『復讐者に憐れみを』
2002年 韓国
《スタッフ&キャスト》
監督 パク・チャヌク
脚本 イ・ジョンヨン/パク・リダメ
撮影 キム・ビョンイル
音楽 ペ・ユンジン
出演 ソン・ガンホ/シン・ハギュン/ペ・ドゥナ/イム・ジウン/ハン・ポベ/イ・デヨン/キ・ジュボン/キム・セドン/イ・ユンミ/リュ・スンボム/リュ・スンワン
《解説》
復讐は彼らに何を残したか?
2004年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した、「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督による復讐三部作の第一章、この後「オールド・ボーイ」、そして「親切なクムジャさん」へと続く
「シュリ」のソン・ガンホ、「JSA」のシン・ハギュン、「ほえる犬は噛まない」のペ・ドゥナら韓国の3大スターが共演、終わりのない復讐と悲劇のまっただ中で苦悩する男女を、それぞれが圧倒的な存在感でみせる
《物語》
リュの唯一の肉親である姉はリュの進学のために自分は大学に行かずに工場へ、やがて重い病気にかかり工場を辞めたのでリュも美大を諦めて就職
リュは決心した、でもリュの口からは言えない、リュは聞こえず話せない聴覚障害者だから、リュは姉の命を救うと誓う、腎臓移植手術を申し込んだ、医者には入院費が払えないなら一先ず退院して臓器提供者が現れるまで人工透析を続けろと言われる
しかし彼の勤める工場は経営が悪化し、リュはリストラとなってしまう、1千万ウォンの退職金を手にしたリュだがそれは姉の腎臓移植の手術費用だが提供者は依然現れない
そこでリュは街で臓器斡旋の広告を見てその業者に連絡を取った、相手は1千万ウォンとリュの腎臓の1つとで姉に適合する腎臓を渡すと言う、しかしそれは闇医者でリュは1千万ウォンと腎臓を奪われて裸で放り出されていた
医者に21日後に姉の腎臓提供者が現れて一週間後に手術と言われた、その全てを聞いたリュの恋人で政治活動家のヨンミは激怒して、リュを散々殴った
その後に一週間以内にルイシン電気の社長で富豪のドンジンの娘を誘拐しようと計画、リュはそれは悪い事だとためらうがヨンミは次の提供者が現れるまで待つのかと説得
悪い誘拐は殺してしまうから、ヨンミは遊んでやって帰すだけと実行のチャンスを狙う、そんなある日、ドンジンと娘のユソンを乗せた車の前にリストラされた社員が飛び出して自傷を行う
その騒ぎの中で誘拐は成功、ユソンを家に連れて帰り遊んでやり、ドンジンには2600万ウォンの身代金を要求する、全てが上手くいくかに見えたのだが…
《感想》
おいらが今まで観た作品の中では特に救いのない作品でした、暴力が暴力を生み、復讐が復讐を生む、そんな負の連鎖が延々と続く感じです
聴覚障害者のリュは姉の腎臓移植の為にリストラされて払われた退職金で手術費用を賄おうと思ったのですが臓器提供者で適合者は中々現れません
そこでリュは街で見掛けたチラシで退職金と自分の腎臓のひとつで姉に適合する腎臓を見付けてやると言われて了承するのですが、目が覚めると金もリュの腎臓も取られて廃墟に捨てられるようにいたんです
そんな時に適合者が現れたと医者から連絡があるんです、もうその時のリュのどうしようもなくやり切れない顔ったら、もしそれがおいらだったら死にたくなりますよ
このリュを演じるのが「JSA」のシン・ハギュン、聴覚障害者という難しい役柄を見事に演じています、それに奇抜な髪の色も印象的です、何をするにも目立ちそうです
そこでリュは彼女の恋人で活動家のヨンミに相談するとバカなリュに激怒、しかし営利誘拐を計画して富豪のドンジンの娘のユソンの誘拐に成功するんです
それと並行してヨンミは臓器売買組織の怪しいチラシに連絡してそのアジトへと向かうのですがそこにリュがバットで全員を撲殺してしまうんです、リュの復讐は完了
ヨンミを演じるのが「ほえる犬は噛まない」のペ・ドゥナ、自称活動家で団体のメンバーなのですがメンバーは自分だけなんです、それにリュとのベッドシーンではヌードも披露していて体当たりの演技です
しかし姉がユソンの営利誘拐が自分の為と知って自殺、故郷の川辺に埋めるのですがそこでユソンが川に流されて溺れてしまうんです、聞こえないリュにはユソンの叫び声が聞こえないんです
娘の死を知ったドンジンは会社も捨てて犯人を捜します、そして見付けたヨンミを電気での拷問の末に殺害、ヨンミは自分がテロリストだから殺せば殺されると言うのですがね
リュの電気で失神させられて縛られてユソンの溺れた川で斬り付けて殺すんです、ドンジンの復讐は完了、しかし男たちが現れてドンジンを刺し殺します、ヨンミの復讐を完了させるんです
このドンジンを演じるのが「シュリ」や「JSA」のソン・ガンホ、前半はほぼ出番がないですが娘を殺された悲しみと怒りに任せた復讐は鬼気迫る物があります
リュの姉が痛みで苦しんでいる声を隣の男どもは喘ぎ声と思って自慰をするんです、不謹慎な笑いを放り込んでくるパク・チャヌク監督でした
オールド・ボーイの原点、そして、それを超える衝撃作 それが『復讐者に憐れみを』です。
とにかく観ていて心が痛い作品でした、終わることのない暴力と復讐の連鎖でした
更に過激な続・裏237号室の『復讐者に憐れみを』のレビューはこちらです。