
「キング・オブ・キックボクサー/ファイナル」
AMERICAN SHAOLIN/THE KING OF THE KICKBOXERS II
KARATE TIGER 5/NO RETREAT, NO SURRENDER 5
花旗小和尚
1993
▼かつて、思遠影業が製作した『シンデレラ・ボーイ』は、当時ヒットした『ベスト・キッド』の影響を受けた作品だった。『ベスト・キッド』は私は未見だが、若き青年が老トレーナーの指導を受けて強敵を打ち破るという図式は、かつての功夫映画に多く見られたストーリーであった。
「そういうネタは既に香港映画が通ってきた道だぜ!」とばかりに呉思遠が打ち出したのが『シンデレラ・ボーイ』だった。本作はその土壌の上に成り立った作品で、『シンデレラ・ボーイ』よりも更に功夫映画色を濃くしたものとなっている。
■とある格闘技大会。スポーツマンシップなんて糞食らえとばかりに笑い飛ばす非道なファイターにコテンパンにされたリース・マティガンは、少林寺で修行していたと偽っていた師匠(その割にはリースを大会2位にまで導いたりしている)の話を聞き、もっと強くなるために少林寺で修行する事を誓った。
とはいえ、そう簡単に少林寺の門は開かない。リースは『少林寺列伝』の傅聲(フー・シェン)のように門前で座り込み、なんとか入門を許される。しかし本当に大変なのはそこからで、異邦人を嫌うダニエル・デ・オム(『ハルク』や『ブラック・ダイヤモンド』などに出演している東洋人俳優)との確執や、辛い修行の日々が待っていた。
修行を誓いはしたが、思想や習慣の違いにアメリカ人のリースは戸惑いを隠せない。閉ざされた空間から抜け出そうと騒ぎを起こした事もあったが、次第に仲間たちとの間に友情が生まれ、リースは一人前の拳法家として成長していく。
その後、三十六房(笑)の試練を突破したリースは大僧正から上海で行われる格闘大会に立ち会って欲しいと誘われる。選手として出場するオムの応援をするリースだったが、そこにはあのリースを倒した憎きファイターの姿があった。外道なファイトでオムを追い込むファイターに、リースは果敢に立ち向かう!
▲真面目に修行に専念するのは後半になってからで、少林寺に入門したリースはことごとく反発。寺で問題を起こしてばかりという描写が続く。見ている側としては「誓いを立てて修行に来たってのに、なんであんなにヘナヘナなんだよ!」と思いたくなるが、実はこれこそが本作の一番特異な点であるのだ。
この映画は言うまでも無く、実質的には『シンデレラ・ボーイ』同様に香港映画である。そう考えると、本作での少林寺の描き方は(香港映画としては)とても画期的だ。修行中に寺を抜け出そうとしたり、女の子と恋に落ちたり、ロックを歌ったりラグビーをしたり…海外向けにアメリカナイズされているとはいえ、ガチガチに硬い少林寺を見ていた功夫映画ファンからしてみると、本作での少林寺は適度にまったりとしている(これについては賛否が別れるところではあるが)。
本作ではヴァンダムのような達人レベルのスターはおらず、演じている白人さんたちの動きもどこかぎこちないように見えなくも無いが、元奎(コリー・ユン)が武術指導を担当したアクションシーンは凡百のマーシャルアーツ映画とは比較にならない迫力があり、功夫映画ファンにも是非見てもらいたい作品である。