「短い返事」(山田良美さんの個展にて)
こんなにも届き続けるあまおとの「受け取りました」の短い返事浜田えみな(画像は、山田良美さんの『約束』という作品です)***私にとって「雨」は「つながるもの」。天から無為に落ちて、受け取り手もなく流されていくように見えて、そうではなく、「約束の場所に届く手紙」なのだと感じたことが、この短歌のテーマです。絶え間なく続くあめのおと。それが……こんなに広い世界の中で、こんなに数多の雨が、長い旅を経て、今このとき、ただひとつの約束された点に向けて落ち、たしかに届いたことを伝える証だと感じたとき、私の知っているすべての雨の日は、一転して祝福に満ちた世界となり、心いっぱいに響く歓び(短い返事)を奏ではじめました。山田良美さんの個展を訪れたのは、そのことを三十一文字の短歌に詠みたくて、あれこれと言葉を並べ替えているときだったのです。絵の前に立ったとき、その気配や匂いが立ち上ったような気がして、「雨みたい……」と感じ、添えられたタイトルに「約束」という文字を認めたとき、「天からの雨」と「地球上のものたち」との出逢いについて、私が感じつづけているワードの一つと符合した奇跡に、「この気持ちを短歌にしていいんだ」と、ドンと背中を押してもらえた気がしたのです。良美さんがどのような想いでこの絵を描かれたのかはわかりません。描かれているものは「雨」ではないかもしれないし、「約束」の意味もわかりません。でも、良美さんが〈ゆるぎなくご自身の世界観を描かれた〉からこそ、〈観る人の中で芽吹き、旅立つ絵になるのだ〉と感じました。それは、物語(ストーリー)の起点です。個展会場には、たくさんの作品がありました。たくさんの色があり、画材があり、表現がありました。そのすべて……良美さんの絵の前に立つと、「芽吹き」のムズムズで、からだがザワザワします。何か始めたくなって、うずうずします。コトバたちの芽がでたがってどよめいているのです。(何になりたいの?)問いかけ続けます。短歌なのか。詩なのか。コラムなのか。エッセイなのか。小説なのか。それをきちんと見極めることを、私はしたいのだろうと思います。画家が、自分が表現したいことが一番魅力的に伝えられる画材や画法を選択するように。問いかけ続けることのできる作品の前で、私は動けなくなります。***FBの画像で良美さんの作品を幾つか閲覧したとき、(このかたとつながりたい)(作品を直に観たい)と感じたのは、そういうわけだったのかと、現実に作品の前に立って体感できました。自分の目で観ること。その前に立つ(その場所に行く)こと。ふれること。そうして感じたものを表現することを、私は大事にしています。***この日、決めたことが、もう一つあります。それは、「自分の作品を創る」ということです。言い換えると、「自分の世界観を築く」ということです。作品を創るとき、伝えたいことを「曖昧にしない」ということです。自分の作品を読んでくれた人が、ものすごく素敵に解釈してくれて、びっくりするくらい感動してくれることがあります。嬉しいけれど、とまどいます。なぜか?それは、「私の作品」がすごいのではないからです。そう感じることができる読んでくださったかたの心が素晴らしいのです。もしかすると、よい作品というものは、読み手の数だけ「新たな物語(ストーリー)を芽吹かせるもの」なのかもしれません。だとすれば、そのために必要なのは、創り手が〈何を伝えたいかを曖昧にしたり、妥協したりしないこと〉です。 〈Going My Colour!〉良美さんが著作にサインしてくださった言葉です。進むこと。それは信じること。私の感じるままを。私自身を。それを実践している良美さんの作品の前で、喚起されたことの数々……。この日、京都に行くことができて、本当によかったです。浜田えみな山田良美さんは神奈川県川崎市在住です。平成27年4月14日~4月26日まで、京都個展「Blue+Yellow ~青からの私~」が開催されていました。個展の内容は、山田良美さんのFBページ → ★★★ または、「ギャラリーアートページ唯心」さんのブログ → ★★★ で。