読書雑記 -17ページ目

読書雑記

読書日記。

ほとんど自分のためのものです。


☆☆☆☆★

世界をドラマチックに理解したくなる10の本能を抑え、事実(データ)に基づき、世界を正しく見る方法・姿勢ーファクトフルネスーについて教えてくれる。

世界の基本的な事実に関する13のクイズに対して、その筋の専門家でさえ、いかに誤った回答をするか。

その原因は世界をドラマチックに捉えてしまう10の本能にあるという。

ドラマチックすぎる本能によりどのような誤解をしてしまうか、それらの本能を抑えるにはどうしたらよいか、豊富な経験や実例を踏まえ、平易な文章で説明してくれる。

〈ドラマチック過ぎる10の本能を抑制するには〉
① 分断本能
「世界は分断されている」という思い込み
→対局の人だけでなく大半の人がどこにいるか探そう。
②ネガティブ本能
「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
→悪いニュースの方が広がりやすいと覚えておこう。
③直線本能
「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
→なんでもかんでも、直線のグラフを当てはめないようにしよう。
④恐怖本能
   危険でないことを恐ろしいと考えてしまう思い込み
→リスク(危険度×頻度)を正しく計算しよう。
⑤過大視本能
「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
→目の前の数字は、他の数字と比較しよう。
⑥パターン化本能
「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
→同じ集団にある違い、違う集団にある共通項を探そう。
⑦宿命本能
「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
→ゆっくりでも変化していることに目を向けよう。
⑧単純化本能
「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
→ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう。
⑨犯人捜し本能
「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
→犯人ではなく原因を、ヒーローではなく仕組みに目を向けよう。
⑩焦り本能
「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
→即決すべきことはめったになく、小さな一歩を重ねよう。

余命1年未満と宣告されたハンス・ロスリングが残りの命と魂を捧げた渾身の書。あとがきにその過程にも少し触れられていて、その熱意や生き方に心打たれる。


☆☆☆☆★

「リスクの問題」を縦軸(y軸)に、「価値の問題」を横軸(x軸)としたマトリクスを用いて、自民党の政治家(安倍首相と9人の首相候補者)を評価している。

人々が生きていく上でのリスクを社会と個人のどちらで対応することを基本とすべきかという「リスクの問題」と、個人の価値観に政治・権力が介入すべきか、あるいは多様性を認めるべきかという「価値の問題」の二軸で、政治家の著作、新聞や雑誌の対談、インタビュー等での発言を材料に政治家の特徴を読み解く。

マトリクスで政治家の立ち位置が視覚的に捉えることができるだけでなく、また、首相になるためには、こういった分野の発言が少ないといったことまでも指摘されておりわかりやすい。


☆☆☆☆★

柚月裕子の「佐方貞人」シリーズの短編集。

全て佐方は脇役として登場するのだが、それぞれの物語で重要な役割を果たす。

この短編集を通じて検事時代の若かりし頃の佐方の姿やいくつかの秘密も明らかにされる。





☆☆☆★★

ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art)を舞台にした原田マハの短編集。

この小説を読んでいると、アメリカ(ヨーロッパもそうだろうけれど)は、人々の美術館やキュレーター(学芸員)に対する愛着や敬意の念の深さを感じる。


☆☆☆★★

読書が楽しいのは楽しいのだが、仕事や生活に役立っているかというと甚だ疑問なので本書を読んでみた。

まず本を読んでいるときに、目的を忘れないこと(目的の明確化)。

また、自分の言葉で説明できるように本の内容を咀嚼すること(思考整理)。

さらには、長い内容は覚えていられないので、20字で要約すること(端的な要約)。

そのための手法として、紙1枚に書くだけの「1シート・ラーニング・システム」を紹介している。






☆☆☆☆☆

巧妙なトリック、魅力的な登場人物、心動かされる事件の背景など、ミステリに期待したい要素が高いレベルで詰まっていると思う。

柚月裕子の描く男の主人公がこれまた良い。

ある男ある男
1,728円
Amazon

☆☆☆☆★

芥川賞を取った『日蝕』が難しそうだったので、平野啓一郎の作品は敬遠していたけれど、人に薦められて本書を読んでみたらイメージが変わった。

重いテーマであり読むのが少し疲れるが、「静かな感動」を呼び起こす。

長時間労働の実態、背景、原因から、「働き方改革」の問題点、残業削減策、組織改革まで、2万人を対象とした大規模調査に基づき、説得力ある内容になっている。

自らの職場の現状に照らしても、この分析結果や処方箋は役に立ちそうだ。

著者も末尾に書いているように、「教室を出たら(この本を読み終わったら)、『事』をなす(実践する)のみ」。

以下は、読書メモ。

・残業が個人にもたらすリスク
  ① 健康リスク
  ② 学びのリスク
・残業が企業にもたらすリスク
  ① 採用リスク
  ② 人材リスク
  ③ イノベーションリスク
  ④ コンプライアンスリスク

・底なし残業の裏にある2つの「無限」
  ① 時間の無限性
  ② 仕事の無限性

・残業は、「集中」し、「感染」し、「遺伝」する。
・残業は「職場」で生まれている「集団/社会現象」である。

・上司の指示が曖昧だと、部下は残業代をあてにする。

・長時間残業のメカニズム
    個人レベルでは、「麻痺」「残業代依存」が起こり、個人の「習慣」として定着する(個の学習)
    そこに、組織レベルで、「集中」「感染」が起こり、組織内の非公式な「制度」として定着する(ヨコの学習)。
    さらに、そのが効果は「遺伝」というプロセスで世代間に継承されます(タテの学習)。

・残業施策の失敗により引き起こされる現象
   ① 残業のブラックボックス化
   ② 組織コンディションの悪化
   ③ 施策の形骸化

・残業施策はその半数程度しか効果が実感されていないにもかかわらず、「廃止」された施策はほとんどなかった。

・施策失敗の3つの落とし穴
   ① 「施策コピペ」の落とし穴
   ② 「鶴の一声」の落とし穴
   ③ 「御触書モデル」の落とし穴

・残業削減施策のポイント
   ① 残業時間の「見える化」
   ② コミットメントを高める
        告知の「オムニチャネル化」
        キーパーソンを味方に
   ③ 1ヶ月後の「死の谷」を乗り越える
   ④  効果を「見える化」し、残業代を「還元」

・組織内で昇格していくことがインセンティブにならない事態は、日本企業の組織運営を根本から覆しかねない。

・「希望のマネジメント」に必要な3つの力
→ 「希望の組織開発」に必要な3つの透明性
   ① ジャッジ力 → 時間の透明性
        不確実な状況でも一貫した軸を持って迅速に状況判断・指示する能力
        とりわけ重要なのがジャッジ力、それも「やらない」ことをジャッジする力
   ② グリップ力 → 業務の透明性
        現場の状況や進捗を把握する能力
   ③ チーム・アップ力 → コミュニケーションの透明性
        オープンで風通し良く、活発にコミュニケーションをする能力
        マネージャーが「自分はわかっている、知っている」ことがメンバーに伝わっている度合いは、「自分が思う2割引き」程度

・経営学におけるマネジメントの有名な定義は、「他者を通じて、事を成し遂げる(Getting things done through others)」








☆☆☆★★

刊行から30年経って、時代の違いを随所に感じるものの、古くささはない。

会話を中心とした流れるような文章に感心し、一気に読んでしまう。

それでも上品過ぎて何か物足りない。
ワンマンの小林会長や主人公を追いやった前島部長にしても迫力に欠ける。

同じく高杉良の『金融腐食列島』シリーズや池井戸潤作品に出てくるような悪役に慣れ過ぎているのだろうか。