『君の膵臓をたべたい』
2017年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督 月川翔
原作 住野よる
脚本 吉田智子
撮影 柳田裕男
音楽 松谷卓
出演 浜辺美波/北村匠海/大友花恋/矢本悠馬/桜田通/森下大地/上地雄輔/北川景子/小栗旬
《解説》
ラスト、きっとこのタイトルに涙する
タイトルとストーリーのギャップで話題を集めた住野よるの同名ベストセラー小説を実写映画化した青春ドラマ、「黒崎くんの言いなりになんてならない」などの新鋭・月川翔監督がメガホンをとり、「ホットロード」「アオハライド」など青春映画に定評のある吉田智子が脚本を担当
膵臓の病を患う高校生と同級生の僕の交流を、現在と過去の時間軸を交差させて描く、浜辺美波と北村匠海が主演を務め、現在の僕を小栗旬、ヒロインの親友を北川景子が演じる
《物語》
高校の国語の教師をしている志賀春樹は勤務先の母校でもある図書館が老朽化の為に取り壊される事が決定し、在学時に図書委員をしていた事もあって本の整理を任されてしまう、久しぶりに入った図書館でかつての高校時代のある記憶が甦った
12年前、高校生の頃、内気で他人に興味のない春樹は盲腸で病院に来ていた、待合室で一冊の文庫本を拾った、その本は病気の事や本音が書かれた共病文庫という日記だった
その本の持ち主は春樹のクラスの人気者の山内桜良のもので彼女は膵臓の病気でいずれは死んでしまうとクラスでも地味な春樹に笑顔で話した
次の日には桜良は図書委員に立候補し、図書館の本の分類を一緒に整理する事になった、春樹は残りの時間をこんな事に使っていいのかと質問すると
君の方が明日死ぬかもしれない、私も君の一日の価値は同じと言い、それに桜良の残り少ない人生の手助けをさせてあげると日曜の午後11時に駅前に集合と言って帰ってしまった
逆らわず流される性格の春樹は桜良のペースに動揺、桜良は他のクラスメイトにもし言ったら引くだろうけど君は普通のまま、春樹は一番辛い当人が悲しい顔を見せないのに他の誰かが泣くのはお門違いだと
こうしてその日から2人の恋人のような親友のような関係を築いていく、一緒にスイーツを食べに行った事が桜良の親友の恭子にバレて詰め寄られるが桜良が春樹の事を仲良し君だと説明してクラス中がざわめき、静かに過ごしたい春樹は狼狽えてしまう
桜良に僕より親友と過ごす方が価値があるのではと質問すると恭子は多分会う度に泣いちゃうからそんな時間はお互いに楽しくない、周りにはギリギリまで隠しておくと
桜良はあと1年持つかどうかと医師に言われていて共病文庫は死んだら読んでいいと、読む権利を桜良は春樹に与えた
そして12年後、結婚を控えた彼女の親友の恭子もまた桜良と過ごした日々を思い出していた
《感想》
ラストにこのタイトルがグッと意味を持ってきます、新人の俳優2人がすごく一生懸命に演技をしているのが伝わってきますね、青春学園物と難病物をくっ付けただけでなくて奥深いです
膵臓の病気を患っている山内桜良を演じるのは浜辺美波、この作品でおいらはこの女優さんを知ったのですが、まだこの業界に染まっていない感じがしましたね
それぐらい見ていて透明感みたいな物がありました、それにもし女子高生が難病になったらこんな感じに振る舞うのだろうかと、長く生きられないのにポジティブに生きるなんてね
そんな彼女の闘病日記のような共病文庫をたまたま拾ったのが志賀春樹で演じるのは北村匠海、この俳優もこの作品で知ったのですがこんなにイケメンで背も高いのに控え目な性格なんですね
この共病文庫を見てしまった事から2人の交流が始まります、春樹は煩わしいのは嫌いで流されるように生きているんです、その春樹の世界に入り込んで来た桜良によってかき回されるんです
この浜辺美波と北村匠海は実際にすごく人見知りで撮影中もほとんど普通の会話はなかったそうです、しかも公開時の舞台挨拶で久しぶりに会っても会話がなかったとか(笑)
月日が流れて高校教師になった春樹を小栗旬が演じています、大人になっても性格は変わらないようで教師も辞めようかと考えているくらいなんです、この職業は桜良が薦めてくれたんです
この春樹を陰ながら見ている恭子を演じるのが北川景子、この恭子と春樹の間には桜良がお願いと2人に託した事があるんです、それを恭子は気になっていたんです、高校時代の恭子を演じるのは大友花恋
桜良は静かな日常を送りたい春樹をあちこちに引っ張り回すんです、その最たるものが福岡への旅行なんです、スイートルームに2人で泊まるのですが高校生の男女はドキドキでしょう、こんな時は女子の方が度胸があるのでしょうね
している事は青春時代の事なのですが桜良は入院する事もあるんです、普段は元気で病気を感じさせないのですがやはりね、でも外出許可を貰ってその日は春樹とデートの約束なのですが桜良は現れないのです
監督は月川翔でこんな青春を描く作品が得意な印象がありますが、監督する作品の主人公は10代が多くて若い人の心の思いなんかを描くのが好きなのかも
刺激的なタイトルと、そのイメージを裏切る美しいストーリーが話題を呼んだ それが『君の膵臓をたべたい』です。
原作にはない12年後の物語も違和感なくて、しっかりとエンディングとして締めてくれてます。