『ハウリング』
1980年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 ジョー・ダンテ
原作 ゲイリー・ブランドナー
脚本 ジョン・セイルズ/テレンス・H・ウィンクルス
撮影 ジョン・ホラ
音楽 ピノ・ドナッジオ
出演 ディー・ウォーレス/パトリック・マクニー/ジョン・キャラダイン/デニス・デューガン/クリストファー・ストーン/スリム・ピケンズ/ベリンダ・バラスキー/エリザベス・ブルックス
《解説》
狼男伝説はここから始まった… 5分前は人間だった…
SFX映画史上に残る芸術的特殊メイクアップは、当時21歳の天才アーティストのロブ・ボーティン、狼男に変身する衝撃的なシーンは当時公開と同時に全米を震撼させ、一世を風靡する
古典モンスター“狼男もの”の新解釈による現代版で、SFXを駆使した人間から男人間へと変身していくショッキングなシーンは圧巻、人間の生活に紛れつつ密かに血族を増やしていく狼人間たちの姿を、SFXを駆使しリアルに描いたサスペンスホラー
《物語》
ロサンゼルスの街を恐怖に陥れている謎の連続殺人事件が発生している
ニュースキャスターのカレンは犯人エディからポルノショップに呼び出され、潜入取材を敢行する、ポルノショップの個室では少女が男たちに凌辱されるビデオが流されていた
連続殺人犯のエディはカレンの背後がら現れ、その恐ろしい姿を見せた、彼女はそこでエディに襲われてしまう、間一髪の所で警察にエディは射殺され助けられたカレンだが、恐ろしい影を見たショックから精神的ダメージを受けてしまう
精神科医ワグナー博士の勧めで人里離れた“コロニー”と呼ばれる療養所に夫のビルと出かけるが、彼女が辿り着いた先は、狼人間の伝説が伝えられる場所
そこは自然にあふれた場所で、夜のコロニーでワグナーにも説得されて心は揺れる、コロニーの住人のマーシャがビルにアプローチしていたがビルにはその気はない
ビルと共にコロニーに入ったカレンだったが毎夜、狼の遠吠えに悩まされる、近くにまで狼が現れたら危険だと
カレンの同僚のテリーとクリスは犯人のエディの人間性を調査したところ、伝説の狼男の存在が浮かび上がる、古い書店で狼男は銀の弾丸でしか死なないと聞いた2人は検死所に行くとエディの死体はすでになかった
そんなある日、狼狩りに行ったビルは狼に襲われ腕を咬まれるケガをする、ケガは大したことはなかったが菜食主義だったビルが美味そうに肉を食べるようになった
そしてある真夜中、導かれるように突然森に出掛けたビルは焚火をしていたコロニーの住人であるマーシャと抱き合う、絶頂を迎えると2人は突如呻き声を上げて全身は毛に覆われ、牙が伸びて狼へと変貌する
狼に咬まれてから様子が変わったビルに不安を感じたカレンは、同僚のテリーを呼び寄せる、辺りを散策していたテリーは不気味な狼に襲われ、逃げ込んだ一軒家で狼に襲われ殺されてしまう
テリーを捜してやってきたカレンが一軒家で引き裂かれたテリーの死体を発見して驚愕、そして死んだはずのエディが現れた
エディは満月なんか関係ない、怒りによって自分を解放すると説明し、頭部に埋もれていた弾丸を取り出して狼へと変身、カレンは薬品を掛けて逃げ出した
逃げるカレンはワグナーに捕えられた、実はこのコロニーの住人全てが狼人間で、彼らはワグナー博士のもとで人間社会との融和の試みの実験材料としてコロニーで生活していたのだ、しかし彼らは過激な考えをし、ワグナーの考えを乱して人間社会に宣戦布告をしようとしていた
そこに銀の弾丸を詰めたライフルを持って現れたクリスによって助けられたカレン、クリスは狼人間たちを小屋に押し込み火を放って逃げたのだが、逃げる途中でカレンは肩を咬まれてしまう
そしてカレンは夜のニュースに出演し、狼人間の事を報道するがその実証としてカレンはその場で狼に変身するのだった
《感想》
初めて観た時の衝撃は凄まじかったです、技術はここまで進んだのかと、SFX映画史に残る芸術的特殊メイクアップは、当時21才の天才アーティスト、「モンスター・パニック」のロブ・ボッティンが担当 狼男に変身する衝撃的なシーンは当時公開と同時に全米を震撼させ、一世を風靡しました
この全身の筋肉が一気に膨張して服を引き裂き、汗で濡れた表情で口が裂けて迫り出してくる描写は凄かった、特に連続殺人犯のエディの変身は本作の一番の見せ場です
SFXを駆使して狼男伝説を現代風なアプローチで大胆に映像化し、ホラーの新たな古典を生んだジョー・ダンテ監督の出世作で、「ピラニア 」で見せた手腕は本物でした
1980年頃から特殊メイクは飛躍的に進歩し、ホラー映画ブームもあって、「狼男アメリカン」と共に狼人間を現代に蘇らせた作品です、当初は特殊メイクにリック・ベイカーに依頼されました
ところがリック・ベイカーが友人のジョン・ランディスの、「狼男アメリカン」を手伝うことになって、本作を弟子のロブ・ボッティンに任せました、しかし本作を観たリック・ベイカーとジョン・ランディスは衝撃を受け、変身シーンを撮り直したと言われています
はじめて観た時はさすがに衝撃的でした、だって人間が見る見るうちに狼人間に変身していく映像は見た事が無かったですから、最近の狼人間はCGで簡単な印象をうけますが、この当時の特殊メイクはアイデアと苦労に苦労を重ねて完成させている感じがすごくします
「5分前は人間だった…」、のキャッチフレーズ通りの衝撃でした、主人公のカレンを演じるのがディー・ウォーレス、この作品1作だけで名前を憶えてしまうほどインパクトのあった作品です
コロニーにいる狼人間の女ボスのマーシャがこれまた雰囲気が十分です、演じるのはエリザベス・ブルックスで妖しさが最初から凄くて男を食べてしまう魔女のような雰囲気をプンプンと醸し出しています
それでいてセクシーでこの女にハマったら抜け出せないような怖い魅力もあります、大胆なヌードも自信たっぷりに見せています、死んだと思わせといてレストランで肉をレアで注文するなんて最後までユーモアは忘れません
狼人間は噛まれると伝染するようでカレンの旦那のビルも噛まれて狼人間へと変身するんです、しかも夜中にマーシャと会って焚火を前に抱き合っての変身です、最初からアプローチしてたしね
オカルトな書店を経営する店主が趣味で作った銀の弾丸があったおかげでクリスはカレンを助ける事が出来ました、この店主は影のヒーローですね、それにテリーとクリスに狼男のヒントを教えてましたしね
それに満月の夜という設定は無く、怒りなどによって変身する新解釈なのも面白いです、カレンに硫酸をかけられて顔が溶けてもエディは変身しますよ、気持ち悪いけどね(笑)
シリーズは6までありますが観るのは最初の1本だけで十分です、噂ではリメイクされるとの事ですが、CGの変身だったら興醒めかな
狼男伝説はここから始まった… ジョー・ダンテ監督がSFXを駆使して蘇らせたモンスター・ムービーの決定版!それが『ハウリング』です。
デジタルな映像ではなく、アナログな狼人間です、是非ご覧ください、傑作です!
更に過激な続・裏237号室の『ハウリング』のレビューはこちらです。