『桐島、部活やめるってよ』
2012年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 吉田大八
原作 朝井リョウ
脚本 喜安浩平
撮影 近藤龍人
音楽 近藤達郎
出演 神木隆之介/橋本愛/大後寿々花/前田朋哉/岩井秀人/清水くるみ/藤井武美/山本美月/松岡茉優/落合モトキ/浅香航大/太賀/鈴木伸之/榎本功/東出昌大
《解説》
全員、桐島に振り回される
早稲田大学在学中に小説家デビューし、第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウの同名小説を、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田大八監督が映画化した青春群像劇
主人公・前田役に神木隆之介が扮するほか、前田があこがれるバトミントン部のカスミを「告白」の橋本愛、前田同様に目立たない存在の吹奏楽部員・亜矢を大後寿々花が演じる
第36回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀編集賞の3部門を受賞した
《物語》
金曜日、地方の県立高校の朝礼でバレー部のキャプテンの桐島が県選抜に選ばれた、桐島は学園のヒーローでみんなの憧れの存在だ、そして映画部がコンクールで一次予選を通過するものの二次予選で落選との報告
映画部の前田と武文はそれでも初の快挙に活動費が増えそうだ、これで顧問が書いたシナリオではなく自分たちのオリジナルで次作を撮ろうと思っていたが顧問が勝手に続編のシナリオを書いてしまう
その放課後、おしゃべりをしている仲良し4人組のバトミントン部のカスミと沙奈、帰宅部の梨紗と実果たち、中でも梨紗は学園一の美少女で桐島の恋人、放課後はいつも部活の桐島を待っている
同じく帰宅部の3人組の宏樹と友弘と竜汰は校舎裏でバスケをして遊んでいる、宏樹は桐島の親友で野球部のエースだがずっと顔を出してはいない、恋人の沙奈は桐島を待つ宏樹を待っている
屋上からバスケをする宏樹を見つめる吹奏楽部の部長の亜也は密かに宏樹に恋心を抱いていた、映画部の顧問によって前田の作りたい、「生徒会オブ・ザ・デッド」を却下されて前田は強行的に撮影を開始
屋上で撮影をしようとするが亜矢がいて場所を変わってもらえるように交渉するのだが宏樹を見ていたい亜矢は譲らない、バスケをする宏樹を見に沙奈がやってきた
そこでは3人が神妙な顔をして話している、話を聞くと友弘がバレー部のマネージャーが泣きながら話しているのを聞いてしまった、桐島がバレー部を辞めるという事だった
それを聞いた沙奈はすぐに梨紗に言い、宏樹らも急いで行ってしまった、宏樹が行ってしまった事で亜矢も後輩の詩織が呼んだ事で屋上から下りた
日曜日、前田は顧問に黙って映画を撮ることを決意して映画を観に行った、そこでカスミとバッタリ会った、2人は同じ中学で前田は密かにカスミに恋心を抱いていた、お喋りをして別れたが、カスミはみんなに内緒で竜汰と付き合っていた
月曜日、桐島がいなくなった事で学園では噂が駆け巡る、屋上に桐島らしき人影が見えたと言い、バレー部や帰宅部の宏樹らや梨紗らも屋上に上がると、そこに桐島はおらず、映画部がゾンビ映画を撮影しており、大混乱となってしまう
《感想》
山本美月の結婚記念レビューとなりました、彼女の映画デビュー作品です、こんな色っぽい高校生っているの?(笑)
何と言うかたった一人の部活を辞めるだけで学校中の生徒が大騒ぎになってしまうんです、これだけ影響力のある桐島なんですが映画の本編ではいっさい出てきません
最初に観た時は本当にびっくりするくらい面白かったです、それに巧みな編集による前半部分の何だかよく分からない感じがすごく面白かったです
段々とその学園での人間関係やヒエラルキーや何かが見えてくるんです、仲が良さそうに見えてもそうではなくて、ただ上手く立ち回っているだけとかね、学生も人間関係が大変なんです
主人公の前田を演じるのが神木隆之介で、前田は映画部の監督で地味で目立たないですが映画に対しては熱い自己主張をするのですが普段は温厚な性格なんです、カスミに対して恋心を抱いているんです
吹奏楽部の部長の亜矢を演じるのは大後寿々花で、亜矢は放課後には屋上に上がってサックスの練習をするんです、その理由は宏樹がバスケをしているのを眺めるためなんです
宏樹を演じるのが東出昌大で、桐島の親友で野球部のエースなのに部活には行かずに帰宅部状態なんです、長身でイケメンでなんでも出来るタイプなんで充実感を得られず、沙奈との付き合いも楽しんでいるようには見えないんです
宏樹の仲間の友弘を演じるのが浅香航大で、亜矢を見て「セックスがしたくても出来ない残念な子」だと毒を吐きます、竜汰を演じるのが落合モトキで、そんな友弘を冷めた目で見たり、カスミとこっそりと付き合っているんです
友弘は「部活をしている女子より帰宅部の女子のがレベルが高い」と言うと、竜汰は「部活もアリ」だと反論して「桐島はキャプテンだし彼女は学園一の梨紗」だと、宏樹は「出来る奴はなんでも出来るし、出来ない奴はなんにも出来ない」って言うんです、なんだか怖いですわ
女子4人組のカスミを演じるのが橋本愛で、一見クールに見えるが思いやりのあり、誰かをバカにするような事を言ったりはしない、女同士のごちゃごちゃもフォローし、みんなには内緒で竜汰と付き合っているんです、これは実果への気遣いかな
実果を演じるのが清水くるみで、亡くなった姉と同じバドミントンをしているが同じ部のカスミにコンプレックスを抱いているんです、バレー部の風助に共感していて自分と重ねてしまい、やってもそれが自分の限界だと分かっているんです
沙奈を演じるのが「愛のむきだし」の松岡茉優で、女子グループの仕切り屋で少し上から目線で他人をバカにしているところがあり、宏樹と付き合っていたり、梨紗と一緒にいることで人より上だと感じているんです
梨紗を演じるのが山本美月で、学園一の美少女で学園のヒーローの桐島の彼女、それでいてキツイ言葉を放つこともあり、桐島と急に連絡が取れなくなってイライラが止まらなくなります
風助を演じるのが太賀で、桐島が抜けたリベロを担当することになるものの桐島のようには上手くいかず悩む、副キャプテンの久保を演じるのが鈴木伸之で桐島がいなくなって周囲に当たり散らしてしまう
武文を演じるのが前田朋哉で、前田の親友で今に見ていろと運動部や沙奈たちを目の仇にしている、吹奏楽部の亜矢に憧れている後輩の詩織を演じるのが藤井武美で亜矢の恋心を察しています
群像劇なので登場人物が多いのですが女子4人組であっても2対2の派閥となったり、桐島のサブだった風助が限界を感じたり、仲が良かったのにそれで久保とギクシャクしたりとね
実果はそんな風助を気にしたり、汗まみれの部活をバカにする沙奈と衝突するかと思えばカスミと衝突したり、運動部は文化部を下に見ていたりと学園内のそんなヒエラルキーがラストには崩壊するんです、学園のヒーローの意外な行動で関係のないその他の生徒まで影響するなんてね、監督は吉田大八
第22回小説すばる新人賞、ベストセラー小説映画化、観客の熱が生んだ、奇跡のロングラン! それが『桐島、部活やめるってよ』です。
東出昌大の離婚記念レビューにもなりましたね