
「ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン」
UNIVERSAL SOLDIER: THE RETURN
1999
●ジャン=クロード・ヴァン・ダムとドルフ・ラングレンという世紀の対決を実現させた『ユニバーサル・ソルジャー』の続編…ということなのだが、『ユニバーサル・ソルジャー』との繋がりはヴァンダムの役柄ぐらいで、ほとんど別物といっても良い作品だ。
話は単純明快で、新しいユニバーサル・ソルジャーの計画が破棄される事になり、それを知った電子頭脳が反乱を起こす。それに対してヴァンダムが新型ユニバーサル・ソルジャーの軍団と孤軍奮闘していく…といったものだ。
本作の肝はやはりこの人、マイケル・J・ホワイトだろう。彼は本作以外にもいくつかのアクション映画に参加。『DENGEKI電撃』ではセガールと共演し、『シルバー・ホーク』では香港映画にも出演している。マイケルは本作で人間となった電子頭脳としてヴァンダムと対峙するのだが、いい動きでなかなか見せてくれるのだ。
作品としては前作よりもミニマム。キャラもあんまり魅力はない(特にうるさいだけのヒロインは邪魔でしかない)。最後は電子頭脳がヴァンダムの娘を前にして心を動かされ、ビル・ゴールドバーグを道連れに炎の中に消える…みたいな展開だと思いきや、まさかマイケルの後にビルとのバトルがあるとは思いませんでした(苦笑
彼はビデオのジャケ裏によると有名なプロレスラーとのことだが、どうせならラスボスなんだし、最後はヴァンダムVSマイケルのバトルを思いっきりやって欲しかったので、これは残念でした。
ところでこの作品、いろんなところにジャッキー映画のオマージュが見え隠れしているような気がするのだ。序盤の模擬戦では新型ユニバーサル・ソルジャーが『レッド・ブロンクス』っぽい水上スキーをかますし、ガラスをぶち割りまくるクライマックスは『ポリス・ストーリー』っぽい雰囲気だ。ヴァンダム自身、ジャッキーを意識していたのかは解らないが、興味深いシーンではある。
それと、エンドクレジットのスタント欄でYuen Takという名前があったが…もしかしなくてもこれって、やっぱり元徳の事?

惡爺
Coward Bastard
1980
▼かつてショウブラ作品が解禁される前は、ただでさえ入手の難しいショウブラ作品の中にも、多くのレア作品が存在した。とはいえ、私のように解禁後にショウブラを知った輩にはピンと来ないのも事実。『飛龍斬』や『血芙蓉』や、本作がそれらに該当するということだが、それも現在に至るに軒並みリリースされているため、ある程度の問題は解決している。
本作は『萬人斬』が個人的に大ヒットだった桂治洪監督の作品。ホラーに武侠、現代劇に古装片と多種多様な作品を手がけている桂治洪だが、今回は七小福の孟元文を起用したコメディ功夫片を作っている。この当時流行したコメディ功夫片の系列であり、『萬人斬』でも桂治洪の作品に参加した元華(ユン・ワー)も出演している。
■で、その内容なのだが、これがちょっとユルめな感じなのだ。定食屋の店員・孟元文はハゲ店長にこき使われてばかりの日々を送っていた。ある日、店に来ては嫌がらせを繰り返す林輝煌(明らかに石天っぽいキャラ…この人、『瘋猴』でも似た感じの役でしたねぇ)を倒してしまったことから恨みを買い、用心棒の王龍威と關鋒を差し向けられる。
ところがこの用心棒コンビ、孟元文の兄貴分である元華とは浅からぬ因縁があり、元華はひとり定食屋から抜け出した。孟元文はリベンジすべく元華に功夫を習おうとひっつき回るが、元華は「危ないから着いてくるな」と振り切ってしまう。その後、孟元文はボロ寺で出会ったホームレス師匠から、どうにか拳法を伝授してもらうのだった。
本作は80分ほどの小品な作品なのだが、ここまでの話をじっくり60分もやるのだから堪らない(爆)。林輝煌の嫌がらせが延々と続き、孟元文が元華にくっついて回る場面が延々と続き…とてもあの『萬人斬』を作った監督の作品と思えないぐらい、展開が遅いのである。もしかして桂治洪、コメディって苦手なんだろうか…?
ある程度腕を上げて帰ってきた孟元文。さっそく王龍威たちに勝負を挑むが、やはり短期特訓だけあってか返り討ちにあってしまう。そこで孟元文は協力を仰ごうと元華を探し当てたが、元華は断固として王龍威との関わりを避け、孟元文の申し出を拒否した。
そうこうしているうちに王龍威らの待ち伏せに遭遇した元華はピンチに陥るが、そこへ孟元文が駆けつけ、最後の対決の幕が上がるのだった。
▲う~ん、やっぱりユルいなぁ。
ストーリーはご覧の通り、かなりまったりとしたものだ。作中における功夫アクションもそんなに多くなく、くどいギャグが続くのは見ていて辛いものがあり、正直あまりいい作品とは言えない。しかし、出演作自体が少なかった孟元文と元華との共演は今見てみると貴重であり(しっかり両者の対決シーンもあります)、アクション自体も悪くはない。
また、若き日の元華がいっぱい見られる作品でもあるので、『カンフーハッスル』で元華を知った人にこそ見て頂きたい作品でもある。

侠大兒乞
Boxer's Adventure/Militant Eagle/Great Soldier Wins a General
1978
▼この作品、もしかして本当のタイトルは『乞兒大侠』なのではなかろうか?
HKMDBやいくつかのサイトでは本作のタイトルは『侠大兒乞』ということになっているが、逆読みしてみると『乞兒大侠』…つまり「こじきの大侠」という意味になるのだ(『侠大兒乞』のままだと変な言葉になってしまう)。
更に、本作のタイトルにはまだ疑問がある。それは英題の『Boxer's Adventure』についてだ。『Boxer's Adventure』でネット検索をすると、同じ英題を持つ譚道良の『旅』という作品が出てくるのだ。オマケにくだんのHKMDBでは、本作の項に『旅』の画像が使われている。これは別のサイト(Hong Kong Cinemagic)でも同じ事があったのだが、果たして本当に本作の英題は『Boxer's Adventure』なのか…一抹の謎が残る。
■時は乱世。悪政が跋扈する世の中に人々は苦しんでいた。悪徳役人とその配下によって身内を殺されたり傷つけられた衛子雲(ビリー・チャン)・燕南希(ナンシー・イェン)・薛漢(シェ・ハン)は、悪徳役人の悪事を偉い将軍に直訴した。だが、悪徳役人は突然現れた白衣の刺客・凌雲によって殺害されてしまう。
そう、真の敵は別にいたのだ。
実は悪徳役人は、将軍と敵対している白鷹(パイ・イン)と通じており、悪徳役人と共に悪行を重ねていた萬重山、そして凌雲もその仲間だった(この他に配下は馬金谷・歐陽鐘・蔡弘・蕭錦・茅敬順など)。その凌雲は姉が白鷹の妻(あまり仲は良くない)で、燕南希の父母を殺したのも彼。そして驚いた事に、凌雲は衛子雲の兄弟弟子?でもあったのだ。
その後、敵の本拠地を知った燕南希と薛漢は攻勢を仕掛けるも、逆襲に遭って薛漢が捕らえられた。逃走する燕南希を追って凌雲が出動するが、前々から姉に対する白鷹の仕打ちに反感を抱いていた凌雲は、白鷹を裏切り気味だ。それに白鷹も気付いており、疑いの目を向けていた。
傷付き倒れた燕南希を、凌雲は自責の念から庇う。しかし、あと一歩で隠れていた燕南希が白鷹たちに見つかりそうになった時、凌雲の姉が自らの命を投げ打って目をそらさせた。このことをきっかけに凌雲は白鷹への反逆の意思が芽生えていく…。
一方、衛子雲は敵地に潜入して白鷹の娘を捕まえていたが、彼女も白鷹に対する不快感は同じだった。そのため自分から衛子雲に捕まり、騒ぎの隙に凌雲が薛漢を助け出した。衛子雲と凌雲は戦うフリをして敵陣から脱出して燕南希と合流。ところが、将軍が苗天の裏切りによって捕まってしまった。
処刑されようとしている将軍を助けるべく、凌雲が、衛子雲たちが立ち上がる!
▲本作は武侠片だが、剣撃・功夫アクションが豊富にあり、二転三転する物語はなかなか面白い。本作の監督は金劍と李家志の2人で、両者とも監督作は少ないようだが、出演者の顔ぶれやエキストラの数から、結構な規模の作品として作られているところが垣間見える。
アクションに関してはそんなに大したものではないのだが、クライマックスで個々のキャラクターにそれぞれ一対一のバトルを用意するなど、なかなか気が効いた構成にしてあって興味深い(武術指導は何維雄…あまり裏方仕事は多くないようだが、多くの出演作を持つ)。無名の作品にしては結構頑張っている一本。これまた掘り出し物、といった感じの作品でした。

「霊幻勇士VS黒魔術/シャインゴースト」
羞羞鬼/九月初九之重見天日/九月九日之重見天日
Shy Spirit/Shyly Spirit
1991(1994?)
●方々でこの作品は「駄作だ」と一様にこき下ろされている。理由は様々だが、ひとえに本作がキョンシー映画として売られたところが不味かったのだろう。
本作のパッケージには堂々と林正英(ラム・チェンイン)のポートレートが使用されており、『霊幻道士』のような作品を予感させるものだが、劇中にキョンシーは全く登場せず、林正英も冒頭のみの登場で、オマケに役柄は道士でもなんでもない。これではキョンシー映画ファンからブーイングを食らうのも納得だ。しかし、本作は決して駄作と切って捨てる作品ではないのだ。
鍾發(チュン・ファト)と陳龍の道場は犬猿の仲。鐘發の息子・倪星(コリン・チョウ!)と、陳龍の息子・曾志偉も、愛しいヒロインを取り合う間柄だった。ところが、ある日曾志偉がヒロインの入浴シーンをノゾキ見していたところ、天井が抜けてヒロインと激突!曾志偉は無事だったが、哀れヒロインはそのまま亡くなり、幽霊(入浴中に死んだので素っ裸のまんま!)となってしまった。
曾志偉が逃げるところを目撃していたヒロインの母は、警察の馮淬帆(フォン・ツイフェン)に訴えるが、陳龍から金を掴まされた馮淬帆は逆に鐘發へ銃口を向ける始末。困り果てた倪星たちだが、霊幻道士でもある鐘發が、さまよっているヒロインの幽霊を発見する。なんとかヒロインを生き返らせようと奮闘する倪星たち。しかし、曾志偉の悪友である霊幻道士かぶれの程守一も、幽霊になったヒロインの存在を知っていた…。
先に言及したとおり、本作は(総評すると)あまりいい作品ではない。事情をよく知らないまま曾志偉に加担した狄威(ディック・ウェイ)や馮淬帆はまだ許せるとして、最後の最後まで倪星を殺害しようと企んだ曾志偉はかなりの外道だ。それらの連中に対して何の天罰も無いまま終わってしまっているので、見た後も居心地の悪さを感じられずにはいられない。
だが、本作は動作片として見る分には十分面白いのだ。
ビデオがリリースされた当時、全く無名だった倪星の『レッド・リベンジ/復讐の罠』と並ぶ日本公開作であり、武術指導はなんと羅鋭(アレクサンダー・ルー)が変名で担当。おかげで作中のアクションは、やたらめったら濃い内容になっている。狄威や陳龍はほとんど動かないものの、その分倪星と鍾發が活躍しており、特に陳龍と仲違いしているという『鬼打鬼』を髣髴とさせる設定の鐘發も見逃せない。
アクション以外には、エッチな場面(苦笑)などもあったりして、意外と飽きさせない掘り出し物的な一品。やっぱり映画というものは、ちゃんと見てみないと解らないものだと改めて思い知った次第です。それと、劇中のBGMが『パトレイバー』だったり『逆襲のシャア』だったりしますが、それについてはご愛嬌ということで…(笑

蕩寇灘/死亡灘
The Bloody Fists/Death Beach/Deadly Buddhist Raiders
1972
●傑作の『餓虎狂龍』でも素晴らしいワークを見せていた、呉思遠&陳星(チン・セイ)による功夫片である。『ドラゴン怒りの鉄拳』によって抗日功夫片が多く作られ、『餓虎狂龍』でも同様に抗日的な要素を含んだ作品を作った呉思遠だが、他の作品のように「右へ倣え」というような作品は作ってはいない。やはり呉思遠、このへんは流石だ。
悪党の陳星は警察の手から逃れながら、とある寂れた町へとやって来た。ここではちょうど日本人たちが進出してきているところで、于洋(ユー・ヤン)ら町の若者は突然現れた異邦人に動揺を隠せない。手始めに町の功夫道場が日本人たちの嫌がらせを受けたが、ワッキーっぽい顔の山怪や赤い胴着の方野には敵わなかった。
さて、ここで首領を演じているのは、あの陳觀泰(チェン・カンタイ)だ。当時はショウブラにいたはずだが、同じくショウブラにいた呉思遠の繋がりで無理を押して出演したのだろう。その証拠に、一部の場面で別人がスタンドインを演じている(劇中、陳觀泰は顔半分をマスクで隠しているが、目鼻立ちが違うので別人だとすぐ解る)。
陳星は町で聾唖の韓國才とその祖父(『燃えよドラゴン』の李小龍の父親役だった人)に出会い、暖かく迎え入れられるが、町が一大事になっていることを知り、人知れず立ち去ろうとする。しかし、こっそり于洋の加勢をしていたことを陳觀泰に見抜かれ、陳星は陳觀泰たちの挑戦を受けた。陳星は方野たちを圧倒して立ち去るが、道中で病に倒れ、再び韓國才に助けられた。人の温かさに触れ、その目に涙を浮かべる陳星だが…。
一方、町では于洋の仲間が殺され、人々が虐げられていた。于洋が捕まりその妹も乱暴され、韓國才とその祖父は日本人たちの毒牙によって命を落としてしまう。今まで逃亡者の身ということもあり、韓國才たちにも迷惑をかけまいとしていた陳星も、ここに及んで怒りを爆発!陳觀泰らとの死闘に望む!
話としては非常にシンプルで、要は「流れ者が日本人を倒す」だけの話であり、陳星と于洋ら町の人間らとの関わりもほとんど無い。他と違う事をしようとして工夫を凝らしたのは察することができるものの、作品自体はあまり評価に値するものではないと言える。だが、こと功夫アクションについてはやたらめったら激しく、野性味溢れる陳星の立ち回りは迫力満点。共にパワーファイター系である陳星VS陳觀泰というバトルも、製作年度を抜きにしてもかなりのものだ。
武術指導は当時新鋭だった袁和平が担当しており、彼にとっても初期の武術指導としてはベストなのではなかろうか?これの発展系が『餓虎狂龍』と考えると、なんとも感慨深いものを感じずにはいられません。無法者として生き、英雄として最後を飾る陳星の姿に心打たれる快作。必見です。