらえば良いのか!!

OEMとは「自社の製品を代理製造してくれる」メーカーの事

僕は早速連絡をとり、沢山のサンプルを持って

このOEMメーカーさんへと向かうのである・・

 

ゴッドロン再び⑥へ続きます。

 

三道 竜也

 

 

ゴッドロン再び ④

ゴッドロン再び ③はコチラ

 

ゴッドロンを量産する為に高浮力の発泡樹脂を採用したが

早速?ある程度予想はしていたけど問題だらけ・・

ウッドの頃は削って成型した後、ワイヤーとウエイトの溝を彫り

張り合わせる一般的な方法だったけど

今回は型に樹脂を流し込む為

以前の様にウエイトを置くだけとはいかず

ウエイトを型の中心に浮かせて固定する必要があった。

結局とある方法で解決させたけど手間が余計増えた感じ・・

また慣れていない素材の為なのか型に流し込んで成型しても

ボコボコと気泡の穴が開くし総重量や浮力も安定しない・・

「バルサと同じ比重だし、そのまま成型出来るでしょ!」

数日前の僕は本当に考えが甘かった・・

 

結局バルサモデルを完コピしても全くアクションしなかったので

結局発泡樹脂用に再度セッティングを出すハメになった。

しかもこの発泡樹脂が結構高い

テストで何十個も作ると直ぐに数万円が消えてしまい

当時貧乏だった僕は食事を切り詰め

会社にはオニギリを持参し空いたペットボトルに

麦茶を詰めて、この発泡樹脂を試し続けた。

 

「今度こそはイケるはず!!」

毎週何十個ものプロトを作りアクションチェックの為に

近所の野池へ行き一投で不燃ゴミ認定になっていく空しさ・・

 

結局バチのシーズンには全然間に合わなかったけど

初夏位に一つの可能性を見つけた。

 

しかし見つけた黄金率は発泡樹脂を素材メーカーの推奨比率を

無視した分量で調合するコストパフォーマンスの悪さと

高価な高比重ウエイトの採用だった。

 

もうココまで来ると意地になる(笑)

 

そしてオリジナルをも超えるアクションが完成した時の

あの身震いする感動は今も忘れない・・

 

その時(10年前)のテスト風景が今も残っていた

※昔のデジカメの動画なので画質が悪いのはご了承下さい。

とくに1分50秒からは必見ですよ

 

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まるで生きているかの様な「全身駆動アクション」

ゴッドロンの発表以降、頭のピースが動かず

お尻のピースだけが動く3連結は沢山出たけれど

2019年現在も僕の知っている範囲では

まるでヘビの様に泳ぐ全身駆動アクションが出せる

スリムシンキングペンシルはゴッドロンのみです。

 

これは3連結である程度形を作ればアクションは出るけれど

全身をグネリグネリ・・と動かさせるのは難しい。

しかし本物のバチは全身駆動

ゴッドロンでもテールのみが動くプロトはあったので試したけど

魚の様にお尻だけフリフリさせるだけでは

スレたシーバスは食ってくれなかった。

 

何故「ゴッドロン」なのかはアクション動画を見てもらえば

理解して貰えると思う。

 

さてアクションは出た。

後は量産してもバラツキが出ない事を祈るだけである・・

 

ゴッドロン再び⑤に続きます

 

三道 竜也

 

ゴッドロン再び ③

ゴッドロン再び①はコチラ

ゴッドロン再び②はコチラ

 

ゴッドロンの異常とも言える釣果に

僕は自信を持った反面、恐怖も感じていた。

 

「流れの上流に投げて流されるバチの様に流し込む・・」

 

バチ抜けの釣り方としては今も揺るがない定番のスタイル。

しかし流れの下流から巻き上げても食わせてしまう異端

 

そして僕は日頃良く行くバチ抜けポイントの全てで

爆釣する事が出来てしまった。

またあえてバチのタイミングが終ったであろう下げ止まりの

タイミングでポイントに行き、帰り支度しているアングラーの方に

「さっきまでは良く釣れてましたよ」と帰り際に教えてもらい

居なくなってからキャストしたら案の定、一撃でした。

また、ある日はバチで定番のメジャーポイントに行き

ずらっと並んだアングラーが釣れていない中

1人で爆釣していると近づいてきたアングラーの方が

「凄いですね!何を使っているんですか?」と質問されてきたので

慌ててルアーを隠して

「に、にょろにょろですっ!!」

と答えていた。

 

とにかくこのルアーを人に見られたく無かったのだ。

でも魚は釣りたい。

もっとこのルアーを掘り下げたい。

欲と自信はドンドン膨らんでいった・・

 

最終的には現在も最前線のシーバスプロと

釣りする機会があったので

小さな運河で先に歩いて釣りしてもらい

後ろから僕がゴッドロンのみを使い追いかける釣りをしてみた。

結果はプロ2匹で僕は12匹を釣る事が出来て確信を得た

「このルアーは技術をも超える・・」

 

この出来事から数年間僕はゴッドロンを公開する事は無く

仲間とコッソリ楽しむルアーとして

毎年数個をバルサを削って作成していた。

そして数年後僕は仲間と

「FANKY&PANDORABOX」というルアーブランドを立ち上げた。

 

処女作は当時ただ巻きがスタンダードな中

シャクって食わせる攻撃的なスピンテール「リッチ」である。

その後も変幻自在なメタルジグ「フルフラット」等を発売していった。

 

勿論仲間とゴッドロンの販売についても

スタッフと議論に何度もなった。

しかしゴッドロンの作成は非常に困難で

僕が一月掛かっても10個程度が限度・・

採算が合う気がしなかったし

正直に書くと、自分らだけで良い思いをしていたかった。

何より販売する事で必ず似たようなルアーを

他のメーカーに出されるのが

当時若かった僕は嫌だったのだ・・

 

しかし、こんな革命的なルアーの凄さを皆に知ってもらいたいと言う

気持ちも少なからずあった。

 

凄さを知って貰いたいけど、見せたくない・・

ヘンテコなジレンマである(笑)

 

しかしこっそりとは言え使い続ければ必ずいつか周囲にバレる日が来る・・

だったら自分達から発信しよう!

僕はゴッドロンを量産し販売する事を決めた。

 

丁度その頃バルサと同じ浮力が確保出来る

発砲素材を知り「これなら量産出来る!」と思っていたのも理由の一つ。

 

安易に考えていたゴッドロンの量産

しかし、ここからが本当に苦労の連続だったのです・・

ゴッドロン再び④に続きます

 

三道 竜也