
「シューティング・サンダー」
原題:Black Belt
製作:1992年
●ドン・"ザ・ドラゴン"・ウィルソン&ロジャー・コーマンによるアクション映画である本作は、かの『リング・オブ・ファイヤ』と同様にキックボクサーなんちゃらチャンピオンが大挙して出演している作品だ。とはいえ、本物の武術家を使ったら凄いアクションが取れるとは限らない。要は監督や武術指導の腕次第なのだが、残念ながら本作は『リング~』の二の舞だと言わざるを得ない結果になっている。
主人公のドンは元警官で、今は道場で門下に武術を教える毎日を送っていた。そんな彼の元に歌手のディールドゥル・イマーシェインが現れる。彼女は最近猟奇的なストーカーに付けねらわれており、ドンに助けを求めてやって来たのだ。その一方でイマーシェインを我が物にせんとする悪の組織(?)も暗躍し、ドンとイマーシェインは2つの脅威から狙われる事になるのだった…。
話を聞いても解るとおり、最初はドンをあまりいい目で見ていなかったイマーシェインは彼と打ち解け、いつしか両思いの関係になっていく。ここらへんは某ボディガード映画まんまだが、上記に挙げたストーカーと悪の組織が全く絡まなかったりと、物語にはアラが多い。内容も決して派手ではなく、これに関しては製作サイドも解っていたのか、ストーカーに猟奇的な味付けをすることで打破しようとしていた。
このストーカーを演じているのは、格闘映画ファンならお馴染みのマシアス・ヒューズだ。今回の彼は異常な性癖を持つシリアルキラーを怪演しているのだが、あまりに行き過ぎたキャラ付けのせいで、完全にマシアスだけ浮いてしまっている。何が目的で動いているのかよく解らない悪の組織とも相まって、本作はまるでツギハギだらけの作品と化しているのだ。
アクションはドン自身が担当しているが、イマイチ迫力に欠けている。唯一盛り上がりを見せるのはクライマックスのドンVSザコ集団とのバトルなのだが、ラスボス戦よりザコとのバトルの方が見栄えが良いというのは問題なのでは?『レッド・サン・ライジング』もそうだったけど、ドンの武術指導としての腕はあまり評価できるものではないようです。
ところでこの手の作品は「愛しているわ」「僕もだ」みたいなやりとりがあり、主人公がヒロインとキスして終幕…というのが一般的だが、本作ではキスをして「これからどうするの?」「さぁ?」みたいなやりとりで終りとなる。いや「さぁ?」ってアンタ…(汗

「サイボーグ・ウェポン」
原題:The Mosaic Project/Infernal Soldiers
中文題:魔鬼再制人
製作:1993年
●物々しいタイトルの本作だが、実際はSFでもなんでもないタダのスパイアクションで、SF的な要素は皆無だ。
ストーリーは手術によってパワーアップした主人公達の活躍を描くものだが、その手術というのも単に脳へマイクロチップを埋め込む程度のものでしかない。パッケージはいかにもそれっぽくあつらえてあるが、「看板に偽りあり」もここまで来ると見事というしかないだろう(笑
主人公のジョー・エステベスとジョン・タブラーは中途半端な生活を送るしがないチンピラだった。ところがある日奇妙なチップを拾ったことからCIAによって強化手術を受け、無敵のスパイとして巨悪と戦っていくこととなる…と、話としてはたったこれだけである。
ストーリーはスッカスカでテンポが悪く、ヒロインも悪党も中途半端な死に方をしたりと完全に破綻しており、正直言って全然面白くない。が、本作の格闘シーンはマーシャルアーツ映画にありがちな妙な間を取りながら技の応酬をするものではなく、香港映画のような丁々発止のファイトに取り組んでいる。
アクションシーンの演出もそこはかとなくジャッキー映画の香りが漂っており、序盤の工作員が脱出するシークエンスやラストの刺客2人とのバトルもそれなりの盛り上がりを見せている。主なキャストの中にスタントマンとして二重にクレジットされている人が多々いたので、恐らく本作でいい動きを見せていた人はみんなスタント方面の方々だと推察され、だからこそこのようないい格闘シーンが作られたのだと思われる。
しかし、やはり惜しむらくはストーリーがお粗末過ぎた事だろう。ボンクラコンビが突然超人に!というシチュエーションは料理次第で面白くなりそうな題材だっただけに、そして格闘シーンがいい出来だっただけに、この結果に甘んじてしまったのは残念でならない。監督がアイザック・フロレンティーンとかだったらまだマシだったんだろうけどなぁ。

小霸王
英題:Super Kung Fu Kid/Hong Kong Cat named Karado/Superior Youngster
製作:1974年
▼イマイチ華のないアクションスター、張力(チャン・リー)の主演作である。
今まで私のレビューしてきた張力の出演作を見てみると、『達魔鐵指功』ではレオパルドンのように一瞬でやられる呂小龍の友人役、『截拳大蕩寇』では巨龍の噛ませとして楊斯(ヤン・スェ)に倒される青年役と、どうも損な役回りが多いが、この作品では主演として大々的に頑張っている。
■張力はケンカの強い暴れん坊。今日も火星たちを相手に乱闘を繰り広げていた。そんな息子に心配した張力の母は、これ以上面倒ごとを起こさないようにと引っ越しに踏み切った(ここ、対応が『壊小子』とは間逆な所が面白い)。ところが新天地に到着して早々、さっそく港にいたハゲヤクザと因縁を作る張力。懲りない男である。
ハゲヤクザは張力への仕返しに楊斯を呼び寄せるが、相手にならず。コケにされた楊斯は南宮勳(ナン・ゴンクン)を向かわせるものの、この南宮勳が張力の母と顔見知りだったことから事なきを得るのだった…って、この展開は都合良すぎるだろ!(笑
ある日張力は、楊斯たちと町民一行が衝突している場面に出くわし、町民一行を助けた。これにより町民たちとうち解けた張力だが、楊斯たちは方野や山怪ら増援(日本軍か?)を投入し、一気に町を我が物にせんと動き出した。
話を聞いた張力は方野たちと闘うが、銃で撃たれて負傷してしまう。敵は張力の動きを抑えようと張力の母を誘拐。回復した張力は母を奪還すべく敵地に突入するが、凶弾によって母と協力してくれた情婦が死んでしまう。怒りに燃える張力は、楊斯一行を相手取り、死闘を展開する!
▲ご覧の通りストーリーは深いものではないが、異様な迫力に満ちた作品だ。
基本的にアクションは当時の呉思遠作品のような体当たり的なものだが、張力のいでたちは『ドラゴンへの道』の李小龍そのまんま。要するに本作は、李小龍スタイルの主人公が闘う呉思遠作品なのである(最後の連戦はちょっと張徹作品も入ってるかも)。
このストーリーのアラを補って余りある本作のアクションを指導したのは、黄志明と保佳という両名だ。黄志明は演者や武術指導として無数の作品に関わっている人で、保佳とはあの程小東(チン・シウトン)の事。どうりで本作のアクションが激しい訳である。
この他、絡み役には徐忠信や元華、ユンピョウといった豪華な面子が参加。ラストでは闘いの場を船上に移し、張力が死闘の末に『截拳大蕩寇』での雪辱を果たします。それにしてもこの傑作を撮ったのが、のちにフィルマークで活動することになる江洪(ジョセフ・コン)とは信じられませんねぇ。

「レディ・ニンジャ/セクシー武芸帳」
女忍者/浪女神龍劍
The Challenge of the Lady Ninja/Woman Ninja
1983(81?)
▼フィルマーク産のニンジャ映画『地獄のニンジャ軍団・クノイチ部隊』の姉妹編である本作は、『クノイチ部隊』に引き続き李作楠(リー・ツォー・ナン)&楊惠珊(ヤン・フェイサン)ら同スタッフで作られた作品である。しかしあくまで「そこそこ」のレベルに甘んじていた『クノイチ部隊』とは違い、本作は秀作として完成度を誇っている。
■時は第二次大戦下。主人公の楊惠珊は中国人だが、日本で伊賀忍者の修行を受けていた。遂に免許皆伝の腕前になった楊惠珊だったが、中国で抗日派として活動していた父・薛漢の訃報を聞き、一路上海へと帰郷した。上海で楊惠珊を出迎えた抗日グループは、薛漢が楊惠珊の叔父である陳觀泰(チェン・カンタイ)の裏切りによって死んだことを楊惠珊に伝えた。
さっそく陳觀泰の首を狙う楊惠珊。しかし彼の周囲には異形の剣士・戴徹(ロバート・タイ)、部族出身の孫榮志、紅一点の甄[王秀]莉、強力無双の楊雄ら四天王がガードを固めていた。これには楊惠珊も苦戦を強いられるが、謎のどくろ仮面が彼女を助けた。手強い四天王を倒すためには仲間が必要だ。そこで楊惠珊は大道芸の武術美女、ボーイッシュな美女、小生意気な娼婦の3人を仲間として向かえ、四天王を各個撃破で仕留めていった。
一方の陳觀泰の元には日本軍から上官が出向してきたのだが、その上官とはかつて楊惠珊と同じ伊賀忍者として修行し、楊惠珊のことを妬んでいた彭剛その人であった…。
▲もどかしい出来だった前作『クノイチ部隊』は、作品自体のバランスが不安定な作品だった。
その点、本作はきちんと方向性を定めて作られており、『クノイチ部隊』の二の舞には陥っていない。ふざけた邦題とヘナヘナなニンジャアクションで軽く見てしまいがちだが、意外にもストーリーはしっかりした作りになっている。四天王との行き詰る戦い、どくろ仮面の正体、陳觀泰の意外な目的、二転三転する物語など、『クノイチ部隊』から確実に李作楠らしさが増してきている点は非常に興味深い。
また、この手のニンジャ映画には必ずあるようないかがわしい場面も『クノイチ部隊』から更にパワーアップ(爆)!泥レスやポロリも当然ある上に、水着姿などのサービスカットも無駄に多く、果てはエロっちい体勢で行われる特訓や拷問など、その手のファンには堪らないシーンが盛りだくさんとなっている。お色気シーンにも一切の手抜かり無しとは、さすがは職人監督・李作楠である(笑
功夫アクションのほうはいつものニンジャアクションだが、台湾系のアクションスターが多数参加しているので中々見応えがある。一際異彩を放つ戴徹や、珍しくラスボスとして登場する彭剛の活躍ぶりなど、こちらも功夫映画ファンは要注目といえるだろう。

「バトル・ウルフ」
FIST OF GLORY/THE TALES OF HOFFMAN
1991
▼中古ビデオを漁ってて見つけた作品だが、これまた面白い作品である(なんだか最近こんなのばっかだなぁ…まぁ嬉しいんですけどね・笑)。話としては『ミッション・ターミネート』のようなベトナム帰還兵モノで、主演を本ブログ初登場のデイル・"アポロ"・クックが務め、共演にはクック同様に格闘家であるモーリス・スミスという人も参加している。
■クックとモーリスは共にベトナムの戦火を駆け抜けた戦友同士。戦争も終結し、戦闘中に受けた傷の癒えたクックは、退院してモーリスが行方不明になったことを知らされる。モーリスを探そうと街を闊歩するクックは、秘密裏に行われている死の格闘大会の存在と、そこでモーリスが王者として君臨している事を知った。
モーリスは主催者である麻薬の売人によって麻薬中毒になっており、薬をエサに闘うことを強いられていた。クックはモーリスを助けるべく、街で出会ったトレーナーとタッグを組んで格闘大会に参戦する。次々と立ちはだかる強豪を相手に一歩も退かぬクックは、遂にモーリスをリング上へと引きずり出す。
必死の説得の末に正気を取り戻したモーリスを連れてクックは脱出。売人たちはクックらを追うが、しばらくして逆にクックたちは敵のアジトへと乗り込んだ!凄まじい銃撃戦の果てにアジトをぶっ飛ばしたクックとモーリスは、熱い友情の拳を交わすのだった。
▲本作でまず最初に注目したのが、作中で何度も炸裂する爆破シーンとスタントだ。
『ミッション・ターミネート』は全体的にしょぼい感じで、爆破シーンなどもペース配分がバラバラになっている中途半端なものだったが、本作では最初から全力で巨大な爆発が炸裂する(しかも兵士たちのすぐ側で爆発したりと危険なものが多い!)。
中盤は格闘アクションの割合が増えていくが、もっと凄いのがクライマックスの銃撃戦である。本作はラストが銃撃戦なのが難点だが、この銃撃戦では造船所や密集した家屋で遠慮なく爆発が起き、しまいには水上に作られた家々(敵のアジト)が巨大な爆炎の中に包まれる…という圧巻のシーンで終わるのだ。
恐らく爆破したのはセットと思われるが、それにしてもこの爆破シーンは規模が大きい。ラスト一歩手前では、クックとモーリスが次々と爆発していく橋の上を全力疾走し、爆破をバックに河へ飛び込むという危ないスタントもあり、これは思わぬところで驚かされてしまいました。
ちなみに肝心の格闘シーンだが、こちらは意外とスピーディーな殺陣になっており、クックの特訓風景やクックVSモーリス戦など、見応えは十分。惜しむらくはクックとモーリス以外はあんまり動けておらず、先述した爆破アクションにインパクトで喰われてしまっている点である。格闘シーンのレベルがもっと高ければ文句なしの傑作だったのだが、それでも面白い作品なので、もし見かける機会があったら是非見て欲しい一本です。