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続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。

「俺たち賞金稼ぎ団」
製作:2014年

監督:坂本浩一
脚本:酒井善史
アクション監督:坂本浩一
スタントコーディネーター:野口彰宏
出演:竜星涼/斉藤秀翼/金城大和/塩野瑛久/今野鮎莉/丸山敦史/山田裕貴/他



<新たなテーマに、バウンティー・アクター見参!>

 先月から再始動した当ブログですが、それに伴って文章のフォーマットを変えたり、テーマ(カテゴリ)の名称変更や増設を行ったりと、細々としたマイナーチェンジを図っています。
その新テーマのうちの1つが”坂本浩一・谷垣健治”で、日本を代表するアクション監督であるお二方に関係した作品(監督作・アクション指導参加も含む)を、こちらでまとめていく予定です。
 本作はその坂本浩一の監督作品で、特撮俳優を起用して新たなチャレンジを試みる「TOEI HERO NEXT」という企画の第4弾として作られました。
そのため、主役の面々を演じるのは『獣電戦隊キョウリュウジャー』('13~'14)で戦隊ヒーローに扮した竜星涼ら6人。そのほか戦隊モノに参加した俳優が多数参加しています。
かくいう坂本監督も『キョウリュウジャー』のメイン監督であり、キャスト陣とは気心の知れた間柄。果たして気になる作品の出来栄えは…?

<戦隊ファンなら必見? 脱力系コメディ・アクション!>

 ある日、資金難であえいでいる劇団バズーカの主催・金原寿朗(丸山敦史)のもとに、警察官の青木純蔵(金城大和)から「放火殺人事件の容疑者を探してほしい」という依頼を持ち込まれます。
金原は300万円の報奨金欲しさからこの話に飛びつき、劇団員(斉藤秀翼・塩野瑛久・今野鮎莉)や、たまたま出会った就活中の赤井達也(竜星涼)を巻き込み、容疑者捜索に乗り出す!…というのが大体の内容です。
基本的にはとてもユル~いコメディ作品で、そこにちょっとしたサスペンス要素が加味されています。この”ユル~い”というのが本作の評価点であり、また難点となっていました。

 そもそも、この作品は『キョウリュウジャー』キャストによる同窓会としての側面が強く、竜星涼ら出演者による肩肘をはらないドタバタギャグこそが最大の売り、といっても過言ではありません。
個々のキャラクターは(坂本監督の作品にありがちですが)かなりマンガチックで、お色気やボーイズラブ的な描写、随所に仕込まれた戦隊ネタなど、楽しければ何でもアリというバラエティ感覚にあふれています。
個人的には、大河ドラマや朝ドラで国民的な俳優となった山田裕貴(ゴーカイブルー!)が、今では考えられないような役柄を演じている点に時の流れを感じてしまいました(苦笑

 と、このように本作はファンムービーとして作られているわけですが、単体の作品として見るとストーリーのユルさは無視できないレベルであり、そこで評価を落としているきらいがあります。
事件の真相に関しても美談っぽく締めくくっていますが、いくら相手が悪党とはいえ保険金目当ての放火と冤罪事件を引き起こしておいて美談にするのは、さすがにムチャが過ぎます(爆
また、本作は『キョウリュウジャー』と同じ世界観となっているんですが、それを生かしたシーンは終盤の自白を仕向けた場面だけ。この設定、もうちょっと他の場面で生かしてもよかったのでは…。

<コメディでもバトルはバッチリ! 安心の坂本浩一クオリティ!>

 さて、もっとも気になるアクション面はどうだったかと申しますと、コメディ映画だけあって流石にアクション満載!とはなっていません。
しかしそこは安心と信頼の坂本監督、随所でバトル担当の塩野瑛久による立ち回りを用意していて、時には金城大和も参戦。敵側にはJAEから清家利一と下園愛弓が登板しています。
 ちなみに中盤、塩野・金城・丸山が三つ巴でケンカするシーンがあるんですが、なんと一部の展開が『サイクロンZ』のゴールデントリオによる喧嘩シーンにそっくり!

ジャッキーの家にやってきたサモハンとユンピョウが戦い始め、それを止めようとしたジャッキーともども3人が3人を互いに殴っちゃうところが再演されています。こんなところにジャッキーネタを仕込むとは…。
そして後半のラストバトルでは、色々あって塩野VS山田裕貴のガチ対決が勃発し、なかなかの好勝負を繰り広げていました。この後、竜星涼も参戦しての最終決戦もありますが、こっちはちょっと消化不良だったかなぁ。

 見る人によって評価が大きく分かれるかもしれませんが、いつもの坂本浩一の監督作ではなく、あくまで『キョウリュウジャー』や戦隊ヒーローが好きな層に向けて作られたオモチャ箱のような一本。
坂本監督の作品には、監督作に限定しても未見の作品(特撮・オリジナル含めて)がまだまだたくさんあるので、逐一紹介していきたいと思っています。

「トワイライト・ソルジャーズ」
原題:黒白潜行2/黑白潜行2
英題:The Grey Men 2
製作:2025年

監督:黄[羽廾](ホワン・イー)
脚本:黄[羽廾](ホワン・イー)/洛奇(ロッキー)
動作指導:羅傑(ルオ・ジエ)
出演:安志杰(アンディ・オン)/曾志偉(エリック・ツァン)/汪東城(ジロー・ワン)/藍燕(レニー・ラン)/何慈茵(シャーリーン・ホートン)/他



<あの話題作…じゃないけど意外な拾い物。躍動する安志杰!>

 今年もさまざまな香港映画が日本公開されましたが、その中でもっとも話題になったのは間違いなく”あの作品”でしょう。
男たちの熱い友情と絆、強大な悪との壮絶な死闘、往年の名優による印象的なキャラクター、そして衝撃のラスト…。そう、今回紹介するのは皆さんもご存じの『トワイライト・ソルジャーズ』です!
…あれ?舞台が九龍城塞じゃない?…なんかタイっぽい国が出てきた…レコード盤が飛び交ってる…この展開って呉宇森(ジョン・ウー)の…???

 というわけで、今回は『トワイライト・ウォリアーズ』に便乗する気まんまんの本作を見てみました。
ただし、便乗してるのは日本版ソフトの邦題とメインビジュアルだけで、実際の作品は現代を舞台にした潜入アクション(しかもいきなり続編)となっています。
これだけだと「やられた!」となりそうですが、主演が『香港国際警察/NEW POLICE STORY』の安志杰(アンディ・オン)なので、アクションに関しては期待以上のものを披露していました。

<潜入捜査にまさかの展開? 仰天必至のサプライズ!>

 物語は東南アジアの某国を舞台に、卑劣な手段で権力を得ようとする黒社会の大物・宋邦(曾志偉)と、その右腕として暗躍する鄭咤(安志杰)、そして彼の配下となった蘇萬(汪東城)が中心となって展開します。
実は鄭咤の正体は潜入捜査官で、数々の危険な仕事を切り抜けたことで宋邦の信頼を得るようになり、ひそかに一斉摘発の機を待っていました。一方、鄭咤の雄姿に荒んでいた蘇萬もほだされていくのですが…。

 まあ当然と言えば当然なんですが、本作は『トワイライト~』らしさゼロの潜入捜査ものであり、間違ってレンタルしてしまった方も相当数おられたかと思われます。
話に関しても、冒頭でギタリストや猟師の刺客が出てきてハイテンションな作風を期待しそうになりますが、話が10年後の現代に移ると途端にトーンダウン…。
それでも合間合間に挟まるハードなアクションは見ごたえがあり、「どうにか持ち直してきたかな…」と思った矢先、ストーリー後半でとんでもない超展開が待ち受けていました。

 とはいえ、このサプライズが上手く扱えたかというとそうでもなく、これによって物語に劇的な変化が起きるわけではありません(変化後のファイトスタイルもそんなに変わらない)。
また、その後の展開も「実はあの時のこれはこうだった」という補足ばかりになってしまうため、どうにも消化不良を感じてしまいます。
それと曾志偉のゲスっぷりは悪くないんですが、果たしてあそこまで引っ張る必要があったのか、ここまで犠牲を積み重ねなくても良かったのでは…と思えてなりませんでした。

<アクションに抜かりなし! 『黒白潜行2』の真価はここに!>

 そんなわけで潜入捜査ものとしてはやや微妙といったところですが、大陸産の映画らしく豪勢なアクションが随所に用意されており、役者のポテンシャルを生かした格闘戦が目白押しとなっています。
主役を務める安志杰はもちろん、彼に負けじとハードな立ち回りを見せる汪東城、そして刺激的なルックスと戦法で襲い掛かる何慈茵(シャーリーン・ホートン)の大暴れも見逃せません。
 そして最終決戦では、安志杰が拳銃と大ナタの群れにたった1人で突っ込み、曾志偉の腹心とソードバトルで雌雄を決するまでをダイナミックに描写! アクションについては文句なしといえるでしょう。
ちなみに名前で気付いた方もいるかもしれませんが、何慈茵はかつて劉家良(ラウ・カーリョン)の薫陶を受けたマーク・ホートンの娘さん(!)だったりします。

 アクションシーンの大盤振る舞いが楽しい反面、ストーリーのパンチの弱さが惜しい本作。なお前作となる『黒白潜行』('24)ですが、こっちも予告編を見る限りではアクションの出来がハンパなさそうです。
できればこちらも日本に入ってきて欲しいですが、そしたらまた『トワイライト・〇〇ズ』になってしまうのか否か…。個人的には無難でもいいのでちゃんと固有の題名でリリースしてくれたらなぁ…と思ってます(汗

 

【2025年12月22日追記】

なんと、言ってるそばから『黒白潜行』('24)が日本国内でレンタルリリース決定!

気になる邦題は『デュアルフェイス 白と黒の宿命』! …トワイライト・〇〇ズにならなくてよかった…(笑

麒麟掌
別題:獨霸拳王
英題:Fist of Unicorn/The Unicorn Palm
製作:1973年

監督:唐迪
脚本:唐迪
武術指導:小麒麟(ユニコーン・チャン)/李小龍(ブルース・リー)
出演:小麒麟(ユニコーン・チャン)/倉田保昭/孟海(マン・ホイ)/孟秋/黄仁植(ウォン・インシック)/成龍(ジャッキー・チェン)/他



<ドラゴンとユニコーン 友情が生んだ奇跡のコラボ>
 古今東西さまざまな映画スターが存在しますが、どんなに清廉潔白な人物であっても、有名になればなるほどトラブルが付きまとうのは世の常…。それが不世出の大スターであればなおさらです。
今回紹介するのは、香港を代表する名優・李小龍(ブルース・リー)が映画製作にかかわり、その名声の高さゆえに不幸な事件へと発展してしまった作品です。
 すべての始まりは、彼の公私にわたる友人だった小麒麟(ユニコーン・チャン)に主演作の話が持ち上がったことが発端でした。
親友の晴れ舞台を応援しようとした李小龍は、本作の制作会見に顔を出し、自分が手掛けていた映画(製作中だった『死亡的遊戯』)からキャストを貸し出したりと、万全の態勢でバックアップ。
さらには一部のシーンでアクションの振り付けを行うなど、まさに破格のサービスを提供しており、「ダチのためにひと肌脱ぐぜ!」と喜び勇んでいる彼の姿が目に浮かびます。しかし…。

<利用された絆… すれ違った拳と掌>
 李小龍の応援とは裏腹に、実際の作品はそれほど華やかではありません。”李小龍が参加した作品”と聞くと期待が高まるところですが、当時の基準でもかなり厳しい出来といえます。
ストーリーは特筆すべきところはなく、主人公(小麒麟)が町を支配する悪党たちと戦っていくだけ。ただ戦って、やり返されて、また戦って…といった具合に、展開は無味乾燥を地で行くものとなっていました。
ちなみに主人公は親の仇を探していますが、町に居付いてからは仇討ちのことを忘れ、居候先の孟海(マン・ホイ)と遊んだりするものの、仇は終盤に棚ぼた的に判明するのでご安心を…ってオイ!

 そして最大の問題点が、李小龍の映像が無断でインサートされている事でしょう。撮影所でのオフショットなどがむりやり挿入され、主人公に必殺技を伝授する役回りで李小龍が登場”させられている”のです。
せっかくの厚意を無下にするような製作側の仕打ち(オフショットそのものが盗撮だったという説もあり)を受け、さすがの李小龍も激怒。その結果、小麒麟との友好関係が破綻してしまった…といわれています。

<残された光明 救いはアクションシーンにあった?>
 後ろ暗い事情があり、とても褒められたものではない本作。しかし主演俳優として未知数の小麒麟に”麒麟掌”という必殺技を設定し、アクションにメリハリをつけようとした点は評価できます。
そして気になる「李小龍が指導したアクション」ですが、メイキング映像などを見るに小麒麟が河原で太めの敵と戦う場面がそのシーンだと思われます。
事実、足さばきだけのカットやスローが効果的に使われていて、他のアクションとテイストが違って見えました(直後の火星(マース)が出てくる乱闘シーンと見比べればわかりやすいかも)。

 また、李小龍の応援もあってか豪華なキャストが集まっており、その顔ぶれも見どころの1つです。
『死亡的遊戯』の池漢載と黄仁植の師弟対決、キレのいい蹴りが見事な倉田保昭、小麒麟が戦えない間のアクションを担当した孟秋の活躍など、出演者たちのポテンシャルによって本作はだいぶ救われたといえます。
ただ、黄仁植や倉田さんを倒した後に待ち構えるラスボスが、普通のおっさんにしか見えない唐迪というのは残念至極。ここは素直に倉田さんが最後の敵になって欲しかったなぁ…。

 いろいろと問題を抱えた作品ではありますが、この作品だからこそ実現した取り合わせが多いのも確か。下積み時代の成龍(ジャッキー・チェン)が出演しているのも、なんだか運命的なものを感じます。
ただし、作品自体はマジでがっかりするクオリティなので、興味のある方はそこを覚悟の上で視聴することをオススメいたします(汗

「スコーピオン・ファイター」
原題:蠍子戰士
英題:Operation Scorpio
製作:1992年

監督:黎大[火韋](デイヴィッド・ライ)
脚本:陳子慧(デイヴィッド・チャン)/黄炳耀(バリー・ウォン)/呂秀鳳
武術指導:元徳
武術顧問:劉家良(ラウ・カーリョン)/元奎(ユン・ケイ)
出演:錢嘉樂(チン・ガーロッ)/劉家良(ラウ・カーリョン)/羅美薇(メイ・ロー)/元振(ウォン・ジン)/胡楓(ウー・ファン)/他



<ようやく見つけた私的「幻の逸品」! その内容とは…??>
 今や配信サービスや宅配レンタルで気軽に映画を見られる時代になりましたが、それでも見つからない「幻の逸品」があって歯がゆい経験をした方は多いと思います。
私も『ブラッド・ブラザーズ』('90)や『無敵のゴッド・ファーザー』('74)など、巡りあわせの悪さで長年出会えなかった作品がいくつもあり、本作もそのひとつでした。

 この作品は私が15年以上探していた物で、東京や大阪に遠出しても見つけられなかったのですが、数年前に近場の店に置いてあったのをゲット!
発見した時は思わず呆然としてしまい、嬉しさと同時に「こんな近くにあったとは…」と言いようのない徒労感に苛まれたのを覚えています(苦笑

 まぁそんな私事は置いといて…本作は多くのカンフー映画を監督してきた巨匠・劉家良(ラウ・カーリョン)の主演作で、敵役に韓国出身のテコンドー使い・元振(ウォン・ジン)が配されています。
この凄腕ふたりの大暴れこそが最大の売りといえますが、実際に作品を引っ張っていく主人公は錢嘉樂(チン・ガーロッ)が担当。彼も演技やアクションで八面六臂の活躍を見せていました。

<吼えろウナギ? 起てスコーピオン!>
 まず率直な感想を申しますと、この映画はなかなかに”ヘンテコ”な作品です。
なにしろ主人公が使うのは料理拳にウナギ拳。「名は体を表す」を地で行きすぎるサソリ拳や、それと互角に戦うマッチョマンなど、インパクト抜群の構図が次々と飛び出します。
 物語は、漫画家を夢見る費玉書(錢嘉樂)の妄想からスタート。彼は正義感だけは人一倍強く、身売りされていた小茹(羅美薇)を助けようとして、父親(胡楓)ともども袋叩きにされてしまいます。
錢嘉樂たちは胡楓の友人である阿一(劉家良)の世話になり、彼の営む食堂で働くことになりますが、羅美薇を雇っていた悪党たちの手が伸びてきて…と、ストーリーの方は随分とシンプルです。

 本作の難点はこのストーリー部分にあり、主人公のふたりがアクションを魅せるのは(話の都合により)後半までお預け。錢嘉樂演じる費玉書の成長がやや遅いのも、もどかしさを感じてしまいます。
またラストに関しても投げっぱなし感が強く、「香港映画ならこんなものでは?」という意見もあるでしょうが、少なくとも悪徳刑事(袁信義)がどうなったかは描いた欲しかったところです。
一方、主人公を見返りもなしに庇い、トレーニングや助太刀まで買って出るマッチョマン(陳治良)の聖人っぷりは実に爽快でした(ちょっと「モブサイコ100」の肉体改造部をほうふつとさせます)。

<劉家良VS元振! 新旧アクション俳優のドリームマッチは必見!>
 そんなわけで作品としてはボチボチ…と言わざるを得ないのですが、そんな本作の評価を爆上げしてるのが、先述した劉家良と元振の存在です。
劉家良が演じるのはお得意の師匠役で、その厳格さはやや控えめ。しかし終盤で吹っ切れてからは今までのうっぷんを晴らすかのように拳を叩き込み、三節棍をあやつって大奮闘!
 その熟練した立ち回りは風格すら感じさせますが、そんな彼と互角に張り合うのが超ファザコン男の元振であり、キレッキレの足技でド派手な殺陣を見せていました。
彼の長所は、アクロバティックな動きを替え身なしで演じられるポテンシャルにあり、本作ではサソリ拳という非現実的な拳法を見事に演じ切っています。

 本作のタイトルが元振の演じる役を指している事からも分かるように、まさにこの作品は「元振の実力をプレゼンするための映画」といっても差し支えありません。
長年見たいと思っていましたが、期待以上のアクションを見せてくれて大満足の作品。ちなみに、あまり言及できませんでしたが錢嘉樂もがっつり体を張って活躍しているのでご安心を。でもウナギ拳は流石に…

「冷血十三鷹」

原題:冷血十三鷹
英題:The Avenging Eagle
製作:1978年

監督:孫仲(スン・チュン)
脚本:倪匡(ニー・クァン)
武術指導:唐佳/黄培基
出演:狄龍(ティ・ロン)/傅聲(アレクサンダー・フーシェン)/谷峰(クー・フェン)/王龍威(ワン・ロンウェイ)/高雄(エディ・コー)/他


<ふたりのスターが魅せる!アクションとサスペンスの二重奏!>
 …という訳で、今回から更新を再開します。以前の調子に戻るまで時間はかかるかと思いますが、できるだけ頑張っていきたいと思います。皆さん、どうか今後も当ブログを宜しくお願い致します!
さて一発目の更新は、60年代から80年代にかけて香港映画界でトップレベルの製作会社として隆盛を誇ったショウ・ブラザーズ(邵氏兄弟有限公司)の作品から、数ある傑作のなかのひとつをご紹介します。

 本作の主演は、のちに『男たちの挽歌』('86)で名をはせる狄龍(ティ・ロン)と、28歳の若さで亡くなった悲劇のスター、傅聲(アレクサンダー・フーシェン)がつとめています。
2人ともショウ・ブラザーズでは幾つも主演作を撮っていた名俳優で、狄龍は硬派で真面目な好漢を、傅聲は人懐っこい陽性のキャラクターを得意としていました。
しかし、この作品では2人そろって陰のあるシリアスな役柄を演じており、単なる友情ではない複雑な関係で結ばれた両者が、強大な敵を相手に戦い抜く姿をスリリングに描いています。

 物語はいわゆる「抜け忍もの」で、恐るべき犯罪組織”鉄船幇”から足抜けした殺し屋の戚明星(狄龍)と、彼につきまとう謎の青年・卓一帆(傅聲)が話の中心となります。
逃げた裏切者を狙い、”鉄船幇”から放たれたのは、13人の殺し屋で結成された”十三鷹”と呼ばれる男たち。かつてその一員だった狄龍は、組織を抜ける経緯を語りますが、傅聲は素性を明かしません。
やがて、”鉄船幇”の首領(谷峰)こそが倒すべき敵だと確信した狄龍らは、最後の追っ手(王龍威・高雄ら)を撃退。ついに敵の本拠地へと足を踏み入れますが、そこで明かされた真実とは…?

<功夫アクションはこう魅せる!名優たちと製作陣の職人芸!>
 この作品の売りは主演を飾る2大スターの魅力にあり、狄龍は殺し屋としての宿命に向き合う姿を、傅聲は影のある人物像を見事に演じ切っていました。
ストーリーについても抜かりはなく、狄龍が改心する展開はベターに感じてしまうかもしれませんが、ラストで意外な展開が待ち受けており、強烈な印象を残しています。
 また、作品を盛り上げる一助となっているのが、奥行きを感じるカメラワークです。本作で撮影を担当したのは、のちに『セブンス・カース』('86)などを監督する藍乃才(ラン・ナイチョイ)その人。
スローや画面効果を巧みに使い、上からのショットや立体感のある構図を駆使するなど、平面的にならない画作りが徹底されているのです。

 そんな名カメラマンの援護を受けて作られたアクションの数々は、どれも工夫に富み、ひとつとして同じ立ち回りがない特徴的な殺陣に仕上がっています。
なにしろ、本作の登場人物たちは誰もが特徴的な武器を持っているため、必然的にファイトスタイルの大幅な差別化が図れています。
 とりわけ目を引くのが三節棍をふるう狄龍の活躍で、並みいる強敵たちを見事な三節棍さばき(分離してヌンチャクとしても使える優れもの)で倒していくさまは実に痛快!
時には「実力差のある相手をどう始末するのか?」といった駆け引きもあり、ラストのVS谷峰ではサプライズ展開を交えつつドラマチックな攻防戦が繰り広げられていました。
 監督の孫仲は、ショウ・ブラザーズで武侠片の秀作を手掛けてきた職人監督ですが、本作は間違いなく最高傑作のひとつに数えられる作品であることは間違いありません。
ファンからの人気の高さも納得の逸品。現状で日本版DVDの入手は難しいですが、もし見る機会があれば是非とも目を通しておくべき作品といえますね。