「妖刀・斬首剣」
「ザ・SFX時代劇 妖刀・斬首剣」
原題:生死決
英題:Duel to the Death
製作:1982年
監督:程小東(チン・シウトン)
脚本:江龍/文雋(マンフレッド・ウォン)/黎大[火韋]
武術指導:程小東
副武術指導:劉志豪
出演:徐少強(ノーマン・ツイ)/劉松仁(ダミアン・ラウ)/張天愛(フローラ・チェン)/高雄(エディ・コー)/他
<ワイヤー・マスターの第一歩 全てはここから始まった!>
さてさて、ここしばらくの間は仕事が忙しかったこともあり、ブログの更新ペースが完全に月イチ状態となっていました(汗)。どうにか山は乗り越えられたので、今後は通常のペースに戻していけそうです。
というわけで夏の終わりにご紹介するのは、香港映画におけるワイヤーアクションの第一人者・程小東(チン・シウトン)の初監督作でいってみましょう。
この作品はスピーディーな立ち回りが持ち味の古装片(時代劇)ですが、いくつかのドキュメンタリーに映像が流用されており、そこから本作を知った方も多いようです。
『ブルース・リーの神話』('84)、『ストロンゲスト/史上最強の映画スターは誰だ!?』('90)を見て、そのアクションに衝撃を受けた人もいるのでは? (←ちなみに私の場合は後者でした)
<剣が飛び、人が舞う! 摩訶不思議な程小東の初監督作!>
ストーリーは、十年に一度の決闘にいどむ中国と日本の剣士を主軸に、暗躍する忍者軍団や最強の座を追い求める一族を絡め、「最強とは何か」を問うたシリアスなものです。
ただ、アナーキーなアイデアを大真面目に具現化しているので、そのインパクトたるや強烈。籠を抱えて飛ぶ忍者や、斬首された首が喋ったりなど、いろんな意味で紙一重な描写(笑)が頻出します。
その一方で緻密な画面作りが徹底されていて、躍動的で奥行きを感じさせるカメラワークに目を引かれます。こうした演出のセンスは同時代の作品と比較しても抜きんでいて、程小東の才気を感じさせます。
決闘によって出会った2人の剣士が辿るストーリーも、シンプルに見えてなかなか熱いものがあり、特に孤高のサムライ・宮本一郎を演じる徐少強のストイックさには痺れました。
不思議なのは、これほど目新しい作品を生み出した程小東が『サイキックSFX/魔界戦士』('86)まで監督の仕事に就けなかった点です。武術指導など、他の仕事で忙しかったのでしょうか?
<笑って燃える極上のエンタメ! ワイヤー古装片の真骨頂ここにあり!>
程小東が構築するアクションといえば、ワイヤーで目まぐるしく空を飛び、スタントを交えながら早回しのバトルを繰り広げる…というイメージが強いかと思われます。
しかし本作は後年の作品ほどワイヤーやスタントに傾倒しておらず、役者自身のポテンシャルを活かしながらハイテンポの殺陣を構築していました。
どのアクションもド派手でアクが強く、ゲスト出演の[上下]薩伐(カサノバ・ウォン)による立ち回りも美味しいのですが、出色なのが最後の宮本一郎(徐少強)VS歩青雲(劉松仁)です。
断崖絶壁を舞台に斬りあい、飛び交い、霧の中をかいくぐり、死力を尽くして戦う2人の姿は華麗にして壮絶。決着の末にむかえるラストも劇的で、非常に満足度の高いバトルに仕上がっていました。
本作をハチャメチャなバカ映画と評する向きもありますが、確かにその通りだと私も思います。ですが、同時に熱い情熱を秘めた武侠アクションの傑作!でもあると言えるのです。
この”滑稽さを併せ持った勇ましさ”は、その後の程小東作品に共通する作風となり、世界的なアクション監督にまで上りつめる原動力となりました。
まさに程小東のすべての原点であり、80年代を代表する古装片の1つといえる本作。今のところ配信はなく、DVDも昔ユニバーサルとパイオニアから出たっきりなので、ツインあたりから再販して欲しいなぁ…。。
豬仔血淚
別題:龍猛色變/猪仔血涙
英題:Sun Dragon
製作:1979年
監督:華山
脚本:林展偉
武術指導:梁少松
出演:莊泉利(ビリー・チョン)/カール・スコット/ルイス・ネグリア/馬宗德/ジョセフ・ジェニングス/梁少松/他
<EAST MEETS WEST! ドラゴン西部を征く!>
今回は知る人ぞ知るアクションスター、莊泉利(ビリー・チョン)の主演作の中から、あまた絶賛の声が上がっていた本作を紹介してみましょう。
莊泉利は『カンフー風林火山』('82)や『水晶拳』('79)など、数々の傑作功夫片に主演してきた実力派。そのフィジカルや陽性の魅力は、同時代のジャッキーにもひけをとらない…といっても過言ではありません。
そんな彼がアメリカに渡り、広大なグランドキャニオンをバックにバトルを展開するという異色のカンフー映画(製作は香港の恒生電影)が、この『豬仔血淚』なのです。
物語は、中国でトラブルを起こし、祖父の住むアリゾナへやって来たシャオチョン(莊泉利)と、強盗一味によって家族を失ったトミー(カール・スコット)のふたりを主軸に展開されていきます。
負傷していたトミーはシャオチョンに助けられ、医師のコー(梁少松)から習った武術で復讐を決意。一方、シャオチョンもトラブルにより友人を殺され、こちらも雪辱を果たそうと立ち上がります。
この2人の仇が同じ強盗一味の人間で、やがてシャオチョンたちは共通の敵を倒すべく最後の対決にいどむことになり…。
話としては上記の概要が全てで、作品のつくりは非常にシンプル。結局シャオチェンは祖父と会えずに終わるし、トラブルの発端となったサングラスの悪党は放置されるなど、シナリオの出来はかなりユルいです。
では凡作なのかと言うと、これがさにあらず。アメリカロケの効果は上々で、大自然を背景にビシッと決まる功夫アクションの数々は実に見ごたえがあります。
また、作品の根底には”人種を超えた友情”というテーマがしっかりと息づいており、戦いの目的が復讐であっても陰惨な雰囲気は感じません(特に主役二人のラストカットが印象的)。
<キャラ付けこそが名勝負の証? 友情拳VS少林秘伝!>
西部開拓時代で炸裂するカンフーそのものが本当の主役!と製作陣も割り切っていたのか、本作におけるアクション描写は変化に富み、観客を飽きさせない内容となっていました。
まず主人公を演じる莊泉利とカールですが、全編にわたってテンションの高い立ち回りを見せており、とりわけカールが披露する迫真の豹拳はインパクト抜群です。
そんな彼らと戦う敵役も多種多様で、アメリカ人のみならず日本の空手家やインディアンまで登場! そして最大の敵となる強盗一味の面々も、ちゃんと動けるキャストを揃えた上でキャラ付けが施されています。
ジョセフ(沖縄空手一心流の使い手)はナイフ、馬宗德は鉄指拳、ラスボスのルイス(キックボクシング世界王者)には鐵布衫(!)と、それぞれ得意なスタイルを設定して差別化を図っている点も見逃せません。
たとえどんな優れたポテンシャルをもつ役者でも、惰性で殺陣をつけてしまうと没個性的になってしまうもの。そんな悲劇を本作は回避し、多彩なファイトを構築した点は地味ながら評価できるポイントです。
アクションへの配慮も行き届いている上に、単なる復讐劇で終わらないストーリーをアメリカロケで描ききった、まさに異例づくめの奇跡のような作品。
評判通りの傑作なので、莊泉利のファンはもちろん、国内未公開のカンフー映画を見始めた方にも安心してオススメできる快作といえるでしょう。いや~…やっぱり莊泉利の主演作って安心して見られるなぁ(笑顔
<千葉真一の代表作に迫る!…けど今回は作品紹介ではありません>
今回はちょっと趣向を変えて、いつもの感想とは別に気になったこと・気付いたことを書き連ねてみたいと思います。
本日取り上げるのは、千葉真一の代表作である『激突!殺人拳』('74)から、予告編のあるシーンに着目してみました。
…そう、本編ではなく”予告編”です。この作品の予告編は本編に負けず劣らずのインパクトがあり、東映作品おなじみのド迫力なテロップで映画の魅力を喧伝しています。
いきなり”「燃えよドラゴン」のブルース・リーに挑戦する”と啖呵を切ったり、”空中三段蹴り”という必殺技の紹介で明らかに1発しか蹴ってなかったりと、その内容はかなりハチャメチャです。
とはいえ、その混然としたハチャメチャさが妙味となり、本編への期待をあおっているのも事実。東映の予告編って、なんだか見てるとテンションが上がるので好きなんですよね(笑
<風間健の未公開シーン? 作中の動向との関連は?>
さて、予告編の中で謎の雄叫び(?)とともにキャストが紹介されるパートがあるんですが、その中に見慣れない映像が含まれています。
それは風間健が紹介される場面で、時間にして3秒ほど。ここで彼は中華服に身を包み、襲いくる悪漢に蹴りを放っています(下記画像参照)。
思い返すと、こんなシーンが本編にあった記憶はありません。アウトテイクか? それとも別作品の流用? はたして、いったいこの映像は何なのでしょうか?
(『激突!殺人拳』('74)の予告編より引用)
『激突!殺人拳』における風間健の役は、正武館に所属する韓仙岳という名の門弟です。中盤に剣琢磨(千葉真一)と戦う際には名乗りを上げており、名前からすると在日中国人という設定なのでしょう。
中盤、バヤン(遠藤太津朗)が迎えにきたシーンでは、サライ(中島ゆたか)の護衛として翁長(角友司郎)とともに同行。ここから中華服に着替え、のちに香港の殺し屋と戦って命を落とすことになります。
流れとしては、サライたちが別荘に向かう → 追跡した剣琢磨が襲撃される → 敵の事務所で志堅原(石橋雅史)と遭遇 → 別荘から離れようとしたサライたちが殺し屋に阻止される …といった感じです。
この風間健の登場箇所を踏まえたうえで、改めて予告編にあった問題のシーンを見返すと、これが本編からカットされたシークエンスである可能性が浮かび上がります。
つまり、剣琢磨が襲撃にあっている間、同時にサライたちも敵の襲撃を受けていたのでは――ということです。それこそが予告編にあった風間健のシーンであり、なんらかの都合でカットされたのかもしれません。
そう仮定すると、このシーンからはさまざまな可能性が見えてきます。
・本編からカットされた風間健の未公開アクションが存在する?
・風間健が戦っているとすれば、一緒にいた角友司郎のアクションも当然あった?
作中、風間健は露骨に千葉真一の噛ませ役にされていたので、ここで面目躍如の大立ち回りがあれば印象もだいぶ変わっていたかもしれないですね。
<作品の行間を埋める3秒間? 風間健と対峙した人々から見えてくる謎>
また、問題のシーンをよく見るとチコ・ローランド扮するボンド(中島ゆたかや悦ちゃんを襲ったアイツ…上記画像の左端に見切れてます)の姿が見えます。
映画の本編では、このあとサライとともに風間健は別荘へ向かい、バヤンが卑劣な本性を現します。ここで後ろからボンドたちが登場し、小競り合いが起きて別荘から離れることになります。
最初に見たときは疑問に思いませんでしたが、よく考えると風間健が応戦するタイミングがあまりにも早すぎます。別荘に来るまでのあいだにボンドの襲撃を受けていたからこそ、彼は即応することができたのでしょう。
では風間健のシーンがなぜ削除されたのか? 理由は不明ですが、ひょっとすると川谷拓三の存在が関係しているのかもしれません。
川谷拓三はサライを護送する際、剣琢磨を襲った敵の1人であり、逆襲されて脳天を叩き割られるシーンが印象的な悪役でした。実は彼は予告編の風間健のシーンにも登場しており、最後に後ろ姿が見えます。
いざ風間健のアクションを撮影してみたものの、「ついさっき頭を割られた拓ボンがまた出てくるのって変じゃね?」と矛盾が生じてしまい、削除せざるを得なかった…という話も十分考えられるのです。
まあ単に尺の都合でテキトーに差し障りのないアクションを切っただけという説もありえますが(苦笑
…と、色々想像をめぐらしてみましたが、これらはあくまで予告編からの推察であり、実際どうだったかは未知数。もし東映のライブラリにフッテージが残ってたら是非とも見てみたいですが…さすがに望み薄かなぁ(爆
というわけで、些細な話ですが『激突!殺人拳』の予告編にちょっと突っ込んでみました。
東映作品に限らず、映画の予告編には本編未使用テイクと思しき映像が使用されていることもあり、そこから「どんな場面のシーンだったのか」「どんな話を想定していたか」と想像してみるのも一興です。
あんまりネタの引き出しはありませんが、今後も折を見てはこうした考察じみた小話もちょいちょい書いてみたいと思っています。
「テキサスSWAT」
原題:Lone Wolf McQuade
製作:1983年
監督:スティーヴ・カーヴァー(製作も兼任)
脚本:B・J・ネルソン
スタント・コーディネーター:アーロン・ノリス
出演:チャック・ノリス/バーバラ・カレラ/ロバート・ベルトラン/ダナ・キンメル/デビッド・キャラダイン/他
<マーシャルアーツ映画界の生ける伝説、ここに眠る―――>
ここ数カ月のあいだ、さまざまな著名人の訃報が相次いでおり、去る3月19日にはアメリカを代表する偉大なアクションスター、チャック・ノリスが旅立ちました。
彼は空手家から俳優に転身し、李小龍(ブルース・リー)と『ドラゴンへの道』('72)で戦い、ハリウッドに徒手空拳で殴り込み、ボランティア活動に勤しむなど、多方面で活躍し続けました。
やや遅くなってしまいましたが、今回は多くの人々に愛されたチャック・ノリスを偲びながら、彼の主演作の中でも傑作と名高い本作を紹介してみたいと思います。
この作品は、チャックがメジャー俳優の仲間入りをしつつあった頃に作られた一本で、同じくB級アクションスターとして名をはせたデビッド・キャラダインとの共演が実現した作品でもあります。
私が本作を最初に見たのは十年以上も前で、その時はそこまで面白くは思えませんでした。確かに、後年のマーシャルアーツ映画と比べると展開が緩く、アクション演出にも時代を感じます。
しかし、当時の私は香港映画のようなスピード感を求めていたため、本作がド直球な”男”…いや”漢”のイメージをこれでもかと盛り込んだ、ロマンあふれる作品だと理解できていなかったのです。
<さらばチャック・ノリス! ドラゴンに導かれた男たちのドリームマッチ!>
物語は、ノリス扮するテキサスレンジャーのJ.J.マクエイドが、泥だらけの愛車を乗り回し、美女を抱きつつ、武器商人のローリー・ウィルクス(デビッド・キャラダイン)と戦うさまを描きます。
ストーリーに余計な枝葉はなく、無骨な主人公が己の正義を貫く姿をストレートに描写。洒落っ気のある展開とは無縁の、現代(当時)を舞台にした西部劇として作られていました。
ただ、妻子がいるのに堂々と浮気したり、最後に復縁ではなく仕事を選んでしまう一方的なダンディズムは、今の目で見ると賛否が分かれてしまうかも…。とはいえ、そのワイルドな人物像は充分に魅力的です。
そんなノリスが見せる荒々しいアクションは、銃撃戦やカースタントなどバラエティに富んでおり、お得意の空手アクションも随所で炸裂させています。
殺陣は香港映画的な矢継ぎ早のファイトではなく、まだ互いに殴り合うアメリカンな立ち回りがメイン。こちらもストーリーと同様に、西部劇のカラーを色濃く残した格闘シーンとなっています。
ただ、そうなると格闘映画によくある「殴り合ってはフラフラして間が空きがち」という問題が付随してきますが、本作は殺陣の流れを途切れさせるほど間を空けたりしないので、力強さは損なわれていません。
注目はやはり最後を飾るドリームマッチ、ノリスVSキャラダインの一戦でしょう。ユラユラと異様な手捌きで迫り、汚い手も平気で使うキャラダインに手負いのノリスは押され続けます。
しかし、助けに入った娘のサリー(ダナ・キンメル)が傷付けられ、ノリス怒りのキックが火を噴く! ここからの一進一退の攻防と劇的な決着は、重厚なBGMもあいまって手に汗握る名場面に仕上がっていました。
それにしても、かつて李小龍と戦ったノリスと、その李小龍から『燃えよ!カンフー』の主役を勝ち取ったキャラダイン…伝説のドラゴンと関わった彼らが、こうして拳を交えたというのも不思議な縁を感じますね。
先述の通り、最新のアクション映画に見慣れているとローテンポに感じる部分もありますが、作品自体はB級アクションの王道を行く内容となっており、噂にたがわぬ秀作でした。
その後、ノリスは本作のイメージをそのままスライドさせたようなTVドラマ『炎のテキサス・レンジャー』('93~'01)で再ブレイクを果たし、アメリカを代表する格闘スターとしての地位を不動のものとします。
アメリカから、そして世界から喝采を浴びたチャック・ノリス。その活躍と歩みに最大限の敬意を込めつつ、本項の締めにしたいと思います…R.I.P. Chuck Norris
「98分署香港レディ・コップス」
「98分署香港レディ-・コップス」(←何故か配信だと少し邦題が違う)
原題:皇家女將
英題:She Shoots Straight
製作:1990年
監督:元奎(ユン・ケイ)
脚本:阮繼志/黄炳耀(バリー・ウォン)
武術指導:元奎/孟海(マン・ホイ)/元徳
出演:高麗虹(ジョイス・コウ)/梁家輝(レオン・カーフェイ)/劉嘉玲(カリーナ・ラウ)/洪金寶(サモ・ハン)/アグネス・アウレリオ/他
<噂に聞こえた女流アクションの逸品、配信サイトにて遂に遭遇!>
『レディ・ハード 香港大捜査線』('85)を筆頭に、数多くの女流アクションを監督した元奎(ユン・ケイ)。そんな彼が『レディ~』の次に手掛けたレディ・ドラゴン映画こそが、今回紹介する作品です。
主演は洪金寶(サモ・ハン)にその才能を見出され、アクション女優として鍛え上げられた高麗虹(ジョイス・コウ)。あの梁家輝(レオン・カーフェイ)も優しい旦那役で顔を見せています。
作品としては『レディ~』と同様のクライムなポリス・アクションですが、語り草となっているのが高麗虹と大ボスを演じたアグネス・アウレリオによる凄まじいラストバトルです。
私自身、方々で絶賛の声は聴いていたのですが、レンタルビデオ屋ではなかなか巡り合えず、国内版のDVDも発売されなかったため、実は最近まで視聴の機会を逸していました(配信してるU-NEXTにはマジ感謝!)。
<女刑事、孤高の奮戦! シリアスすぎるドラマの行方は…!?>
物語は、エリート刑事の高麗[女那](高麗虹)と、警察一家の長男である黄宗保(梁家輝)の結婚式からスタート。しかし黄宗保の妹たちからは受けが悪く、特に黄家玲(劉嘉玲)は納得いかない様子…。
おまけに職場では上司の劉警視(劉志榮)が事あるごとにイビってくる始末。それでもマジメな高麗[女那]は、夫に支えられながら職務に従事していました。
そんな中、ベトナムからやってきた院華(元華)ひきいる強盗団が、高級クラブへの襲撃を計画。高麗[女那]たちはこれを撃退するのですが、仲間を殺された強盗団は報復で黄宗保を殺害してしまいます。
悲嘆にくれる警察一家ですが、皮肉にもこれが家族の結束へと繋がり、いがみあっていた高麗[女那]と黄家玲は雪辱を誓います。はたして、壮絶な戦いの行方や如何に!?
『レディ~』では主人公に頼れる相棒がいたり、コソ泥たちの賑やかなギャグがあったりとライトな描写がありましたが、本作はかなりシリアス寄りの作りになっています。
特に顕著なのが主人公の周辺で、公私にわたる人間関係がどうにも上手くいかず、華麗に事件を解決してもまったく報われないままストーリーが進んでいくのです。
そのストーリーについても爽快感は抑えられ、高麗[女那]たちが夫の死を隠して誕生会に出席するシークエンス(超いたたまれない)にかなりの尺を割いたりと、暗い展開が続きます。
監督の元奎としては、ドラマに注力することで観客の感情に訴えかけたかったのかもしれません。ただ、全体的にシリアスの配分が多すぎるきらいがあり、湿っぽさが強調される結果を招いていました。
また、個人的には懲りずにハラスメントを続ける劉警視の存在がどうにも煩わしく、役回りのわりに大した報いを受けずに終わったのには釈然としませんでした(苦笑
<伝説の女ドラゴン名勝負! これぞ到達点にして完成形!>
だがしかし!そんなドラマ部分のフラストレーションを吹き飛ばすかのように、本作のアクションシーンは壮絶なスタントとファイトで彩られています。
なにしろスタッフが『レディ~』と共通しているため、人命軽視のワイヤーワークやカーアクションは当然のように標準装備。高麗虹はもちろん、劉嘉玲も負けじとハードなバトルに臨んでいました。
とりわけ出色なのが後半の密航船での一幕で、高麗虹が華麗な技の応酬を、劉嘉玲が大勢を相手に切った張ったの戦いを、そして洪金寶がサービス的に立ち回ったりと、それぞれ毛色の違ったアクションを披露!
そして期待していた大一番、高麗虹VSアグネスはこれまた壮絶でした。採石場で繰り広げられるガチンコバトルは、リアルヒッティングやワイヤーを駆使した大激突で、噂通りの名勝負に仕上がっています。
アクション演出にもかかわった元奎は、本作以降はリアルファイトからワイヤーアクションに傾倒していくため、今回の一戦は彼にとって1つの到達点であり完成形といえるかもしれません。
『レディ~』や『検事Mr.ハー』('86)など、元奎の監督作は「アクション最高!でもストーリーはちょっと加減を…」というパターンが往々にしてありますが、残念ながら本作もその1つであることは確か。
とはいえ、アクションだけでも十分お釣りがくるクオリティであることも事実なので、レディ・アクション好きなら間違いなく必見の作品でしょう。
