2014年度版「中学生でも解ける大学入試問題(数学)」その1
2014年度版の第1回として,本日行われた 大学入試センター試験から,
数学ⅠAの第3問(平面図形) を紹介します。
原題は三角比の表記があるため,一部中学生仕様に修正していることをご了承ください。
(問題)
AB=4,BC=2の△ABCがある。いま,AからBCに下ろした垂線の足をH,CからABに下ろした垂線の足をIとする。また,∠ABCの二等分線と∠BACの二等分線の交点をD,直線BDと辺ACの交点をE,直線BDと円Oとの交点でBと異なる点をFとする。BH:AB=1:4であるとき,次の問いに答えよ。
(1)CAの長さ,AI:AC,CI:ACをそれぞれ求めよ。
(2)△ABCの外接円Oの半径を求めよ。
(3) ①AEの長さ,BEの長さ,BDの長さをそれぞれ求めよ。
②△EBCの面積は△EAFの面積の何倍か求めよ。
(4)線分FA,FC,FDの関係を等号,不等号を用いて表せ。
(解答・解説)
ちょっと易しすぎるのではないかい? と思ってしまうほど。難関高校受験を考えている中学生の受験直前期の確認に最適。中3の学習内容と高1の学習内容が,こと平面図形においては垣根がないことを示唆している1題と言える。来年度からの新課程においては,従来にもまして図形の扱いを「中学4年」と考えたほうがスッキリするため,中学生は「図形が苦手」だと致命傷になる可能性があることを認識しておこう。私立高校の入試問題で図形の比重が大きくなることは容易に想像できる。
ちなみに,(3)①の「角の二等分線の長さ」の求め方は公式があり,金曜に「高校受験直前の中3生」に復習で出題し,翌土曜日朝の予備校講座で高1生にも証明込みで確認している。
(1)HはBCの中点だから,CA=CB=4。△ABH∽△CBIより,BI=1/4BC=1/2だから,AI=7/2 よって,AI:AC=7/2:4=7:8 CI=ルート15/2より,CI:AC=ルート15:8
(2)外接円の半径をRとおくと,外接円の半径の公式より,R=(AB×AC)/2AH=8ルート15/15
(3)①角の二等分線定理より,AE:EC=BA:BC=2:1 よって,AE=2/3AC=8/3 BからACに下ろした垂線の足をJとおくと,△BIC≡△CJBより,BJ=ルート15/2,EJ=EC-CJ=4/3-1/2=5/6 △BEJに三平方の定理を用いて,BE=2ルート10/3 AD:DH=BA:BH=4:より,DH=ルート15/5 よって,△BDHに三平方の定理を用いて,BD=2ルート10/5
②△EBC∽△EAFで相似比はBE:AE=2ルート10:8 したがって面積比は40:64=5:8
(4)∠ABF=∠CBFより,Fは弧ACの中点。よって,FA=FC また,∠ABF=∠FAC=x,∠BAH=∠CAH=yとおくと,△FADにおいて∠FAD=x+y また,∠FDA=∠BAD+∠ABD(外角)=x+yであるから,FA=FD よって,FA=FC=FD
(参考)△ABCにおいて角Aの二等分線とBCとの交点をDとおくとき,最低限知っておかないといけないことは,
①AB:AC=BD:DC
②AD^2=AB×AC-BD×DC
③1/AD=1/AB+1/AC
の3つ。もちろん証明もセットで。
中3生の諸君は,高校入学が決まったら,3月~GWくらいの期間にミッチリと中学範囲の図形は復習しておいたほうがよい。「図形が苦手で・・・」なんて言っている場合ではないよ。
高校入試問題にもセンター試験レベルの図形はバンバン出ているよ
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センター試験は悪者なのか
今日と明日行われるセンター試験で、いよいよ大学入試が本格的にスタートする。50万人以上が一斉に臨む..........≪続きを読む≫
前身である共通一次試験から数えると,もう35年も続いているこの入試制度。
なんだかんだといっても,よくできているシステムなんだよね。
教育制度のあり方が問われたり,学生の質の変化が話題になったりすると,たいがい「マークシート形式」「正解があるという前提の思考習慣」など,センター試験が元凶のように叩かれることがあるけれど,
本当の元凶は・・・
「センター試験」を(高校時代の)勉強のゴールに設定してしまう,現場の先生方
だと,私は強く思う。高校・塾予備校問わずね。
センター試験は,大学入試においてあくまでも通過点
なんだから,マークシートでもいいんだよ。本当の思考力は国立なら二次試験,私立なら独自の入試問題で確認すればよい。本当の勝負は,センター試験の先にあるはず。
高校野球で例えてみると,センター試験って「地方大会の決勝戦」。定期テストが「近所の高校との練習試合」で,受験を想定した模試が「地方大会」かな。そして二次試験が甲子園。そのレベルによって「決勝~1回戦」と違ってくるけれど。
自分たちの目標が「どうやって甲子園で勝ち進むか」であれば,地方大会なんて通過点でなければならない。普段の練習だって,目標が明確な分だけ中身も濃くなる。間違っても「地方大会を勝ち抜くための特訓」なんてやらない。
ところが現場においては,この「地方大会を勝ち抜くための特訓」を高3生に課すところが多い。もちろん「マークミスを防ぐには」といったレベルのレクチャーは必要だ。問題なのはそこではなくて,
どうして高3生が数学ⅠAを1からやり直さなければならないのか
という根本的なことだ。
明日行われるセンター試験数学には「数学ⅠA」がある。これは高1生が1年間学習を続けてきたもの。つまり,明日の問題は高1生であってもチャレンジできるはず。
センター試験なんて通過点 と考える人には当たり前のことだけど,センター試験がゴール と考える人だと「高3でセンターが解ければいいのだから,高1の段階ではまずは基本を」となるらしい。
指導者本人が高校時代にこのような指導を受け,何の疑問も持たずに受け売りして・・・
大人が「生徒の可能性」に蓋をしてしまう負の連鎖
がダラダラと続いているのが実態だ。
その結果,高1の1年間で「薬にも毒にもならない定期テストレベルの確認問題」を大量に解かされ続けただけの高校生が大量に生み出されることになる。
また,指導者の中には「センター試験を高1・高2生に解かせるけれど,ただのポーズ」の場合もあるから要注意だ。解かせる以上は,この段階での目標を設定して到達度を確認することで初めて意義が見えるのだけど,そんなことはおかまいなしで
普段はしょっぱい授業をしておきながら,やみくもに「ただ解かせてみる」だけ
というケースもある。目標がないから得るものもなく,ただ時間を浪費するのみ。
本当に意義のあるものにしたければ,1月からさかのぼること半年をかけて入念な仕込みが欠かせない。
二次関数,三角比,論証,・・・
高1を指導する毎回の授業に明確なテーマを持たせ,センター試験より高いハードルを設定し,到達度を確認し,生徒を引っ張り上げる
その積み重ねがあってはじめて「センター試験は通過点」になる。これを続けるには指導者も大変。覚悟と信念がないと続かない。「高1ではまず基本を・・・」というレベルに終始したほうが楽なのだ。
高3生に対して「センター数学対策講座」を課す必要があるということは,自分たちで「高1の授業の価値を下げている」ことに等しい。「とりあえずセンター試験を乗り切れるように・・・」という主旨の特訓は,一見親切で面倒見が良いように見えるけれど,
そもそも,そんなものが必要ないように日々の授業を充実させること
のほうが大切ではないかな???
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大宮駅午前7時
電車内でも参考書に目を通したり、英単語を書きなぐっている制服姿の高校生たち。
センター試験は「見えない敵」と闘う、自分自身との勝負。
ヒトはヒト、自分は自分。
落ち着いて、普段通りに問題と向き合おう。
「ほめて伸ばす」が許される家庭はごく一部
トップクラスのアスリートを子どもに持つ母親は、「ほめて伸ばす」「自分の人生を楽しむ」など、ポジティ..........≪続きを読む≫
これを読んだお母さん方が「じゃあ,うちもほめて伸ばすことにする!」と,受け売りの情報を鵜呑みしないことを強く祈る。
「ほめて伸ばす」は諸刃の剣。子どもがトップアスリートになる可能性もある一方で,「ほめられないとやらない」子どもが大量に生産されているのも事実(過去ログ「ゆとり世代の就活に関する一考察 )。
ほめて伸ばしたからトップアスリートになれたのか。
トップアスリートになれる素質があったから,叱る必要がなかったのか。
私の考えは後者。
幼少の頃から「自分(親)の想像を超えるほどの才能の片鱗」が,自分の子どもから見てとれたからだろうと私は思う。昨日TVで,陸上の高校生土井さんの「子どもの頃のビデオ」が流れていたけれど,
素人目に見ても,明らかに違う
ことがわかる。あそこまでいくと,誰でも「この子が持つ可能性」に期待するさ。
だから,親だって「この子のゴール」を想定しながら接するようになる。よって,どんなことに対しても「感情のままに怒る・叱る」なんてことはしなくなる。いや,してはいけない。
感情むき出しで叱って足が速くなるのなら,誰も苦労しない
から。現実には「叱る」場面は多々あったと思う。「叱らないように育てる」ことができる子どもなんて,世の中にいるとは思えない(自分の子どもたちは無理だった)。
ただし,幼少期からきちんと「原因と結果」の因果関係を教え,何かやらかしたときもその子の発達段階に応じた「論理的な叱り方」をしているだけなのだろう。
結果が出ない,失敗してしまった
ときには必ず原因がある。幼少期の頃から「その原因としっかり向き合う習慣」を身につけさせることが,このような家庭にとっては「しつけ」の一部なのだろうと私は思う。
普通の家庭のような
一人で●●ができるようになった
親の手をわずらわせない「いい子」になった
は,最初からゴールじゃないんだよ。これがゴールだと「ゴールに到達しないわが子」に腹をたてるから,結果的に(感情的に)叱る機会が多くなるのだろう。
調査結果では,
アスリートの母親は、家事に対する意識でも前向きな傾向が強く、「子どものためなら家事は苦にならない」は、92.5%に上った。一般的な母親は68.1%だった。アスリートの母親は、通常の家事に加え、ユニフォームの洗濯、練習場への送り迎えなど、子どものために割く時間が多いと思われるが、「自分は人生を楽しんでいる」も90.0%に達し、一般的な母親の50.0%と大きな開きがみられた。
とある。子どもの才能に気づいていれば,そりゃ毎日楽しいよね。
「知識や情報よりも、実際に体験することが大事だと思う」という回答についても、アスリートの母親(92.5%)が一般的な母親(64.2%)より20%以上高かった。「子どもと一緒に練習や勉強をする」でもアスリートの母親(75.0%)が一般的な母親(63.3%)を上回った
とも。
陸上でも英語でも受験でも何でもいいけれど,「親の視野の広さ」が子育てに強い影響を及ぼすことは言うまでもない。 最終的なゴールを設定し,そこから逆算して「今やるべきこと」を見据え,日常の到達度をチェックする姿勢を持っているのか・・・・。この姿勢を持って叱るのが「視野の広い親」なのだろう。
この人たちは,「子どもたちのゴールをイメージできた人」なんだ。我が家の子どもたちにはイメージなんてできなかった。だから,私や嫁には真似はできなかったし真似することにメリットもなかった。
だから,最初に戻ってもう一度言う。
自分の子どもに「あふれるほどの才能や可能性」が見てとれるならまだしも,親自身が何も見えていないのに, この記事を読んだだけで「じゃあ,うちもほめて伸ばすことにする」はやめたほうがよい。
ただし,子どもの才能や可能性を発見してあげるのも親の役目だから,「うちの子には何にもないわ」とあきらめるのもちょっと違う。まずは「自分の子どもの長所」をじっくり見つけてあげてほしい。
「ほめて伸ばす」は,それを見つけた家庭にだけ許される。
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