続・功夫電影専科 -149ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


豹飛客/黒豹飛客
英題:Enter the Invincible Hero
製作:1977年(1981年説あり)

●えーっと…残念ですがまた巨龍作品のレビューです。さすがにこれ以上続けるとブログの運営そのものにも関わる自体になりかねない(嘘)ので、今回の巨龍作品連続レビューはこれにてラストとさせていただきます(爆
 巨龍は足技ファイターとの共演が多い。同じ韓国の黄正利とは前回の『雷拳』などで、劉忠良とは『雑家高手』で、本作では別命"人間発電機"と呼ばれる[上下]薩伐(カサノバ・ウォン)が相手を務めている。
[上下]薩伐自身も黄正利ら韓国系スターとの共演が結構あるので、巨龍との邂逅も必然であったと言えるかもしれない。[上下]薩伐は韓国映画界で銀幕デビューを果たし、いくつかの作品に出演していたが、彼の脚技に目を付けたサモハンの招きにより、『必殺!少林寺武芸帳』で香港映画に登場した。
 かつて李小龍(ブルース・リー)がブームを巻き起こした際、彼の素早い脚技は"李三脚"と呼ばれた。
李小龍の死後、新たなスターを探していたGH(ゴールデン・ハーベスト)はこの"李三脚"を再演できる脚技ファイターを欲し、黄仁植や譚道良がGHのスクリーンで戦った。[上下]薩伐の出演もその流れからの出演だったと思われるが、『少林寺・怒りの鉄拳』『燃えよデブゴン10・友情拳』に出ただけに止まった。その他は独立プロ系か韓国での活動が主だったようで、本作は韓国での仕事の1つである。
ちなみに本作のオープニングは巨龍と李海生(リー・ハイサン)のバトルで始まるが、これは本編とは何の関係も無いシーンで、勝手に後から付け加えられたものと思われる(なお、本編は功夫片です)。
 物語はやくざ者でプータローな巨龍が、かつての親友だった[上下]薩伐と闘っていくというものだ。[上下]薩伐は人格者を装っているが、その正体は地主と結託して邪魔な護衛団をぶち壊してしまおうと企む悪党だった。巨龍は親友との再会に喜ぶが、不可解な出来事に遭遇するうちに事件に巻き込まれ、嫌がおうにも親友と拳を交える事になってしまうが…。
 本作での最大の見所は、なんといっても巨龍VS[上下]薩伐だ。ラストバトルで[上下]薩伐の変幻自在の足技がスゴく、巨龍も負けじと奮闘しているが、やっぱりここは[上下]薩伐の方に目が移っちゃうところ。本作のアクションは殺陣に一定のリズムが見い出せないものの、それなりに頑張っている。惜しむらくは[上下]薩伐のアクション自体がそれほど多くない事だが、それ以外の面に関してはボチボチか。とりあえず一見の価値はあります。


雷拳
Dragon Claws/5 Pattern Dragon Claws/Thunderfist
1982

▼残念ですが、またまた巨龍(ドラゴン・リー)作品のレビューです(爆
しかし今回は心強い味方がいまして、何と本作に立ちはだかる強敵に黄正利(ウォン・チェン・リー)が出演しているのだ。本作以外でも幾度か巨龍と立ち会ったことのある黄正利だが、自分はこの顔合わせを見るのは本作が初だ。殺陣がダメでも黄正利が絡んでいるならそこそこ良いアクションをやってくれていると思われるが…。

■少林寺主催の武術大会が行われ、巨龍たちのチームが勝利を勝ち取った。「これからも修行に励むのじゃぞ」と少林寺の偉い坊さんにお言葉を頂いた巨龍たちだが、敵対している黄正利の武館とは相変わらず犬猿の仲だ。ある夜、巨龍の兄弟子が少林寺の館長を殺害して少林寺の秘伝を盗み出そうとしたが、途中で発覚する(どうやら黄正利にそそのかされた様子)。
悪逆非道な黄正利らの悪行は止まるところを知らず、巨龍の仲間をボコッたり眼鏡の叔父さんを殺したりとやりたい放題だ。遂には黄正利は巨龍たちの道場を襲って乗っ取り、そこで仲間うちではナンバーワンの実力である巨龍が挑んだ。なかなかの勝負を繰り広げる両雄…しかし黄正利が足技を繰り出してきたところで劣勢に追い込まれ、巨龍は敗北してしまう。
そして秘伝書は何故か黄正利の手の中に…リベンジに訪れた巨龍の仲間たちも1人を残して返り討ちにされ、少林寺も下手に動けずじまいだ。黄正利に逆らうものがいなくなった今、武林の利権は完全に黄正利の手の中へと渡った。
ところで巨龍だが、黄正利に負けて埋められそうになったところを(犬かよ)、白髪の老人に助けられていた。実は白髪の老人は少林寺の高僧で、以前秘伝書を盗もうとした兄弟子もここで保護観察処分を受けていたという(しかし兄弟子は自戒の念から自殺)。黄正利の一味に襲われそうになっていたヒロインとも合流し、今の実力では黄正利に勝てない巨龍は、『ヤング・ボディガード』のメインテーマに乗って修行に励む。
黄正利の蛮行は相変わらず続き、生き残っていたヒロインの兄が殺され、少林寺も襲撃に遭った。鷹拳と足技だけでもムチャクチャ強いのに、盗んだ秘伝書を駆使して更に武器術・拳法まで身に付けていく黄正利。もう奴を止められるのは俺たちだけだ…修行を終えた巨龍は、先だって向かった高僧を追って、黄正利の根城へと突入する!

▲モヤモヤしていた『五大弟子』とは打って変わって、本作はストレートな正統派の功夫片だ。黄正利と巨龍はもちろんのこと、忠臣役の白黄基や巨龍の仲間たち、更にはすぐ倒されるザコに至るまで総キッカー状態であり、かなり迫力のあるアクションが展開されている(脇役に過ぎない巨龍の仲間が黄正利お得意の三段蹴りを放った時は驚いた)。
巨龍はいつもの気持ち悪いモノマネは極力見せないし、ストーリーもありがちだがそれなりに作ってある。そして何よりも凄いのが黄正利で、今回の彼は少林寺の秘伝を悪用して更なる足技を習得(タイトルにある"雷拳"か?)。なんと蹴ると雷が響き、蹴ったところが発火するのだ(爆)!ラストバトルでも巨龍と高僧の2人がかりにもかかわらずやたら強いし、なかなか見応えがあった。巨龍作品の中では良作であると言えるので、黄正利ファンならずとも見て欲しい一片である。ただ、仲間が次々と殺されていくので作品の色としては陰惨な方かな…?


鷹拳
Mission For The Dragon/Rage of the Dragon
1980

●さて、今日も再び巨龍(ドラゴン・リー)と付き合って頂きましょう(爆)。本作は巨龍のシリアス功夫片だが、台湾から『少林寺への道』などで有名なスター・黄家達(カーター・ワン)を招いている。メインのゲストがいることから見ても、とりあえず前回の『五大弟子』よりかはマシだと伺い知る事は出来るが…。
なお、黄家達といえば、かつてはGHによって田俊(ジェームス・ティエン)や劉永(トニー・リュウ)らと共に売り出されていた事がありました。ところが田俊や劉永は『ドラゴン危機一発』や『ドラゴン怒りの鉄拳』で李小龍(ブルース・リー)と共演していますが、黄家達とだけは共演していません。
もし李小龍が生きていたら、出演予定だった『死亡的遊戯』の共演者として李小龍と黄家達が共に闘う画が有り得たかも知れず…本作でバッタもん李小龍と共演した黄家達の心中如何ばかりか?
話はジャッキーぽい髪型の巨龍が秘宝を巡る陰謀に巻き込まれていくサスペンス仕立てのストーリーであり、テイストにバッタもん李小龍的な意匠は感じられないマトモな作品だ。だが、見事なまでに知っている人が黄家達の他は登場しておらず、なによりも監督があの何誌強(ゴットフリー・ホー)なのが更なる胡散臭さを呼んでいる(まぁこれも韓国映画を勝手に何誌強監督名義にしたものなのでしょうが…)。
作中のアクションはテコンドーをベースに色々詰め込んでみました的なものであり(タイトルが鷹拳なのに巨龍が使う拳がメチャクチャ)、しかし決して悪くはない出来である。が、闘う時にキュポキュポ!ピコピコ!という気の抜けた効果音だけはどうにかしてほしかった。子供のオモチャじゃないんだからさぁ…。あと、肝心の巨龍VS黄家達はそれほどパッとせず、思ったより地味な感じでした。


五大弟子
Dragon Lee Vs the 5 Brothers
The Five Brothers
1978

●巨龍(ドラゴン・リー)とは本当に謎の男だ。李小龍のそっくりさん・バッタもんスターでは何宗道(ホ・チョンタオ)が元体操選手、呂小龍(ブルース・リ)と龍天翔がショウブラ出身、石天龍(ドラゴン・セキ)が武術師範と経歴が確認できるが、巨龍に関しては海外サイトをいくつか回ったものの、確たる経歴を知ることは出来なかった。
彼がバッタもんスターとして脚光を浴びるきっかけになったのが『The Real Bruce Lee』というドキュメントの中で紹介された『最後の精武門』という作品。この作品は香港でも台湾でもない、韓国産の功夫片だった。そして、この『五大弟子』もそんな中の1つである。
共演には『カンフーハッスル』で銀幕に復帰した元秋(ユン・チウ/フェニックス・キム)が登場。そのほかにも韓国功夫映画で良く見る連中がチラホラしている。ところで元秋は巨龍との共演作がほかにもいくつかあるのだが、どういうラインで元秋は韓国映画に携わったのだろうか…?
ストーリーは人別帖とペンダントをある男から託された巨龍が、謎の女剣客・元秋と共に敵と闘っていく…みたいなものと思われる。巨龍の前に立ちはだかる敵はタイトルにもある5人の男たち(ボスのヒゲ男・鉄の義手と鉄扇を持つ男・熊ヒゲ男・ボディガードコンビ)で、連中は巨龍の協力者らを襲ったりと揺さぶりをかけてくる。恩師を殺された巨龍は仇討ちのためにヒロインや恩師の従者と共に旅立つ。のちのち元秋と敵ボス意外な関係が発覚したりしながら、色々あって巨龍らは敵陣に乗り込むのだった…。
この映画、韓国産の武侠片にしては登場人物の服装がどっちかというと香港映画寄りのものになっており、恐らく香港武侠片としても海外に売り出せるようにしていたのではないかと思われる。しかもそこにバッタもん李小龍の要素まで加味しており、ここまで来ると王晶(バリー・ウォン)作品もかくやという支離滅裂っぷりだ(爆
アクションは足技中心だが、キャストのほとんどがもっさりとした動きでパッとしていない。せめて韓鷹(イーグル・ハン)あたりの達人が混じっていれば華やかになったかもしれないが、変わり映えのしない悪党たちがむさ苦しく、強いて言うなら全員羅烈(ロー・リェ)状態といった感じで、見ていてキツいものがあった。
その一方でラストバトルはそれなりに盛り上がりを見せ、巨龍は見かけの気色悪さの割りには頑張っているし(爆)、元秋も七小福仕込みの身軽さを見せている。本作についてはここだけ一見の価値はあるが、やっぱり敵に華が無いのが一番致命的だったような…。


「アンダー・カバー/炎の復讐」
Mission Of Justice
1992

●これまたマーシャルアーツ映画の傑作である。ストーリーも大した破綻は無く、アクションも良質とバランスの取れた内訳となっている点は、玉石混在のマーシャルアーツ映画において大きく評価できる。
主演は本作と同じプロダクションが制作した佳作『マーシャルコップ』のジェフ・ウィンコット。相棒の婦警には『検事Mr.ハー』でシンシア・ラスロックと闘ったカレン・シェパードが、敵の女ボスの配下にはマシアス・ヒューズと、それなりに豪華な人員をそろえている。
家庭内暴力を働く男を逮捕した警察官のジェフとカレンは、帰り際にコンビに強盗に出くわしたが、そこで"ピースメーカー"の黒人青年に手柄を奪われる。"ピースメーカー"とは市長選に出馬しているブリジット・ニールセンが保有する私立自警団で、ブリジットは"ピースメーカー"の活躍で多くの支持を得ている。一方、逮捕した家庭内暴力男はバカ上司が保釈したため妻を殺害。怒ったジェフはバカ上司を殴って辞表を叩きつけた。
その後、ジェフは気晴らしに知り合いの黒人ボクサーが経営するジムに立ち寄る。黒人ボクサーはかつてブリジットの自警団に協力していたが、嫌気を感じて辞退していた。ジェフが帰宅した後、その黒人ボクサーのもとにブリジットが弟のマシアスと側近のジェームス・リューを連れて現れ、意にそぐわぬ黒人ボクサーを殺害して去って行った。その場であの"ピースメーカー"の黒人青年が見ている事など知らずに…。
親友が殺された事が信じられないジェフ。彼は直前に黒人ボクサーと話していた自警団に何かあると睨み、入団して内部に潜り込んだ。その頃、ブリジットは入念な政治的宣伝でじわじわと支持率を上げにかかっていた。元警官ということで当初は怪しまれていたジェフだが、のちに入団試験に合格して"ピースメーカー"の一員として行動していく。
捜査を続けていくうちにジェフは黒人ボクサーがブリジットに脅されていた事実を掴むが、証拠には足りえない。そんな中、ジェフたちが黒人青年たちと仕事に励んでいたところに警察が踏み込み、ジェフたちは逮捕されてしまう。実はこれも現市長への当てつけにブリジットらが仕組んだ事で、すぐにジェフたちは解放された。
だが、黒人ボクサーとの関係が知られたジェフは命を狙われ、資産家の母を殺された黒人青年と共に元同僚であるカレンの協力を仰いだ。途中で黒人青年は捕らわれるものの、ジェフとカレンは自警団に突入する…!
アクション指導を担当したのは、作中でもジェフや黒人青年たちと共に行動する"ピースメーカー"として出演しているジェフ・プルート。彼のアクションは『ハード・リベンジ』に引き続いていい仕事を残している。そしてアルファスタントの坂本浩一が助理を務め、本作ではアクション指導以外にスタントでも何度も登場し、確認できただけでも3回(それぞれジェフ、カレン、プルートらと対決)も出てきては他のスタント人員とはレベルの違う動きを見せていた。
作中のアクションはストーリーを邪魔することなく進行し、とりわけ1番の見どころは自警団の入団試験だ。ここはモロ『少林寺木人拳』まんまなバトルが展開され、なかなか興奮させてくれる。ラストではカレンが華麗な三角飛びを披露し、ジェフはマシアスと激突を繰り広げる。アクション面では特に文句は無く、悪い奴も全員倒され(イライラさせる存在だったバカ上司も後半で殺られてスッキリ)、ラストのジェフのやりとりもありがちだが爽快感がありました。
ところで、マーシャルアーツ映画の関係者にはやたらとジェフという名前の人が多いので、たまにこんがらがっちゃうのが困りものです。本作のジェフ・ウィンコット、アクション指導のジェフ・プルート、同じく殺陣師のジェフ・イマダ、香港映画にも出演したジェフ・ファルコン、『パーフェクト・ウェポン』のジェフ・スピークマン等々…慣れない人だと混同してしまうこと必至ですねぇ(苦笑