続・功夫電影専科 -139ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「富貴兵團」
富貴兵團
The Fortune Code
1990

●香港映画におけるオールスター作品の頂点として製作された『上海エクスプレス』。この映画は言うまでも無くヒットを記録し、同じ様な作品も企画された…それがこの作品なのだ。しかし、実際はそれほどのヒットにはならなかったとのことだが…?
時は第二次世界大戦、ここは日本軍の捕虜収容所(と言っても、捕虜は普通のいい生活をしていたりする)。劉徳華・陳百祥・鄭則士・樓南光・成奎安らは脱走を企て、鐘發を倒して劉徳華だけがなんとか脱出した。その後、劉徳華は恋人の梅艷芳と接触していたが、実は梅艷芳は中国軍のスパイで、そこにスパイ頭目のサモハンも現れた。
いいように言いくるめられてスパイの仲間入りをさせられた劉徳華は、同じスパイの譚詠麟と合流し、サモハンからある計画を聞かせられた。曰く、「スイス銀行にある中国側の隠し財産のパスワードを知る男・"福の神"が劉徳華のいた捕虜収容所にいるから、探し出してパスワードを聞き出して欲しい」とのこと。劉徳華と譚詠麟は共に収容所へと向かうのだが、そこには新任の収容所主任・龍方が目を光らせていた。
収容所には新たに飛虎隊の捕虜(曾志偉・莫少聰ら)も到着。龍方も"福の神"を探しており、また劉徳華に先んじて潜入した梅艷芳もいる。果たして、"福の神"の正体と暗号は?そして、劉徳華たちは無事に脱出することができるのか?本作はこれを主軸に様々なイベントを経てクライマックスへと至る。終盤には龍方の上官である陳勳奇・劉家輝・白彪も参加(配下には慮恵光なども)。サモハンもやって来て一大バトルに突入していく。
オールスター作品となると内容が薄くなるのは仕方が無いが、本作は『上海エクスプレス』に比べると、ストーリーもアクションも随分と落ちる。顔ぶれに関しては『上海~』にも負けてはいないのだが、どっちかというとアクションのできる面子が少ない。樓南光などのコメディアクターはいるが、正直ギャグも空回りしていて面白くなかった。しかも『上海~』ではキャラクターや設定、ロケーションなどがスケール感を出していたが、本作はキャラに個性が無く、物語が収容所のみで進むので、ひどく窮屈な印象を受ける。
アクションについてはサモハンはノータッチらしく、また功夫スターがほとんど不在ということもあって、迫力不足の感も否めない。サモハンVS龍方・サモハンVS陳觀泰という功夫ファン垂涎の顔合わせが見られるが、この顔合わせならもっと凄いものが見られたと思うし、惜しい限りだ(なお、劉家輝・白彪とサモハンの絡みは無し)。
正に消化不良を絵に描いたような作品。これならヒットしなかった理由もなんとなく解ります。ちなみに監督はなんと鄭則士。ほかに彼の監督作があるのか知らないが、同じデブ監督ならサモハンに任せたほうがよかったのでは?(酷


「キング・オブ・キックボクサー/ファイナル」
AMERICAN SHAOLIN/THE KING OF THE KICKBOXERS II
KARATE TIGER 5/NO RETREAT, NO SURRENDER 5
花旗小和尚
1993

▼かつて、思遠影業が製作した『シンデレラ・ボーイ』は、当時ヒットした『ベスト・キッド』の影響を受けた作品だった。『ベスト・キッド』は私は未見だが、若き青年が老トレーナーの指導を受けて強敵を打ち破るという図式は、かつての功夫映画に多く見られたストーリーであった。
「そういうネタは既に香港映画が通ってきた道だぜ!」とばかりに呉思遠が打ち出したのが『シンデレラ・ボーイ』だった。本作はその土壌の上に成り立った作品で、『シンデレラ・ボーイ』よりも更に功夫映画色を濃くしたものとなっている。

■とある格闘技大会。スポーツマンシップなんて糞食らえとばかりに笑い飛ばす非道なファイターにコテンパンにされたリース・マティガンは、少林寺で修行していたと偽っていた師匠(その割にはリースを大会2位にまで導いたりしている)の話を聞き、もっと強くなるために少林寺で修行する事を誓った。
とはいえ、そう簡単に少林寺の門は開かない。リースは『少林寺列伝』の傅聲(フー・シェン)のように門前で座り込み、なんとか入門を許される。しかし本当に大変なのはそこからで、異邦人を嫌うダニエル・デ・オム(『ハルク』や『ブラック・ダイヤモンド』などに出演している東洋人俳優)との確執や、辛い修行の日々が待っていた。
修行を誓いはしたが、思想や習慣の違いにアメリカ人のリースは戸惑いを隠せない。閉ざされた空間から抜け出そうと騒ぎを起こした事もあったが、次第に仲間たちとの間に友情が生まれ、リースは一人前の拳法家として成長していく。
その後、三十六房(笑)の試練を突破したリースは大僧正から上海で行われる格闘大会に立ち会って欲しいと誘われる。選手として出場するオムの応援をするリースだったが、そこにはあのリースを倒した憎きファイターの姿があった。外道なファイトでオムを追い込むファイターに、リースは果敢に立ち向かう!

▲真面目に修行に専念するのは後半になってからで、少林寺に入門したリースはことごとく反発。寺で問題を起こしてばかりという描写が続く。見ている側としては「誓いを立てて修行に来たってのに、なんであんなにヘナヘナなんだよ!」と思いたくなるが、実はこれこそが本作の一番特異な点であるのだ。
この映画は言うまでも無く、実質的には『シンデレラ・ボーイ』同様に香港映画である。そう考えると、本作での少林寺の描き方は(香港映画としては)とても画期的だ。修行中に寺を抜け出そうとしたり、女の子と恋に落ちたり、ロックを歌ったりラグビーをしたり…海外向けにアメリカナイズされているとはいえ、ガチガチに硬い少林寺を見ていた功夫映画ファンからしてみると、本作での少林寺は適度にまったりとしている(これについては賛否が別れるところではあるが)。
本作ではヴァンダムのような達人レベルのスターはおらず、演じている白人さんたちの動きもどこかぎこちないように見えなくも無いが、元奎(コリー・ユン)が武術指導を担当したアクションシーンは凡百のマーシャルアーツ映画とは比較にならない迫力があり、功夫映画ファンにも是非見てもらいたい作品である。


「ブレード/妖剣伝説」
原題:Sword of Honor
製作:1995年

スティーブ・ヴィンセント・リージェフ・プルートはやり手の警官コンビだが、ある組織との銃撃戦でジェフが殉職。敵は元の時代から伝わる伝説の妖剣を盗み出し、それをエサに甘い蜜を吸おうと企んでいた。
相棒を殺されたスティーブは上司から休めと言われるが、ジェフの妹であるソフィ・クロフォードと共に巨悪へ立ち向かっていく決意を固めた。やがて2人は組織が妖剣を利用して取引相手を殺害した事や、その際に使用された銃がジェフの殺害にも使われていたことを掴んだ。
 しかし相手も黙ってはおらず、組織の差し金によってソフィが重傷を負ってしまう。組織と通じていたスティーブの上司も利用された挙句に殺されるが、上司を殺した犯人に気付いたスティーブは同僚と捜査を再開する。
一方、組織では下克上を狙っていた幹部(上司を殺した男)がボスを殺害。スティーブは仲間と共に敵のアジトへと潜り込むが…?

 いくつもの香港映画で活躍した白人女ドラゴンことソフィ・クロフォード。本作はそんな彼女が出演したマーシャルアーツ映画で、主演はスティーブ・ヴィンセント・リーが務めています。彼は本作以外にも『カジノ・ファイター』『ハードブロー』等に参加。そのアクション・センスはなかなかのものです。
作品としては凡庸なポリスアクションですが、主人公の相棒に扮したジェフが武術指導を担当していることもあってか、アクションシーンは及第点以上の出来となっていました(坂本浩一らもスタント等で参加)。
 劇中では格闘戦だけでなく、銃撃戦や爆破アクションを加えることでテンションをキープ。ドラマについても悪くなく、最初は険悪だったスティーブとその同僚が後半で和解するなど、ほんの少しですがストーリーに捻りが加えられています。
そして本作で最も印象に残ったのがジェフの見事な立ち回りです。彼の出番は序盤だけですが、アクションシーンでの動作は他のキャストの誰よりも素早く、さすが本職の殺陣師だけはあるなぁ…と唸らされました。
 他にもソフィの見せる香港仕込みのバトルなど、見どころはあるんですが…残念ながらラストバトルはあまり面白くなかったですね。ここで達人クラスの格闘俳優と絡んでくれていたら、本作は傑作に昇華していたかもしれません。
ところで本作は妖剣が主題となっていますが、別に霊が憑りついていたりするようなことはなく、SFチックな邦題とは裏腹にただの小道具として扱われます。この妖剣は最終的にスティーブの手に渡るのですが、あの保管方法(見てのお楽しみ)だと剣がダメになってしまうのでは?(笑


「骸骨キョンシー」
艷鬼凶靈
The Devil & the Ghostbuster
1985(1988?)

●もし『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』と『霊幻道士』をくっつけたらどうなるか?ある意味その答えを導き出したのが、この作品である(笑)。
といっても、出演している人は知らない人だらけであり、アクションも中途半端にワイヤーを使っていて作品全体の統一性が取れてない。そしてなによりもこれは3級片である。とにかく何かにつけてエロエロなシーンがあるのだ(実際に3級片だったかどうかは不明)。
霊界の売春宿から迷い出たかわいそうな美女の幽霊を韋白(ウェイ・パイ)が助ける話だが、製作時機を見ればこれが徐克(ツイ・ハーク)の『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』よりも先んじた悲しき女幽霊ものであるとも受け取れる(とはいえ、『チャイニーズ~』は『倩女幽魂』のリメイク作であるのだが)。ここらへんは評価できるかどうか微妙なポイントだ。
ところで「先んじた」と書いたが、本作の製作年度はデータベースによっては88年となっているものもある。しかしいくら低予算の作品とはいえ、作中に漂う空気は間違いなく88年のものではない。88年といえば、ジャッキーは『サイクロンZ』を、袁和平は『タイガー刑事』を、呉宇森は前年に『男たちの挽歌2』を作っている頃である。88年という制作年度は疑問だ。そこへいくと、制作年度が85年だとするなら合点が行く。85年は『霊幻道士』が制作された年だからだ。
ぶっちゃけ、エロとオカルトと流行ってるからキョンシーもぶち込んじゃおうという闇鍋作品でしかないかも知れないが、ちまたの酷評にかかわらず私はこの作品はそんなに悪くないと思ってる。取るに足らない駄作である事は確かだが、そんな切って掃いて捨てるほど酷くはないのでは…?


「アンディ・ラウの神鳥聖剣」
神鳥聖劍/九二神[周鳥]之痴心情長劍/九二神[周鳥]侠侶
Saviour of the Soul 2
1992

●冒険家の劉徳華(アンディ・ラウ)は、相棒のガキと発明家の元奎(ユン・ケイ)と共に不死身の体を与えるという神秘の氷を求め、遠い雪山を目指す。そこで劉徳華は氷の精・關之琳(ロザムンド・クワン)と出会う。彼女は昔から自分の夢に現れていた謎の美女であり、劉徳華は神秘の氷を狙う魔王・呉耀漢(リチャード・ウン)と戦っていく事になるのだが…。
一時期、信じられないぐらいの数がリリースされた劉徳華の主演作のうちの一つである。日本で発売された彼の作品はジャンル・本数共にかなりの量があり、発売した会社も後先考えなかったのか、駄作としか思えないようなものもいくつかまき散らす事となった。その後はレンタルビデオショップで中古落ちのものがいくつも投げ売りされているが、その中で言えば本作はどちらかというと面白くない部類に入る。
本作を見る前は「よくあるアイドル系アクションかな…?」と思っていたのだが、実際はかなり子供向けチックな内容だ。『ゴッド・ギャンブラー』や『男たちの挽歌』のパロディがあったり、關之琳の役がまんま『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』だったり、何の説明も無く劉徳華が空を飛んだりするなど荒唐無稽で、ストーリーについてもかなり強引な展開ばかりで見ていて非常に疲れる。要するにこの作品、あまり何も考えずに企画された可能性が大なのだ(笑
しかし原題には『神[周鳥]侠侶』なんちゃらとあるため、もしかすると武侠小説あたりからインスパイアされている部分もあるかも知れないが、詳しくは解らない。アクション的にもストーリー的にも見るべきものは無い本作だが、呉耀漢の悪役というのはなかなか珍しいものがある。ところで、実はどこかに大韓ファイター・元振(ユン・ジン)が出演しているらしいが……どこにいたっけ?