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‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その8(1972年 第八章 107条~114条)‐
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『朝鮮民主主義人民共和国国旗』
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『南北朝鮮の行政区画』 時事通信社 『朝鮮要覧1973』現代朝鮮研究会 20頁より
第九章 地方人民会議、人民委員会および行政委員会
第一一五章 道(直轄市)、市(区域)、郡人民会議は地方主権機関である。
第一一六条 地方人民会議は一般的、平等的、直接的選挙の原則によって秘密投票で選出した代議員で構成する。
第一一七条 道(直轄市)人民会議の任期は四年、市(区域)、郡人民会議の任期は二年とする。
第一一八条 地方人民会議はつぎのような任務と権限を有する。
一、地方の人民経済発展計画を承認する。
二、地方予算を承認する。
三、当該人民委員会委員長、副委員長、書記長、委員を選挙および召還する。
四、当該行政委員会委員長を選挙および召還する。
五、当該裁判所の判事、人民参審員を選挙および召還する。
六、当該人民委員会と下級人民会議および人民委員会のあやまった決定、指示を廃止する。
第一一九条 地方人民会議は定期会議と臨時会議をもつ。定期会議は一年に一~二回、当該人民委員会が召集する。臨時会議は当該人民委員会が必要と認めるとき、または全代議員の三分の一以上の要請があるとき召集する。
第一二〇条 地方人民会議は全代議員の半数以上が参席して成立する。
第一二一条 地方人民会議は議長を選挙する。議長は会議を執行する。
第一二二条 地方人民会議は決定を採択する。地方人民会議決定は当該人民委員会委員長が公布する。
第一二三条 道(直轄市)、市(区域)、郡人民委員会は当該人民会議休会中の地方主権機関である。
第一二四条 地方人民委員会は委員長、副委員長、書記長、委員で構成する。地方人民委員会の任期は当該人民会議の任期と同じである。
第一二五条 地方人民委員会はつぎのような任務と権限を有する。
一、人民会議を召集する。
二、人民会議代議員選挙のための活動を行なう。
三、人民会議代議員との活動を行なう。
四、当該人民会議と上級人民委員会の決定事項のための対策を立てる。
五、当該行政委員会の事業を指導する。
六、下級人民委員会の事業を指導する。
七、当該地域内の国家機関、企業所および社会協同団体の事業を指導する。
八、当該行政員会と下級人民委員会および行政委員会のあやまった決定、指示を廃止し、下級人民会議のあやまった決定の執行を停止させる。
九、当該行政員会副委員長、事務長、委員を任命および解任する。
第一二六条 地方人民委員会は決定を採択し、指示を出す。
第一二七条 地方人民委員会は自己の活動にたいして当該人民会議と上級人民委員会の前に責任を負う。
第一二八条 道(直轄市)、市(区域)、郡行政委員会は地方主権機関の行政的執行機関である。
第一二九条 地方行政委員会は委員長、副委員長、事務長、委員で構成する。
第一三〇条 地方行政委員会はつぎのような任務と権限を有する。
一、当該地方のすべての行政事業を組織執行する。
二、当該人民会議、人民委員会および上級機関の決定、指示を執行する。
三、地方の人民経済発展計画を作成し、その実行対策を立てる。
四、地方予算を編成し、その執行対策を立てる。
五、当該地方の社会秩序の維持、国家の利益保護および公民の権利保障のための対策を立てる。
六、下級行政委員会の事業を指導する。
七、下級行政委員会のあやまった決定、指示を廃止する。
第一三一条 地方行政委員会は決定を採択し、指示を出す。
第一三二条 地方行政委員会は自己の活動にたいして当該人民会議と人民委員会の前に責任を負う。地方行政委員会は上級行政委員会と政務院に服従する。
『同』 289~291頁より
『同』 179頁より
・北朝鮮における地方行政機関の詳細
最高人民会議(立法府)ならびに朝鮮民主主義人民共和国主席(国家元首)、中央人民委員会(国政の中枢)と政務院(内閣)に関する記述は以下。
‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その5(1972年 第五章 73条~88条)‐
‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その6(1972年 第六章 89条~99条)‐
‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その7(1972年 第七章 100条~106条)‐
‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その8(1972年 第八章 107条~114条)‐
時事通信社 『朝鮮要覧1973』現代朝鮮研究会より
道(直轄市)、市(区域)、郡各人民会議は「地方主権機関である」(憲法第一一五条)。
各級の地方人民会議の代議員(議員)は有権者の直接秘密選挙で選出される。任期は道(直轄市)が4年、市(区域)および郡が2年。1972年12月の地方選挙では、道(直轄市)人民会議代議員3185名、市(区域)、郡人民会議代議員2万4784名が選出された(同参考資料より)。
各級の地方人民会議は、それぞれの地方の国民経済発展計画と地方予算を承認するほか、当該地方の人民委員会(人民会議休会中の地方主権機関)のメンバー選挙、召還、当該地方の行政委員会(行政的執行機関)の委員長選挙と召還、および当該裁判所の判事、人民参審員の選挙、召還をおこないます。
地方行政区域は、9つの道および4つの直轄市からなります。道は、市(シ)と郡(グン)にわかれ、郡の下に里(リ)があります(※同書より‐1962年7月現在、市は10、郡は166、里は3589)。
1972年末まで里(リ)段階にも、人民会議と人民員会が設けられていましたが、これは新憲法のもとで廃止されました(同書)。
直轄市には区域(クヨッ)があり、区域(クヨッ)と市(シ)の下には洞(ドン)があります。
道・直轄市および市は、次の通りです(*印は道人民委員会所在地)。
=直轄市=
平壌(ピョンヤン)、咸興(ハンフン)、開城(ケソン)、清津(チョンチン)
=道と市=
平安南道(ピョンアンナンド) 黄海南道(ファンへナンド) 咸鏡北道(ハンギョンプット)
*平城(ピョンソン) *海州(ヘジュ) *清津(チョンチン) 南浦(ナンポ) 黄海北道(ファンへプット) 金策(キムチェッ)
平安北道(ピョンアンプット) *沙里院(サリウォン) 江原道(カンウォンド)
*新義州(シニュウィジュ) 松林(ソンリム) *元山(ウォンサン)
慈江道(チャガンド) 咸鏡南道(ハンギョンナンド) 両江道(リャンガンド)
*江界(カンゲ) *咸興(ハンフン) *恵山(エサン)
〔注〕平安南道人民委員会所在地の平城は市ではなく洞。
※()は筆者註
『同』 180頁より
<参考資料>
・時事通信社 『朝鮮要覧1973』現代朝鮮研究会
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