前回の記事

 

‐韓国に進出した日本の独占企業の話 その6(『韓国経済開発五ヵ年計画』を支えた日本企業)‐

 

 

今回は止まっていたシリーズの復活ですね。

 

その前に、今日の時事コーナーと行きたいと思います。

 

 

2018年11月22日(木曜日) 『東京新聞』(朝刊)より

 

 

 

‐文大統領の努力、「職を失い」悔しがる在韓米軍司令官、70年ぶりの敵対行為の中止‐

 

‐本田圭佑選手が朝鮮学校訪問の理由を語る‐

 

この中で類推できるように、文在寅大統領は「為政者」と「被害者」の分断を取り戻す政策に尽力しています。

 

朴槿恵政権は、先代の朴正煕大統領と同様、被害者とは無関係の政治を繰り返しました。

 

彼女が行った金のある者、力のある者への政治が、ある種北東アジアにおけるひとつの「分断」を作り出したと言えるでしょう。

 

また私たち日本人にしても、殊に「韓国」や他の北東アジア諸国との問題においては、やれ国益だ、国の名誉だとか、何かと理屈を付けては騒ぎ、根底にある「彼らだけ」に向けられる『必死さ』を、どうして在日米軍や不平等条約や憲法との絡みにおいて、自国を「植民地状態」に置いているアメリカには向けないのだろうと、つくづく考えています。

 

‐人扱いされない民族の末路 その1‐

 

‐人扱いされない民族の末路 その2‐

 

今日の記事は、そんなことを考えるひとつの材料として提供できればと思います。

 

 

まず下の表をご覧ください。

 

表7 南朝鮮(韓国)の輸入商品に占める日本製品輸入高とその比重(1)

 

表7 同(2)

 

これは韓国(南朝鮮)への、日本の所謂「独占資本」の輸出比重を表すものですが、この日本企業の対韓進出に関してのおさらいは、本シリーズの第一回目をご参照いただければ幸いです。

 

‐韓国に進出した日本の独占企業の話 その1(加速するアメリカへの依存)‐

 

上記の表7(1)を見ていくと、たとえば朝日製鉄(在日韓国人経営)小型高炉建設を名目として、丸紅飯田、日本鋼管が直接投資をするという形態で進出が行われている。

 

同様の形は、大阪の阪本紡績、その他にも見られ、八幡製鉄新日本工機なども契約、あるいは仮契約をしています。

 

またアメリカからの民間借款、商業借款という形で偽装した日本独占資本の進出があります。

 

これは『マルベニ・イイダ・アメリカン』『ニューヨーク・カネマツ』といったものにその典型を見出すことができます。

 

すでに大規模な割合を占める、日本独占資本の韓国進出の「本格化」は、1960年の張勉政権、翌年1961年の朴正熙軍事政権になって以後のことであり、アメリカのドル防衛、1960年ごろより表面化した日本独占の過剰生産を背景としながら進みました。

 

日本政府が、1961年9月~10月にかけ外務省の役人を中心とした『日本経済使節団』を、韓国に派遣しましたが、早くも1959年には進出が始まっています。

 

三井物産は同年に職員をおくり、三菱商事は同年12月塩の買い付けを手始めに、職員を派遣し、住友商事は61年2月に調査員を向かわせるなどして、同年12月に正式の韓国駐在員としています。

 

日綿実業は1960年、江商は61年11月に駐在員を韓国入りさせ、年を追うごとに多数の商社が入り込んで、取引実績も多くなっています。さらに日本独占資本は湯川康平団長とする『韓国鉱山プラント調査団』を派遣しました。

 

これは主に、韓国の施設、資源などを調べ、日本独占の対韓進出の第一歩として位置づけられます。

 

彼らの韓国に対する野望は、日韓協力を叫ぶ諸団体の乱立となって表現され、民間団体形式をとったこれらの団体には、日韓経済協力会(会長・植村甲午郎、機関誌として『協会報』を発行、日本側会員会社85社、韓国側会社26社)日韓経済協会(会長・団伊能)日韓親和会(会長・渋沢敬三)日韓漁業協議会(会長・小沢八弥)日韓友愛協会(会長・星島二郎)などが結成された。

 

その他にも、14団体が追加で設立され、関西日韓協会(会長・杉道助、90社参加、64年4月7日結成)という具合に、この傾向は拡大の一途をたどっています。

 

いずれにせよ、日本の独占資本が続々と「韓国入り」を果たしていく中で、その中で「過当競争」が起こり、解決策のために、効果的な経済協力と財界の窓口一本化を目指し、湯川康平らが『コレアン工業振興株式会社』を設立しました。

 

この民間ベースの窓口には、すでに韓国に進出している商社、これから進出しようとする企業を含め、東京銀行、日本鋼管、久保田鉄工、富士製鉄、ブリヂストンタイヤ、森永乳業など多数が参加。

 

上述の動きとは別に、「大企業独自の進出」も見られます。

 

こうした事態に、日本と韓国の民衆の反撃にあい、保税加工という形態をとってきましたが、日本独占は、二次にわたり訪韓使節団をおくり、その「経済的な侵略的意図」を明確にしてきている。

 

1962年9月の訪韓使節団長である植村は、出発に際し羽田空港にて「日本の進出が遅れれば、これらの諸国(アメリカ、西ドイツ、イタリア、デンマーク、オランダなどを指す)に進出のチャンスを奪われることになる」としています。

 

※米日独占資本以外の資本主義国の進出は、西ドイツ政府による借款としては62年度中に電信電話事業計画の7~8百万ドルである民間借款としては、イタリア・フランス共同による漁船導入のための借款が第1位を占め、西ドイツのセメント等━23.1百万ドル、スウェーデン━船舶9.3百万ドル、イギリス━化学繊維が568百万ドル、オランダ━航空機2千7百万ドル、カナダ━セメント5.6百万ドルがある。技術援助としては西ドイツの薬品製薬技術援助、イタリア━製薬、フランス━化粧品などである(以上は62年度中のものである。『韓国年間』、1963年度版)

 

 

殊に、米日韓の間で、どんどん「経済的な食いこみ」が進むと、人々が「生活を牛耳られ」自立できなくなる恐れが出てくる。つまりそれは、政治的に極めて「弱小な立場」に韓国が追いやられることに繋がります。

 

こうした性質がある以上、単に日韓は「仲良し」になれば物事が良いという話じゃない。

 

つまりそれは、仲良く「アメリカの植民地」として、これからも互いの『経済利権』のために、為政者同士仲良くしましょうやという意味に帰結する。

 

今まで韓国で「親日」と言われてきた勢力のひとつに、韓国保守政党の『自由韓国党』(現・セヌリ党/旧ハンナラ党)がありますが、この政党については以前の記事でお話したと思います。

 

‐金正恩委員長のソウル訪問歓迎の動き(若き学生たちの想い)‐

 

南北首脳会談には「反対」で、平壌宣言を「無効である」と称し、北東アジアの分断が永続化を望み、それに合わせたアメリカの軍産複合体に従属する形で、自分たちの保身や権利を温存し、いわゆるこれが韓国における「守旧派」と呼ばれる勢力です。

 

ここで見えることは、それまで自民党と韓国の保守派(守旧派)が、長きにわたり経済的に蜜月で、政治的にも日本側は彼らと結ぶ太いパイプがあり、彼らとしてもアメリカを中心とした『同盟』によって、自分たちの利益や立場を守ってきた。無論、それは在日米軍との問題とも密接に関わってくる。

 

これはアメリカの原爆投下を憎み、北東アジアの平和と連帯を望む中国人の方と話を重ねた、英語ブロガーMichikoさんの言葉にもあったように、『宗主国』と『従属国』の「緩衝材」としての自民党を体現したような内容です。

 

‐東アジアの今とこれから その16(大虐殺を乗り越えて、過去と現在の日中連帯)‐

 

くしくも『慰安婦合意』を行ったのは、かつて軍事政権で極め付けの「親日派」であった朴正熙大統領の娘で、ハンナラ党(現・自由韓国党/セヌリ党)出身の政治家であった朴槿恵氏。

 

対する日本側は、薩長閥出身で、戦後アメリカの「特赦」でもって処刑を免れたA級戦犯の孫である安倍総理。

 

もうここまでくればお分かりと思いますが、そういうことです。

 

ここ最近の情勢としては、韓国が経済的にも強力な立場が出来てきて、現代音楽を筆頭に、文化的にも圧倒的な地位を築き、一部の日本人が、それにパニックを起こす自体に発展してきている。

 

‐防弾少年団(BTS)の『原爆問題』を考える その1‐

 

‐防弾少年団(BTS)の『原爆問題』を考える その2‐

 

なおかつ政治情勢としては、中国が本来の超大国として「あるべき姿」を取り戻しつつあることを背景に、文在寅大統領の才覚と金正恩委員長の信頼と相まって、今年に入って続々と南北関係に進展があり、3度目の首脳会談を実現させ、北朝鮮としても「非エスタブリッシュメント」であるトランプ大統領のアメリカとトップ会談を実現しました。

 

私も、くどくど説明するのも嫌なのですが、このような現在進行中の政治史と向き合う中で、日本が「為すべき態度」というのは、どのようなものなのか。その立ち回りについて、過去の歴史を紐解くことによって「その矛盾」を暴き出し、同じ轍を踏まないように、自国が間違った歴史に進まないためにも、微力ながら警鐘を鳴らしていこうと思います。

 

 

<参考資料>

 

・2018年11月22日(木曜日) 『東京新聞』(朝刊)

 

・拙ブログ 『‐文大統領の努力、「職を失い」悔しがる在韓米軍司令官、70年ぶりの敵対行為の中止‐』記事

 

https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12418220206.html

 

・同 『‐本田圭佑選手が朝鮮学校訪問の理由を語る‐』記事

 

https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12411767307.html

 

・同 『‐人扱いされない民族の末路 その1‐』記事

 

https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12372414358.html

 

・同 『‐人扱いされない民族の末路 その2‐』記事

 

https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12372813137.html

 

・同 『‐金正恩委員長のソウル訪問歓迎の動き(若き学生たちの想い)‐』記事

 

https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12417547905.html

 

・同 『‐東アジアの今とこれから その16(大虐殺を乗り越えて、過去と現在の日中連帯)‐』記事

 

https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12419591528.html

 

・同 『‐防弾少年団(BTS)の『原爆問題』を考える その1‐』記事

 

https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12419246058.html

 

・同 『‐防弾少年団(BTS)の『原爆問題』を考える その2‐』記事

 

https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12419374251.html

 

・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第3巻 勁草書房

 

 

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