恋する寄生虫 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『恋する寄生虫』

 

 

 

 

 

2021年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 柿本ケンサク

 

原作 三秋縋

 

脚本 山室有紀子

 

撮影 カテブ・ハビブ

 

音楽プロデューサー 山田勝成/小嶋翔太

 

 

 

出演 林遣都/小松菜奈/井浦新/石橋凌

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

何から何までまともではなくて、しかし、紛れもなくそれは恋だった

 

「三日間の幸福」などで若者を中心に支持を集める作家・三秋縋の恋愛小説を映画化、生きづらさを抱えながらも儚く繊細な恋を育んでいく姿を描く

 

潔癖症に苦しむ孤独な青年と視線恐怖症の不登校女子高生のはかない恋愛を描いた同名小説を原案に、林遣都と小松菜奈で描くラブストーリー

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

防護服を着て防護マスクをして部屋でパソコンに向かう高坂健吾は極度の潔癖症、彼が作成しているソフトは12月24日にあらゆる通信機器を停止させるもの

 

それは幼い頃に両親の自殺を目の当たりにしたせいで潔癖症となり、周囲とは馴染めず、ずっと孤独に生きてきた健吾の復讐だ

 

 

そんなある日、バスに乗った健吾は手袋とマスクをしていたが周りの人が気持ち悪くて気分が悪くなり、どうしようもなくなり途中下車をして嘔吐

 

 

佐薙ひじりは子供が嫌い、ジロジロ見るから、彼女は人の目が怖い視線恐怖症でヘッドホンをして聴覚を遮断しないと耐えられない、ひじりは頭の中に虫がいて、成長する為に脳を餌に人間を食べ尽くしてしまうと考えて絶望している

 

 

目の前で倒れた健吾をひじりは祖父が運営する虫の研究施設へと連れて行き、やがて目を覚ました健吾は家へと戻った、ひじりは健吾に同じ匂いを感じた、絶望という

 

ある日、健吾の部屋に和泉という男が現れ、ソフトの事を告発されたくなかったらあるガキの面倒を見ろと脅迫、次の日に言われるままに約束の場所に向かうとそこにひじりがいた

 

 

ひじりは健吾の部屋に上がり、制服のままベッドに寝転び健吾はひじりを突き飛ばしてひじりは怒って出て行ってしまう、部屋を掃除して洗濯をして断りの電話を入れるも和泉は聞き入れない、再びやって来たひじりに健吾は失神

 

 

目を覚ました健吾はひじりに潔癖症について説明するも健吾はひじりのペースに巻き込まれていく

 

 

しかしひじりも自分と戦い、健吾もひじりも自分と同じ苦しみを感じていると知る、2人は分かり合え普通の生活をするようにリハビリをし、予定通りに世の中に復讐をする決意をした

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

林遣都演じる高坂健吾は極度の潔癖症、実際にここまでの潔癖症って稀だと思います、この人を潔癖症と呼ぶなら普通の潔癖症の人は普通の人です

 

 

何かにつけて手を洗うので手は荒れ放題、洗っても洗っても次から次へと汚れが出てくるような気がするんです、それはもう悪魔に取り憑かれたのかと思うほど

 

そんな健吾でも外に出ないと生活が出来ませんもんね、でも外は健吾にとってバイ菌だらけの恐怖の街なんです、バスに乗るのですがちょっと不潔な人がいたらもうアウト、下車して嘔吐して失神

 

両親が目の前で自殺した事からこの潔癖症が始まったんです、学校の授業中でも気持ち悪くて吐いちゃうし、それをからかわれて健吾は世の中に復讐を考えています

 

バスから下車して失神した健吾の目の前に佐薙ひじりがいたんです、ひじりを演じるのは「糸」の小松菜奈でひじりは視線恐怖症でヘッドホンで聴覚を遮断しないと耐えられないのです

 

 

和泉を演じるのは井浦新で、彼は健吾にひじりの面倒を見るように脅されるんです、健吾は世界に復讐する為のソフトを作っているのを和泉に知られていたんです

 

 

ある日、ひじりは男たちに絡まれてヘッドホンを取られてしまうんです、パニックになったひじりは健吾に助けを求めて連絡、健吾は駆け付けそこで苦しんでいるのは自分だけではないと思うんです

 

 

2人は分かり合えるようになり、クリスマスイヴにソフトを起動させて世の中に復讐をしようと計画するも、リハビリとして外食したりして一緒にいるのです

 

 

ひじりの祖父を演じるのは石橋凌で彼は研究者でひじりの脳に虫がいてそれを取ろうとするのですが、ひじりの虫が健吾の脳の虫と繁殖の為に引き合わせているので摘出すると健吾への想いが消えてしまうのです

 

 

接触する事で卵を産みやがて精神を病んでしまい自殺へと向かってしまうのです、なので健吾の両親は自殺してしまい、ひじりの母親も自殺したのです

 

 

この健吾を想う気持ちが消えてしまうなら死んだ方がましだと話し、健吾もひじりがそう言うなら一緒に死のうと、生きる事より愛する事の方が大切なのかもしれませんね

 

 

そんなに派手な作品ではないですが人を好きになるのは寄生虫のせいだという発想は面白かったですね、三秋縋の原作を原案にして本作のユニークな設定を魅力的なファンタジーなラブストーリーとなってます

 

 

 

 

 

 

その虫は「恋」に寄生する、臆病者たちの切なくも美しいラブストーリー それが『恋する寄生虫』です。

 

 

 

 

 

小松菜奈はこんな不思議な役が似合います、ラストはクリスマスイヴに世の中に復讐です。