『鉄道員 ぽっぽや』
1999年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督 降旗康男
原作 浅田次郎
脚本 岩間芳樹
撮影 木村大作
音楽 国吉良一
出演 高倉健/大竹しのぶ/広末涼子/小林稔侍/志村けん/吉岡秀隆/安藤政信/田中好子/奈良岡朋子
《解説》
ありがとう、この想い届くだろうか
浅田次郎の直木賞受賞の同名短編を、想像力豊かに映画化した人間ドラマ、高倉健・降旗康男監督・木村大作キャメラマンの黄金トリオが集い、誇り高き鉄道員の姿を幻想的に映す名編
不器用にしか生きられなかった男の人生を、雪の中にたたずむ姿だけで体現した高倉健も存在感は圧倒的、高倉健が大竹しのぶ、小林稔侍、広末涼子、志村けんらの豪華な俳優陣と織り成した共演も見もの
《物語》
佐藤乙松は鉄道員一筋に人生を送って来た男、現在は北海道の幌舞線の終着駅・幌舞の駅長をしている、幼い一人娘を亡くした日も愛する妻を亡くした日も彼はホームに立ち続けていた
しかしその幌舞線も時代の流れに逆らえず、次の春で廃線になることが決まっていた、それは乙松の定年退職と同じ時期となっていた
ある日、いつものように業務をこなす乙松の前に小さな女の子が現れる、今度1年生になるのと笑う女の子は乙松に自分が持っていた人形を見せた、それは生前に乙松が娘の雪子にあげた人形に似ていた
そして正月、かつて乙松と共に機関車を走らせていた同僚で、今は美寄駅の駅長の杉浦が訪ねてきた、杉浦は彼こそが本物のぽっぽやだ、制服脱いでリゾートホテルの役員に納まるJRの職員とは違う
彼は今年で定年になる乙松に一緒にトマムのリゾートホテルへの再就職を勧めにやって来たが鉄道員一筋の乙松には受け入れられない、終電が終わると2人は酒を酌み交わした
真夜中、杉浦が酔って寝た後に昼間の少女が忘れていった人形を取りに6年生の姉が駅舎を訪ねてきた、彼女を歓待するが、夜も遅いので送ってやると言う乙松にキスをして帰ってしまった、またしても人形は忘れたまま
その翌日、杉浦が美寄に帰った後に2人の少女の姉と名乗る女子高生がやって来た、17歳の彼女は鉄道が大好きで乙松の話しを楽しそうに聞く
乙松が改めて少女の顔を見ると、1年生の少女や6年生の少女に感じていたものに確信を持った、少女は死んだ雪子だった
《感想》
昭和の人って自分の仕事に誇りをもって職人のように勤め上げる人が珍しくありません、そんな中でも佐藤乙松は特に頑固で不器用な人間なんです
企画の段階から乙松を演じるのは高倉健しかいないと言われ、約20年ぶりに東映作品に出演しました、オープニングから雪の降る中で寒そうですが鉄道員として誇りを持って仕事をしています
幼い娘の亡くなった日も最愛の妻が亡くなった日も仕事をしていた乙松、これが正しいかどうかはわかりませんが、それが乙松の生き様なのかもしれません
高倉健とは初共演となる妻を演じるのが「死んでもいい」の大竹しのぶで、体が弱くやっと授かった雪子を亡くしてしまいます、そして現在より2年前に病死するも乙松は看取ることが出来ませんでした
同僚の杉浦を演じるのが小林稔侍で、一緒に幌舞線の機関士として働き、幌舞線のターミナル駅の美寄駅長に昇進、退職後はJRのコネでリゾートホテルへ重役待遇で天下りが決まっている
再就職を乙松にも声を掛ける杉浦なんです、小林稔侍は売れない若い頃から高倉健には世話になっていて、いつか端役じゃなくて映画でしっかりと共演するのが恩返しだと思っていたそうです
本作は乙松の回想シーンが多く流れるのですが、炭鉱夫のケンカのシーンで乙松と杉浦がケンカを止めるのですが、そこに志村けんが炭鉱夫の吉岡役で出演
志村けんは映画には出るつもりはなかったのですが、憧れの高倉健に直電オファーされれば出ないわけにはいかないと生涯ただ一度の映画出演となりました
乙松の前に現れる少女がいるのですが、最初は小学生前の女の子、次に小学6年生の女の子、そして高校1年生の女の子、この高校1年生の少女を演じるのが当時人気絶頂の広末涼子
でも最近の広末涼子はゴシップが多くて、不倫だ離婚だ、独立だ事故だ逮捕だと、この先に彼女を見ることがあるかどうかはわかりませんが、高倉健も認める女優だったことは間違いないようです
乙松はこの春で定年となりますが幌舞線が廃線となります、元同僚の杉浦の訪問によって乙松は自身の鉄道人生を振り返るのです、監督は高倉健と数々のタッグを組んだ降旗康男
男が守り抜いたのは、小さな駅と、娘への想い それが『鉄道員 ぽっぽや』です。
一つの仕事を一生掛けて全うする、まさに職人芸で、そんな男になりたいです。













