秋の夜長、数学が苦手な私たちにも楽しめるオススメの本&映画5選 | エッセンシャル出版社のブログ

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秋の夜長、数学が苦手な私たちにも楽しめるオススメの本&映画5選


 

 

エッセンシャル出版社の自称・うさぴょん編集員(うさぎ年生まれのウサギ好きです)です。

 

 

突然ですが、私は数学が苦手です。「苦手なひとは手を挙げて!」といわれたら、真っ先に手を挙げちゃいます。
ところが、なぜか数学者のお話を読むのは好きなのです。

そこで、いよいよ本格的な秋の到来となったところで、皆さんにお薦めしたい数学者の本と映画をご紹介したいと思います。

 

■『完全なる証明』
 

ずいぶん前にNスペで「100年の難問はなぜ解けたのか」という番組を見たのが、私が数学者に興味を持ったきっかけだったと思います(たぶん)。

 

ロシアの数学者グレゴーリー・ペレルマンというひとが、ある日ネット上にひとつの論文をアップしました。それが、米国のクレイ数学研究所が2000年に発表した「ミレニアム懸賞問題」(まだ証明されていない7つの問題)のうちのひとつ、「ポアンカレ予想」の証明だったのです。「ポアンカレ予想」というのは……

 
   

 

 単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である(S3はSの3乗)

 


???……私には、まるでチンプンカンプンで宇宙人の言葉のようなのですが(苦笑)、これを見事に証明したのがペレルマンさんです。

 

ポアンカレ予想は「懸賞問題」なので、解いたひとには100万ドルの賞金が出ます。しかし、ペレルマンさんはこれを拒否。のみならず、「数学界のノーベル賞」といわれるフィールズ賞の受賞をも拒否したばかりではなく、突如として数学の表舞台からも姿を消してしまいました。

 

『完全なる証明』(マーシャ・ガッセン著 青木薫訳 文春文庫)は、ペレルマンさんの偉業と、その栄誉に背を向けた彼の生い立ちなどが丁寧に描かれています。これを読むと、ペレルマンさんは「やっぱり相当な変わり者なんだろうなぁ~」と思います。
皆さんは、「数学者=変わり者」というイメージがないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

■『フェルマーの最終定理』
 

3以上の自然数 n について、xn + yn = zn となる自然数の組 (x、y、z) は存在しない(nはn乗)

 


これが「フェルマーの最終定理」。ポアンカレ予想に比べると、はるかにとっつきやすそうなのだけれど、こちらも長く証明されることがなかった難問のひとつです。

 

フェルマーは17世紀のひとで、いわゆる「数学マニア」。数学の本を読んでは、思いついた数式や定理などを本の余白に書き込む癖があったそうです。

 

あるとき、古代ギリシアの数学者の本を読んでいて上の定理を思いついた彼は、「私は真に驚くべき証明を見つけた。でもそれを書くには、この余白は狭すぎる」と本に書き残したのでした。おいおい!

 

ちゃんとノートにでも証明を書いておいてくれたらよかったのだけれど(笑)、そのおかげで多くの数学者たちがこの難問に挑戦することになりました。

 

『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン著 青木薫訳 新潮文庫)には、キラ星のごとき天才数学者たちが、フェルマーが知る由もなかった最新理論を駆使して(そもそもそれってあり?)、この難問に挑戦する姿が描かれています。その様子はじつに人間臭くて気を惹かれるのです。

 

1995年、フェルマーの死後じつに330年経ってから、フェルマーの最終定理は、英国人のアンドリュー・ワイルズによって証明されました。この本には、ワイルズが発表を行なう会場に詰めかけた人びとの熱狂や期待、証明が終わった瞬間の歓喜の様子なども活写されています。まさかこんな大騒ぎになるなんて、フェルマーさん、思ってもみなかったでしょうね。

 

 

 

 

 

 

■『世にも美しき数学者たちの日常』

 

『世にも美しき数学者たちの日常』(二宮敦人著 幻冬舎)は、私が読んだ数学者を描いた最新の本です。数学に苦手意識を持つ著者が(シンパシー!)、「数学好きなひとたちの頭のなかは一体どうなっているんだっ!?」と、日本の数学者や、数学を生業(なりわい)にしているひとたちに会いに行くというもの。すごく面白いです。

数学者の本ではないけれど、同じ著者の『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』という本もすごく面白いのでお薦めしておきます。

 

本書のなかで「うんうん、そうかもしれない!」と思ったのが、ある数学史の先生の話です。

「いまの数学には情緒がない」と先生はいうのです。その喩え(たとえ)として「鶴亀算」の話が出てきます。

 

「鶴と亀が10匹いました。足は合計で30本。鶴と亀はそれぞれ何匹いましたか?」という問題があったとき、昔のひとは、亀がヒョイっと2本足で立ち上がる姿を想像したかもしれない、といいました。そうすると、足は全部で20本になるから、残りの10本は亀が上げた足だとわかる。

 

ところが、現代の受験数学はこれを、「X+Y=10 2X+4Y=30」という無味乾燥な連立方程式にしてしまった。
ここには情緒がない、というわけです。

 

思わず膝を叩いた私です。数学が苦手な理由が少しわかったような気がしたのです。著者も同じように感じたようでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■『算法少女』

 

ところで、こんな私ですが、『小4から育てられる算数脳plus』(高濱正伸著)という本の編集をしました。
正直、苦労しました。小学生向けの中学受験の問題がいくつか出てくるのですが、まあその難しいこと!

そんななかで、いまだによく覚えている問題があります。

 
   

 

【問題】

50人の生徒がいて、1番から50番までの出席番号がついています。それぞれの番号のついたロッカーもあります。さて、まず1番の生徒が、全てのロッカーの扉を開けました。次に2番の生徒が偶数番のロッカーの扉を閉めました。次に3番の生徒が、自分の倍数の番号のロッカー全てを、「開いていたら閉めて、閉まっていたら開ける」という作業を行いました。このように番号順に全員が開け閉めの作業を行っていって、50番の生徒が作業を終えたとき、最終的に開いているロッカーはどれでしょうか。(灘中)

 

これ、テストで出されたら、もう頭がパニくって爆発しそうになっちゃいますけど、知り合いと楽しく飲んでいるときに、「ちょっとこんなクイズがあるんだけどさ~」とかなんとかいわれて出されたら、すごく楽しんで挑めると思うんですね。

 

たぶん、そういう楽しさ、面白さを学校で教えてくれていたら、数学(これは算数レベルだけど……)に苦手意識を持つこともなかったんじゃないかなぁ~と思ったりするんですね。

 

ちなみに、この問題は「整数」の問題として掲載されています。「数字の性質」を掴むことが、算数脳を育てることにつながるというお話で使われています。

 

とりあえず、ちからわざで解くこともできます(紙に50個数字を書いて「空けて閉めて」をやる。「できないひと」の典型!)。
時間のある方はチャレンジしてみてください。答えは7個あります!

 

あとは、『算法少女』(遠藤寛子著 ちくま学芸文庫)なんかも楽しく読めますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■グッド・ウィル・ハンティング
 

「いまさらこれっ!?」と思われる方も多いかもしれませんが、結構古い映画なので若いひとは観ていないかもしれないし(1997年公開)、なにより大好きな映画なので紹介したいと思います。

 

主演は、「ジェイソン・ボーン」シリーズなどで人気のマット・デイモン。この映画公開当時はまだ無名の俳優でした。彼の幼馴染で、この映画でも親友役として出演しているベン・アフレックと脚本を書いて、ふたりは本作でアカデミー賞脚本賞を受賞しています。

 

ウィル(マット・デイモン)は孤児で、昼間は掃除夫としてMIT(マサチューセッツ工科大学)で働き、夜な夜な友人とつるんではバーで酒を飲んだり、喧嘩をしたりして憂さを晴らすという日々を送っています。

 

ある日、MITの廊下の黒板に書き出されていた数学の問題——フィールズ賞を受賞した教授(出たなフィールズ賞!)が、自分の生徒たちに向けて出した課題を目にしたウィルは、その問題をさらさらと、いとも簡単に解いてしまいます。
じつは、彼には類まれなる数学の才能があったのです。

 

問題を解いたのは誰か?——「自分が問題を解いた」と誰も名乗り出なかったことから、教授は「これは自分への挑戦だ」と、今度は自分が2年かけて解いたという問題を黒板に書きます。
そして、ひと気のない廊下で黒板に向かって答えを書いている掃除夫のウィルを偶然見かけて……。

 

 

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=r7r8Kt1NykI

 

この映画を観ると、いつも思いだす話があります。以前いた出版社で、私はMITに社命留学したひとの体験談をまとめて本にしたことがあります。そのなかで、あるとき、MITの数学の授業で難しい問題が出た、というお話です。

 

そのひと——仮に佐藤さんとしておきましょう——は、もともと数学が大好きで、それなりに自信を持っていました。しかし、その問題にはまったく歯が立ちません。でも宿題はやっていかないといけないので、同じ家にホームステイしていた日本人留学生のAさんに相談をしました。Aさんは問題を一読すると、「これは2つ解き方がありますね」といったそうです。びっくりした佐藤さんでしたが、Aさんがしてくれた説明を必死にメモしてまとめ、それを答案として提出したのでした。

 

後日の数学の講義で、教授はこういいました。

「この問題が解けたのは、日本人の佐藤だけだった。みんなのまえで説明してくれ」と。

 

佐藤さんは汗だくになり、しどろもどろになりながらも、どうにかこうにか説明を終えたそうです。以降、Aさんに相談することはあっても、そのまま答案として出すことはやめたとおっしゃっていました(笑)。Aさんはウィルのようなひとだったのですね。

 

映画の話に戻ると、ウィルには天賦の才があるものの、彼は心に問題を抱えていました。誰にも心を開かないのです。フィールズ賞教授の友人で、心理学者のショーン(ロビン・ウイリアムズ)によるウィルとのカウンセリングは、とても興味深いです。

 

じつは、ショーンもまた、最愛の妻を亡くして以降、いいしれない孤独を抱えるひとでした。そんなふたりが心を通じ合わせるシーンは、何度観ても泣けます。号泣ものです。

 

ノーベル経済学賞受賞者のジョン・ナッシュの半生を描いた『ビューティフル・マインド』(主演:ラッセル・クロウ)とか、第二次大戦中のドイツの暗号「エニグマ」を解読したアラン・チューリングを描いた『イミテーション・ゲーム』(主演:ベネディクト・カンバーバッチ)なんかも、数学者の「変人ぶりと孤独」を描いた面白い作品です。

 

秋の夜長のお供にぜひどうぞ!

 

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