続・功夫電影専科 -124ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


壞小子/壊小子
The Cheeky Chap
1980

▼この作品は前々から「面白い」との評判を聞いていた作品で、見る前から楽しみにしていた一本である。珍しく『ヤングマスター』の韋白(ウェイ・パイ)が単独で主演しているところがポイントか(ショウブラ時代の頃はいくつか主演格の作品に出たことがあるが、本作はゴールデンハーベストの製作)。
ちなみに本作はどちらかというとショウブラ寄りな作りで、出演者の顔ぶれもほとんどショウブラ作品といっていい陣容だ。ここらへんはショウブラ系のスターが顔を揃えた『ヤングマスター』を彷彿とさせるのだが、何故ショウブラっぽいのかは後述にて…。

■韋白は「壞小子」と呼ばれる風来坊。功夫の腕前も達者で、ケンカもイタズラもお構いなしの暴れん坊だったが、あるとき度の過ぎたイタズラを起こした事から母親に勘当されてしまう。一人身となった韋白は街でスリのコンビから盗んだサイフをネコババするが、その報復で衣服を盗まれてしまう(笑
スッポンポンになってしまった韋白は、野宿をしていたところを文雪兒によって起こされた。可愛い文雪兒に見とれる韋白だが、彼女の父こそが奪ったサイフの持ち主だった。こっぴどく文雪兒の父に怒られた韋白だが、悪漢に文雪兒たちが襲われているところへ助けに入った(このあと何故か韋白は文雪兒の家に放火するという不可解な行動に出るが、理由は不明)。
傷付いた文雪兒の父を助けようとあれこれ奔走する韋白だが、文雪兒の父は命を落としてしまう。そんな彼らの前に王清(ワン・チン)ら悪漢たちが再び姿を見せた。韋白は保安官の黄新(『プロジェクトA2』にも警官役で出演)と協力して王清らを捕まえ、改めて王清らを一網打尽にする。
その後、王清らに誘拐されそうだった文雪兒を助けた韋白だが、王清の親分である陳耀林が乗り出してきたことから、事態は思わぬ方向へ向かっていくのだった…。

▲本作の監督である李榮章は脚本家としての活動が主だったようで、ショウブラの『清宮大刺殺』や『絶不低頭』といった秀作を手がけ、助監督としても『洪拳與詠春』などに参加している(本作では脚本も兼任)。本作がショウブラちっくな作品となっているのは、ひとえに李榮章の手腕によるものだったのだ。
はっきり言うと、この作品はコメディ功夫片ではない。タイトルの「小子」という単語や、コメディタッチの演出で最初はそう思ってしまうかもしれないが、ストーリー自体は至ってシリアスである。
もしコメディ功夫片と思って見ていると、クライマックス以降の展開で驚いてしまうかもしれないので、そのへんに関しては注意の程を。たまに韋白の取る不可解な行動に?と思う箇所もあるが、ハーベスト製作だけあってしっかりした作りになっているのは事実。決して陰惨なだけの作品で終わっていないのも好感触だった。
一方、功夫アクションに関しても本作はなかなか面白い。同じハーベスト系の作品である『燃えよデブゴン7』や『ヤングマスター』などではあまり存在感の無かった韋白であるが(『豪侠』はまぁ別として…)、本作では全編に渡って様々なアクションを見せており、作品の牽引役として見事な働き振りを見せている。
特にラストにおける韋白VS陳耀林は、彼の功夫片に於けるベストバウトと言ってもいいファイトだ。その勢いはほとんど張徹映画のようで、印象的なラストシーン(上記のオリジナルポスターにチラッと…)も含め、見る者に強いインパクトを残していた。個人的には『無招勝有招』『流氓英雄』ともども、是非とも日本発売してほしいタイトルである。


「タイムコップ2」
原題:TimeCop 2/TimeCop: The Berlin Decision
製作:2003年

▼ジャン・クロード=ヴァン・ダムの主演作には、続編が作られた作品がいくつか存在します。しかしヴァンダムが主役を継続するケースは少なく、『ブラッド・スポーツ』『キックボクサー』『サイボーグ』の続編では、別の俳優に主演が変わっています。
ヴァンダムがそのまま続投した作品といえば、2008年の時点では『ユニバーサル・ソルジャー』の続編である『ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン』だけとなっています(とはいえ、『ザ・リターン』は第一作を無視しまくった内容なので、別物と言ってもいい代物なのですが・汗)。
さて、本作もヴァンダムが続投できなかった続編のひとつで、代わりの主演を務めたのは、『ドラゴン/ブルース・リー物語』のジェイソン・スコット・リー。対するはトーマス・イアン・グリフィスで、この両名による激しいアクションこそが本作最大の見どころとなってます。

■時は近未来。タイムコップのジェイソンは、時空を超えてヒトラー暗殺を企むトーマスを捕らえるが、その最中にトーマスの妻が死んでしまう。様々な任務に追われながら、タイムコップの在り方に苦悩するジェイソンであったが、突如として謎の時空の乱れが発生する。
 この現象によってタイムコップのメンバーが次々と消されていくが、これは脱獄したトーマスの仕業だった。ジェイソンは脱獄する前の彼を止めようとタイムスリップするが、対するトーマスはジェイソンの両親を殺そうとタイムスリップを繰り返していった。
この滅茶苦茶になった時間軸を元に戻すには、トーマスを捕らえるしかない! 己の記憶に現れたトーマスの影を追って、ジェイソンは自らの少年時代へと決着を付けに向かうのだが…。

▲う~ん…なんだかどうにも忙しない物語でした(苦笑
本作は序盤こそジェイソンのモノローグが挿入され、少しかったるい印象を受けるんですが、トーマスが暗躍を開始するとノンストップで話が動き始めます。これが本当に「休む間もなく」といった感じで、ジェイソンは常に全力疾走で事件を追い続けるのです。
おかげで気の休まるようなカットはほとんどなく、タイムスリップものらしくストーリーも実に複雑。ラストも事件が解決したのか否かモヤモヤしていて、もどかしさだけが残る結果となっていました。
 さて、肝心の格闘アクションについてですが、本作は全編に渡ってジェイソンが大立ち回りを披露。殺陣が受け・攻めの一辺倒になりやすいものの、最後の大一番となるジェイソンVSトーマスの対決は迫力満点で、息をつかせぬ技の応酬を見せています。
ちなみにジェイソンのファイトスタイルが何処となく李小龍(ブルース・リー)っぽく、これは『ドラゴン/ブルース・リー物語』を意識した演出かな…と思いきや、なんと本作のアクションはジェリー・ポティートまたかよ!)が指導しているのです。
そういえば『ドラゴン~』でもジェイソンはジェリーの指導を受けていたようですが、その縁で本作に関わったのでしょうか?


「ターミネーターコップ」
Terminator Woman
1993

●本作はジェリー・トリンブルと、『検事Mr.ハー』で女殺し屋を演じたカレン・シェパードが共演したマーシャルアーツ映画だ。タイトルだけ聞くと近未来SFのように思えるが、実際はアフリカを舞台にした凡庸なアクション大作である。
ロス市警の警官であるトリンブルとカレンは、ミシェル・クイシ率いる人身売買組織から黄金を奪った男を連れ立ってアフリカへ訪れていた。ここはクイシの根城がある地であり、黄金がどこかに隠されているのだ。黄金を奪い返そうとクイシたちカレンを拉致し、トリンブルは単身敵を追って未開の地を征くのだが…。
敵のボスを演じたミシェル・クイシは、ヴァンダムの出世作である『キックボクサー』で敵役を演じた事で有名な人。本作ではアクション指導も担当しているが、際立った出来にはなっていない。
劇中、トリンブルが1人で演舞する場面があるが、ここでトリンブルは華麗なキッキング・シーンを披露してくれる。しかし劇中でこの演舞のようなアクションを、彼はほとんど見せてくれないのだ。あの演舞でかなり期待したのだが、結局ラストに至るまで期待に応えてくれるようなアクションは皆無であったと言えよう。
物語は途中からトリンブルとカレンの2パートに分かれて進み、最終的にはトリンブルVSクイシとカレンVS女スパイとの対決となる。だが、かたやトリンブルVSクイシは暗い場所でのファイトで見づらい上に、途中からクイシがたいまつを持ち出してきて消化不良。こなたカレンVS女スパイは、対戦場所がモーターボート上なので足場が安定せず、迫力のあるバトルには至っていなかった。
作中ではこのほかにもバイクアクションなどを盛り込んでヒネろうとした気概は感じられるのだが、それらが結実したとは言いきれない結果に終わってしまっている。全体的なアクションレベルはそれなりだったが、結局それなり止まりになってしまったのは残念だ。
ちなみに本作ではしきりにトリンブルVSカレンを予期させるようなやりとりがあり、最終的には2人が対戦するようなことがあるのかなと思っていたが、あのラストは…せめてマーシャルアーツ映画なんだから、この両者の対決は見てみたかったのになぁ(涙


「新・桃太郎3/聖魔大戦」
鳳凰王子
Magic Warriors/Fenghuang Wangzi/Prince of Phoenix
1989

▼林小樓(リン・シャオロウ)のボーイッシュな魅力が存分に発揮された『新・桃太郎』は『キョシーズ』のヒットにあやかって日本に上陸し、それなりの成功を収めていた。これを見逃さなかったのが台湾で活動していた染野行雄だった。
かつて染野さんは『キョンシーズ』がヒットした際には『新・キョンシーズ』を製作したりと抜け目のないところを見せたが、本作は『新・桃太郎』と同様に林小樓を起用。オマケに様々なキャラクターを入り乱れさせたりするなど、怪作の様相を呈している。

■かつて対立関係にあった仙界と魔界。その2つの国を越えて一組のカップルが結ばれた(仙界の夫を演じるのは羅鋭)。カップルの間には子供も産まれたが、ロミオとジュリエットな2人の存在を仙界と魔界の者たちは許しはしなかった。ふとしたことからこの親子と知り合った林小樓は、仙界と魔界の刺客に襲われた羅鋭たちから子供を託され、逃避行を続ける。
魔界の常山が率いる四天王が背後に迫る中、旅の果てに林小樓は羅鋭の兄(羅鋭の二役)と出会う。羅鋭の兄は腕は立つが粗暴な性格の男。かつては羅鋭と共に魔王を倒そうと闘った男であり、林小樓は説得の末に彼の協力を仰ぐ事が出来た。魔王の復活が刻一刻と近付く中、林小樓たちは魔界の宮殿へと突入する!

▲本作の武術指導は、『新・キョンシーズ』と同じ羅鋭&李嗣興コンビによるもの。本家『新・桃太郎』と同様にワイヤーを多用したアクションを作り上げているが、気合が入りすぎたのかワイヤーだらけの殺陣になってしまい、アクションに収拾が付かなくなってしまっている。ちょっとしたジャンプをするのにもワイヤーを使う有様で、程小東とは違った意味でアクションに重さが感じられなくなっているのだ。
このほか林小樓はいつもの如くだが、実質的なボスキャラとして主人公たちを翻弄する常山の存在感はなかなかのもの。これで最後まで常山がボスなら良かったが、魔王(李嗣興)が思ったような活躍を見せてくれなかったのは残念だ(それまで一応は「地に足を付けて」闘っていたのに、李嗣興とのバトルでは完全に『ドラゴンボール』状態になっている)。
ストーリーは子供向けを想定しているため、『新・桃太郎』が楽しめる人でないと難しい内容だ。しかしいくら子供向けとはいえ、羅鋭が血の海に落ちて骨になったりするスプラッタ描写や、ラストの投げっぱなしっぷりは度を越えている。子供向けとはいえ、むやみやたらにはっちゃけていればいいってもんじゃないですよねぇ(爆


「ワイルド・スマッシャー」
BRAIN SMASHER
1993

▼レンタルショップに足しげく通う者なら、アルバート・ピュンという名前に聞き覚えがあるはずだ。
彼はヴァンダムの『サイボーグ』やSF作品『ネメシス』の監督として知られる人だが、はっきり言ってこの2本以外に彼のまともな作品を私は知らない。だが、個人的には『ブラッド・マッチ』でのかったるい演出と、あまりにもつまらない内容に随分とゲンナリさせられたものだが、今回取り上げる作品もそんなピュンが監督した一本である。
私としてはピュンの作品は『ブラッド・マッチ』一本でもう十分と思っていたが、この作品とは中古ビデオをあさっている時に出会った。ピュンの名前に最初は顔をしかめたが、ジャケ裏の解説に「敵は少林寺のニンジャ軍団!」とあったので思わず購入したのだが…結果、やっぱり後悔する羽目になっちゃいました(爆

■モデルのテリー・ハッチャーは、ある時姉から不思議な花を送りつけられ、こちらにその花を持ってきて欲しいと頼まれる。彼女が姉の元に向かうと、そこには少林寺の刺客たちが姉を捕らえて待っていた。
実はこの花には世界を制することの出来るパワーが秘められており、ユージ・オクモトら少林寺の刺客たちはこの花を血眼になって探していたのだ。夜の街を舞台にテリーと少林寺の刺客との追いかけっこが始まった。クラブの用心棒をしていたアンドリュー・ダイス・クレイを巻き込みなつつ、姉が待つ教会へ急ぐテリー。
だが少林寺の刺客たちはアンドリューを人質として捕らえ、テリーに花を要求してきた。はてさてこの追跡劇の結末は如何に…?

▲一応この作品はコメディーという事になっているのだが、敵が少林寺ということで随所に格闘シーンがある。アンドリューは体格の割りにそこそこ動けており、少林寺の刺客たちもアクロバティックなアクションなどを披露。刺客たちのリーダーを演じたユージ・オクモトもいい感じだったのだが、本作で繰り広げられるアクションシーンはどれも暗くて見辛く、時間も短い上に迫力不足という結果になっている。
更に、コメディー部分が壊滅的に笑えないわ、話は支離滅裂でメリハリが無いわ、結局テリーの姉は何が目的でこんな事をしたのか最後まで解らないわとメチャクチャだ。正直言ってマイナスポイントの塊のような作品。私は未だに『サイボーグ』も『ネメシス』も見たことが無いが、これと『ブラッド・マッチ』を見た後だと非常に不安になってしまいました(萎