虫顔これくしょん No.16 | 弘前大学 フィールドサイエンス研究会(F研)

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弘前大学公認サークル「フィールドサイエンス研究会」(F研)のブログです。 弘前大学を拠点に,海・川・山林で生物の観察や採集をしています。
毎週月曜日18:00~農生棟203で定例会を行っています。

 お久しぶりです。佐藤 (仁) です。「虫顔これくしょん」の人です。
 ……え?もう卒業したでしょ、って?
 いやいや、我々学部4年生は正式には3月末日で卒業、すなわちまだ弘大の4年生なのです。
 それに「虫顔だけは書ききる」って言っちゃったしね。
 
 
 さて、今回からは3回連続「魅惑の蛾顔シリーズ」です!!!
 ふふふやっと書ける……!
 さて初回はカイコガ科!
 といっても、3種類しかいません。
 
 んで、まずはトップバッター・クワコちゃん (Bombyx mandarina)
 

 茶色い毛に黒くてつぶらな目がかわいい。ぬいぐるみみたい。
 触角が少々独特で、ヤママユのオスに見られる「羽毛状の触角」を、中央の線に沿って90°角に折り曲げたような形状をしています。 (「棍棒」とか「櫛歯」など、ちゃんと触角の形状を例える単語があるのですが、忘れてしまいました……ごめんなさい。)
 この種には口吻 (チョウが持ってるストローみたいなアレ) がありません。成虫は絶食します。 (後述のカイコも同様。)
 
 ちなみに、幼虫の顔はこんな感じ。 (写真がないのでイラストです。) 
 
 
 幼虫もメインカラーは茶色です。 オレンジと黒の眼状紋が目立ちます。(※この図で幼虫の頭部は、下に飛び出している半円状の部分です。オレンジや青のある部分は胸部にあたります。)
 
 
 次はカイコ (Bombyx mori)!純白天使☆オシラサマ!
 カラーリングが白くなった以外は、ほぼクワコと同じ顔つきをしています。
 

 クワコとは属名 (Bombyx) が同じで、遺伝子的に割と近い仲間です。
 ただし染色体の数が異なり、クワコが2n=54であるのに対しカイコは2n=56となっています。
 日本のクワコよりは大陸産 (中国など) クワコの遺伝子の方が近いそうです。(クワコの種小名「mandarina」は、どうも中国に関わる単語のようです。mandarin orangeでミカンだし。)
 こちらも幼虫の顔写真を見てみましょう。
 
 

 幼虫もクワコのそれと同じような模様をしています。眼状紋は健在。 (※この図で幼虫の頭部は左下の影にかかった部分、白・オレンジ・黒色のある部分は幼虫の胸部です。)
 実は気性 (性格?) や体質? も異なり、カイコの幼虫は移動性が低く、蓋のないケースに入れておいても逃げません。
 それに対しクワコは逃げてしまうようです。
 
 
……って言ってやりたいところだけど、
残念ながらカイコも逃げます。
学生実験のときに逃げたカイコが
未だに見つかりません。
 
 ところで、クワコ・カイコの食草には「クワ(桑)」がありますが、このクワ科に含まれる「ヤマグワ」の学名がMorus bombycisで、カイコの属名・種小名を逆にしたみたいになります。
 
 
 最後にオオクワゴモドキ (Oberthueria falcigera)
 この子だけ属名が違います。遺伝子的にちょっと離れているんです。
 

 よく見ると、ちょっと触角の形が違う気がします。
 クワコとカイコは、先端が紡錘形であるのに対し、オオクワゴモドキは途中から触角が細くなっている、ような。
 
 この種の食草は、クワではなくカエデのなかまです。
 ……さて、同じカイコガ科ですが、果たしてこの種の繭からは糸が採れるのでしょうか?
 

 と、ここでカイコガ科の虫顔はおわりです。
 みんな小顔だからね……特にモドキちゃんの手ぶれというか、ピントがひどいですね……。
 
 
 さぁ次回は
魅惑のヤママユガ科の虫顔!!!
 カイコを上回るモフモフが待っています!
 

 それとサクラダ君、虫捕りは多分まだできます。
 4年生になったら確実に出来なくなるので、3年生のうちに一杯楽しんでください。
 
 
 

文責:(学生実験でカイコ逃亡ほう助の疑いを真っ先に向けられた) 佐藤 (仁)