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続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。

お初の方は初めまして。ご存じの方はお久しぶりとなります、龍争こ門です。


前サイトでの更新停止から7年も経ってしまい、随分とお待たせしてしまいました。
長期にわたりブログが休止状態になったのは、私事が立て込んでいたためです。
長々と説明するのも難なので簡潔に言うと、

・持病を発症して入院・手術(完治済み)
・仕事の転職
・コロナ感染(完治済み)

このあたりの影響が大きかった気がします。
一応、ブログに触れない間も趣味として映画鑑賞は継続していました。
最近では『決戦!九龍城塞』が最高!…でしたが、その話は別の機会にて。
 

当初、gooブログの終了に伴い、前サイトは閉鎖を検討していました。

しかし、長い間運営していたこともあり、愛着があったのも事実…。
というわけで、新天地でもう少し続けてみようと思い立った次第です。

ただ、思い立ったのが本当にここ最近になってからだったので、十分な周知ができず申し訳ありません(汗

新ブログでは新規投稿はもちろん、アバウトな内容のままになっている過去記事の修正なども全面的に行っていくつもりです。
本格的な再開はもう少ししてからになると思いますが、その時はまた宜しくお願い致します。

 

管理人:龍争こ門


「ブラッド・ブラザーズ」
原題:Blood Brothers/No Retreat, No Surrender 3: Blood Brothers/Karate Tiger 3
中文題:親兄弟
製作:1990年

▼独立プロダクションの雄として活躍し、陳星(チン・セイ)や成龍(ジャッキー・チェン)などのスターを育て上げてきた呉思遠(ン・シーユエン)は、80年代の半ばに新たな挑戦を始めました。
まだ香港映画界が成熟期の只中にあった頃、彼は海外市場への本格的な進出を決意。流行をたくみに取り入れ、そこにカンフー映画のテイストを織り交ぜた“香港資本の格闘映画”の製作に着手します。
 『シンデレラ・ボーイ』では李小龍(ブルース・リー)を、『キング・オブ・キックボクサー』では功夫映画タッチの修行を盛り込み、『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』では少林寺を舞台にしました。
そんな中、本作では東洋的なビジュアルを完全に廃し、スケール感の大きなストーリーを設定。『レイジング・サンダー』のローレン・アヴェドンと、キックの世界王者であるキース・ヴィダリを主演に迎えたのです。

■空手道場の指導員であるローレンと、CIA捜査官のキースは不仲の兄弟。今日は元CIAエージェントの父(ジョセフ・キャンパネラ)の誕生会だったが、ここでも口論になってしまう。
だが、その日の晩にテロリストのリオン・ハンターが現れ、襲撃されたジョセフは非業の死を遂げた。ローレンたちは仇討ちを誓うが、両者が手を取りあうことは決して無かった。
 まずキースはCIA本部から「この件から手を引け」と忠告されるが、父の遺した資料からリオンの足取りを掴んだ。この資料を見たローレンは兄を出し抜き、フロリダに飛ぶと密かにテロ組織へ潜入した。
遅れて到着したキースは、元恋人でテロリストの一員だったワンダ・アキューナの力を借り、テロ組織に近付こうとする。その動きを察知したリオンは、新入りのローレンに彼の暗殺を命じた。
 この事態は兄弟の機転によって解決するが、意外な黒幕の登場によってローレンの正体が暴かれてしまった。芋づる式にキースも捕まり、2人は「空港に来るモザンビークの大使を襲撃しろ」と強要されてしまうことに…。
だが、この事件の裏にはアメリカ大統領暗殺と、さらなる陰謀が隠されていた。血を分けた兄弟=ブラッド・ブラザーズは、国家の危機を救えるのだろうか!?

▲実を言うと、本作は私が呉思遠プロデュースの格闘映画で唯一見ることの出来なかった作品でした。このタイトルを探して市外や隣県のレンタル店、ネットの通販やオークションサイト、果ては大阪・東京の中古ビデオ屋まで足を運んだものです。
ところが、必死の捜索にも関わらず『ブラッド・ブラザーズ』は発見できず、もう視聴は無理かな…と諦めかけていましたが、数年前に某氏の厚意により入手することが出来ました。誠に恐縮ですが、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。

 さて作品についてですが、やはり呉思遠にハズレなし! 今回も濃厚な格闘アクションが何度も繰り広げられ、加えて主人公ふたりのキャラクターもしっかり立っていました。
兄弟が仲直りするまでのシークエンスが雑だったり、展開が強引なところも幾つかありますが、全体としては破綻もなく纏まっています。動員されたエキストラやロケーションの規模も半端ではなく、呉思遠の力の入れようが窺えます。
 そして肝心のアクションシーンでは、梁小熊(トニー・リャン)の指導による派手な立ち回りが展開! ローレンのバネの良さ、キースの華麗な蹴りが十二分に生かされており、前半では駐車場での集団戦が印象に残りました。
また、単にハードなだけのアクションに拘らず、時には茶目っ気のあるファイトで息抜きを挟むこともあります(キース暗殺の顛末など)。やや作品のタッチから浮いている感がありますが、これも作品が深刻になりすぎないための措置なのでしょう。
 注目はラストバトルで、ローレンとキースの前にテロの首謀者・リオンとその腹心が立ちはだかります。ここから始まる2VS2の目まぐるしい乱戦、足場を使った立体的な殺陣は、まさに本作最大のクライマックスといえます。
ラスボスを担当したリオンは中国拳法を駆使し、主役2人を圧倒する姿はまさに現代の白眉道人! 決着の付け方だけは不満ですが、実力派のアクションスターを相手に一歩も引かない暴れっぷりは、実に堂々たるものでした。
細かな粗はあるものの、最初から最後まで丁寧に作られている“香港資本の格闘映画”有数の傑作。ぜひともDVD化を望みたいですが…そういえば飛行機に乗せて放置されたモザンビークの大使って、あの後どうなったんでしょうか?(爆


廣東鐵橋三
英題:Cantonen Iron Kung Fu/Iron Fisted Warrior/The Iron Hand Boxer
製作:1979年

梁家仁(リャン・カーヤン)は町の運送屋で働く力自慢の若者。ケンカの腕もめっぽう強く、今日も友人の胖三(パン・サン)や丁華寵たちとダベったり、八百屋の李超(本作の監督も兼任)と腕比べをしていた。
そんな彼らの前に、馬金谷がリーダーを務める謎の一団が現れる。連中は謎の黒幕に命じられ、武術大会を主催して挑戦者を募りはじめた。どうやら誰かを探しているらしく、最近になって町に来た王鐘(ワン・チン)は意味深な反応を見せる。
 案の定、武術大会は馬金谷たちが勝ち続け、挑戦した李超も重傷を負ってしまう。友の仇を討つべく、梁家仁は町の有力者にして武術の達人・王侠のもとで武術の特訓を始めるのだった。
しかし、リベンジしたい気持ちが先走った梁家仁は、修行も満足に受けていない状態で大会に参戦。おかげで強大な馬金谷には歯が立たず、さらには容体の悪化した李超が死亡してしまう。彼は自らの行いを反省し、修行に集中することを誓った。
 一方、武術大会では馬金谷に代わって李登財が挑戦を受けていたが、達人である王鐘の前に完敗する。これを機に馬金谷たちは暗躍を開始し、梁家仁の友人たちが次々と犠牲になっていく(なぜ梁家仁の友人たちが襲われたのかは不明)。
敵の内情を探ろうとした丁華寵が、そして王侠までもが敵の魔手に倒れ、これに気を良くした黒幕・高飛(コー・フェイ)が遂に姿を現した。しかし梁家仁も黙ってはおらず、憎き馬金谷との対決に挑もうとする。
 戦いは一進一退で進むが、そこに突如として王鐘が介入。実は彼こそが馬金谷たちの探していた人物であり、高飛と敵対する存在だったのだ。梁家仁は死闘の末に馬金谷を倒し、本懐を遂げると修行の日々へ戻っていった。
そのころ、王鐘は高飛との最終決戦に臨んでいたが、実力は相手が一枚も二枚も上手。たちまち劣勢に立たされ、助太刀に現れた梁家仁が立ち向かうのだが…!?

 本作は『飛竜カンフー』で監督デビューを飾り、この直後に『必殺のダブルドラゴン』を手掛けることになる李超の監督作です。当時流行していた『酔拳』の便乗作で、実在の拳法家・鐵橋三を扱ったコメディ功夫片として作られています。
このスタッフとキャストなら『必殺の~』と同じハイテンションな快作を期待してしまいますが、実際の作品はわりと大人しめ。笑える描写はそこそこありますが、本筋はシリアスかつ人死にが多いため、コメディとしては微妙な出来です。
 恐らく、監督の李超はストーリーに一捻りを加え、他のフォロワーとは違った作品を目指したのでしょう。しかしこの目論見は裏目に出てしまい、単に物語を解り辛くしただけで終わっています。
思えば、彼は『飛竜カンフー』でもコメディに失敗しており、本作で同じミスを繰り返したことになります。李超もその点は自覚していたらしく、より娯楽性を高めた『必殺の~』で見事に雪辱を晴らしていますが、それはまた別の話…。

 一方でアクション描写に関しては、梁家仁を筆頭に実力派の俳優が揃っているため、平均以上のクオリティは保たれていました。ただ、豪快なムーブで押し切っていた『必殺の~』と違い、ややメリハリに欠けている感があります。
ラストバトルの梁家仁VS高飛も、両者の動きは相変わらず力強さに満ちているものの、本作ならでは!と言えるような個性が感じられません。次回作の『必殺の~』で主役を増員し、解りやすい拳法を用いたのは今回の難点を省みた結果なのだと思われます。
決して完成度は高くありませんが、のちの傑作を生み出すための下地になった重要な作品。本作を見た上で『必殺のダブルドラゴン』を見返すと、また違った発見があるかもしれませんね。


「Zero WOMAN II 警視庁0課の女」
製作:1995年

●今回の特集において、香港で製作されたポルノ映画を一括して三級片と呼称していますが、そもそも三級片とは成人指定された映画全体を指す用語であり、その中には猟奇的な犯罪映画なども含まれます。
90年代の三級片ブームは、そうしたエロス&バイオレンスが咲き乱れた狂乱のムーブメントで、『八仙飯店之人肉饅頭』『先天性獣欲魔』などの問題作が続々と登場。他の国には決して真似のできない、行き過ぎたボルテージの作品が頻出しました。
 一方、日本でも同時期に起きたVシネマの流行によって、同じエロス&バイオレンスを売りにした作品が数多く生まれています。さすがに香港映画の過剰なテンションには敵わないものの、内容の奔放さでは負けていません。
今回は特集の都合上、エロスのみに着目しますが、90年代は女優たちが体当たりの演技を見せるエロティック・アクションが流行。『XX(ダブルエックス)』や『82分署』、そして本作を内包する『Zero WOMAN』シリーズがレンタル店の棚を占領しました。

 本作は『Zero WOMAN』の第2弾となる作品で、主演は前作の飯島直子から小沢なつきに交代。ストーリーは十億円分の株券を巡り、悪徳刑事の菊池孝典や暴力団が抗争を繰り広げるというものですが、ハードボイルド風の演出には時代を感じてしまいます。
また、主人公は特命を帯びた敏腕刑事という設定なんですが、やたらとドジを踏むので説得力を欠いています。初っ端から満身創痍のヤクザに不意打ちを食らうわ、何度も後ろを取られるわ、張り込みで居眠りして銃をポロっと落とすわ…ってオイ!
 最後の苦い結末も、そこへ至る経緯がかなり強引かつグダグダしており、物語の完成度には難があります。しかし、本作には日本に上陸して間もないころのケイン・コスギが参加していて、アクションシーンの底上げに貢献していました。
本作のケインは脇役(菊池の愛人・岩間さおりの弟)であり、小沢とはラストバトルでようやく絡む程度の役柄なんですが、アクション担当として大々的に活躍。出てくると必ず立ち回りかスタントのどちらかを披露し、派手な回し蹴りを見せてくれます。
 注目はラストのタイマン勝負で、暴力団の親分・団時朗を守る腹心が立ちはだかり、激しい格闘戦が勃発するのです。この腹心を演じているのは豊嶋稔という人物で、あの清水宏次朗とも互角に渡り合った本格派。本作でも鋭い足刀でケインに迫っていました。
この対決はなかなかの好勝負ですが、決着後に現れた菊池がケインと岩間を射殺し、先述した残念なラストへと至ります。菊池は『修羅の黙示録』でも格闘戦を見せていたので、アクションを見せるかと期待したんだけどなぁ…(涙

 と、そんなわけで今月は香港映画の三級片と、セクシー系のVシネマにスポットを当ててみました。どちらのジャンルも通常のアクション映画とは一線を画す存在であり、レンタルショップからVHSが撤去された現在、あまり出会える機会がありません。
そこで今回の特集にあたり、なるだけ詳細を書き留めておこうと思ったのですが、著名なアクションスターたちの知られざる激闘、ポルノだからこそ成し得た過激な演出など、多くのサプライズを体験できました。
 三級片は私にとって未開の領域であり、金剛(カム・コン)が出演しているとされる『淫邪王/デーモン・ウォリアーズ』など、気になる作品はまだまだ存在します。今後はこうしたジャンルの作品も、分け隔てなく紹介していければ…と考えています。
なお、今回の特集は映像を快く提供して下さった某氏のご厚意により、無事に完走することができました。誠に僭越ながら、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。このたびは本当にありがとうございました。
それでは功夫電影秘宝館、今日の所はこれにて……(特集、終わり)


「香港異人娼婦館」
原題:花街狂奔
英題:Escape from Brothel
製作:1992年

▼洋の東西を問わず、男女の関係を描いたポルノ映画は世界中で作られていますが、香港におけるポルノ産業は実にアバンギャルドな一面を持っています。
とかく目に付くのが過剰すぎるセクシー描写で、役者がワイヤーアクションで宙を舞いながら交わったり、裸の女優が怪光線を放つことも珍しくありません。過激で陰惨な筋立ての作品も多く、単なるポルノで済ませるものか!という製作サイドの思惑が感じられます。
 本作の監督である王龍威(ワン・ロンウェイ)も、こうした“過剰さ”を重視した映画人の1人として知られています。悪役功夫スターとしても有名な彼は、1985年にショウ・ブラザーズで『山東狂人』を手掛け、衝撃的な監督デビューを果たしました。
その後もバイオレンス路線の『尖東梟雄』、オールスター動作片の『流氓英雄』、陰惨な殺し合いが続く『復讐の狼』など、尖った作品を次々と発表。本作では三級片ブームの波に乗り、エロスと暴力を“過剰さ”たっぷりに描いています。

陳寶蓮(チェン・ポーリン)は中国出身の娼婦。かつて恋人の方中信(アレックス・フォン)と別れて香港に渡ったが、生活苦で別の男性と結婚せざるを得なくなり、借金のかたに売り飛ばされるという悲痛な過去を持っていた。
現在は方中信と復縁し、娼婦であることを隠しながら文通を行っているが、その生活は決して楽なものではない。今日もカモにされた翁世傑から報復を受け、仲間の村上麗奈と共に悲惨な目に遭っていた。
 一方、とある大手宝石店が火の車となっている経営を立て直すため、保険金目当ての狂言強盗を計画していた。社長の腹心である周比利(ビリー・チョウ)は、強盗役に足のつかない中国人を使うことを提案する。
かくして3人の男たちが大陸から密入国してきたが、その中には陳寶蓮にどうしても会いたくなり、友人たちの誘いで話に乗った方中信の姿もあった。彼は事の詳細を聞かされておらず、無理やり強盗役に仕立て上げられてしまう。
 計画では宝石を奪って逃げるだけの話だったが、素人である方中信たちはパニックに陥り、ふとした弾みで通行人を射殺。顔写真も撮られたため、事件は大ごとに発展していく。
周比利は口封じを画策し、一緒に強盗役となった男たちを殺害。命からがら逃げ延びた方中信は陳寶蓮に助けを求めるも、そこで彼女が娼婦だという事実を突き付けられる事となる。
だが、これは悲劇のほんの前触れ。本当の地獄が待ち受けていることに、2人はまだ知る由もなかった…。

▲本作の主人公は大陸からの移民であり、同じ王龍威が監督した『復讐の狼』や『餓狼烈伝』と共通しています。ただし、これらの作品で活躍した主人公たちと違って、陳寶蓮と方中信は単なる小市民でしかありません。
そのため、彼らは混沌とした状況に抗えず、事態は雪だるま式に悪化。登場人物のほとんどは死に絶えますが、周囲を取り巻く悪党たち(翁世傑など)は健在のまま終わるのです。
 この徹底したダークな展開、そして報われなさは実に王龍威の監督作らしいと言えます。ゆえにストーリーは好みが分かれるところであり、セクシー描写に関してもエグさが強いため、決して万人に勧められる作品ではありません。
しかしアクションシーンはとても激しく、周比利の凄まじい蹴りに圧倒されます。最初に彼は美人局を仕組んだソフィア・クロフォードらと対戦し、全裸で立ち向かってくる彼女(!)を動じることなく撃破!
続いて方中信の友人たち、そして村上にも容赦のない蹴りを叩き込むなど、傍若無人な大暴れを展開します。終盤はそんな周比利に加え、手下も一緒になって追いかけてくる絶望的な状況となり、方中信が上へ下へと必死に応戦していました。

 ところでこの作品、実はキャストやスタッフにショウブラ出身者が大勢参加しています。これは前回の汪禹(ワン・ユー)のように行き場を失った末の苦渋の決断…ではなく、王龍威が「ちょっと一緒に仕事しない?」と誘いを掛けたものと思われます。
武術指導を担当した洪新南、方中信の友人に扮した尹相林と譚鎮渡、黒社会幹部役の張國華などなど。恐らくはショウブラ時代に王龍威が培った人脈を活用したのでしょう(ちなみに彼らは王龍威と他の監督作でも組んでいます)。
 やりすぎ感のあるエロスに打ちのめされ、救いの無いストーリーで気が滅入る問題作。まさに“過剰さ”の極地ともいえる作品ですが、三級片にはこのレベルの作品がまだまだありそうなので、今後も開拓していきたいと思っています。
さて、このアブノーマルな特集も次回でいよいよラスト。そこで思い切って香港から飛び出し、三級片ブームと同時期に最盛を極めていたセクシー系Vシネマと、同作に出演していた世界的アクションスターの奮闘に迫ります!