『上手くいったから嬉しいのではなく
嬉しいから上手くいったのだ。』
フランスの思想家でモラリストであった
アラン(1868年~1951年)の『幸福論』を読むと
こんな断章がある。

寒い時に
寒さに対抗する方法はただ、一つしかない。
それは
寒さとは良いものだと考えることだと言う。

『なんだそれ~』と拍子抜けしそうだが
日本の禅問答の言葉と
共通するものがあると思いませんか!?

そのアランが『喜びの達人』と呼ぶ
17世紀の哲学者スピノザは
『身体が温まったから喜ぶのではなく私が喜ぶから体が温まるのだ』
『上手くいったから嬉しいのではなく自分が嬉しいから上手くいったのだ』
と言う言葉を残しています。

私達が
学んできた知識や理論は
真実を掴むにはあまりにも非力です。
ですから
逃げてしまうのです。
苦しみから逃げようとすると苦しみは追いかけて来ます。
苦しさから
辛さから
厳しさから逃げようとすると潰されてしまいます。
それらを受け止めて受けて立とうとするところに
苦しさを
辛さを
厳しさを乗り越える力が湧いてくるものです。

ニーチェはこんな言葉を言ってます。
『如何なる運命も引き受けて立つ。そこから超人が出てくる』

また
日本の古人の言葉に『夏炉冬扇』がある。それは
『そんなに暑いなら囲炉裏にあたれ。そんなに寒かったら扇を使え。
暑い時には暑さの中に入れ。寒い時は寒さの中に入れ。
苦しい時は苦しさの中に入れ。悲しい時は思い切り悲しさの中に入れ。
風が吹いたら風の中に入れ。雨が降ったら雨の中に入れ。
その中に入りきった時、悲しみも憎しみも消え去る。』