シュリ | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『シュリ』

 

 

 

 

 

1999年 韓国

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 カン・ジェギュ

 

撮影 キム・ソンボク

 

音楽 イ・ドンジュン

 

 

 

出演 ハン・ソッキュ/キム・ユンジン/チェ・ミンシク/ソン・ガンホ/ユン・ジュサン/パク・ヨンウ

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

映画史上、かつてない社会現象を巻き起こした、奇跡のハイパー・エンタテイメント・ムービー誕生

 

朝鮮半島の南北分断という深いテーマを根底に置きながら、その民族的悲劇を見事にラブストーリーに昇華させた、超ド級の娯楽大作ムービー!

 

監督は「銀杏の木のベッド」でデビューし、96年の興行成績トップを記録したカン・ジェギュ、主演は出演作品が全て大ヒットを記録するという神話を持ち、韓国が誇る大スターとなったハン・ソッキュ、ヒロイン役にはスクリーン・デビューでいきなりスターの仲間入りを果たしたキム・ユンジン、そして民族の痛みを象徴する敵役を演じたのはチェ・ミンシク

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

第二次世界大戦後、朝鮮半島は二国に分断された、朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国である、1950年に勃発した朝鮮戦争によって半島全域が荒廃し、冷戦の犠牲となった両国では今なお緊張が高まっている

 

1992年、北朝鮮では選び抜かれた兵士が過酷な訓練を繰り返し、生き残った優秀な者だけが潜入スパイとして韓国へと渡る、その一人、第8特殊部隊工作員のイ・バンヒは韓国で様々な任務をこなしている

 

 

1998年、秘密情報機関OPの特殊要員ユ・ジョンウォンと相棒のイ・ジャンギルはイ・バンヒの行方を探しているが手掛かりが何もない、ジョンウォンはアクアショップの経営者のイ・ミョンヒョンとの結婚を一ケ月後に控えていた

 

 

2002年ワールドカップ南北合同チームが結成され、親善試合が行われようとしていた、そこには両国の首脳が同席する歴史的なイベントだ

 

ジョンウォンとジャンギルは情報を提供する予定だった武器密売組織のボスが射殺された、暗殺犯を追跡する中で国防科学技術研究所の開発した新兵器CTXの強奪計画を知るが、現場に急行するが既にCTXは奪われた後

 

 

ジョンウォンはこの強奪北チームがパク・ムヨン率いる特殊第8軍団の工作員チームだと気が付いた、彼らはCTXをサッカースタジアムに仕掛けて両首脳を一掃して国家統一を図る事が狙い

 

ジャンギルは3度も俺たちと同時に犯人も動いている、情報が漏れているとジョンウォンに話す、内部に裏切り者がいてどこから漏れているのか?それは意外なところからだった

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

韓国映画の最初のレビューはこの作品だと決めていました、韓流ブームはこの作品から始まったと思っています、この作品から日本での韓国映画の夜明けでしょう、その後の2003年に日本でテレビドラマ、「冬のソナタ」が放送されて空前の韓流ブームとなりました

 

初めて観たときは韓国映画もこんなアクション映画が撮れるんだと感心しました、それまで韓国映画を観たことなかったので仕方ないです

 

後から知ったキャスティングの凄さです、ジョンウォンを演じるのは、「八月のクリスマス」の全てのシナリオはハン・ソッキュを通ると言われるほどの韓国の大スターの出演でした

 

 

相棒のジャンギルを演じるのはソン・ガンホで、ジョンウォンの影に隠れる存在なのですが、内通する裏切り者がいてそれを突き止めるのです

 

 

北朝鮮の特殊部隊でテロリストのパク・ムヨンを演じるのはチェ・ミンシクで自国の現状を涙ながらにジョンウォンに訴える姿は心揺さぶられました

 

 

そしてヒロインのミョンヒョンを演じるのがキム・ユンジンで本作が映画デビューです、このミョンヒョン役の争奪戦は凄かったそうです、しかし監督は当時無名のキム・ユンジンを抜擢

 

 

服を着ていてもわかるスタイルの良さと、儚げな表情は悲しみを背負っている雰囲気が出ています、アクアショップの経営者で韓国と北朝鮮の間に生息する魚の名前がシュリだそうです

 

 

もしこの映画が日本で公開されなかったら韓流ブームがやってきたか疑問です、それくらいエポックメイキングな作品だと思います、知らなかった韓国と北朝鮮のことも知りつつ色々と考えさせられる作品です

 

監督のカン・ジェギュは視覚で楽しめる本格的な銃撃戦を作って観客に満足してもらおうというのが課題だったそうです、それまでの韓国映画の銃撃戦は既に限界だったそうです、その銃撃戦のソウルでのロケでは市民に通報される事態になったとか

 

アクションばかりが取り上げられますが心理描写も素敵です、淡水魚のキッシング・グラミーはつがいの片方が死ぬともう片方も死んでしまう魚なんです、どちらもなくてはならないものなんです

 

 

本当に初めて観た時は衝撃的で韓国映画に嫉妬したもんです、日本映画もきっと作れるはずなのに何故か後一歩までのところなんです、何なんでしょうか?大人の事情なのか、コンプライアンスなのか疑問です

 

 

 

 

 

北朝鮮の特殊工作部隊と韓国の情報機関の戦いを描いた、大ヒットスパイアクション大作である それが『シュリ』です。

 

 

 

 

 

アクションにミステリーにラブストーリーを巧みに織り交ぜて両国の切ない気持ちを淡水魚に例えて素晴らしい演出です