奈良ふしぎ歴史徹底攻略! 学校・教科書では教えてくれない奈良を親子でも100倍楽しめる観光ガイドブックブログ -18ページ目

三才池のキツネ ― 葛城きつね(3) ~ 【葛城のむかしばなし】より

「葛城のむかしばなし」には、狐が人間にちょっかいをかけるお話がよくでてきます。
全国の(四国など狐が生息しないところは別ですが・・・)民話でも、圧倒的に多いのではないでしょうか。
昔の人も、笑い話の種に語りつづけたのでしょうね。


狐お面村へタコを持って帰ろうとしたところ、まんまと狐に足一本だけのこしてとられてしまいます。

狐お面お祭りの帰り天秤棒に、とっくりと御馳走がはいった重箱をもっていたところ、狐においかけられ、とっくりを割られ、重箱をとられてしまいます。

狐お面夜、お坊さんが講の帰り路、突然何かに提灯がひっぱられ明かりを消されてしまいます。かえってみるとロウソクに狐の歯形がついていた。


こんなことまでが現在まで伝えられているんだなと思うと少しおかしくなります。
ところで狐さん、仕事帰りや、お祭りの帰りなど、人間の気が緩んだところを狙っているように思えますね。


さて、今回は「三才池のキツネ」をおおくりします。



寺口の村の千太郎が、家の使いで御所へ行く途中、北花内の三才池で一休みしました。
そこでキツネの親子が見えたので、イタズラして石を投げつけました。
驚いて逃げるキツネの親子の様子に、お腹をかかえて笑い転げました。

お使いの帰り、三才池のそばをとおったときです。
まだ日が高いというのに、突然、あたりは夜のように暗くなりました。
足元もおぼつかず、どうしたものかと思っていたら、向こうの方でぽっぽっと小さな明かりが見えました。
千太郎はしめたと思い、明かりへとむかいました。

そろりそろりとなんとかあかりのついた家の戸口にくると、
「寺口の千太郎と申します、あんまり暗いのでちょうちんを貸してください」
「それはえらいお困りやな。どうぞ、おはいりください。すぐに用意します。」
家の中から女の人の声がしたので、千太郎は家の中に入ろうと踏み出したら、
あっという間にあたりは元の明るさに戻り、千太郎は三才池の中に落ちていました。
そこへ通りかかった村人が千太郎を助け上げました。
その様子を遠くの草むらでキツネの親子が見ていました。

それからというものの、
「三才池のキツネに悪さをしたらあかん。千太郎のように池にはめられるで」
と言われるようになったそうです。






ランキングに参加しています。
ポチッとよろしくお願いします。
↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ




日本の昔話 9 (お風呂で読む日本昔話 9)/楠山 正雄
¥1,050
Amazon.co.jp

狐―陰陽五行と稲荷信仰 (ものと人間の文化史 39)/吉野 裕子
¥3,150
Amazon.co.jp


年越しの狐火 ― 葛城きつね(2) ~ 【葛城のむかしばなし】より

二上山(にじょうざん)は、奈良県葛城市と大阪府南河内郡太子町に跨がる二つの山です。
二つの山(雄岳、雌岳)が連なって、フタコブラクダの背中の様な姿をしています。
ふるくは”ふたかみやま”とよばれていたことが有名ですね。
”ふたかみやま”は、”二神山”も意味していたそうです。
二上山のふもとの村々は「岳の郷」といわれていました。
地元の人は二上山を「ダケサン」と呼んでいました。
日照りのときには山の上の神社へ雨乞いに参ったそうです。

さて今回は二上山と狐たちの不思議なお話です。


大みそかの晩のことです。
一人の男が二上山の真っ暗な山道をのぼっていました。
男は暮らし向きがよくなく、貧乏で独り身であることをいつも嘆いていました。
ゲンを担ぎにお正月の御来光を拝みにきたのでした。

ずいぶんと登ったときです。
向こうの木のかげに、ちらちらと赤い火が見えます。
近づくにつれにぎやかなお囃子が聞こえてきます。
「だれやろ、今時分にこんなところで踊っているのは?」
不思議に思い、男は木のかげからそっとのぞいてみました。
するとどうでしょう。
大きな焚火を囲み、大勢の狐が踊っているではありませんか。
男はびっくりして一目散に逃げ出しました。

なんとか遠くまで逃げると男はひといきつきました。
すると下の方から、ひとりの娘がのぼってきました。
娘は男をみるなり、
「どないしはりましたんや。顔が真っ青ですなあ」
と心配そうにたずねました。
男はさっき見たことを娘に話しました。
すると娘はニッコリわらっていいました。
「ああ、それやったら狐が伊勢音頭を踊ってましたんやろ。
それを見たお人には次の年にええことがあるて、聞いたことがありますわ」

そうこうして二人は二上山の雄岳と雌岳の間の馬の背まで連れだっておとずれました。
ふと麓の真っ暗な中に大きな火の玉がポカンと見えたかと思うと、パラパラと小さい火の玉みくだけました。
それがあちこちへ飛び去っていきました。
「こないに狐の火がぎょうさん見えたら、来年はきっと豊作ですなあ」
男は、にこにこ笑う娘の笑顔に、きもちのええ娘さんやなぁと思いました。

やがて東の空が白みかけて、向こうの山から日が昇り始めました。
御来光を拝んで、さて帰ろうとかと振り向くと、あの娘の姿がありませんでした。
狐につままれたようやと、男は首をひねりました。

その年は娘が言ったとおり豊作となりました。
その上、男には庄屋さんの仲立ちで隣村からお嫁さんを迎えることになりました。
なんとそのお嫁さんは、あのとき山道でいっしょになった娘でした。
二人は子宝にめぐまれ、末永く幸せにくらしたそうです。






ランキングに参加しています。
ポチッとよろしくお願いします。
↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ





二上山/田中 日佐夫
¥2,205
Amazon.co.jp

狐 (日本の童話名作選シリーズ)/新美 南吉
¥1,680
Amazon.co.jp


とりあげ婆さんとキツネ ― 葛城きつね(1) ~ 【葛城のむかしばなし】より

全国各地に狐の話が伝わっています。

だいたいが、饅頭と思ったら馬糞を食べさせられていた。
道を迷わされたと、人びとの日常の営みにあらわれては、悪さをするといった類が多いですね。
勿論、「葛城のむかしばなし」にもたくさんでてきます。
それを少し、紹介したいと思います。

まずは「とりあげ婆さんとキツネ」です。


むかし新庄の村に、お腹に赤ん坊がいる人の家をまわり、無事に育っているのをみたり、お産を手伝ったりする「とりあげ婆さん」がいました。

ある晩のことです。
お婆さんが床に就こうとした時、家の戸をドンドンと叩く者がいました。
「お婆さん、お婆さん。うちのものが赤ん坊を産むのに難儀しているので、きてもらえませんか!」
お婆さんが戸をあけると、見たことのない女が立っていました。
「あんた、どこの使いの者や?」
そう問いかけても、女は「早よう頼みます」とせかすばかりでした。

お婆さんは、お産の支度をすると、女の後についていきました。
くらい夜道をはしり、やがて竹藪の中の大きなお屋敷にたどりつきました。
休む間もなく奥へと通されると、中で苦しんでいる女がいました。
お婆さんは難儀しながらも、なんとか無事に赤ん坊をとりあげることができました。
家中のものがたいそう喜びました。
「今晩は遅いので、家でゆっくりおやすみください」
そうすすめられて、お婆さんは用意された寝床に入りました。

あくる朝、目をさますとなんということでしょう。
お婆さんは落ち葉の中にうもれていました。
りっぱなお屋敷もきえて、あたりはただの竹藪でした。
そばにはお金がおいてあり、確かめてみると、本物のお金です。

どうやらキツネのしわざだったのですね。
キツネが赤ん坊を産むのに、とりあげ婆さんの助けをかりにきたのですね。




ランキングに参加しています。
ポチッとよろしくお願いします。
↓↓↓↓↓
人気ブログランキングへ




きつねのはなし/森見 登美彦
¥1,470
Amazon.co.jp

葛城王朝物語/福塚 勝胤
¥1,680
Amazon.co.jp