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‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その５(１９７２年 第五章 ７３条～８８条)‐
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『朝鮮民主主義人民共和国国旗』
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第六章 朝鮮民主主義人民共和国主席
第八九条 朝鮮民主主義人民共和国主席は国家の首班であり、朝鮮民主主義人民共和国国家主権を代表する。
第九〇条 朝鮮民主主義人民共和国は最高人民会議で選挙する。朝鮮民主主義人民共和国主席の任期は四年とする。
第九一条 朝鮮民主主義人民共和国主席は中央人民委員会を直接指導する。
第九二条 朝鮮民主主義人民共和国主席は必要に応じ政務院会議を召集し、指導する。
第九三条 朝鮮民主主義人民共和国主席は朝鮮民主主義人民共和国の全般的武力の最高司令官、国防委員会委員長となり、国家の一切の武力を指導統率する。
第九四条 朝鮮民主主義人民共和国主席は最高人民会議法令、中央人民委員会政令、最高人民会議常設会議決定を公布する。朝鮮民主主義人民共和国主席は命令を発する。
第九五条 朝鮮民主主義人民共和国主席は特赦権を行使する。
第九六条 朝鮮民主主義人民共和国主席は他国と結んだ条約を批准または廃棄する。
第九七条 朝鮮民主主義人民共和国主席は他国の使臣の信任状、召還状を接受する。
第九八条 朝鮮民主主義人民共和国主席は自己の活動にたいして最高人民会議の前に責任を負う。
第九九条 朝鮮民主主義人民共和国副主席は主席の活動を助ける。
時事通信社 『朝鮮要覧１９７３』現代朝鮮研究会 ２８６頁より
・国家主席(元首)と政治機構
『故・金日成主席』 (写真は在日コリアンの友人提供)
これに先立ち、北朝鮮の『最高人民会議』(国会＝立法府)について説明を致します。
‐朝鮮民主主義人民共和国憲法を読む その５(１９７２年 第五章 ７３条～８８条)‐
主に朝鮮民主主義人民共和国の主権は「労働者、農民、兵士、勤労知識人にある」(憲法第七条)に規定されています。
勤労人民は最高人民会議と地方各級人民会議を通じて自己の主権を行使します。選挙と被選挙権は、満１７歳以上の公民がもつ(旧憲法では１８歳以上)。
最高人民会議は共和国の最高主権機関である。立法権は最高人民会議だけが公使する。最高人民会議の代議員(議員)は、公民の直接、秘密投票で選出される(１９７２年１２月の選挙では５４１名が選出された)。代議員の任期は４年で、リコール制があります。
最高人民会議の権限は、次の通り。
一、憲法および法令(法律)の採択・修正。
二、国家の対内外政策の基本原則の樹立。
三、共和国主席の選挙。
四、共和国主席の提議にもとづく副主席、中央人民委員会書記長、同委員、政務院総理、国防委員会副委員長の選挙および召還。最高人民会議常設会議議員の選挙および召還。
五、中央裁判所所長の選挙・召還と中央検察所所長の任免。
六、国家の国民経済発展計画の承認。
七、国家予算の承認。
八、戦争と平和に関する問題の決定。
『同』 １６６頁より
さらに、最高人民会議の常務機関として常設会議が設けられています。
▼最高人民会議役員名簿(一九七三年二月末現在。カッコ内は編者注。*印の漢字名は音訳)
議長 黄長燁 Hwang Jang Yop (前金日成総合大学総長)
副議長 洪起文 Hong Gi Mun (社会科学院副院長)
許貞淑 Ho Jong Suk (祖国統一民主主義戦線書記局長)
最高人民会議常設会議
議員 徐哲 So Chol (労働党政治委員会委員)
韓益洙 Han Ik Su (人民軍総政治局長)
田昌哲 Chon Chang Chol (前最高人民会議常任委書記長)
朴辛徳 Pak Shin Dok (天道教青友党委員長)
金英男 Kim Yong Nam (労働党国際部長)
鄭準基 Chong Jun Gi (『労働新聞』責任主筆、記者同盟委員長)
廉泰俊 Ryom Tea Jun (職業総同盟委員長)
金聖愛 Kim Song Ae (女性同盟委員長)
金二勲 Kim I Hum (農業勤労者同盟委員長)
*李永福 Li Yong Bok (青年同盟委員長)
尹基福 Yun Gi Bok (労働党科学教育部長)
*李斗賛 Li Du Chan (金日成軍事総合大学総長)
姜成山 Kang Song San (労働党平壌市委責任秘書)
呉鉉周 O Hyon Ju (体育指導委員会委員長)
千世鳳 Chon Se Bong (作家同盟委員長)
李冕相 Li Myon Sang (音楽家同盟委員長)
事務長 田昌哲
『同』 １６７～１６８頁より
時事通信社 『朝鮮要覧１９７３』現代朝鮮研究会 １６９頁より
共和国主席は、前述によろしく「国家の首班であり、朝鮮民主主義人民共和国主権を代表する」(憲法第八九条)に規定されています。
主席は、最高人民会議で選挙され、任期は４年。
さらに主席は、自己の活動に対して最高人民会議の前に責任を負う。
主席の「権限」は広範で、以下の通りになります。
①中央人民委員会の首位となり、同委員会を直接指導する、②必要に応じて政務院会議を招集し指導する、③共和国の全般的武力の最高司令官であって、国防委員会委員長となり、国家のいっさいの武力を指揮統率する、④法令(法律)、政令、最高人民会議常設会議決定を公布するほか、みずから命令を出す、➄特赦権の行使、⑥条約の批准と廃棄、⑦外国使臣の信任状、召還状の接受、などをおこなう。
『同』 １７０頁より
また、共和国副主席は、主席の活動を助けます。
共和国主席 金日成 Kim Il Sung (労働党総秘書)
副主席 崔庸健 Choi Yong Kun (労働党政治委員会委員)
康良煜 Kang Ryang Uk (民主党委員長)
『同』 同頁より
以上が、北朝鮮における「国家主席」と「政治機構」のお話でした。
<参考資料>
・時事通信社 『朝鮮要覧１９７３』現代朝鮮研究会
<ツイッター>
【歴史学を学ぶ大切さを伝えるブログ(ふーくん)】
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