ゴッドロン再び ③
ゴッドロンの異常とも言える釣果に
僕は自信を持った反面、恐怖も感じていた。
「流れの上流に投げて流されるバチの様に流し込む・・」
バチ抜けの釣り方としては今も揺るがない定番のスタイル。
しかし流れの下流から巻き上げても食わせてしまう異端
そして僕は日頃良く行くバチ抜けポイントの全てで
爆釣する事が出来てしまった。
またあえてバチのタイミングが終ったであろう下げ止まりの
タイミングでポイントに行き、帰り支度しているアングラーの方に
「さっきまでは良く釣れてましたよ」と帰り際に教えてもらい
居なくなってからキャストしたら案の定、一撃でした。
また、ある日はバチで定番のメジャーポイントに行き
ずらっと並んだアングラーが釣れていない中
1人で爆釣していると近づいてきたアングラーの方が
「凄いですね!何を使っているんですか?」と質問されてきたので
慌ててルアーを隠して
「に、にょろにょろですっ!!」
と答えていた。
とにかくこのルアーを人に見られたく無かったのだ。
でも魚は釣りたい。
もっとこのルアーを掘り下げたい。
欲と自信はドンドン膨らんでいった・・
最終的には現在も最前線のシーバスプロと
釣りする機会があったので
小さな運河で先に歩いて釣りしてもらい
後ろから僕がゴッドロンのみを使い追いかける釣りをしてみた。
結果はプロ2匹で僕は12匹を釣る事が出来て確信を得た
「このルアーは技術をも超える・・」
この出来事から数年間僕はゴッドロンを公開する事は無く
仲間とコッソリ楽しむルアーとして
毎年数個をバルサを削って作成していた。
そして数年後僕は仲間と
「FANKY&PANDORABOX」というルアーブランドを立ち上げた。
処女作は当時ただ巻きがスタンダードな中
シャクって食わせる攻撃的なスピンテール「リッチ」である。
その後も変幻自在なメタルジグ「フルフラット」等を発売していった。
勿論仲間とゴッドロンの販売についても
スタッフと議論に何度もなった。
しかしゴッドロンの作成は非常に困難で
僕が一月掛かっても10個程度が限度・・
採算が合う気がしなかったし
正直に書くと、自分らだけで良い思いをしていたかった。
何より販売する事で必ず似たようなルアーを
他のメーカーに出されるのが
当時若かった僕は嫌だったのだ・・
しかし、こんな革命的なルアーの凄さを皆に知ってもらいたいと言う
気持ちも少なからずあった。
凄さを知って貰いたいけど、見せたくない・・
ヘンテコなジレンマである(笑)
しかしこっそりとは言え使い続ければ必ずいつか周囲にバレる日が来る・・
だったら自分達から発信しよう!
僕はゴッドロンを量産し販売する事を決めた。
丁度その頃バルサと同じ浮力が確保出来る
発砲素材を知り「これなら量産出来る!」と思っていたのも理由の一つ。
安易に考えていたゴッドロンの量産
しかし、ここからが本当に苦労の連続だったのです・・
ゴッドロン再び④に続きます
三道 竜也