前回の記事は、Bay City Rollers ファン以外の方にはさっぱりわからなかったものと思いますが、今回は、それをはるかに上回り、コアなローラーマニアしか興味を持たないことが確実な、極めてマニアックな内容の「上級編」であることを予めおことわりしておきます。

 

 

この曲は、1972年に BCR のサードシングルとしてリリースされ、ラジオ・ルクセンブルグのソングコンテストでグランプリを獲得し、イスラエルでは No.1 に輝きました。さらに西ドイツで25位となったほか、フランス、オランダ、ベルギー、フィンランドなどでもヒットした(チャート入りしたとのことだが、順位は確認できず)のですが、イギリスではチャートインすら果たせませんでした。彼らのデビューシングル "Keep On Dancing" とセカンドシングル "We Can Make Music" のプロデュースを手掛けた Jonathan King が、自らのレーベルを立ち上げたことでローラーズから手を引くこととなったため(ローラーズのマネジャー Tam Paton は、King にプロデュースを続けることを要請したが、契約上の問題で断られたとのこと)、それに代わるプロデューサーとして、Honeycombs の "Have I The Right?" (Dead End Kids によるカバーでもおなじみ)と Dave Dee, Dozy, Beaky, Mick & Tich (DDDBM&T) の "The Legend Of Xanadu" (日本でもヒットした(邦題は『キサナドゥの伝説』))の2曲の全英 No.1 ソングをはじめとして多くのヒット曲を世に送った Ken Howard - Alan Blaikley のコンビに依頼して、この曲のリリースとなったとのこと(ちなみに、Howard と Blaikey はゲイとして知られ、Tam Paton もゲイだったので、「類友」だったのかもしれない-「おホモだち」ではなかったとしても(笑))。

 

こちらは西ドイツ盤シングルのジャケット。

 

 

モノの本によると、ローラーズは Howard - Blaikley コンビのプロデュースのもと5曲をレコーディングしたそうで、"Mañana" のほかには、前回触れた "Wouldn't You Like It? (1972 version)" があります。この、"Wouldn't You Like It? (1972 version)" が、アルバム "Wouldn't You Like It?" のリイシューCDのボーナストラックとして日の目を見たことは前回触れたとおりですが、同CDにはさらに、Howard - Blaikley コンビのプロデュースによるこちらの曲もボーナストラックとして収録されています。

 

 

さらに、"I'd Do It Again" と同時に "In Love's Dominion" という曲がレコーディングされたとのこと。

 

 

Howard - Blaikley のウェブサイトでは、この "In Love's Dominion" は Dave Dee の曲としてクレジットされているのですが、DDDBM&T のウェブサイトの「The Songs」のページ(DDDBM&T と一部メンバーによるユニット及び各メンバーがソロで発表した全作品が網羅されている)にはこの曲が掲載されておらず(これに対し、ローラーズがこの曲をレコーディングしたことは複数のソースで確認できる)、ボーカルも Nobby Clark らしく聞こえるので、おそらく Howard - Blaikley のウェブサイトの記載は誤りと思われます(これがローラーズによるものだとすると、残る未発表曲はあと1曲ということになるが、今のところ発表されていないようで、そのタイトルすら不明)。

 

さて、以上の3曲("In Love's Dominion" もローラーズの作品だとして)のリードボーカルを務めたのは Nobby Clark ですが(映像には Leslie、Woody、Ian、Pat が登場するが、いずれも彼らが加入する前のもの)、シングル "Mañana" のB面には、その Nobby Clark が書いたこちらの曲が収録されました(BCR のメンバーが書いたオリジナル曲で初めてレコード化された)。 

 

 

彼は、BCR 在籍中にほかにも曲を書いたということですが、採用されたのは↑のみで、1973年に、"Saturday Night"、そのB面の "Hey C.B."、"Remember (Sha La La La)"、そのB面の "Bye Bye Barbara" 及び "Shang-A-Lang" (これら5曲のうち、"Shang-A-Lang" の「Nobby バージョン」は現在に至るまで未発表)のボーカルを吹き込んだのを最後に、目指す音楽の方向性の違い(彼はウェストコースト志向だったが、他のメンバー(特に Eric)はそうではなかったとのこと)からローラーズを脱退し、ソロに転向。↓は1976年にイギリス、西ドイツ、日本などでリリースされたソロデビュー(?)シングル(Nobby の自作曲)ですが、まったくヒットしませんでした(私も、当時、日本でちょっと話題になったことをかすかに記憶している程度・・・あと、この曲のサビの部分も)。