次世代を担う子供たちの現在そして未来 -59ページ目

お子様の「健全な反抗」にイライラしないために

 この記事は,ぶんぶんどりむ2011年12月号に寄稿したものの蔵出しです。


普段塾で中学生を指導しているため,「中学生の母」と話をする機会がよくあります。そのとき必ずといってよいほど話題に上がるのが,「最近子どもが言う事を聞かず反抗的な態度をとる」「こちらが何を尋ねてもまともに返事すらしない」といった,「素直でなくなってしまった子ども」への愚痴です。  私は心の中で「よしよし,(本人は)健全に成長しているな」とうなずきながら,「今後は何かあったら我々に伝えてください。直接言えば喧嘩のもとですから」といつも答えています。


 今小学生のお子様をお持ちの皆様にも,近い将来同様の場面が登場することでしょう。今回は,そんな時にイライラしなくて済む方法として,私が保護者会で話している内容を紹介していきます。


●お子様の「健全な反抗」の背景


 子どもは新しいことを身につけるにあたり,必ず身近な手本を真似することから始めます。家庭であれば「親の一挙手一投足」をよく観察することでしょう。学校や塾であれば,先生の話をよく聞いてその手法を真似しながら身につけようとします。ですから,小学校までの段階での「いい子」とは,この真似の過程で「指示を忠実に守り,手がかからない」子を指すことになるのです。


 それに対して中学生以降になれば,その成長過程にあわせて本来は「いい子」の定義も変わらなければなりません。勉強面も部活においても,これまで通りの「指示を守り真似る」面に加えて,「自分で考えながら試行錯誤する習慣」を身につける時期にさしかかるからです。


 ところが保護者の中には,子どもに接するときの「いい子」の基準が相変わらず切り替わらない方が少なくありません。「中学校=内申=先生たちの言う事をよく聞く子でなければ成績はよくならない」というご自身の経験も影響してか,(内申の影響が少ない)私立中にお子様を通わせている保護者でさえも,いつまでも幼稚園・小学校時代のままの感覚の「いい子」を要求する方が,かなり増えていると実感しています。


 この結果,ほとんどの子どもは2重のストレスを感じることになります。1つは自身の「試行錯誤」の過程で生じるストレスです。頭で考えることと実際の行動との間にズレが生じることは当然で(「できると思ったんだよ!」という言い訳が出るのがこの時期です),うまくいかない自分に対して一番苛立ちを感じているのは,もちろん彼ら自身だからです。そしてもう1つが前述の「(成長過程とずれた)親からの要求」でしょう。これらが「反抗的な態度」の原因だと私は思います。


 よって私は,「健全な反抗」とこれを呼んでいます。最近は,親が求め続ける「いい子」を中学・高校と演じ続ける「反抗期のない子ども」も少なくないようですが,そのまま大人になった彼らが「社会的に魅力のある人間」に見えるかといえば,当然ながら疑問符をつけざるをえないからです。


●親が唱える呪文は「守・破・離」


 この「健全な反抗」は「親離れ」の始まりでもあります。最近では,子どもの「親離れ」のほうが親の「子離れ」よりも早く来てしまうケースがほとんどだと感じていて,我々の立場から見ると「子離れ」のほうに正直手がかかります(笑)。中には「親離れ」「子離れ」がどちらもないまま大学生まで成長してしまうのだろうな,と思われる事例も存在します。


 だからこそ,皆様には来るべき「子離れ」のタイミングを慎重に図っていただきたいのです。そのためには「守・破・離」の考え方を理解し実践していただくのが最適だと考えています。


 ご存知の方もいらっしゃると思いますが,「守・破・離」とは、不白流茶道開祖の川上不白(江戸時代中期・後期の茶匠)が記した『不白筆記』(1794年)にも見られる言葉であるそうなのですが,「修行の段階を説明する言葉」として現代でもよく使われています。さらに細かく見ていくことにしましょう。


『守』・・・当然ながら最初の段階では,指導者の教えを守り真似することから始まります。まずは言われたとおり,見たとおりの形から入り一から百まで型通りに行いますが,形だけ整えたところで「型にはまった融通のきかない」になってしまうことはおわかりだと思います。ここでは作法・技法といったものだけではなく,指導者の「価値観」も同時にしっかり教えなければなりません。
『破』・・・試行錯誤する段階です。更なる飛躍のためには「言われたことを忠実にこなす」だけでは不充分です。そして自身がそのことに気づき独自に工夫して,指導者の教えになかった方法を試してみることが必要になります。
『離』・・・文字通り「指導者から離れる」段階です。自らの新しい独自の道を確立させる最終段階のことをいいます。


 お子様の成長と照らし合わせてみると,保護者の皆様にとって「守」と「離」はイメージしやすいのではないでしょうか。「守」は幼児期のしつけや学校の勉強を,「離」は文字通り一人前として独立する姿を思い浮かべることでしょう。それに対して「破」の部分に関しては,具体的な時期や出来事をイメージすることができるでしょうか。私が保護者会などで問いかける限りにおいては,これを明確にイメージしておられる保護者の方はけっして多いとは思えません。「それは今ですよ!」と申し上げると,どよめきがおこるほどです。


 お子様が普段取り組んでおられる作文においても同様で,「守」はあくまでも「作文の書き方」の把握でしかありません。お子様の作文力の向上は,単にテクニックを身につけたかどうかではなく,「破」の部分で試行錯誤した経験にしか比例しないこと,そして独創性や論理的思考力といった「21世紀に求められる力」につながっていることがおわかりいただけると思います。


 残念ながら,最近では学校に限らず社会全体で「破」を意識しない傾向が強まっていると思います。
「守」の世界しか経験していない子どもが,大学生や社会人となった後に「破」の感覚を身につけることは非常に困難で,「正解なきグローバル時代」をタフに生き抜けるとは思えません。最近多い「健全な反抗」がない子どもたちは,けっして日本の未来にとって「いい子」ではないのです。


 勉強に限らず何の世界でも,挫折や葛藤,摩擦が生じるのは「破」の段階です。これを子ども自身が乗り越えない限り「離」が来ない,と考えておくことが,即ち「子離れ」なのだろうと私は考えます。これを認識できていれば,たとえお子様が反抗的な態度をとろうとも「一過性の通過儀礼だから仕方ないわね」とやり過ごすことができるのではないでしょうか。お子様と同じ土俵で喧嘩するのではなく,「お釈迦様の手の上で・・・」という感覚で,是非お子様に接してあげてください。


「生徒はもちろん,先生を追い詰めない学校」を探す秘訣

この記事は,ぶんぶんどりむ2012年1月号に寄稿したものの蔵出しです。


 この連載を通して,何度か急激に変化しつつある中学あるいは高校の様子(通知表の評価方法や高校の予備校化など)についてお伝えし,さらには,こうした変化によって生じる「ひずみ」の事例を何度か扱ってきました。最近も近畿圏のある高校で「教諭による調査書の不正改ざん」が行われたとの報道を見聞された方もいらっしゃるのではないでしょうか。不正を不正と思わなくなってしまうほど感覚が麻痺してしまう教育現場の背景について,今月は話を進めていこうと思います。


●調査書改ざんの実態

 

 報道によると, ある高校の58歳の男性教諭が3年生24人の成績を証明する調査書を不正に高く改ざんしていたとのことです。このうち12人は改ざんされた調査書を基に大学推薦入試の合格や就職の内定を得ていて,今後取り消しの可能性もあるようです。この教諭は,自分が担任をするクラスの生徒を対象に7月から改ざんを始め,最大で英語や体育など4科目にわたって評定平均(5段階)を0・4底上げしていたといいます。9月以降に17人分を受験先に郵送し(大学の指定校推薦で評定平均が基準に満たない生徒2人を底上げで不正に出願した事例を含む),12人の進路が決まっている状態です。この教諭は「生徒をいい大学に早く合格させ、自分も精神的に楽になりたかった」などと動機を説明しているそうです。


●先生が追い詰められる背景


 皆様は,この教諭の行動をどのように評価されるでしょうか。おそらく一定の割合で「誰も被害を被っていないのだからよいだろう」「生徒のためを思っての行動だから許してあげるべき」といった声が挙がることが予想されます。私の見解は「学校が取る行動ではない」です。


 報道などで調べる限り,この教諭が「進学コース」の担任だったこと,そして調べてみる限り学校が「進学校へシフトしている最中」であることがわかりました。だからといって58歳にもなる教員が「合格させるためなら手段は問わない」行動を取るようでは,この学校の存在価値はどこにあるのか疑わざるをえません。「学校で教えることは勉強だけではない」とは,ほぼすべての教員の皆さんが我々塾講師に投げかける言葉ですが,今後皆様のお子様が通われるであろう学校においても,この「勉強以外の指導」への力を入れ方について注目しておくことをお勧めします。


 次に,こうした問題が生じる原因について考えます。ここからは一般論を基に論を進めますが,こうした背景を前提に考えると,「(受け持ちの生徒の)大学合格率が先生の評価に直結している可能性が高い」ことが要因になっているであろうことが容易に推測されます。


 近年特に,少子化の影響が私立中学・高校の経営にダメージを与えており,各学校は生き残りを賭けて新たな戦略を打ち出しています。その多くが「(共学化などの)リニューアル」か「進学校化」に大別できるのです。そのため,あらゆる場面で現場は「イメージアップへの努力」を要求されています。その最たるものが,我々が学生の頃には想像もできなかった「先生への通信簿(アンケート)」実施でしょう。これは加速度的に実施校が増えていて,高評価を得るポイントが「成績をしっかり上げることができるか,大学にきちんと合格させることができるか」という点にあるようです。こうして教員の指導力を「見える化」することによって,「当校の教員にハズレはいません」というアピールをすることまでもが,経営戦略上不可欠な時代となっているのです。


●「合格率」を競う影に不正あり

 

 今回の成績改ざん騒ぎ以外にも,この連載で紹介しただけでも「(都内私立中の)英検不正受験」「東京 足立区の公立小における学力テスト不正受験」などがおこっています。前者は教員が事前に問題を見て対策講座を行っていたもの,後者は試験中に教員が児童の誤答に合図を送っていたものです。「これが生徒のためになるだろうか」と教員が自問自答する余裕もないほど追い詰められているとしたら,その先生に習う生徒たちがノビノビと勉強できるはずは・・・ありませんね。


 また,2007年には一部高校による「一人で73学部・学科に合格させるなどの大学合格実績水増し」騒ぎもおこりました。ご記憶の方も多いと思いますが,これは厳密に言うと不正ではありません。しかしながら,大学合格実績を学校選びのポイントにしている保護者をある部分においては欺く行為に等しい,受験制度の悪用でした。


 こうした「自分の学校(生徒)をよく見せるための不正(ごまかし)」を,一保護者が見抜くことは非常に困難です。初めから疑ってかかる必要はありませんが,学校説明会などであまりにも耳触りのよい文言や数値が続くようなときは,少しだけ気にしてみるとよいかもしれません。



●学校のドコに注目すればよいか


 「教育現場と成果主義」については,ある部分では成功している反面,問題点も多く浮き彫りにされています。ここについて私個人の見解は省略しますが,成果を求められる教員が,試験などのノルマのレベルと生徒の現状をてんびんにかけて危機感を持てば,中には不正行為にはしる者が現れたとしても不思議ではありません。これは教員自身が感じるプレッシャーによるものだと予想できますから,彼らの自己研鑽の度合いに関係なく一定の割合で行われるのではないでしょうか。

 

 いわゆる有名校でない学校の場合,進学校へのシフトを高らかに掲げたとしても,いきなり世間や受験生(保護者)の信頼を得ることはできません。たとえ説明会でのプレゼンが素晴らしかったとしても,「実際にこれだけ成績を伸ばしています」という客観的資料の提示がなければ信頼を得ることはできないからです。そのため多くの学校では「大学合格実績の着実な向上」と「英検・漢検の合格率」という2つの指標を意識しているようです。この意識が過剰になればなるほど,現場の教員は追い詰められます。


 そんな中,お子様が通う学校選びを行う際には,今後は入学案内に書かれていないこと,入学説明会で話してもらえないことにも気を配る必要がありそうです。合格実績や施設をチェックすることも重要ですが,最も大切なことは,皆様のお子様に「これから出会う色々な試練や困難に,正々堂々と立ち向かうこと」を教えてくれる気構えを持っているかどうかのチェックだと思います。

 

 これは先生方の表情でわかります。「成績もノルマ,生徒募集もノルマ」と,常にノルマに追われている学校の先生方は,表情からして明らかに疲れています。逆に,先生方が自分の仕事にプライドや自信を持っている場合には,質問への受け答え一つをとってもはつらつとしているものです。我が家でも,子どもと一緒に説明会へ向かう妻に対して,事前に同様のチェックポイントを指示しておいたところ,「学校によってまったく違っていた」との返事が戻ってきました。皆様も是非試してみてください。


新学習指導要領実施に伴う「保護者には見えにくい学校の変化」

この記事は,ぶんぶんどりむ2011年9月号に寄稿したものを蔵出ししています。


 この春から小学校で新学習指導要領が全面的に実施されました。英語の授業が始まったり,授業時間数が多くなって教科書が厚くなったり,といった目に見える変化だけでなく,先生方の授業方針や学校の教育目標といった,保護者には見えにくい部分の変化も数多くあるようです。今回は,学校の先生を対象に2010年8月に実施された「学習指導基本調査」を基に,目に見えない部分で学校がどのように変わろうとしているのかについて紹介していきます。

 
○「学校教育目標」が変わり始めている


 どの小学校にも「教育目標」があります。トップ3は「心の教育豊かな心」「思いやり」「健康体力」で,6割以上の学校が目標に掲げています。目標の中には,こうした普遍性を持つものとは違って時代の影響を受けるものも少なくありません。「ゆとり」で揺れた2002年の調査結果とあわせて確認すると,面白い結果が浮かんできます。
 

学校教育目標(経年比較)
              2010年   2002年
学力向上学力定着   41.8%   20.7%
基本的生活習慣     34.1%   20.9%
学習習慣         27.7%    8.4%
社会規範 きまり    22.9%    13.7%

 

表のように,学力向上はもちろん,「早寝早起き朝ごはん」に代表されるような生活習慣の確立を重視する

学校が増えていることがわかります。学校をあげての「訓練指向」の高まりがはっきりしており,クラス目標であればさらに高い数値になっていると思われます。お子様の学校・クラスではいかがでしょうか。



○中1ギャップの原因はここにある

 小学校を卒業し中学に通い始めた生徒が,様々な原因で中学校に通う意思を失ってしまうことを「中1ギャップ」と呼ぶことがあります。今回の調査結果からは,この原因と思われるデータを読み取ることができます。


心がけている授業方法(2010年)

                   小学校教員 中学校教員
体験することを取り入れた授業    52.0%   22.9%
計算や漢字などの反復的練習    51.5%   29.0%
自分で調べることを取り入れた授業 36.7%   18.0%

 

 小学校と中学校との間で大きく差がついている内容だけを紹介しました。中学に入ると「自分で試して体験する授業」が減り,「反復練習は言われなくても家でやってくるもの」となるわけです。

 これが「中学校の授業はつまらない」と感じる一因であることは事実でしょう。特に反復練習については,先に紹介したとおり「強制してでもやらせる」と考える小学校教員が増えているのがここ数年のことですから,おそらく現在高校~大学生の世代では「小学・中学を通して,学んだことを反復して定着させる経験を充分に積んでいない」学生の割合が高いことが予想でき,中学の授業はつまらないと感じていた層にリンクするであろうと考えられます。


 また,近年話題になることの多い「コンピュータを活用した授業」では,理科・社会を中心として小学校で4割,中学校では6割が実施しているようです。これは見方を変えると「動画や映像がないと授業が成立しない(子どもの集中力が持たない)」という一面を浮き彫りにするため,小学校における「訓練指向」とは相反する部分があり,必ずしも歓迎されることだけではないようです。


 皆様のお子様がお通いの小学校の1学期の様子を思い出してみてください。保護者会でも勉強関連の話題が多かったのではないでしょうか。事実,教科書は平均で25%も増加しながら授業時間数の増加は決してそれに見合ったものではなく,しかも「きちんと反復して定着させる」ことが目標ですから,ら,従来に比べると子どもたちの勉強に対するハードルがかなり上がっているわけです。その一方,早くも私が見聞する限りにおいても「教科書が重いから家に持って帰ることすらしない」小学生が増えているようで,心配の声が挙がっていることも事実です。


 小学生においては,知識の取得はもちろんのこと,「勉強の仕方を身につける」「勉強に対する興味を得る」ことが,将来の学習状況に大きく影響を及ぼします。小学校が変わりつつあることは事実ですが,その取り組みにはまだまだ限界がありますので,「お子様の学習状況を点検する」ことが保護者の大きな仕事である日々はまだまだ続くようです。



(参考)ベネッセ教育研究開発センター 「第5回学習指導基本調査」
 http://benesse.jp/berd/center/open/report/shidou_kihon5/sc_hon/index.html


「福岡の中学生たち」の視線は真剣だった

 7月18日(水)の夜,福岡チャータースクール という塾を訪問しました。


 こちらは,「高校への数学」を教材として活用しておられる数理専門塾です。当初は「授業を見学させてもらいたい」といった図々しいお願いをするつもりだったのですが,お気遣いをいただきまして,


中学生は自分の可能性をどこまで信じていいのか


というタイトルで,中学生と保護者の皆様向けにお話しさせていただく機会をいただきました。平日夜にもかかわらず20人ほどの方々にお集まりいただきましたこと,改めて御礼申し上げます。



 ここで詳細を書くことは省略しますが,


来てくれた中学生たちのまっすぐな視線


を新鮮に感じました。首都圏では相変わらず「私立中>公立中」といった序列が定説のようになっていますが,彼らの姿勢や意欲は,首都圏の私立中生に負けていないどころか贔屓目なしで見ても勝っているのではないでしょうか。


 自分自身の中学時代を思い出すと,語る言葉(博多弁)は同じでも,明らかに彼らの方がしっかりしています。「根拠のない自信」でもかまわないので,勇気を持ってドンドン前に進んでほしいと思います。


 我々の時代よりも,何をやるにしても自分自身でそのチャンスをつかむ機会は多い


わけで,あとは自分が動くかどうかの問題。高校受験・そして大学受験に向けての高校生活の中では,どうしても「自分自身に投資する時間」を充分に取ることができなくなります。


だからこそ,今のうちに自分自身と向き合ってほしいのです。



そして保護者の皆様には,お話しさせていただきましたとおり


 ・過干渉しないこと

 ・お子様に「師」と呼べる人がいるのか否かを見極めること


の2点について,頭の片隅に留めておいていただけると幸いです。



 最後に,中学・高校時代を福岡で過ごした者として,「福岡の中学生たち」と向き合えたことは本当に嬉しいものでした。高数の連載をやってて本当によかったw


 是非ともまた会いましょう!<中学生の皆さん

「脱ゆとり」新課程をめぐるあれこれ(1)

 先月,東京と大阪で「高校数学新課程」に関する話を,塾関係者の方々向けにさせていただいた(詳細はコチラ の中段)。


 「こんなことが起こると予想されます。だから早めのご準備を」


という内容だったが,さすがは塾の先生方。


「現場でどんな問題が生じているか」をさっそく把握されている方も多く,自分の話した内容の方向性が間違っていなかったことを,逆に教えていただく形になったw


 新課程をめぐる混乱が世の中に発信されるのはこれから。ここでは,その発信される内容ではなく,混乱をめぐる背景や予想図についてまとめておこうと思う。


* * * * * *


 指導要領は,ほぼ10年ごとに改訂されている。

 

 80年代初頭(自分自身が一期生)の改訂から,90年代,00年代と,特に中学生では「ほぼ削る一方」「軽量化」路線で走ってきたことは周知の通り。


 そのとき,現場はどう動いたかというと,


公立小・中・・・のんびりしている暇はなし。試行錯誤しながら走り続けるしかない


私学・塾予備校・・・改訂に関わりなく,当初数年は従来どおりの学習を進める。数年間の推移(入試問題の変化など)を見ながら,不必要なものだけを除く


が基本線。世の中が「ゆとり路線」で変わるときに,従来どおりの勉強量を確保するだけでも「一般に対する差別化」としては有効だから,塾予備校や私学はすぐに変化する必要はなかった。


 何かを改革しようとするとき,その最前線を走る者が批判にさらされるのは当たり前


という論を実証するように,こうした理由もあって公立学校は何かにつけて叩かれ続けた,と私は思う。



 しかし,今回の改訂は今までと様子が違い「脱ゆとり」。ここ30年で初めて「内容を増やす」必要が生じている。


 よって,今回は,塾予備校や私学もスピード感あふれる「変化」を実現しないと,これまで公立が叩かれたように厳しい視線にさらされ,市場から置いていかれるのだ。これまでのような「様子見」を決め込んでいると,その分だけ後手にまわる。


 さらに「変化の質」も重要。生徒たちはそれほど暇人ではないから,単純に「勉強量を増やせばよい」なんて理屈は通らない。勉強量を増やすには,他の時間(部活や遊び)を削って勉強時間を確保するか,勉強の質・方法を見直して効率を上げるか,くらいしか策は無い。


 こうした変化に対する方針をキチンと打ち出し,それを実行・継続して,最終的に結果を出すこと。


これは1つのサイクルであり,「もう5年後の集客が始まっている」という危機感を持って,経営陣と現場がタッグを組んでおかないと,たとえ現在盛況の塾予備校であれ私学であれ,安泰が続くとは思えない。


                                                         (たぶん続く)