銀座から日比谷へ
ただただ暑かった夏の様相のかけらも見当たらない11月の末。
カミソリのような冷気が街をキリッと引き締め、伴うように身をこわばらせながら一様に歩いている人たちは温もりを切に望み、ひいては人心の温もりをも求めるようになる季節です。
立冬が過ぎて暮れに暮れた秋は、季節の最終幕がとっくに上がっているかのような冬のにおいをさせています。
そうは言いながらも都内はいま紅葉の盛り。イチョウをはじめ、桜の樹だって今はまた違った見ごろを迎えているんです。
それら季節の表情を捉えようと、日に日に下がっていく気温とは対照的に、カメラを片手に散歩する筆者の気持ちは昂っていきました。
散歩というものは、その主軸にいくつかの肉付けをすることで多様にも変化させられる魅力があって、たとえばそれがカメラだったりするんですが、
もうひとつの肉付け、いやむしろこっちが主軸ではないかというのが、ザ・ペニンシュラホテルのスイーツです。
地下にあるブティック&スイーツでケーキセットをいただきました。
ベイクドチーズケーキ主体で、まず上に乗っているシュトロイゼルというアーモンド菓子の歯ごたえが楽しい。
なかにはストロベリー・ラズベリーなどが入っていて上品なのに、確かな美味しいさと香りがひろがります。
コーヒーも美味しかった。
この地下の店だけはドレスコード・カジュアルなので、普通の服装で行っても問題ないと思います。
他はスマートカジュアルなのでジーンズNGのおそれがありますが、男性はジャケット着用でOKになるかなという感じです。
歩くほどに色々な発見がある銀座・日比谷・有楽町。
カメラを持って歩くと、アングルをさがすことで自然とまわりを見回せるのでお勧めです。
ミクロなもの、マクロなもの、美味しいもの、色々と探してみてください。
今ならミキモトのクリスマスツリーがキレイですよ。
11月の第3木曜日
今月18日は、年々知名度の上がっているボージョレ・ヌーボーの解禁日。
ここ数年で再びハロウィンに並んで活気づくイベントになりました。
自分も、昔はあまりよく知らずに「まわりが飲んでるから」とコンビニで買って飲んでいたし、今でもイベントとして楽しむ分には否定しません。
そのかわり、自分の中でのワインとは違うものだと思っていて、理由もあるんです。
ヌーボーというのは、「新しい」という意味のフランス語。
今年のブドウを使って今年中に消費してしまうのがボージョレ・ヌーボーなのですが、仏・ボージョレ地方にはそれ以外のものもしっかり存在しています。
「ヴィラージュ」というのは聞いたことがあるかもしれませんね。
これは法律で定められた畑や品種で作られたブランドのことで、当然、一般的な製法で作られるワインも存在しています。
※ちなみに、ここで作られたヌーボーが「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー」と名乗ることができます。
ワイン用に生産されたブドウの品質・性格を引き出していくには、それぞれ時間がかかり、仕上がり期間も異なるものです。
毎年11月の第3木曜日解禁という時間を設ける意味はもっと違うところにあるため、魚や野菜の「旬のもの」を頂くのとは主旨が違うものなのです。
自分の中でのワインとは違う、というのはそういう意味なのです。
とは言えボージョレという名前に反応し、久しぶりにワインを注文したのは事実(笑
注文したのは、贔屓(ひいき)のハスミワインが去年から扱っているドメーヌ・ラニョーの「ボージョレ・ヴィラージュ2008」。
2008年のブドウを使ったボージョレで、春くらいまでセラーで休ませて飲もうと思っています。
南フランスのワインらしい性格の明るさが春にはぴったりだと思うのです。
こういったものもあることを心のどこかで思いながら、今月の「ヌーボー」を楽しんでください。
ラタトゥイユの難しさ
南フランスの野菜煮込み料理「ラタトゥイユ」。
自分としては何度作っても理想の味にならなくて困っている料理のひとつなんですが、先日渋谷「サン・イシドロ」の大月シェフにコツを教えてもらったので、さっそく試してみました。
ラタトゥイユとは前述したように南フランス発祥の、ナスやズッキーニ、パプリカなどをトマトで煮込んで旨味を楽しむ料理。
大体どのレシピにも「野菜を加えては塩をふり、うまみを引き出す」と書いてあり、簡単にできる料理だとも言われているのだけれど、家で作るといつもなんだか違うんです。
ではどうしてダメなのか。
大月シェフの話では「いちばん大事なのは野菜が油でコーティングされること」なのだそうな。
ウチで作る場合、煮込むための鍋で野菜を炒めていたのですが、それだと油が野菜全体に行きわたる前に水分も一緒になってしまうため避けた方がいいそうです。
そのため今回は野菜一種類ずつフライパンで炒めては煮込む鍋へ移すという作業をして、それから煮込みました。
そうすると野菜のうまみが残ったまま仕上がったのです。
今回はあえて塩を一切ふらずに作ってみたのですが、くたくたになったナスも味や香りが残っていて美味しくいただける仕上がりになりましたよ。
シェフも言っていましたが、野菜を入れる順番や油の使い方などは大切なのになかなか書かれていないのだそうな。
煮込みを作った後、ウチでは恒例の残り汁パスタの時間がやってきます。
残り汁につぶして刻んだニンニクを加えて火を通し、パスタ・こしょう・オリーブオイル・オレガノを入れて炒める。
題してラタトゥイユナポリタン。
やっぱこういう煮込みのシメはパスタに限ります
Cantine Okamoto@赤坂
フランス・ブルゴーニュ地方には多くの有名なワイン醸造所があり、世界の美食に多大な影響を与え続けています。
なかでもロマネ・コンティ社は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
その地方には今のブルゴーニュワインの礎をつくったとされる“神様”と讃えられた人がいたんです。
「アンリ・ジャイエ」という人はワインの世界では有名な人で、
今ではスタンダードな生産方法とされているものを考え出し、それぞれの土地の個性を引き出して付加価値を与える功績を遺し、今からちょうど4年前に亡くなりました。
おそらく人生で一度も口にすることがないほどの高嶺の花を、今回取り上げるワインバー「カンティーヌ・オカモト」さんで見つけた時のお話です。
オカモトさんのお店は7人が入ると満席になってしまうような狭くて分かりづらい場所にあり、昼にはハンバーグランチを出しています。
「チーズハンバーグ」
すぐ近くの厨房で焼いてくれるハンバーグにはこだわりがあるんです。
それは合挽きミンチに小さな牛の角切り肉を混ぜているということなのですが、こうすることによって噛みごたえのあるハンバーグに仕上がるということ。
ふっくらした挽肉の柔らかさに角切り肉のアクセント、それを噛んで出てくる旨味がたまらない。
店主のオカモトさんが自分の店を出す前に働いていた場所では夜しか営業をしていなかったそうで、いつか店を構えたらランチを提供することが夢だったんだそうです。
しかし昼夜とも一人で切り盛りするのは大変なのではと訊くと、「好きなことだから」と。
そういう意気込みがあるのでしょう、夜メニューにも抜かりがありません。
しっかりしているのに割安な値段なのが本当にすばらしい。ワインも一杯500円くらいで出せるように心がけているそうな。
そんな話などしながら飲んでいると、驚くことにディスプレイされているワインの空瓶の中に神様のワインがまぎれていたんです。
一杯500円で提供している店に、一杯5万円は下らないであろうワインも置いてあるのだろうか…
これはオカモトさんが昔コレクションしていたワインだったらしいのですが、訳あって一度手放したもの。
実は現在の店の開業資金を集めるために、オカモトさんはワインを友人に売っては生活に充てていた時代があったそうなんです。
大阪の親友にこのワインを売ったのもお金をねん出するためで、いくつもの苦労の甲斐あってついにお店のオープンにまでこぎつけました。
オープンの報告会にお世話になった人を呼んだとき、その親友がわざわざ大阪から駆け付けてくれ、そして手には神様のワインがあったそうな。
一緒にお祝いしようと。
手放したはずのワインに再会し、親友と2人で朝まで飲むことで神様のワインは店の守り神になったというお話。
年末にオープンから1年を迎えますが、なかなかの繁盛ぶりで店に入れないこともしばしば。
本当に一生懸命な姿勢にいつも感動を覚えるお店です![]()
もぐり@広尾
何の店?と聞かれると「肉の店」と答えるだろうけど、「焼き肉」というとちょっと違う気がする。
他の店とはどこか違う位置というか方向を向いていて、肉へのこだわりが強いんです。
それこそ、焼き網を洗う洗剤にまで気を使うほどの徹底ぶりを見せる、広尾「もぐり」を紹介します。
今回は、友人が100万回も通っていることもあっておまかせで頼みました。
最初にソーセージと炙りベーコン。トングは置いてあるけれど、焼きのプロである店員さんに任せたほうが賢明なので雑談して待つこと数分。
ベーコンの塩気と旨味が強く出てきたところを、温玉が上品に受け止めるように丸く整えたかと思うと、伏線を描くように粒マスタードがベーコンの表情を変えていく。
きれいに整列したシャトーブリアン。まるで岩盤浴でもしているような寝姿が美しい。
他の友人たちはコレがイチバン気に入っていたようです。
ふとカウンター上の換気扇にサインがあるのを見つけたのですが、よく見ると「ペレ」と書いてあるじゃないですか。
もちろん本人のではなく模したものですが、こんなトコにこれを書く人もひとりしかいません。
帰り際、カウンターに仕込中の牛テールがバットに並んでいたので「コレはどうなるんですか?」と尋ねると、
カレーになるそうです。
食後にそんな美味しそうなメニューを聞いたら、満腹の胃袋が受け入れを容認したような気になります![]()




















