問い
離婚調停及び離婚裁判で特に注意することはなんでしょうか。
回答の概要
1 離婚原因を明確にしておくこと。不貞の場合には証拠資料などを確保しておいてください。
2 離婚裁判を提起する裁判所を検討しておいてください。
3 離婚が決まるまで相当の時間がかかるので,その間の生活を考えておいてください。
詳しい解説
1 証拠資料の確保
(1) 裁判での離婚は,第三者に事情を理解してもらうこと
離婚を求める際,わが国では調停前置主義をとっているので,まずは調停を起こす必要があります。いきなり離婚訴訟は起こせないのです。調停というのは裁判所(調停委員)が仲介する話あいです。
その際,自分で調停を提起するにしても,弁護士に申立てを依頼するにしても,自分の結婚生活の有様,離婚の理由を他人(裁判所=調停委員)に理解してもらう必要があります。
調停委員や弁護士ははあなたのことを全く知りません。
そのことをよく頭に置いてください。
第3者のよりよい手助けを得るには,まずその第三者に自分のことをよく理解してもらうことです。
そこで,まず,家族構成や時系列的に結婚生活のメモを作ることが必要です。
そのなかで,不仲になった経緯なども具体的にメモをしておくと第三者に理解されやすいです。
さらに,子どもの養育費関係および生活関係において,どのような費用がどのくらいかかるのかも家計簿等で把握しておくことも必要になってきます。
(2) 相手の財産の把握
離婚調停が提起されるなど不仲がある程度決定的にになってくると,相手方は,将来の離婚を予想して預金を移動したりしますので,相手方の使用している預金口座,もっている不動産の地番などの把握,株券の存在など,財産関係は,早期に把握しておく必要があります。
離婚が成功するかどうかは,当面の別居費用や将来とるべき慰謝料の原資となるものを予め確保しておくかどうかが極めて重要です。
(3) 相手の不貞
相手方が不貞(ほかの女性との性的関係を含む交際)をしていると疑われる場合には,その不貞の事実の把握などが必要です。不貞の実体は,離婚原因の他に,慰謝料に大きな影響を与えます。
場合によっては興信所を使って不貞の証拠を握ることも必要になるでしょう。
ただし,興信所も種々あり,依頼をしたら相手方のところにその事実を話して二重に費用をとったり,仕事らしい仕事をしなかったり,法外な金額を要求されたりした被害を耳にしたこともありますので,信用のおける興信所に依頼することが大事です。ネットの口コミなどで調べましょう。
はじめに,きちんと見積もりをだしてもらい,こちらの要望する点も「証拠がみつかるまでやってくれ」などというあいまいなことではなく,「3日間尾行してくれ」というような,範囲を明確にした依頼を行うことが興信所との紛争をなくすポイントです。
さらに,裁判になったときに,興信所から入手した書類については興信所が裁判所に提出することを拒むことがありますので,裁判に使用することもあることを明示しておくことが大切です。
(4)夫婦の生活の実態
性格の不一致や,軽度の暴力など,わかりにくく,証拠の残りづらいものを理由として離婚を求める場合,日記や友人へのメールなどが重要な証拠となります。
2 生活費の確保
(1) 当面の生活費の確保の必要
離婚を求めて調停を提起した場合,調停を起こしたことに腹をたてたり,離婚するのだからとして,相手方から生活費が入らなくなる恐れがあります。
したがって,離婚調停を提起して,その見極めをしたうえで,離婚調停と同時あるいは少し遅くなっても婚姻費用分担の調停を提起することが必要となってきます。これは,収入のない方が,収入のある方に生活費を請求するための調停です。合意ができない場合審判といって裁判所が命令を出します。
婚姻費用分担の調停を起こしたとしても,すぐに決定がなされるわけではなく,また,子どもに関して不意の出費などもかかってきます。そこで,離婚調停をする際には当面の生活のため少々の蓄えをもっていることが必要となってきます。
(2) 働くべきか
離婚調停を提起したあと,「働いたほうが得なのか,働かないほうが得なのか」という問題が専業主婦には生じます。
婚姻費用分担の調停の際,働いていないほうが多く相手方から分担金が支払われるからです。逆に,働いていれば,収入合算されますので,分担金が少なくなるのです。
しかしながら,それはあまりに近視眼です。
離婚をして将来自分および場合によっては子どもを育てていかなければならないのですから,一時的な金銭にとらわれるのではなく,将来多くの収入を得る道を選ぶほうが賢明な方法です。
離婚する可能性が高くなるのですから,相手方を頼るのは不安定です。
なによりも働くことによって精神的にたくましくなっていき,離婚という困難に打ち勝つ精神力ができることが重要ではないでしょうか。
3 離婚裁判への道
(1)調停及び保全処分
離婚調停は,相手方の住居地の家庭裁判所または双方で話し合った上で決めた家庭裁判所に申し立てます。
離婚裁判になった場合,相手方の資産を仮差押えしておく必要もあります。裁判をしている間に相手方が財産を隠してしまうこともあるからです。
また,相手名義の自宅を出て,別居している場合,相手方が勝手に自宅を処分してしまうおそれがあります。
さらに,相手方名義の不動産に居住しているような場合,相手方が離婚という話が出ると,この不動産を第三者に売却し,住居から追い出そうとする場合があります。
このような危険を避けるために,相手方名義の不動産に仮差押えあるいは仮処分手続をして第三者に売却をできないようにしておかなければならないことがあります。
ただし,仮差押え・仮処分をするには,将来離婚の本裁判を提起するということが前提です。また,担保金が必要です。
したがって,その点を考えて仮差押えなどの保全処置をとりましょう。
仮差押えは,数千円の印紙代が必要です。また,担保を裁判所に積む必要があります。この担保は,差し押さえる財産の1割から5割くらいの金額で高額となる場合があります。
さらに,不動産の場合,仮差押えの登記をするために,登録免許税が必要となります。
仮差押えは,非常に技術的な問題ですので,法律の専門家である弁護士に相談してください。また,財産の隠匿は,隠匿されれば終わりです。緊急の問題であることが多いのでできるだけ早く相談しましょう。
(2)訴訟提起後の留意点
(ア) 照会書への回答
訴状を提出をすると,受付から「訴訟進行に関する照会書」を手渡されますが,こ照会書対する回答書は相手方にも閲覧の機会がありますので,その点を留意して書いておくことが必要です。裁判所に本心を知ってもらおうと本音を書いて,相手方がこのことを逆手に取ってくることがあるからです。弁護士に依頼している場合は関係ないです。
(イ) 家庭裁判所調査官による事実調査
裁判官は親権者としては父母のどちらが適しているのか家庭裁判所調査官という者に調査をさせることができます(人訴34条1項)。もちろんこれは親権が帰属が争いとなっている事案です。
この調査官の事実調査結果については,裁判官は把握できますが,当事者に開示されるわけではありませんので,当事者は内容が把握できません。
しかし,この事実調査部分については裁判所が許可した場合には,これを閲覧謄写とができます(人訴35条1項)。
したがって,必ずこの事実調査部分を閲覧等して裁判官にどのような事実が提出されているのか,内容を把握しておくほうがいいでしょう。
(ウ) 参与員の参加
家庭裁判所には,参与員という制度があります。これは,裁判官が,一般人の感覚と遊離しないために,必要と認めるときには,参与員を立ち会わせて意見を聴く制度です(人訴9条1項)。離婚事件には男女各1名の参与員となりますが,参与員の方にも礼を失さない対応をすることが必要です。
(エ) 調停時の証拠
調停と訴訟とは全く別の手続です。担当裁判官も異なることがあります。
ですから,調停も訴訟も家庭裁判所で行われるからといって,調停時に提出した証拠がそのまま訴訟に出るわけではありません。
調停の時に提出した証拠で訴訟遂行のうえ必要なものは改めて証拠で提出する必要があります。これは,裁判の時に,裁判官から証拠の提出が促されることがありますので,これにはよくしたがってください。
わからないときは,弁護士に相談しましょう。
離婚調停及び離婚裁判で特に注意することはなんでしょうか。
回答の概要
1 離婚原因を明確にしておくこと。不貞の場合には証拠資料などを確保しておいてください。
2 離婚裁判を提起する裁判所を検討しておいてください。
3 離婚が決まるまで相当の時間がかかるので,その間の生活を考えておいてください。
詳しい解説
1 証拠資料の確保
(1) 裁判での離婚は,第三者に事情を理解してもらうこと
離婚を求める際,わが国では調停前置主義をとっているので,まずは調停を起こす必要があります。いきなり離婚訴訟は起こせないのです。調停というのは裁判所(調停委員)が仲介する話あいです。
その際,自分で調停を提起するにしても,弁護士に申立てを依頼するにしても,自分の結婚生活の有様,離婚の理由を他人(裁判所=調停委員)に理解してもらう必要があります。
調停委員や弁護士ははあなたのことを全く知りません。
そのことをよく頭に置いてください。
第3者のよりよい手助けを得るには,まずその第三者に自分のことをよく理解してもらうことです。
そこで,まず,家族構成や時系列的に結婚生活のメモを作ることが必要です。
そのなかで,不仲になった経緯なども具体的にメモをしておくと第三者に理解されやすいです。
さらに,子どもの養育費関係および生活関係において,どのような費用がどのくらいかかるのかも家計簿等で把握しておくことも必要になってきます。
(2) 相手の財産の把握
離婚調停が提起されるなど不仲がある程度決定的にになってくると,相手方は,将来の離婚を予想して預金を移動したりしますので,相手方の使用している預金口座,もっている不動産の地番などの把握,株券の存在など,財産関係は,早期に把握しておく必要があります。
離婚が成功するかどうかは,当面の別居費用や将来とるべき慰謝料の原資となるものを予め確保しておくかどうかが極めて重要です。
(3) 相手の不貞
相手方が不貞(ほかの女性との性的関係を含む交際)をしていると疑われる場合には,その不貞の事実の把握などが必要です。不貞の実体は,離婚原因の他に,慰謝料に大きな影響を与えます。
場合によっては興信所を使って不貞の証拠を握ることも必要になるでしょう。
ただし,興信所も種々あり,依頼をしたら相手方のところにその事実を話して二重に費用をとったり,仕事らしい仕事をしなかったり,法外な金額を要求されたりした被害を耳にしたこともありますので,信用のおける興信所に依頼することが大事です。ネットの口コミなどで調べましょう。
はじめに,きちんと見積もりをだしてもらい,こちらの要望する点も「証拠がみつかるまでやってくれ」などというあいまいなことではなく,「3日間尾行してくれ」というような,範囲を明確にした依頼を行うことが興信所との紛争をなくすポイントです。
さらに,裁判になったときに,興信所から入手した書類については興信所が裁判所に提出することを拒むことがありますので,裁判に使用することもあることを明示しておくことが大切です。
(4)夫婦の生活の実態
性格の不一致や,軽度の暴力など,わかりにくく,証拠の残りづらいものを理由として離婚を求める場合,日記や友人へのメールなどが重要な証拠となります。
2 生活費の確保
(1) 当面の生活費の確保の必要
離婚を求めて調停を提起した場合,調停を起こしたことに腹をたてたり,離婚するのだからとして,相手方から生活費が入らなくなる恐れがあります。
したがって,離婚調停を提起して,その見極めをしたうえで,離婚調停と同時あるいは少し遅くなっても婚姻費用分担の調停を提起することが必要となってきます。これは,収入のない方が,収入のある方に生活費を請求するための調停です。合意ができない場合審判といって裁判所が命令を出します。
婚姻費用分担の調停を起こしたとしても,すぐに決定がなされるわけではなく,また,子どもに関して不意の出費などもかかってきます。そこで,離婚調停をする際には当面の生活のため少々の蓄えをもっていることが必要となってきます。
(2) 働くべきか
離婚調停を提起したあと,「働いたほうが得なのか,働かないほうが得なのか」という問題が専業主婦には生じます。
婚姻費用分担の調停の際,働いていないほうが多く相手方から分担金が支払われるからです。逆に,働いていれば,収入合算されますので,分担金が少なくなるのです。
しかしながら,それはあまりに近視眼です。
離婚をして将来自分および場合によっては子どもを育てていかなければならないのですから,一時的な金銭にとらわれるのではなく,将来多くの収入を得る道を選ぶほうが賢明な方法です。
離婚する可能性が高くなるのですから,相手方を頼るのは不安定です。
なによりも働くことによって精神的にたくましくなっていき,離婚という困難に打ち勝つ精神力ができることが重要ではないでしょうか。
3 離婚裁判への道
(1)調停及び保全処分
離婚調停は,相手方の住居地の家庭裁判所または双方で話し合った上で決めた家庭裁判所に申し立てます。
離婚裁判になった場合,相手方の資産を仮差押えしておく必要もあります。裁判をしている間に相手方が財産を隠してしまうこともあるからです。
また,相手名義の自宅を出て,別居している場合,相手方が勝手に自宅を処分してしまうおそれがあります。
さらに,相手方名義の不動産に居住しているような場合,相手方が離婚という話が出ると,この不動産を第三者に売却し,住居から追い出そうとする場合があります。
このような危険を避けるために,相手方名義の不動産に仮差押えあるいは仮処分手続をして第三者に売却をできないようにしておかなければならないことがあります。
ただし,仮差押え・仮処分をするには,将来離婚の本裁判を提起するということが前提です。また,担保金が必要です。
したがって,その点を考えて仮差押えなどの保全処置をとりましょう。
仮差押えは,数千円の印紙代が必要です。また,担保を裁判所に積む必要があります。この担保は,差し押さえる財産の1割から5割くらいの金額で高額となる場合があります。
さらに,不動産の場合,仮差押えの登記をするために,登録免許税が必要となります。
仮差押えは,非常に技術的な問題ですので,法律の専門家である弁護士に相談してください。また,財産の隠匿は,隠匿されれば終わりです。緊急の問題であることが多いのでできるだけ早く相談しましょう。
(2)訴訟提起後の留意点
(ア) 照会書への回答
訴状を提出をすると,受付から「訴訟進行に関する照会書」を手渡されますが,こ照会書対する回答書は相手方にも閲覧の機会がありますので,その点を留意して書いておくことが必要です。裁判所に本心を知ってもらおうと本音を書いて,相手方がこのことを逆手に取ってくることがあるからです。弁護士に依頼している場合は関係ないです。
(イ) 家庭裁判所調査官による事実調査
裁判官は親権者としては父母のどちらが適しているのか家庭裁判所調査官という者に調査をさせることができます(人訴34条1項)。もちろんこれは親権が帰属が争いとなっている事案です。
この調査官の事実調査結果については,裁判官は把握できますが,当事者に開示されるわけではありませんので,当事者は内容が把握できません。
しかし,この事実調査部分については裁判所が許可した場合には,これを閲覧謄写とができます(人訴35条1項)。
したがって,必ずこの事実調査部分を閲覧等して裁判官にどのような事実が提出されているのか,内容を把握しておくほうがいいでしょう。
(ウ) 参与員の参加
家庭裁判所には,参与員という制度があります。これは,裁判官が,一般人の感覚と遊離しないために,必要と認めるときには,参与員を立ち会わせて意見を聴く制度です(人訴9条1項)。離婚事件には男女各1名の参与員となりますが,参与員の方にも礼を失さない対応をすることが必要です。
(エ) 調停時の証拠
調停と訴訟とは全く別の手続です。担当裁判官も異なることがあります。
ですから,調停も訴訟も家庭裁判所で行われるからといって,調停時に提出した証拠がそのまま訴訟に出るわけではありません。
調停の時に提出した証拠で訴訟遂行のうえ必要なものは改めて証拠で提出する必要があります。これは,裁判の時に,裁判官から証拠の提出が促されることがありますので,これにはよくしたがってください。
わからないときは,弁護士に相談しましょう。