問い
保険会社の保険と農業協同組合や消費生活協同組合などがとり扱う共済とは何が遣うのでしょうか。
 また、少額短期保険業制度とはどのような制度でしょうか。  

回答

1保険と共済の違い

 保険制度
保険制度は,生命・財産などに対する予測できない偶然の事故の発生によって生ずる経済上の必要(要するにお金が必要となるということ)を,同種の危険ある多数人が予め一定割合でする掛け金(保険料)でまかなう制度です。
保険制度は保険法という法律に規定されているのですが,保険「業」法法律もあり,この業法で業務として販売管理される保険を規制していいます。
 
 保険業法
保険業法では,「保険」、「共済」といった名称に関わらず、人の生死に関し一定額の保険金を支払うことを約し保険料を収受する保険、一定の偶然の事故によって生ずることのある損害を填補することを約し保険料を収受する保険、その他の保険の引受けを行う事業を「保険業」と規定しています。

 そして,保険制度の公共性にかんがみて、内閣総理大臣の免許を受けなければ行うことができないものとしています。

 その上で、契約者(契約者)の保護を図るため、情報開示や責任準備金の積立、募集規制,クーリングオフ等、事業の健全性維持や契約者保護のための諸規制が事業者に課せられています。
 ただし、これらの保険を引き受ける場合であっても、次の場合は,保険業に該当せずに,免許は不要です。
(1)他の法律に特別の根拠のあるもの、
(2)会社等が役員・使用人等を相手方として行うもの、
 労働組合が組合員等を相手方として行うもの、
 学校が学生等を相手方として行うもの、
 小規模な共済等、保険業法に列挙されたもの。
 
 (1)については他の法律に監督を委ねるのが適当であり、(2)については構成員の自治に委ねることが適当であるのが、その理由と考えられています。

2 共済

「他の法律に特別の根拠のあるもの」としては、特定の者を相手方として保険の引受けを行う、いわゆる「共済」があげられます。

 共済というのは,一定の団体の構成員間の相互扶助制度で,共済構成員は一定額の金銭(掛け金)を積立て災害その他の一定の事由に基づく出費があった場合に,一定の給付をこの共済団体が行う制度です。
保険と異なるのは,職業など一定の人的な関係を前提としており,この団体の「相互扶助」として行われる点です。
 代表的な共済事業には、農業協同組合法に基づく全国共済農業協同組合連合会(JA共済)、消費生活協同組合法に基づく全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)や全国生活協同組合連合会(県民共済、都民共済等)等がありますが,これらは,職業・職域を共通にする人たちの相互互助団体だということです。
 相互互助なのでその組織自体の営利を目的としていないので,株式会社である保険会社の保険より割安なものが多いのです。
 
 商品ラインナップは,共済は近時かなり充実しており,掛け金との関係では非常に魅力がある消費癌増えています。

このように,協同組合形態による共済事業は、一定の資格を満たした組合員を対象として事業を行うことを原則とします。しかし,他方一定の要件のもとに組合員外の不特定多数の者への利用を認めている場合があります。
 例えば、農業協同組合の行う共済事業は、組合員以外の利用が組合員利用分の2割まで認められています。
 また、消費生活協同組合(いわゆる生協)は員外の利用は原則として認められませんが、地域内の住民等であれば出資金を支払うことにより組合員となり、共済に加入することができます。だから,生協は各地域毎にあるわけです。

 
 こうした協同組合については、その根拠法により、契約者保護のための諸規制が事業者に課せられていますが、規制の内容は、共済の根拠法により異なります。
 例えば農業協同組合法では、共済事業に関して保険業法に準じた規制が規定されていますが、消費生活協同組合法ではこのような規制はなく、組合員の自治が尊重されているという違いがあります。
 
3 セーフティーネットについて
さて,保険会社が破綻した場合には,保険契約者保護機構による補償の対象となりますが、無認可共済にはこのようなセーフティネットの枠組みはありません(消費者共同組会法など特定の法律に基づいて設立されている認可共済には,一定の保護の枠組みはありますが,保険契約者保護機構のような補償はありません)。ですから,過去あまりに多数の会員を集めた小規模な無認可共済等が破綻した場合には社会問題化したのです。他方,全労済など大手の共済はとりあえず大丈夫でしょう。
 
 ところで,保険業法が改正され、平成18年4月から「少額短期保険業制度」がスタートしています。
 この制度の目的は、従来、特定の者を相手方として法律の根拠なく保険の引受けを行っていたいわゆる無認可共済について、保険業法上の「保険業」に含め、規制の対象とすることで保険契約者等の保護を図ることにあります。
 少額短期保険業者は、保険会社の免許制と異なり、登録制となりますが、保険会社と同様に情報開示や募集規制、責任準備金の積立が義務付けられ、金融庁による検査・監督を受けることになります。
 ただし、その特性を踏まえ、セーフティネットは設けられていません。 
 改正保険業法の施行前に保険業に該当する事業を行っていた「根拠法のない共済」(いわゆる「無認可共済」)は、施行後2年間の経過措置期間中に保険会社となるか少額短期保険業者となるかを選択することになっており,現在ではきちんと棲み分けができています。
 共済は,セーフティーネットがないので気をつけて下さい。