青くて痛くて脆い | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『青くて痛くて脆い』

 

 

 

 

 

2020年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 狩山俊輔

 

原作 住野よる

 

脚本 杉原憲明

 

撮影 花村也寸志

 

音楽 坂本秀一

 

 

 

出演 吉沢亮/杉咲花/岡山天音/松本穂香/清水尋也/森七菜/茅島みずき/光石研/柄本佑

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

彼女は死んだ、僕は忘れない

 

実写とアニメで映画化された「君の膵臓をたべたい」の住野よるの同名青春サスペンス小説を、「キングダム」の吉沢亮、「湯を沸かすほどの熱い愛」の杉咲花主演で映画化、監督は「妖怪人間ベム」の狩山俊輔

 

大事な相棒と居場所を取り上げられた青年が、負のパワー全開で復讐に燃える様子を活写する、吉沢亮、杉咲花、若手屈指の演技派である2人の熱演、そして意外性のある展開が見ものだ

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

あらゆる自分の行動には相手を不快にさせてしまう可能性がある、他人に近付き過ぎない事、人の意見を否定しない事、そうしていれば誰かを傷付ける事もなく自分が傷付けられる事もない、それが自分を守る事になる、田端楓の生きるテーマだ

 

 

大学二年生の授業中にいきなり質問した世界平和を説く理想主義者の秋好寿乃に対して頭の痛いヤバイ奴だと思った、しかしそんな彼女に興味を持った

 

 

学食で昼食をしていると楓の隣に強引に座った寿乃はあまり人と関わりたくない楓に対してグイグイと距離を詰めてきて、周りの人にも一緒にいる楓もヤバイ奴だと噂される

 

逃げる事も出来ず一か月が経ち、自分に合うサークルがないとぼやく寿乃に楓が自分で作ればと言ってしまい、それを聞いた寿乃は目を輝かせて楓を誘う

 

目立ちたくない楓は断るが寿乃は秘密結社のようにして嫌な事はしないと盛り上がり、なりたい自分になるという野望を掲げ、楓は自分の生きるテーマを寿乃に話してドン引きされると思ったら寿乃は優しいじゃんと楓を絶賛

 

 

サークル名を秘密結社モアイと決めた、次の日には寿乃は早速チラシを配るが誰も相手にしてくれない、それでも前向きに明るく行動する寿乃

 

 

秘密結社モアイは世界を変えますと笑顔だった事を楓は今でも思い出す、彼女はもうこの世界にいないけど

 

 

3年後、就職内定が決まった楓は今や大きな就活サークルと化したモアイの連中を冷ややかな目で見ていた、それはいい会社に入る為のコネ作りサークル

 

楓は友人の董介と飲んだ時に、自分がもう一人の友人と作ったモアイをぶっ潰すと語り、それを聞いた董介も協力する事になった

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

最初は暗い地味な田端楓と自己主張の強いエキセントリックな秋好寿乃の恋愛青春ものかと思ってたらとんでもなかった、ある意味ホラーのような怖さがあります、派手な怖さと言うより内面に潜む狂気と言った感じでしょうか

 

楓は人に関わらずに生きれば傷付く事はないと考えている消極的な男なんです、その楓を演じるのが「キングダム」の吉沢亮でイケメンなのですが何かを秘めてるような感じが最初から醸し出しています、誰にも関わらずに友達も作らずに大学生活を終えるのかと

 

 

そんな楓の前に現れたのが寿乃なんです、積極的で物怖じしない性格で、それでいて社交的で天真爛漫なんです、授業でも理想論を発言して周りからはヤバイ奴だと思われてます

 

寿乃を演じるのが杉咲花で彼女のイメージによく合った感じです、相手が壁を作っていてもそこを問答無用でこじ開けて距離を詰めてくる女の子なんです

 

 

目が合った事で楓は寿乃に声を掛けられるんです、最初は邪険にしていた楓なんですが段々と彼女のペースに飲まれてしまって、一緒に行動するようになるんです

 

 

寿乃と一緒にいるだけで楓もヤバイ奴だと思われてしまって目立ってしまうと懸念するのですが、天真爛漫な寿乃に押される形で秘密結社モアイというサークルを立ち上げるんです

 

それから3年が経って2人で立ち上げたモアイは巨大な就活サークルとなって今や誰もが知る存在となっているんです、楓はモアイのメンバーではなくてあの寿乃もいない、楓は友人の董介に協力をしてもらってモアイを潰そうとするんです、董介を演じるのが「新聞記者」の岡山天音

 

 

これだけ前半と後半でガラッと変わる作品も珍しいです、さすがに「君の膵臓をたべたい」の住野よるのこの男の嫌らしさを描いていて、妬み嫉みで震えますよ

 

寿乃と最初に付き合う脇坂を演じるのが「Red」の柄本佑、3人目のモアイのメンバーなのですが楓と違って調子のいい奴で楓は翻弄されてしまいますが、寿乃とは気が合うんです

 

 

モアイのメンバーで施設でお手伝いをするのですがそこにいる問題児で楓と心通わせる瑞希を演じるのが「ラストレター」の森七菜、彼女は強烈なキャラクターでしたね

 

 

楓と董介に協力してくれる朝美を演じるのが松本穂香、薫と董介がモアイの秘密を探ろうと近付く天野を演じるのが清水尋也、そして理沙を演じるのが本作でデビューの茅島みずき

 

 

そんなこんなで楓と寿乃の距離が少しずつ開いていくんです、そうなると楓の負のパワーが黒い渦を巻いて出てくるんです、何だか恐ろしくて気持ち悪いです(笑)

 

 

 

 

 

「君の膵臓をたべたい」の住野よるが「キミスイ」の価値観をぶっ壊すため描いた衝撃作!ついに映画化! それが『青くて痛くて脆い』です。

 

 

 

 

 

想像とは違った展開でしたが、意外な展開で楽しめました、何も知らずに観る方が良いのでしょうけどね(汗)