新聞記者 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『新聞記者』

 

 

 

 

 

2019年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 藤井道人

 

脚本 詩森ろば/高石明彦

 

撮影 今村圭佑

 

音楽 岩代太郎

 

 

 

出演 シム・ウンギョン/松坂桃李/本田翼/岡山天音/郭智博/長田成哉/宮野陽名/高橋努/西田尚美/高橋和也/北村有起哉/田中哲司/望月衣塑子/マーティン・ファクラー

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

官邸とメディアの裏側を描く、孤高のサスペンス・エンタテインメント!

 

「怪しい彼女」などで知られる韓国の演技派女優シム・ウンギョンと松坂桃李がダブル主演を務める社会派サスペンス、東京新聞記者・望月衣塑子の同名ベストセラーを原案に、若き新聞記者とエリート官僚の対峙と葛藤をオリジナルストーリーで描き出す

 

監督は「デイアンドナイト」の藤井道人で、第43回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞の3冠に輝いた

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

吉岡エリカは東京新聞の記者になって4年、日本人の父親と韓国人の母親の間に産まれアメリカ育ち、自宅に深夜テレビの討論番組を見て情報収集をしている

 

 

杉原匠海は元外務省で現在は内閣情報調査室に所属している官僚、杉原もデスクで討論番組を見ていた、そこに官僚の白岩聡が野党の女性と会っているのを公安の三好宗吾が撮影し、杉原に送った

 

翌朝、出社した吉岡は各社の新聞の一面はどれも同じ記事を同じような段組みで報じられていた、それは元大学教育局長の白岩聡が野党女性議員と不適切な関係という記事

 

吉岡はデスクの陣野に呼ばれてこれをあずけると深夜に匿名ファックスで送られてきた新設大学院大学設置計画書とタイトルの資料で最初のページに黒いサングラスをかけたヒツジが描かれていた

 

 

それは秘密情報で認可先が内閣府で経営は民間に委託される、これが本当なら政権がひっくり返る、吉岡は陣野に命じられて調査を開始した

 

後藤さゆりという女性ジャーナリストが野党の辻川議員に性暴力を受けたという事件が世間を賑わせている、杉原は後藤さゆりが野党議員と関係あるチャート図を作り、後藤さゆりのハニートラップだったとする人物相関図を作れと命じられる

 

 

内閣情報調査室に所属してから命じられる仕事は国の為と言いながら首を捻るものばかり、そんな時に外務省時代の上司の神崎から食事の誘いの電話が入り会食する、神崎は無実であるのに不正の責任をひとりで被った過去があり会うのはそれ以来5年ぶり

 

吉岡は大学教育局長を取材するが新設の件は目的が不明だった為に断ったとしか聞き出す事は出来なかった、そんなある日に杉原に神崎から電話があり、その電話を最後に神崎は自殺

 

神崎の通夜の日に杉原と吉岡はそこで出会った、真実を知りたいと言う吉岡に杉原は関係ないと、後日に杉原を追う吉岡、地下鉄で周囲を警戒して話す2人、立場の違う2人だったがある事実が明らかになる

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

松坂桃李の結婚記念レビューです、まさか戸田恵梨香だったとはね、まさに電撃結婚だったと思います、おいらは松坂桃李は若い俳優の中では一目置いていた俳優です

 

 

松坂桃李が演じるのは内閣情報調査室に所属する官僚の杉原ですが、国民に尽くすという信念とは裏腹に与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール

 

その内閣情報調査室では大勢がパソコンの前に座りSNSに不都合なニュースから論点を避けさせるような虚偽の書き込みを如何にも真実のように書き込みしているんです、この風景はある意味怖いです

 

このネット時代なのでみんながパソコンで噂を流布しているんです、そんなネット時代の中で新聞記者が底力を見せてくれてます、ネット情報ではなく足で稼ぐ真実なんです

 

新聞記者の吉岡を演じるのは韓国映画界の至宝と言われるシム・ウンギョン、彼女の姿を通して報道メディアは権力にどう対峙するのかを問いかけます

 

 

邦画には珍しく時代の流れに忖度せずに日本の置かれた状況に正面から向き合った作品でよくこんな作品が作れたもんだと感嘆しました、吉岡役は日本人女優がみんな断ってシム・ウンギョンに白羽の矢が立ったようです、それによって彼女は日本アカデミー賞最優秀主演女優を受賞

 

 

この作品は確かにテレビ番組での番宣やテレビCMなんかもなかったように思えます、やはり政府から睨まれたくないのでテレビ局はスルーしたのでしょうか?

 

新設大学院大学設置なんかは一時ワイドショーを賑わせていたニュースのようです、女性ジャーナリストが議員に性暴力を受けたなんてのも今だに話題になっているニュースのよう、外務省の元上司の自殺なんかも自責の念で自殺した職員のニュースのようです

 

 

もちろんフィクションなのですがそれでこそ真実を描き出せているような気がしました、勝手に自主規制や忖度ってなんだか裏が見えてしまって嫌ですね、この作品で新聞記者と上層部の関係や、官僚機関の構造なんかが知れたような気がしました

 

杉原の妻の奈津美を演じるのが本田翼でこの重いテーマの作品で唯一のオアシスのような存在です、それに苦悩する夫にそっと寄り添う感じがありました

 

 

吉岡の同僚の倉持に岡山天音、杉原の元上司の神崎を演じるのは高橋和也で元男闘呼組です、神崎の妻を演じるのが西田尚美でその娘の千佳を宮野陽名、デスクの陣野を演じるのが北村有起哉、いつもクセのある役です

 

原案は望月衣塑子の著書のベストセラー「新聞記者」を基に映画化しています、彼女は加計学園の問題や、元TBS記者からの準強姦の被害を受けた女性ジャーナリストの伊藤詩織へのインタビューなどで知られる人です

 

 

 

 

 

 

内閣官房VS女性記者、この国に『新聞記者』は必要なのか?

 

 

 

 

 

あのラストはちょっと考えさせられます、やっぱ国家権力は恐ろしいですね