音楽の力②
遅くなりましたがつづきです。
碧の会として出来ることを考えました。
募金・寄付金を集める。
コンサートをする。
どれも素晴らしいけれど…
まず1番に、この現実を忘れない。
そして、今いらっしゃる生徒さんを大切にし、今までと同じように丁寧に授業を行う。
今後、碧の会として行う事業(定期演奏会や講師演奏会など)のすべてにチャリティーの要素を含める。
小手先のことだけでなく、長いスパンで続けて出来ることをしよう。
このようなことを話しました。
会議の最中にも余震がありました。
碧の会の事務所も計画停電の地域に入っています。
書き切れないけど、他にもいろんな話をしました。
それでも、先生たちは生徒さんたちのことを1番に考えます。
音楽が出来ることを幸せに思い、その幸せを1人でも多くの人に伝えたいと思っています。
私は、碧の会の一員であることを誇りに思い、自分には音楽があることを改めて実感しました。
MAIKO
音楽の力①
今回の地震で、千葉県も大きな被害に遭いました。
津波や液状化、そして今も断水が続いている地域があり、計画停電も行われています。
碧の会の先生たちは千葉・東京・神奈川でオカリナとフルートの教室をしていますが、計画停電の地域の教室は生徒さんが来られなかったり、教室の機能が麻痺しているところも多いらしく、仕事にならないそうです。
そんな中、教室に参加してくださっている生徒さんが、改めて演奏出来ることの喜びや音楽の癒やしの力を噛み締めていることを知りました。
地震の際レッスン中だった方々は、財布もコートも持たず、楽器だけを握りしめて避難したそうです。
今も余震に怯える方々が、演奏をしている時は地震のことを忘れられるそうです。
老人ホームへボランティアの演奏をしに行った方々が、逆に励まされ、元気をもらって帰ってきたそうです。
私は何とも言えない込み上げてくるものをぐっとこらえて話を聞いていました。
長くなったので、続きはまた書きます。
MAIKO
好きな…
今日は久々に「題名のない音楽会」を見ました。
エマニュエル・パユさん、やっぱりものすごいですね。
確かにものすごいんですが、僕の大好きなフルーティストは別にいます。
フルート吹きであれば知らない人はいないであろう教則本、「ソノリテ」です。
その著者こそが、僕の大好きなフルーティスト「マルセル・モイーズ」その人です。
いや~、いつ見てもシブくてかっこいいですね。
もちろん好きなのは見た目ではなくて演奏です!
もっと正確に言えば、演奏というよりはこの方の「音楽」が大好きです。
だから、僕の中ではモイーズさんは演奏家というよりは音楽家と呼ぶべき方です。
この方は1900年代初期から中期にかけて活躍したフランスのフルート奏者なので(没年は1984年)、音源は古いものしか残っていません。
しかし、今なお20世紀最高のフルーティストとの呼び声も高く、現代の巨匠と言われる奏者のほとんどの方がモイーズ氏の弟子、あるいは孫弟子であり、奏者としてだけでなく、教育者としても超一流であった方です。
僕が初めてこの方の演奏を聴いたのは高校生の時でした。
僕は当時モーツァルトのフルート協奏曲第1番(G-dur)を練習しており、CDでいろんな方の演奏を聴いて勉強していましたが、どれを聴いてもしっくりくるものがなくて悩んでいました。
そんな時に聴いたのがモイーズ氏の演奏でした。
案の定古~い音源だったんですが、その音楽に衝撃を受けたことをはっきりと覚えています。
今思えば、まだ何も知らない高校生だった自分が衝撃を受けるほどに、他の奏者と比べ圧倒的な音楽性だったということなのでしょうね。
そして幸運にも、僕が大学で師事していた先生はモイーズ氏の高弟のお弟子さんであり、モイーズ氏本人にも師事したことのある先生でした。
その先生がレッスンでこうおっしゃっていました。
「僕はモイーズの演奏が好きだったから、学生時代にはよく真似をして吹いていた。ホントにそっくりに吹けるようにね。そしてそっくりに吹けるようになったと思って真似するのをやめた。でも、しばらくしてからまたモイーズの演奏を聴くと、やっぱり真似できてない事に気づくんだよね。やっぱりすごいんだよ。」
大学の頃、ある先輩が「モイーズみたく吹くのなんて簡単だ」と言っていました。
一瞬殴ってやろうかとも思いましたが、「ああ、たぶんこの人は本当の意味での『音楽とは何か』ってことがわからないまま一生を終えるんだろうなぁ」と思い、逆に憐れになってしまいました。
断っておきますが、演奏に対して好みがあるのは当たり前のことです。
みんながみんなモイーズさんの演奏が好きであるとはもちろん限りません。
しかし、音楽を志すものとして進むべき道、こうあるべきという形は必ずあると僕は思っています。
そういう道や形を示してくれる音楽家(演奏家)は、現代では極端に減ってしまったように思います。
だからこそ僕は、そういう道を示してくれたモイーズさんやそのお弟子さん達、そしてモイーズの孫弟子である僕の先生方の演奏を一生懸命真似してたくさん勉強し、人に伝えていきたいと思っています。
ま、僕はしがない福祉職員なのでできる事は限られているんですが、それでも諦めずにがんばります。
がんばり続けることに意義があるはず。きっと。
REN